年頭に当たり、今年の目標を立てた人もあると思います。
生活上のこと、仕事や勉強のことなど、目標もいろいろだと思います。中には、自転車に関しての目標を立てた人もあることでしょう。各種大会への出場とか、記録の更新、走行距離、身体能力の向上など、今年は昨年以上を目指して、具体的な数値目標を設定した人もあるのではないでしょうか。
年齢や経験、身体能力が違いますので、目標も人それぞれだと思いますが、5時間以内での100キロ走破を目標にして練習してきた結果、すごい記録を出してしまった人がいます。フランスの Robert Marchand さんが昨年出した記録は、100キロを4時間17分27秒で走破というものです。
すごい理由は、その年齢です。彼はなんと100歳で、このスピードを記録しました。これは100歳での世界最高記録です。これまで農業や靴のセールスマン、ワイン販売などをしてきた普通の人で、特別な生活をしてきたわけではありませんが、専門家によれば、55歳並みの能力を保っているそうです。
14歳で自転車に乗り始めましたが、その後戦争があったり、海外での生活などを経て、本格的にサイクリングを始めたのは、彼が67歳になってから、自転車もその時初めて買ったと言います。100歳でこのスピードとは驚きますが、本人は、いたって普通の人間だと笑います。
今も自分よりはるかに若い仲間と、ロードバイクに乗って軽快に走行しています。 Marchand さんは一人暮らしですが、自分で食事を作ったり、掃除をしたり、クルマを運転して出かけるなど、全く人の世話にはなっていません。現在は101歳の現役サイクリストです。
今回は4時間余りで100キロ、時速23・3キロ余りですが、1時間の走行では24・251キロという記録も持っています。誰か世界の100歳以上の人に挑戦してもらって記録を破って欲しい、そうしたら私が更に記録を破り返すと公言しています。この意欲も長生きの秘訣かも知れません。
世界最高峰のレース、ツール・ド・フランスの行われるフランスでは、サッカーと二分するほど、スポーツとして自転車ロードレースの人気があります。100歳の世界記録保持者、 Marchand さんは、そのフランスでは有名で、国民的な人気を集める存在だそうです。
以前にもアメリカの104歳の現役サイクリストを取り上げたことがありますが、近所のあちこちに、100歳を超えても自転車で出かけるという人でした。それだけでもすごいことですが、 Marchand さんは、さらにスピード的にも凄い101歳と言えるでしょう。
日本では昨年末、京都府京丹後市に住む木村次郎右衛門さん、おん年115歳が話題になりました。12月17日に現在の世界最高齢になった方です。同28日には115歳と253日となり、男性の史上最長寿の記録を更新しました。記録上、世界で史上最も長生きの男性ということですから、おめでたいと共にすごい記録です。
木村さんを筆頭に、日本人の100歳以上の高齢者は5万人を超えました。20年前には5千人にも満たなかったことを思えば、急激な増加です。ふだん、少子高齢化と日本の問題点のように言われることが多いわけですが、国民一人ひとりにとって、長寿は喜ばしい話です。
日本は平均寿命から言っても世界有数の長寿国です。長生きする人が増えていることは、まことにおめでたいことですが、どうせならば健康に長く生きたいものです。単に医療の進歩による延命ではなく、介護を必要とせず、自立して生活ができる期間、すなわち健康寿命を伸ばしたいとは誰もが考えるところでしょう。
そのためのポイントは、やはり運動ということになるようです。厚労省も適度な運動と適切な食生活の二つが重要と、その理解向上に努めています。言うまでもなく、自転車は優れた有酸素運動ですし、インナーマッスルが鍛えられることで、転倒防止や寝たきり防止が見込まれ、認知症防止などの効果も指摘されています。
最近は、日本でも自転車に乗る高齢者が増えています。しかし、それは同時に事故の増加とか、高齢者の走行は危険といった文脈で語られることが多いのが現状でしょう。周囲の人間も交通事故を心配して、自転車に乗るのを控えるよう勧める傾向があるのではないかと思います。
実際問題として、決して安全とは言えない日本の自転車環境があるわけですから、仕方がありません。しかし、自転車に乗っていたからこそ、高齢でも自転車に乗れるくらい元気だったのかも知れませんし、乗り続けたら、さらに健康のまま長生き出来るかも知れないと思えば、残念なことではあります。
日本でも、100歳になっても安心して自転車に乗れるような環境が整備されることを願いたいものです。運転免許を返上してクルマの運転をやめても、自転車があれば遠くへも行けます。最近言われる、高齢者が買い物難民なるのを防ぎ、自立した生活を続ける上で、社会的にも望まれる環境だと思います。
同時に、サイクリストとしては、高齢になっても自転車に乗れるくらいの身体能力を維持していきたいものです。今年の目標とは別に、年齢を重ねても運動能力を維持し、長く乗り続けるために必要なことを長期的な目標として考えてみるのもいいかも知れません。
正月休みの食べすぎ、飲みすぎを、そろそろ戻していかなくてはなりませんね。
Posted by cycleroad at 23:30│
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