街中で当たり前のように見かけますし、ふだんの生活の中でも見慣れた存在です。テレビのニュースやドラマの中にも出てきますし、何かの場面の背景に自転車があっても特に違和感を感じることは少ないでしょう。もちろん、それは日本限らず世界中の多くの国でも同じだと思います。
ただ、中には意外な取り合わせというのもあります。それぞれは珍しくなくても、組み合わせることで、ちょっと意外な印象を与えるケースもあるでしょう。今回は、自転車との組み合わせが意外に見える取り合わせの例を、いくつか取り上げてみたいと思います。
まず最初は、すでに多くのサイトで取り上げられているのでご存知の方も多いと思いますが、着物と自転車という組み合わせです。女性が着物姿で乗れる自転車「KOTO LX 20」が今月1日、京都府自転車軽自動車組合から発売されたというニュース、サンケイスポーツの自転車ニュースサイトが伝えています。
超低床設計と特製サドルで実現
着物で乗れる自転車「KOTO LX 20」登場 京都発・工夫とこだわりを重ねた開発秘話
着物姿で気軽に移動したい人たちのニーズに応える自転車「KOTO LX 20」が4月1日、京都府自転車軽自動車組合から発売された。最大の特徴は、足首まで裾のある着物でも、楽に乗り降りできる“超低床”のフレーム設計。着物で日常を過ごす人の多い京都ならではの発想だ。見た目は普通のママチャリに近いが、実は開発にかなりの時間と労力、手間がかかったのだという。(後略 2013/04/13 サンスポ)
京都でも自転車はたくさん見るわけですが、なかなか着物姿で乗っている人は見ないでしょう。今までにない取り合わせです。この自転車、トップチューブを省き、低床設計のフレームにしたことなどにより、着物でも乗れるものに仕上がっています。いろいろな部分に工夫を重ねて開発されたようです。
着物でも乗れるのであれば、当然スカートでも乗れるでしょうし、高齢者にも乗りやすいと好評だと言います。乗る衣装に合わせて形を特化した自転車という点でユニークです。ただ、このようなコンセプトは決して新しいものではなく、似たようなフレームの自転車は、過去にも多数存在しています。
大手メーカーが、やはり女性を意識してデザインした自転車として2005年頃にも発売されています。他でも似た形のフレームは少なくなくありません。さらに言うならば、女性の服装を意識した自転車と言うのは、自転車の誕生にまでさかのぼります。
自転車の祖先として有名なドライジーネ(左下)です。1817年に初めて誕生した自転車ということになっています。その当時は、足で蹴ってすすむだけの乗り物でした。この自転車の先祖ドライジーネ、実はその頃すでに女性用のドライジーネがあったと言います。
右上が女性用のドライジーネです。低いフレームがよく似ています。その当時のヨーロッパの女性は裾が大きく広がったロングスカートをはいていたので、こういう形になったと言われています。女性の衣装を意識して自転車の形をデザインするというのは、古今東西、似たような形に行きつくというのが面白いところです。
衣装、ファッションということで言えば、こちらもちょっと意外な気がする取り合わせではないでしょうか。この動画で、カジュアルな感じの衣装に身を包み、大勢の観客の中を自転車に乗ったり、押したりしながら通るのはファッションモデルです。いわゆるファッションショーの一場面です。
一般的にファッションショーでは、キャットウォークとかランウェイと呼ばれる観客席に挟まれた細長い舞台を、モデルが歩くのが定番ですが、ここでは自転車に乗っています。自転車に乗れるようなカジュアルで人気のある服のファッションショーというわけです。
考えてみれば、カリフォルニアのロングビーチに限らず、自転車に乗る人は多いわけですから、ファッションショーに小道具として自転車が使われてもおかしくありません。自転車に乗りやすいファッションということなら、自転車を使ってアピールするのも当然です。
これまでにない形として新鮮に見えます。ファッションショーに詳しくないので、もしかしたらあったのかも知れませんが、少なくとも私は聞いたことがないスタイルです。身近なのに意外な盲点とするならば、この方法を思いついた人は、なかなかのアイディアマンと言えるでしょう。
ファッションショーの小道具に使われるならば、芝居の小道具にだって使われてもいいはずです。“
ダンスの舞台”ですが、いろいろ変わった自転車が出てきます。ベンチの形とか、テーブルで向き合う形とか、傘がついたものとか、出てくる自転車そのものも独特です。
テーマからして当然なのかもしれませんが、ダンスと自転車というのも、ちょっと意外な取り合わせです。自転車に乗るとダンスにならない気がしますが、うまくダンスと組み合わされています。形が独特なのもあると思いますが、変わった雰囲気を醸し出すのにも貢献しているのでしょう。
最後にもう一つ。こちらはハンガリーの首都ブダペストを流れるドナウ川の中に立つ、大きな動く彫像です。よく見ると川の流れでタイヤが回り、それにつられて足も動いています。ペダルをこいで川をさかのぼっているように見えなくもありません。
川と自転車というのも意外な取り合わせです。河川敷のサイクリングロードならわかりますが、川の中です。しかも大きな動く彫像、よく見るとなかなかインパクトのある動画です。誰が、何のために設置したのか、どんな意味があるのか、興味がわきます。
調べてみると、どうやらこれはトリック映像のようです。いかにもありそうな光景に仕上げられていますが、加工編集した動画と見られます。それにしても上手くできています。ブダペストのサイクリング・ライフスタイルをアピールする意図で作られたようですが、なかなか面白いアイディアです。
地元ブダペストのクリティカルマスの参加者などには支持されていて、実際に製造することが出来るのではないかとの声も上がったと言います。多くのサイクリストが、このプロジェクトに乗り気になったようですが、その後4年経って、どうなったのかは定かではありません。
自転車は、どこでも見かけ、ありふれていて、身近な存在です。でも、ちょっと場面が変わるとなかなか意外な組み合わせというのも、まだまだありそうです。どこに自転車、何と自転車だと意外性があるか、ユニークか、そんな視点で考えてみるのも面白いかもしれません。
土日は、ちょっと遠出してきました。いい陽気になってきましたね。