都道府県ごとに、独自の自転車行政が行われています。
「自転車は左」標示導入へ
市は4月18日、2012年11月から2013年1月まで行った「ちがさき法定外路面標示有効活用社会実験」の結果を発表した。これは自転車走行環境整備のための社会実験として実施されたもの。法定レーンが設置できない路線に自転車の走行空間を確保し、左側走行を促す路面標示で示して有効性を検証した。
区間は左富士通り(浜見平交番前交差点から南側。鉄砲道の一部〔浜見平交差点付近〕を含む)で、路面標示を6パターンのデザインで計27カ所に設置。ビデオ観測調査を3回、アンケート調査を自転車での通行者、沿線在住者、県立茅ケ崎西浜高等学校に行い1185票の有効回答を得た。
アンケート結果では、矢印と文字と図記号(自転車横向き)のタイプ=写真=の評価が高く、標準デザインとすることになった。寸法や色は実際に導入に向けて検討し、今年度中に順次市内に設置していく予定。
また、同実験の路面標示の設置について「必要である」と回答者の7割以上が答えた。ビデオ観測調査では自転車利用者の左側通行の遵守率を調査。設置前が61・8%、設置後は72・3%へと変化が見られたという。また同時に、市職員が路上でプラカードを持っての呼びかけや、高校での下校指導を強化するなどの広報活動を行った場合は84・7%に上昇。この結果を受け市都市政策課は「遵守率の向上には、標示だけでなく広報活動を合わせて行う必要がある」と結論付けた。
同課は「道路改修のタイミングや市の予算状況を踏まえながら、市内各所への設置を進めていきます。今後も自転車の安全な左側通行を呼びかけ、交通事故を減らしていきたい」と話した。(2013年4月26日 タウンニュース)
自転車は左側 促す県条例
路側帯や歩道を通行する場合にも、車道の左側を通るよう自転車に乗る人に促す条例を、県が7月1日に施行する。すれ違いや車との対面を避け、事故を減らすのが目的だ。県は今年度、県内各地で開く自転車の安全講習会などで条例を説明し、受講者に模範運転者を示す「グッドマナーサイクリスト証」(ブルーカード)を配る。
施行されるのは、罰則のない自転車の安全な利用の促進に関する条例で、努力義務を定める。条例では「自転車利用者の責務」として、損害賠償保険の加入やヘルメット着用に努めることを求め、路側帯を通行する場合でも、車道左側の通行を促す。
自転車の安全利用に関しては、京都府や埼玉県も条例を定めるが、自動車のドライバーに、側方を通る自転車と安全な間隔を取るよう促したのも、愛媛条例の特徴だ。歩行者が頻繁に通る歩道では、自転車を押して歩くよう求めている。
自転車は左側通行が原則だが、歩道のない道路を線で区切った路側帯ではこれまで、自転車の双方向通行が可能で、接触の危険があった。国会で審議中の道路交通法改正案では、路側帯での事実上の一方通行が定められるが、県は「法との矛盾はなく、改正後に条例の文言を検討する」とする。
県によると、県内で自転車が関係する事故は、2002年の約1800件から10年間で約1400件まで減少した。ただ、交通事故全体に占める割合は約2割で推移し、自転車同士の事故は4倍、対歩行者の事故が8倍に増えた。中には保険未加入の自転車側に、高額な損害賠償が求められる事故も発生しているという。
県は「乗車マナーが悪くては、県の提唱する自転車による地域振興はおぼつかない」として、国土交通省などとともに一方通行化の実証実験を重ねつつ、理念条例の制定を準備してきた。
今秋にはしまなみ海道を舞台にサイクリングのプレ国際大会も計画され、県消防防災安全課の担当者は「自転車文化の振興に、マナー向上は欠かせない。罰則がなくても、安全への意識づけになる。道路を自転車、歩行者で分け合う『シェア・ザ・ロード』の考えを根付かせたい」と話す。
条例施行を前に、県は29日に自転車通勤の職員を対象に研修会を開く予定で、道交法や条例の意義を担当者が解説し、反射材を使ったブルーカードを受講者に配る。カードは今後、県や県警が開く自転車教室などの受講者にも配られるという。
自転車政策を提言するNPO法人「自転車活用推進研究会」の小林成基理事長は「路面に通行方法をわかりやすく記し、現場に立って教えることが大切。県は条例を定めて終わりではなく、率先して条例に実効性を持たせるべきだ」と話している。(2013年5月26日 読売新聞)
自転車道整備など47項目 愛媛県、国への要望発表
平成26年度の概算要求に向け、愛媛県は23日、47項目にわたる重要施策提案・要望を発表した。最重点項目として、伊方原発の安全対策強化や、愛媛県全域で自転車道の整備を行う「愛媛マルゴト自転車道」の推進などを盛り込んだ。
47項目のうち、新規項目、一部新規項目はともに7項目。25の最重点項目については、中村時広知事が今月中にも関係省庁に直接要望する。
最重点項目の認知症対策の推進では、少子高齢化が進む中、認知症疾患医療センターの指定拡充などを要望。「愛媛マルゴト自転車道」の推進では、しまなみ海道を中心として県全域で計26のサイクリングコースを整備するための事業費確保を盛り込んだ。(後略 2013.5.24 産経新聞)
中京区の自転車通行帯、走りにくい
自転車と歩行者との接触事故を防ぐ目的で、京都市が烏丸通の丸太町−御池間(京都市中京区)に設けた自転車通行帯が、うまく機能していない。昼間を中心に自動車の駐停車が相次ぐため、自転車が車道に大きくはみ出したり、歩道を走らざるを得ない状態が続いている。
市は3月15日、烏丸通の両側で、約700メートルにわたって車道の端約2・5メートルを赤茶色にカラー化して自転車通行帯にした。総費用は約1900万円。
市によると、この自転車通行帯は自転車専用レーンではないため、停車やオートバイの走行は認められている。通行帯の横の歩道は今まで通り自転車の通行が可能だ。
記者が23日夕に確認したところ、烏丸通の丸太町−御池間の両側に計18台の車がとまっていた。13日昼は計19台あった。烏丸通で禁止されている駐車のほか、タクシー客の乗降や営業車の荷さばきだった。
自転車利用者は車両を避けるため、大きく車道側に出ざるを得ない。危険を避けて、歩道を走行する自転車が目立つ。通行帯を自転車で走っていた輸入販売業中嶋一平さん(27)=上京区=は「歩行者の邪魔になりたくないので通行帯を走っているが、車が行く手をふさぎ危険を感じる。(通行帯を敷いた)意義を全く感じない」と話した。
自転車活用推進研究会(東京都)の小林成基理事長(64)は「自転車が安全に通れる環境を整えなければ、自転車通行帯にしただけでは(自転車と歩行者の分離問題は)解決しない」とした上で、「ボランティアを動員して常に注意を呼び掛けるとか、荷さばき用の駐車場を造るなどの対策をすべき」と指摘する。
市は2015年度までに段階的に塩小路までの約3・3キロの車道に自転車通行帯を延ばす計画だ。市は今月、府警と協力し、街頭で、ドライバーに通行帯での駐停車を避けるとともに、自転車の利用者に通行帯を走行するよう呼び掛けた。市道路環境整備課は「車を止めにくい環境をつくりたい。府警と協力して啓発活動を続けていく」としている。(2013年05月24日 京都新聞)
次々消える「自転車通行可」歩道 「専用レーン」対策遅れ、戸惑いの声
自転車と歩行者の接触事故が増加するなか、自転車通行可能な歩道が続々と姿を消している。法律上「自転車は車両」であり、原則として車道を走らねばならないためだが、自動車の通行量が多い車道は危険。自転車専用レーンの設置も遅れており、利用者を戸惑わせている。
警察庁が2012年10月5日付で公表した「自転車の交通事故の実態と自転車の交通ルールの徹底方策の現状」によると、2011年の自転車関連事故の全交通事故に占める割合は約2割で、増加傾向にあるという。特に自転車対歩行者の交通事故件数は2011年に2801件に上り、10年前の1.5倍に達した。
道路交通法では自転車は「軽車両」と位置付けられている。車道と歩道が区別されている道路では車道を走るのが原則で、歩道通行は例外的なケースに限られる。だが警察庁交通局長名で各都道府県警察の長らに発信された2011年10月25日付の文書を見ると、自転車利用者の間では歩道で「歩行者と同様の取り扱いをされるものであるという誤解が生じていた」と指摘し、「今一度、自転車は『車両』であること」を広く徹底させることとしたと強調。自転車利用者は歩道以外の場所を通行するよう促し、やむを得ない事情から歩道を利用する場合にも歩行者優先というルールを順守させる必要がある、としている。
これまで歩道によっては「自転車通行可」の標識が路上に示され、歩行者の妨げにならない程度に自転車の利用が認められてきた。だが、警察庁の方針を反映してか、全国各地でこのような措置を撤回する動きが進んでいるようだ。NHKが2013年5月25日に報じたところによると、全国の警察が「自転車通行可」の標識を取り外した歩道は、2012年で516か所、区間距離は356キロに及ぶという。最も長かったのは千葉県で87キロに達したそうだ。
前出の警察庁交通局長名の文書には、推進すべき対策のうち「自転車と歩行者との分離」の項目が設けられている。ここでは歩道の自転車通行について実施場所の見直しに関する記述があり、道幅3メートル未満の歩道の場合、歩行者の通行量が極めて少ない、あるいは車道の交通量が多く自転車が車道を走ると危険というケースを除いて「見直すこと」を明記されていた。
自転車の車道通行促進のため、警察庁は自転車専用の走行場所の整備が不可欠としている。2011年9月には「普通自転車専用通行帯」という標識を新たにつくり、車道での「専用レーン」確保のために活用しているという。
これに先立つ2008年1月、国土交通省と警察庁が連携して全国98か所の「モデル地区」を設置。自転車専用レーンの整備に取り組み始めた。国交省のウェブサイトには東京都渋谷区や三鷹市で自転車レーンが新設された様子を写した写真が公開されている。2012年11月には、国交省の「安全で快適な自転車利用環境の創出に向けた検討委員会」の提言を受けて、自転車レーンの設置を含む「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」を公表している。
だが現状では、専用レーンが順調に増えているとは言えなさそうだ。NHKの報道によると、2012年度で整備されたのは53か所にとどまっているという。自転車通行可の歩道が撤去されたのが昨年1年だけで516か所に上っており、自転車が「行き場」を失っている印象を受ける。
この問題はインターネット上でも議論になっている。ネット掲示板には、車道走行は危ない、歩道をゆっくり走ればいいのではないか、といった自転車利用者の意見や「車道走らせるなら、(自転車を)免許制にしてほしい」と、車を運転する立場からの声も出ている。(2013/5/26 J-CASTニュース)
小学生が歩道に「自転車通行帯」示すイベント 東京・文京区
東京・文京区で、小学生が、歩道に自転車の通行帯を示すイベントが行われた。文京区の本郷通りでは、25日、地元の交通少年団などが、歩道上に自転車が通行するための「自転車ナビマーク」を引く作業を行った。
このイベントは、「街の安全を自分たちで守ろう」と企画されたもの。警視庁によると、東京都内では、2013年に入り、歩行者と自転車の事故が244件起きている。 (05/26 FNN)
押しチャリ条例“逆効果” 区間外に自転車押し寄せ 福岡・天神
■福岡市「モラル訴えるしかない」
福岡・天神のメーンストリート渡辺通り西側を、自転車の押し歩き推進区間と定めた福岡市の条例が施行され、間もなく2カ月となる。押しチャリが広まり、市は自転車利用者のマナーが向上したと自賛するが、指定区間外の渡辺通り東側には自転車が押し寄せ、以前より危険になったとの声が上がる。
「おはようございます。危のうございますので、徐行をお願いします!」
平日午前8時過ぎ。渡辺通り東側にある百貨店、博多大丸の店の前を、何台もの自転車が猛スピードで走り去る。通勤途中の会社員だろうか。市の嘱託職員が徐行を呼びかけるが、そのままのスピードで駆け抜ける自転車利用者もいる。
「押し歩き区間ではないので、あくまで徐行を呼びかけています」。市嘱託職員の女性は語った。福岡市は4月1日に「自転車の安全利用に関する条例」、いわゆる押しチャリ条例を施行した。天神地区を南北に走る渡辺通りの西側約400メートルを「押し歩き推進区間」と指定。罰則はないが、自転車から降りて歩く努力義務を課した。
条例は自転車の安全対策が急務だったからだ。平成24年に福岡市内で起きた自転車と歩行者の交通事故は58件で、10年前に比べ2・5倍に増加した。交通事故全体に占める自転車関連事故は4分の1に達する。特に渡辺通り西側は、重大事故がいつ発生してもおかしくない状況だった。
1日12万人が乗降する西鉄福岡(天神)駅があり、通勤・通学の時間帯は特に歩行者が多い。一方、平日午前8〜9時の1時間で約120台の自転車が走っていた。自転車と歩行者の事故が懸念されるため、市は渡辺通り西側を押しチャリ区間とした。
ところが、条例の施行直後から、別の問題が浮上した。押しチャリを回避しようと、区間外となった渡辺通りの東側や裏道に多くの自転車が押し寄せた。条例施行前のデータはないが、現在、通勤時間帯の渡辺通り東側は、1時間当たり最高300台もの自転車が走り抜けるという。
通り東側の裏道に面したある飲食店店員は「この辺は道路が狭く、もともと危ないと思っていた。条例施行後、朝は確実に自転車の数が増えている。通勤でみんな急いでいるためか、スピードを出す自転車も多く、ぶつかりそうな場面もよく見ます」と語った。
1分1秒が惜しい通勤者が、押しチャリの区間外に流れる事態は、福岡市も条例制定前から想定していた。押しチャリ区間に渡辺通り東側も含める案や、天神地区全域を指定することも検討したという。だが、区間を広げても指導員が十分に回りきれず実効性に疑問符がつくうえ、結局指定区間外の裏道に流れることに変わりはない、との判断に至ったという。
市生活安全課の松田貴美子課長は「まずは一番危険な場所を指定することで注目してもらい、モデル区間として歩行者に気をつけてもらうきっかけにしたかった。事故防止に向けて指定区間以外でも自転車のマナー、モラルを地道に訴えていきたい」と述べた。
全国的に注目を集めた押しチャリ条例だが、やはり効果は限定的。結局、事故防止は自転車利用者のモラル次第といえる。(2013.5.26 産経新聞)