November 27, 2012

音楽やアートや手芸にも使う

自転車は、さまざまな場面で使われます。


趣味やスポーツ、競技以外に、通勤や通学、買い物や子供の送迎など生活の中でも使われますし、仕事での営業回りなどに使う人もいます。移動だけでなく運搬のため、蕎麦屋の出前から郵便配達、最近はメッセンジャーや宅配便の配送にまで使われています。観光地などではレンタルもされます。

エンジンやモーターを使わず、仕組みもシンプルで相対的に低価格、燃料や電気などを使わないため維持も容易で低コストです。身近でありふれた存在ですが、実はクルマから旅客機まで、あらゆる移動のための機械と比べても、そのエネルギー効率は断トツという優れた乗り物なのです。

人類が今までに発明した中で最高の乗り物と言われるのも理由があるわけです。人間の力を生かすという点でも、人間の身体の筋肉のうち、最も大きくて力のある足の筋肉をペダルを通して効果的に引き出します。ペダリングはランニングのように着地の衝撃がないので、ヒザなどの関節への負担が小さいのも利点です。

そのため、長い時間運動し続けるのに向いています。有酸素運動としても優れているので、心肺機能のトレーニングやダイエットにも効果的です。フィットネスクラブやトレーニングジムにエアロバイクが置かれているのも、効果を考えると当然と言えるでしょう。

いろいろなシーンで使われている自転車、あるいはペダリングの仕組みですが、中には意外な用途に使う人もいます。運動や移動、運搬といった一般的な使い道以外に使われている例は、これまでにもいろいろ取り上げてきましたが、今回は最近見かけた中からいくつかピックアップしてみたいと思います。

Cyclo-phone, cyclophone.carbonmade.com

こちらは、“Cyclo-phone”と名づけられた『楽器』です。Marcelo Ertorteguyさんと、Sara Valenteさんという方の作ったこの装置、ペダルをこぐ速度によって、いろいろなリズムを奏でることが出来ます。アメリカ・ニューヨークでのイベントで街角に設置されました。

Cyclo-phone, cyclophone.carbonmade.comCyclo-phone, cyclophone.carbonmade.com



詳しい説明が書かれていなくても、これはペダルをこいでみたくなります。使われている材料は、身近なものばかりですが素朴な音色を出すこともあって、ちょっとした人気を博したようです。音を鳴らすだけですが、自転車を楽器にするという発想がユニークです。

Cyclo-phone, cyclophone.carbonmade.comCyclo-phone, cyclophone.carbonmade.com

自転車を音楽ではなく美術に使う人もいます。Joseph l Griffithsさんというアーティストが作ったこの機械、自転車をこぐことで、アートが制作できます。回転させたり、キャンバスを動かしたりしても、それぞれのマーカーは、キャンパスに引き寄せられるように工夫されています。

Joseph l Griffiths, josephlgriffiths.com

ペイントするマーカー部分は、それぞれ複雑な動きをするので、2つとして同じものは出来ないと言います。ハンドルバーと連動する部分もあります。キャンバスに向かってペダルをこぐリズムやハンドルの動かし方、その日の気分によって、出来上がる作品が違ってくるというわけです。

Joseph l Griffiths, josephlgriffiths.com

Joseph l Griffiths, josephlgriffiths.com

こちらは、Bharat Bargavaさんという方が考案した、街灯のついたベンチです。さらにペダルとそれをこぐ位置にはサドルとハンドルもついています。このベンチを利用する人が必要に応じてペダルをこぐことで、街灯が点灯し、明かりが得られるという装置です。

Energizing Neighborhoods, www.yankodesign.comEnergizing Neighborhoods, www.yankodesign.com

例えば、バス停に設置すれば、乗客はバスを待つ間にフィットネスしながら照明も得られるわけです。設置する市当局、あるいはバス会社は、電気代を負担する必要がありません。近くに電線が通っていない場所でも設置することが出来るというメリットもあります。

Energizing Neighborhoods, www.yankodesign.comEnergizing Neighborhoods, www.yankodesign.com

夜間、その場所でベンチを使う人がいる間だけ、必要に応じてペダルをこげばいいので、誰もいないベンチをライトが煌々と照らしているという無駄な光景がなくなります。省エネというだけでなく、実に理にかなった考え方です。おまけに、市民の健康にも貢献することになります。

Energizing Neighborhoods, www.yankodesign.comEnergizing Neighborhoods, www.yankodesign.com

ペダルによる自家発電式の街灯とベンチ、見た感じ、それほど意外性のある組み合わせではありませんが、夜通し点灯する必要のない照明、近くに電源がない場所など、使える場所は結構あるはずです。移設も自在です。公共設備の考え方に一石を投じるとまで言ったら言い過ぎでしょうか。

Energizing Neighborhoods, www.yankodesign.comEnergizing Neighborhoods, www.yankodesign.com

こちら、下の写真の機械、毛糸でセーターを編む機械ではありません。ペダルによる人力の編み機かと思えばそうではなく、その逆、セーターなどのウールの服をほどいて毛糸にする機械です。編み機ではなく、ほどき機ということになります。

The un-knitting machine, by Imogen Hedges, www.kingston.ac.uk

最近は、手編みで服を作る人も減っているのではないかと思います。ましてや、古くなって着なくなった服をほどいて毛糸に戻し、別のものを編むという人は、さらに少ないでしょう。今どきなら、古着屋やフリマなどで売るくらいでしょうが、昔は糸に戻して編みなおすということも行われていました。

The un-knitting machine, by Imogen Hedges, www.kingston.ac.uk

この反編み機、Imogen Hedgesさんというイギリス・キングストン大学の卒業生が考案しました。彼は、一部のチャリティーショップで、毛糸にして再利用するため、寄付されたウールの服をほどくのに多大な手間がかかっていることを知り、少しでも助けになればと制作しました。



手よりも足のほうが力が入りますし、疲れにくく持久力も違います。『機械化』したことで、毛糸をほどくスピードも上がります。手作業と違って糸が絡むこともなく効率的です。途中で糸をほぐすため、やかんの蒸気の上を通すなど、細かい工夫もなされています。

こうして見てくると、芸術から手芸まで、ペダルパワーは、思わぬところでも活躍しています。移動や運搬以外でも、人間の力を生かす効果的な方法です。ふだんの生活や仕事の中で、全く無縁なところにも自転車、ペダルの力が使えないか、考えてみるのも面白いかも知れません。





ただでさえ師走であわただしい時期に、長距離弾道ミサイル発射の恐れですか。不測の事態が起きないといいですが..。

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