古今東西、自転車の新しい使い方を考える人は少なくありません。
移動や運搬など以外に、何か別の用途にも使えそうな気がするのでしょう。自転車はペダリングという形で、人間の筋肉の中で最も大きい足の筋肉を使い、効率よく力を生み出します。人間の力を使うには理想的なシステムですから、いろいろ応用出来るのは間違いありません。
エンジンやモーターと違って、化石燃料を使うわけではありませんし、排気ガスも出しません。もちろん出力や持続力では劣りますが、それらと比べて環境には負荷が小さくて済みます。電線をひいたり燃料を補給したりする必要もなく、コストも小さくなります。
自転車は優れた有酸素運動でもあるので、ペダルをこぐ人の健康増進にも貢献します。うまく使えば運動不足の解消や健康効果と一石二鳥の効果も見込めます。単なる移動や運搬の手段として以外にも、何か上手く使えないかと考えるのもわかります。
アメリカ・ニューヨークに住む、David Krawczyk さんと Navjot Kaur もそのような人たちです。彼らが考えたのは、ニューヨークの街角に自転車を設置し、無料で携帯電話やスマートフォンの充電に使ってもらうというプロジェクト、その名も、“
Charge Cycle”です。
自転車を使って、ケータイやスマホの充電をするというアイディアは、これまでにも多くの例があり、取り立てて珍しいものではありません。ただ、多くは個人の自転車に取り付けて使うものであり、公衆サービスとして行おうというのは新しい試みです。
最近のスマートフォンは、高機能になっているぶん、電池切れも早くなっています。出先でバッテリーがなくなり困ったという経験は誰にでもあるでしょう。そんな時、この“Charge Cycle”が設置してある場所に行けば、誰でも自分の「足」で充電できることになります。
自転車はニューヨーク市当局に認められた場所に設置されます。プロジェクトを推進するためのネット上での資金調達は、なかなか上手くいっていないようですが、すでに幾つかのプロトタイプが市内の数箇所に設置され、実験としてのプロジェクトは始まっています。
スマホの専用アプリを見れば、設置場所や使用方法がわかるようにする予定です。同時に充電の状況や充電にかかった時間、要したカロリー等を表示することも計画しています。用途もスタイルも今どきのサービス、コンセプトと言えるでしょう。
これが日本だと、ただでさえ放置自転車があふれているので、充電のために街角に自転車をとめさせることには異論も出そうです。下手に自転車をとめておくと、チェーンをしておいても盗まれかねないニューヨークでは、街角に自転車をとめる人も多くありませんので、そのあたりの事情は違います。
運動するため、わざわざトレーニングジムへ行って、エアロバイクをこぐことを思えば、充電と運動が同時に出来るというのは一石二鳥です。しかも無料ときています。肥満が深刻な社会問題となっているアメリカならではの部分もありそうです。
もちろん、電池切れに備えて、モバイルバッテリーなどを持ち歩く人もあると思います。その方が便利ですが、荷物を少なくするために、“Charge Cycle”を利用する手もあるでしょう。わざと予備のバッテリーを持たず、電池切れをきっかけにして、運動する習慣にするのもいいかも知れません。
ちなみに、アメリカ北東部を襲ったハリケーン・サンディが、ニューヨークなど東海岸の都市に甚大な被害を与えたのは記憶に新しいところです。一部の地域では停電が長引き、連絡や情報の取得に苦労した人も多く、この“Charge Cycle”ではありませんが、実際に自転車を使って充電する人もあったようです。
現代社会は、電気エネルギーに大きく依存しており、ひとたび停電してしまうと情報まで途絶してしまう可能性があります。メールにしろ、ツイッターにしろ、電源がなければ使えません。電源の要らない充電手段として、災害に対する備えとしても注目されます。
こちらは、
ペダルの力を洗濯に使おうというものです。これもよくあるアイディアですが、ユニークなのは専用の機械として、例えばトレーニングジムのエアロバイクの代わりに使うようなスタイルを提案しているところです。エアロバイクで消費するエネルギーを有効に活用できます。
確かに、多くの場合、人々がフィットネスで汗を流す時のエネルギーは、熱エネルギーなどとして失われるだけで全く役に立っていません。考えてみれば勿体ない話で、これを有効に使えればと、考えたことのある人は多いのではないでしょうか。
ペダルで発電して、その電力で洗濯機を動かすのは困難ですが、洗濯ドラムを直接回すだけならば、難しいことではありません。全自動というわけにはいかないにしても、いったん電力にするのではなく、ペダルを洗濯ドラムと直接つなげは、人力でも充分に洗濯機が回せるはずです。
逆に考えると、人力でもまかなえるような洗濯機に対し、ふだん私たちは、人力では発電できないような電力、相当大きなエネルギーを使っていることになります。フィットネスで消費するエネルギーの無駄にしないだけでなく、そもそもペダルでやれば少ないエネルギーで済むことになります。
特定の用途に直接ペダルパワーを使うほうが効率的ですが、いろいろ汎用性があったほうが便利なこともあります。その意味から、ふだんは自転車として使い、イザという時には発電機になればというのも、多くの人が考えそうなアイディアです。“
INO Bike”も基本的には同じ考え方に立っています。
違うのは、発電用途で使う時には、フレームが縮んで省スペースになる点です。これによって、室内保管も容易になるというメリットもあります。もちろん、必要に応じて出先で発電モードにして充電し、ケータイやスマホのチャージに使うことも出来ます。充電器を持ち歩くのではなく、充電器を乗り回すわけです。
未来的なデザインですが、フレームを縮めたり、前輪をたたむ仕組みは、ちょっと現実的ではありません。発電時のスタイルも、重心が前になりすぎて無理だと思います。ふだん自転車に乗らない人による机上のデザインであり、このまま実現するのは無理があるでしょう。
ただ、折りたたむことの出来る自転車として、たたんだ時には発電機になるというコンセプトは悪くありません。先ほどのハリケーン・サンディの例ではありませんが、災害時の発電手段として人力を使う場合、一番大きく、持続力のある足の力が使えれば助かります。
日本では先週、マグニチュード7.4の地震が発生して、東日本大震災以来の津波警報が出されました。結果として大きな被害は出なかったものの、沿岸の道路が大渋滞し、津波からの避難にクルマは使わないという震災の教訓が全く生かされなかったことが明らかになり、関係者の間に衝撃が走りました。
燃料が不足した経験から、いち早く給油に向かう人もいて、スタンドに長い列が出来たところもあったようです。クルマがあれば暖がとれる、何百万もするクルマを水に浸からせたくない、などの声も聞かれたといいます。多くは震災を経験した人たちの行動ですから、一概に責めるわけにもいかないでしょう。
しかし、もし今回も大きな津波が来ていれば、また多くの犠牲者が出ていたはずです。クルマを残したいのはわかりますが、死んだら元も子もありません。やはり大渋滞をひきおこすクルマでの避難はやめるべきでしょう。ただ今回は、東日本大震災と比べて揺れが小さかったので、津波の規模も小さいと考えた人が多かったようです。
その判断が当たった形ですが、近い将来発生することが心配されているアウターライズ地震は、海溝の外側が震源なので、揺れは小さくても、津波は予想外に大きくなる可能性があると言われています。再び大きな人的被害を出さないために、避難方法の徹底は喫緊の課題と言えるでしょう。
自治体も、クルマでしか避難できない一部の人を除いて、徒歩や自転車での避難を呼びかけています。なかなか難しい問題ですが、渋滞して身動きがとれないクルマではなく、また徒歩より速く移動できる手段として、自転車での避難をもっと考えてもいいと思います。
暖をとったり、プライベートを確保することは出来ませんが、被災後の瓦礫で寸断された道路での移動には役立ちました。さらに発電機能を搭載しておけば、情報の収集や連絡手段の充電にも使えることでしょう。自転車が避難時に役立つとなれば、自転車で避難しようという人も増えるかもしれません。
トイレのタンクのポンプも停電で動かなくなり、水が流せないのも非常に困ることの一つだと言いますが、被災時にはペダルによる動力で動かすようなことも考えられています。災害のような時こそ、人力を生かす自転車が役立ちますから、イザという時の自転車の使い方を増やしておくのは有効かも知れません。
インフルエンザにノロウィルス、風邪に飲みすぎ..いろいろ注意が必要ですね。
こんちは。電力について私たちは恩恵を受ける代わりに将来の世代に大きなツケを既に残しておりますがツケを残さない発電方法として自転車はありです。既にダイナモランプはほとんどの自転車付いてますし。ダイナモランプに取り付けるスマホ充電コード 有ったら即買いだ
津波警報:宮城・石巻で大渋滞 「車ないと困る」から車で避難 http://mainichi.jp/select/news/20121220mog00m040002000c.html
クルマが無くなるのは不便。
でもあの世までクルマは持って行けないのに…