今年もいろいろなことがありました。毎年この時期になると、テレビや新聞などで、この1年を振りかえったり、10大ニュースなど各種の特集が組まれます。それらに倣って、今回は自転車に関する出来事に関して、この1年を振りかえってみたいと思います。
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今年1月早々、東京都は相変わらず「自転車は歩道」という方針であることが報道されました。昨年10月に警察庁が打ち出した、自転車の車道走行の原則を徹底する通達に対し、真っ向から対立する姿勢です。これについて取り上げた記事には賛否両論、いろいろなコメントが寄せられました。
まちがいを認めて改めるべき
2月には、警視庁が自転車ナビマークの設置を始めたという話題もありました。これは道幅が狭く、自転車レーンを設置できない道路に、自転車マークをペイントするものです。クルマのドライバーに対して自転車が走行することへの注意を喚起し、道路の共有を促す狙いもあります。
レーンが無理ならマークする
昨年10月の警察庁が打ち出した車道走行の原則の徹底については、法律の専門家も高く評価しています。都市交通や、真に必要な道路を問う提言を行ってきた第二東京弁護士会が、その警察庁の通達の内容についての意見書を提出しています。
理解が広がらないと進まない
国土交通省と警察庁の有識者委員会が、クルマより前方で信号待ちができる専用の停止線、自転車用信号の設置、自転車が車道を直進しやすい交差点の改良などの提言を発表しました。また、自転車走行空間として自転車レーンなどを車道に整備する一方で、これまでの自歩道を整備対象から外すとしています。
自転車に乗りやすくする努力
今年は、なんと言ってもロンドンオリンピックの話題は外せないでしょう。競技も白熱しましたが、自転車ブログとしては、開催地ロンドンの自転車インフラ、自転車環境の向上策に注目しました。オリンピックの開幕前に、そのことを書いた記事には多くの反響がありました。
オリンピックを機会に改革を
東京都が、自転車にクルマのようなナンバーの装着を検討していることが話題になりました。自転車に乗らない人や、そのマナーの悪さを感じている人など賛成する意見も多かったようですが、よく考えると意味がないばかりか、問題が多いことがわかります。
自転車にもナンバーが必要か
プレートの裏に隠された思惑
全国では、その7割を超える自治体が、自転車レーンについて検討する考えすらないことが、国土交通省の調査で明らかになりました。その理由は、いろいろあるようですが、自転車やその走行空間についての誤解や理解の不足が背景に隠れているような気がします。
検討する必要性すらないのか
つい先日も、警察庁の有識者会議が、悪質な違反者への講習と、成人や高齢者も含めた幅広い層に対する安全教育の拡大が必要との
提言をまとめたことが報じられました。この問題は10月にも話題になりましたが、私は講習よりも前に必要なことがあると思います。
安全講習より前に必要なこと
冒頭にも挙げた東京都の自転車は歩道という姿勢ですが、その方針を変更しつつあるとも読めるニュースもありました。自転車レーンや自転車道を設けた都道を増やすことを軸とした「自転車走行空間整備推進計画」の公表です。見方は分かれますが、いずれにせよ、まだ注意深く見守る必要がありそうです。
自転車は徒歩の延長ではない
各地で自転車シェアリングをうたってレンタル開始というニュースが目立ちました。その多くは社会実験と称していますが、実験の意図には疑問があります。そうした実験が想定する自転車シェアシステムは、本来のものとは似て非なるものである可能性があります。
実験すればいいとは限らない
11月には、国土交通省と警察庁が、走行路や交差点の改良、ルールの徹底などに関するガイドラインを公表しました。自転車の走行環境の向上に向けた一歩として評価できると思いますが、対象となる自治体の7割以上が、実際に整備の検討すら考えていないのが問題だと思います。
ガイドラインの次の手が必要
放置自転車対策について、大阪など一部で変化が見られます。放置自転車の問題は、いくら撤去しても「いたちごっこ」です。その抜本的な解決には、駐輪場を設置するしかないことは明らかです。今後、歩道上に駐輪場が設置されていく可能性があります。
いたちごっこを断ち切る対策
どこでも整然と駐輪する習慣
排除ではなく美しく効率的に (2月にも関連の話題を取り上げました。)
実は先日、遅ればせながらSNSの投稿ボタンをつけてみました。はてなブックマーク、フェイスブック、ツイッターですが、その投稿数やコメント、記事へのアクセス数などを見てみると、今年の出来事やニュース以外にも、関心の高さがうかがわれた話題があります。
注目された記事、反響が大きかった記事の中から、おそらく世界最高齢のサイクリスト、サイクリストにお礼する婦人、未来の自転車ウェア、自転車に共感するタグなど、特に関心が高かったと思われるもの、反響が大きかったものをいくつかピックアップしておこうと思います。
高齢化社会に向けたインフラ
自転車乗りへの感謝のしるし
自転車ウェアが未来を照らす
自転車にすればきれいになる
自転車を盗まれたら取り返す
自転車の役割が拡大していく
街の中の自転車空間を考える
必要なら自分達でつくる時代
街で見かける自転車への共感
今年を振り返ると、走行や駐輪などのインフラ、自転車環境の整備に向け、少しずつではありますが変わりつつあることが感じられた気がします。相変わらずの歩道走行にこだわったり、ナンバープレートなど、逆行や疑問を感じる出来事もありましたが、警察庁や国交省の方向性は一貫していたように思います。
ガイドラインや提言が出されたりという段階で、まだまだ具体的な実現には遠いですが、少し前までは、自転車の活用や環境整備のことなど、話題にすら上らなかったことを思えば、確実に変化していると言えるでしょう。来年以降、こうした動きが拡大していくのか、注目したいと思います。
年内の更新は、これで最後にします。今年も読んでいただき、ありがとうございました。コメント、SNSなどでの紹介、ランキングのクリックなど、多くの方に応援していただいたことに感謝いたします。
皆様、よいお年をお迎えください。
Posted by cycleroad at 23:30│
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