産経新聞の記事から引用します。
【アベノ消費】高性能自転車 健康志向も後押し
休日でにぎわう東京・丸の内のブランド街。その一角にあるイタリアの老舗自転車メーカー「Bianchi(ビアンキ)」の専門店では、カフェのような店構えに白やグリーンのカラフルな高級自転車が、通りかかる買い物客の目を引きつける。
店内にはウエアや整備パーツ、バッグもある。自転車はスポーツタイプ中心で、値札をみると4万円台から113万円までさまざまだ。スタッフの斎藤太志郎さんは「最近は15万円以上のロードバイクが売れ、購入単価も2万〜3万円上がった」と話す。


東日本大震災後、消費者の健康志向もあり、高性能自転車が人気になった。自転車産業振興協会によると、2月の販売台数は一般的な「シティ車」の前年比3・6%減に比べ、多機能の「スポーツ車」は8・3%増だった。「性能に納得すれば出費をためらわない人が増えた」(斎藤さん)という。
男性会社員(34)は、愛妻用にカゴ付きで5万円超の街乗りタイプ「プリマベーラL」を購入。「昨年までなら買わなかったけど、今年は『いい夫』です」。アベノ消費件は、夫婦仲も上向かせる。(2013.5.9 産経新聞)
安倍政権以前からの傾向ですので、アベノミクスと関連付けるのは無理矢理感がありますが、スポーツバイクなどが売れていることで単価が上がっているのは間違いないようです。新たに自転車ショップをオープンさせたり、チェーン店として展開するといった自転車販売の面でも動きが出ています。
震災後の経験などもあいまって、職場まで直接通う自転車通勤が注目され、自転車に乗ることを考えて作られたスーツだとか、通勤に便利なグッズなど、商品開発も一部で盛んなようです。電動アシスト自転車も好調に推移していますし、格安ママチャリ一辺倒ではなくなってきています。
自転車の活用が広がることで、駐輪機とか駐輪場ビジネスも成長が見込まれています。観光地では自転車客を呼び込もうとPRを行ったり、サイクリングのインフラを整備するなどの動きもあります。各方面で自転車のビジネス面への広がりに関心が高まっているようです。
海外でも自転車の利用がトレンドとなっている国や都市は少なくありません。自転車を活用する市民の増加をビジネスチャンスにしようという話は、いろいろあります。最近見かけた中から、そのヒントにつながるのではないかと思った例をいくつか取り上げてみたいと思います。
こちらは、スイスのチューリッヒに登場した自転車に乗ったままコーヒーが飲める、スタンドカフェです。サドルにまたがったままテーブルにつけるようになっています。このスタイルのデスクは、過去にも取り上げましたが、それを実際のカフェに導入するところが出てきたわけです。
コーヒーを飲んだり、朝食をとる間くらい、ゆっくり普通の椅子に座ればいいではないかという気もします。もちろん、自転車を降りて普通に座ってもいいわけですが、いちいち駐輪したりせずに、サッとコーヒーを買って飲めるぶん、時間の短縮になります。

クルマのドライブスルーに近い感覚でしょうか。ただ、クルマと違って走りながら飲むというわけにもいきません。このようなスタンドが設置されていれば、コーヒーや軽食などを買って、乗ったまま飲食を済ませ、すぐに出発できます。時間が無いときなどにも、利用しやすいシステムかも知れません。
ちょっと店に入った隙に盗難に遭うというのは、ままあることですが、これなら駐輪して、わざわざ施錠する必要が無く、盗難に遭う心配もありません。店も駐輪場を設置するスペースの節約につながるかも知れません。市民に広く受け入れられるかは未知数ですが、なかなか面白い試みではないでしょぅか。
こちらは、見てのとおり、フレームの三角形の隙間にはまるように出来た収納ボックスです。フレームの内側にボトルケージを取り付けて飲料を携行する人も多いと思いますが、どうせならフレームの内側空間全部を活用してしまうというアイディアです。
荷台にお弁当を積んでピクニックに出かけたり、サイクリングの途中休憩に、写真のように箱のフタを小さなテーブル代わりにしてコーヒーブレイクというのもいいかも知れません。このフタ部分の使い方もちょっとしたアイディアで、使ってみたくなる工夫です。
おそらく手作りの作品だと思います。定番の自転車グッズというわけではなく、スポーツバイクに合うようなアクセサリーでもありません。見かけたら、思わず和みそうな感じはありますが、あまり実用的には見えないというのが一般的な感想かもしれません。
私も是非ふだんから取り付けておきたいと思うアイテムではありませんが、これを装着してピクニックに出かけてみたいと思ってしまう人もあるでしょう。ちょっと新しい自転車利用シーンを提案するようなグッズという意味でも面白いのではないでしょうか。
コーヒー好きな人なら、豆を挽くところから道具をセットしていってもいいでしょう。屋外でお湯を沸かして飲み物を入れたり、簡単な調理をするアウトドア派の方もあると思いますが、自分のこだわりの道具をボックスに詰めて出かけるという楽しみもあると思います。
もちろん、常に装着しておく必要はないわけですから、気が向いたときに、あらかじめセットした箱を取り付けて出かけられます。中身を変えた複数のボックスを用意しておき、気分によって、あるいは必要に応じて、いろいろ違う用途の道具を運んで使うことも考えられるでしょう。
どこの自転車ショップにも売っているような自転車用品以外にも、新しい自転車の使い方、生活やレジャーの中でのアイディアを提案するような商品というのは、もっとあってもいいと思います。もちろん万人受けするものではありませんが、意外にミスマッチなものが人気を博したりすることもありそうです。
こちらは、
イタリアのデザイナーによる電動アシスト自転車です。レトロなイメージのデザインに、レザーを使った質感が独特の雰囲気を醸し出しています。パーティーに出かけるような時にも乗っていけそうなオシャレな感じで、さすがイタリアのデザインと思わせます。
大人の男性が乗る、非スポーツバイクの選択肢になりそうです。日本だと、大人の男性はスポーツバイク以外だと、実用車かママチャリになる場合が多いと思います。自転車には、いろいろな種類、スタイルがありますが、従来の分類にはあまり無いカテゴリーに位置づけられるような自転車と言えるかもしれません。

ママチャリでもスポーツバイクでもない、大人の男性がオシャレに乗れる自転車、そしてイタリアのデザイン、なかなか面白い狙いと言えそうです。日本では、特にママチャリが圧倒的多数を占めていますが、ほかにもターゲットとして見逃されている客層があるのではないでしょうか。

新たに自転車客を呼び寄せたり、利便性を提供するようなカフェの工夫、自転車でのこだわりの楽しみ方を提案するような自転車グッズ、そして今まで手薄だった客層をターゲットにするような新しいカテゴリーの自転車、3つの例を取り上げてみました。自転車ビジネスのアイディアは、まだまだ埋もれていそうです。
ここ数日、巨大な太陽フレアが発生していたようです。今後2週間ほど注意とのことですが、GPSなどに障害が出ると厄介ですね。