フレームやコンポにはこだわるのに、タイヤには無頓着という人もいますが、ホイールも含め、タイヤを交換すると、走りが大きく変わる場合が少なくありません。ペダルによるパワーを推進力に変えるパーツであり、走行性能を左右する、きわめて重要な部品であることは間違いありません。
クルマのタイヤの場合、地面との設置面積はハガキ1枚ほどであり、ハガキ4枚分で全重量を支えていることになります。その例で言うと、自転車の場合、わずか切手2枚分に命を載せていることになります。走行性能だけでなく、安全性、信頼性の点でも重要な部品と言えるでしょう。
街でママチャリに乗っている人の中には、明らかにタイヤの空気圧が低いままの人が多く見られます。適正な空気圧にするだけでも、乗り心地は見違えるほど変わります。パンクする可能性も大きく減ることになるので、本当は、もっとタイヤに注意を払ったほうがいいと思います。
パーツを交換しなくても、適正な空気圧にするだけでペダルが軽くなり、自転車に対する印象まで大きく変わるのに残念なことです。重要なパーツなのに、ふだん意識しない人も多いタイヤですが、今回はタイヤ回りのアイディアについて取り上げてみたいと思います。
タイヤのトラブルと言えばパンクです。パンク修理用のパッチやタイヤレバーなど、あるいは予備のチューブを持っていたとしても、インフレーター、空気を入れるポンプがなくては修理できません。街中であれば、どこかで借りたり、イザとなれば駐輪して電車で帰ることも出来るでしょう。
しかし、これが山道とか郊外の人通りの少ない場所だったりすれば大変です。ただ、空気圧をしっかり管理していれば、パンクなんて、そう頻繁に起きるものではありません。携帯用の空気入れも荷物になりますから、なるべくなら持っていきたくないということもあるでしょう。
そこで
シートポストをインフレーターにしてしまったメーカーがあります。パンクを修理する際にはシートポストを抜いて空気を入れるわけです。走行の邪魔にもなりませんし、出かける時に持っていくのを忘れてしまうこともありません。これは、なかなか面白いアイディアです。
余計な重量を増やしたくないという人には向きません。でも、シートポストとインフレーターの形状は似ているわけで、双方のパイプ部分を兼ねられるなら、そのぶん重量を減らせることになります。重さや値段にもよりますが、ただのシートポストとの差が小さいなら普及する可能性もありそうです。
こちらは、普通のタイヤに装着することで、
雪道や凍結路での路面のグリップ力を高めるグッズです。タイヤを交換するのではなく、タイヤチェーンのように、普通のタイヤに装着することでスパイクタイヤにするというものです。これを装着すれば雪道や凍結路での走行が大幅に安定するでしょう。
雪が積もる地域では、その間、自転車に乗らないという人も多いと思います。自転車の普通のタイヤでは滑って危険です。もちろん、雪道用のスパイクタイヤなどもありますし、なかには雪道でも自転車に乗るという人もいますが、日本では、自転車で雪道を走行する人は多くないと思います。
これがデンマークあたりだと、冬の雪の降る中でも、多くの人が自転車を使います。通勤や通学に自転車を使う人の割合が高く、他の選択肢がない人が多いこともありますが、行政も最優先で自転車レーンの除雪をします。自転車が都市交通の中で大きな割合を占めている国ならではの光景と言えるでしょう。
日本では自転車レーンも僅かですし、自転車優先で除雪されることもありません。実際に走行出来る環境でない場所も多いと思います。もう一つ、自転車の大多数を占めるママチャリが、構造的にタイヤ交換しにくく出来ていることから、雪道用のスパイクタイヤに交換するのが困難というのも一因かも知れません。
このグッズを使えば、タイヤを外さずにスパイクタイヤと同等にすることが出来ます。これならば、タイヤ交換が一般的に非常に困難なママチャリでも、簡単に雪道仕様にすることが出来ます。もしこれが販売されれば、日本でも少しは雪道走行しようという人が増えるかもしれません。
適正に空気圧管理すれば、そうそう起きないとは言っても、やはりタイヤの一番の問題はパンクすることでしょう。今のような構造、素材である以上、パンクのリスクは常につきまといます。でも、こちらのタイヤだったら、パンクの心配は永久になくなります。
エアレスタイヤです。空気が入っていないのですから、パンクしようがありません。タイヤの中の層状になったゴムの反発力とテンションによって空気を入れたチューブにかわるクッションにしています。開発したメーカーによれば、パンクしないだけでなく、より安全で効率のよいタイヤだと言います。
クルマ用のタイヤの世界では、既に複数のメーカーがエアレスタイヤの開発を進めており、一部では供給もされているようです。まだ、この製品はプロトタイプであり、開発途上のようですが、自転車のタイヤにも、ついにエアレスタイヤが視野に入ってきたということでしょうか。
これまでにもパンクしないタイヤはありました。ただし、それらはゲル状の物質やウレタンなどの素材をチューブに充填するスタイルでした。どうしてもタイヤの重量が重くなりますし、必ずしも乗り心地がいいとは限りませんでした。災害備蓄用をはじめ、一部での採用にとどまっています。
動画で見る限り、タイヤを横滑りさせてもタイヤがよれることもなく、相応の強度を持っているようです。グリップ性能や耐久性なども求められますが、気になるのは重量です。現在のものより重くなるなら、走行性能的には致命的で、少なくともスポーツバイクには向かず、装着は進まないでしょう。
このタイヤ、重量や乗り心地、使い勝手などの点は、実際に乗ってみなければわかりません。価格や耐久性も含め、もしこれらの点で満足いくものであれば、パンクしないという大きなメリットがある以上、当然普及していく可能性があります。製品化が期待されるところです。
自転車が発明された当初、木や鉄のホイールに、せいぜいゴムがそのまま張られただけのものでした。空気を入れるタイヤが発明されて格段に乗り心地が向上しましたが、それ以来100年以上、この方式は基本的に変わっていません。もしエアレスタイヤが実用化されれば、自転車史上の大きな転換点になります。
最近の素材技術、加工技術の向上によって、実現の可能性があるレベルにまで来つつあるということなのでしょう。これが実用化され、普及していくならば、いよいよ人類はパンクというアクシデントから開放されることになります。これは楽しみです。
もしエアレスが実現すれば、いちいちタイヤの空気圧を気にする必要はなくなります。ポンプも不要です。タイヤの状態に無頓着な人でも、良好なコンディションで走行できることになります。タイヤの進化とは、よりタイヤを意識しなくて済む、よりタイヤに無頓着な人が増えることなのかも知れません。
この時期、走り出せば身体は温まりますが、汗ばんでから止まった時に身体が冷えるのに要注意ですね。風邪ひいて寝込んでられないですし..。
エアレスタイヤ 初めて知りました。自転車に乗り慣れている人間にしてみれば、パンクは虫さされみたいなもので、仕方ないものと思っていましたが、仕方ないとは考えられない人がいる。こういう人が世の中を進歩させるのだなあ。
自転車の空気、ペシャンコで乗ってる人居ますよね。大体は安いママチャリやシティサイクル。これがもう少しきちんとした値段のものなら、そこらへんの整備にも興味が沸くと思うのですが、所詮は1万円の使い捨てとしか見られていないことによる弊害でしょうね。
あと、デンマークでは冬でも普通に乗ってるのには驚きですね。北海道だと雪が積もって除雪が行われるのは車道のみで、路肩は一時的なその雪置き場になります。歩道は大きい歩道でないと除雪されないし、何より寒いので殆どの人は乗りません。河川敷の道路に至っては、除雪すら入らないので冬季はウォーキングの人ですら居ません。
個人的には雪道で乗るなら3輪タイプで転倒しづらいものが良いと思います。雪のせいで圧雪は良くとも2輪では話しになりません。