June 19, 2013

世界の国々の話題とトレンド

海外からの自転車の話題を見聞きすることが増えています。


世界から届く自転車の話題の中には、日本国内でよく耳にするようなものとの違いを感じることが少なくありません。日本では考えにくいもの、日本の常識に当てはまらないようなものもあります。今回は、最近の海外からの話題を取り上げてみたいと思います。


「空飛ぶ自転車」、テスト飛行に成功

空飛ぶ自転車「空飛ぶ自転車」が先ごろ、テスト飛行に成功した。チェコの複数の企業が製作したもので、普通の自転車と巨大なヘリコプターが合体したような姿をしている。

この奇抜な乗り物は、マネキンを乗せて数分間にわたり飛行し、その機能を実証した。操縦には地上からラジコンを使う。220ポンド(約100kg)の自転車は、バッテリで動く6個のプロペラで宙に浮いた。これだけでも十分、夢を見せてくれる。ペダルをこいで道を走っていると空中に浮かび上がって、障害物を飛び越えたり知らない人たちを感動させたりするのだ。

「このプロジェクトに取り組む主な動機は、利益でも商業的な関心でもなく、われわれの少年のような夢を実現することだ」と、設計エンジニアリング企業TechnodatのマネージャーであるAles Kobylik氏はCeskeNovinyの取材に対して語っている。自転車メーカーのDuractecも、このプロジェクトに参画している。

空飛ぶ自転車が実用的な移動手段となるまでには、まだいくつかの障害がある。まず、装置全体がかなり大きく、ペダルをこぐのが困難な上、通常の自転車専用道路に収まらない。マネキンを乗せて浮くことはできたものの、人間を乗せてさらに長い距離を移動するには、はるかに強力なバッテリが必要だろう。

開発陣は、人間を運べるバージョンが2013年内にできる可能性があると考えている。(CNET News 2013/06/17)


なんと、空飛ぶ自転車が登場しそうです。すでにテスト飛行段階に入っています。動画で見ると、まだマネキンを載せての遠隔操作によるテストですが、意外に安定して空中に浮いています。早晩、人間の乗れる自転車が開発されそうな感じは、確かにあります。

ただ、空中に浮くのはバッテリーのパワーによるもので、人力ではありません。自分の脚力で浮かせようとしている別の研究の動画も見たことがありますが、かなり大きなプロペラが必要で、とても現実的ではありません。その意味で、浮揚の動力に電池を使うのは現実的な選択肢ということなのでしょう。



これは電動ヘリコプターで、自転車とは呼べないというツッコミもあるでしょう。動画で見る限り、推進力にもペダルの力を使っている様子はありません。自転車型である意味がない気もします。当然ながら地上を走行するときには、プロペラが大いに邪魔になりそうです。

あえて言うならば、電動アシスト空飛ぶ自転車です。人力だけでの実現ではありませんが、これでも実用化されたら、誰もが気軽に空中散歩を楽しめるようになる可能性があります。日本では現実的とみられていないのか、同様の研究の話は、あまり聞いたことがありませんが、世界にはいろいろなことに挑戦する人がいるものです。

実際に人が乗れるようになったとしても、安定性や操作性、航続距離、価格、落下や周囲への危険など、さまざまなハードルが考えられます。映画に出てくるような未来の乗り物として、誰もが普通に空中散歩するような状況が、すぐ実現するとは考えにくいものがあります。



ただ、だからと言って、こんなもの子供だましだとか、実際には役に立たない、開発の意図が不明、合理性がなく実現は不可能だなどと言うのも、夢が無さ過ぎるような気がします。新しいものを生み出そうとする革新的な人たちは、昔から理解されず、風当たりが強いものです。

今では世界中を席巻するクルマだって、最初に考案された頃は歩くよりも遅く、旋回も満足に出来ないものだったそうです。その実用性には誰もが首をかしげたという話ですし、まだ世の中に無いものを開発しようとすれば、世間から理解されないのは仕方の無いところかも知れません。

バッテリの関係から浮上できる時間は数分だそうで、今のままで実用性があるとは思えません。しかし将来、技術革新によって、画期的な性能を持たないとは言い切れませんし、新たな乗り物のコンセプトとしてブレークし、今まで考えなかったような用途に使われないとも限りません。今後の展開を見守りたいと思います。



こちらは、普通の中古のシティサイクルを改良してジェットエンジンを搭載した「ジェットサイクル」です。これもオートバイかジェットバイクと呼ぶべきで自転車ではありませんが、スタートでは確かにペダルをこいでいます。日本ではあまり聞きませんが、時々こういう挑戦をする人がいるのも海外ならではでしょう。



手作りで、ベースとなった古い自転車の品質も悪く、時速80キロ以上出すのは、さすがにためらわれるようですが、それでも十分無謀で、危険なのは間違いありません。動画を見れば、ほかにも常識はずれのマシンを製作している、スリルのある乗り物が趣味のマニアックな方のようです。


裸で自転車数百人が裸で自転車 ロンドン中心部、車依存反対訴え

ロンドン中心部で8日、裸になって集団で自転車に乗るイベント「ワールド・ネーキッド・バイク・ライド」が開かれ、数百人が目抜き通りを駆け抜けた。

車依存社会への反対を訴えるのが目的。「石油時代は終わりだ」「自転車は二酸化炭素を排出しない」といったメッセージをボディーペイントで体に書いた参加者もいた。

8日のロンドンは最高気温が20度近くの快晴で、下着姿の人から全裸の人まで、多くの老若男女が開放感を満喫した。
]
主催者によると、同様のイベントは米国やオーストラリアなど、世界中で開催されている。(2013.6.9  共同)


裸で自転車裸で自転車に乗る「ネーキッド・バイク・ライド」の話題も届いています。このイベント、過去にも取り上げたことがあります。今始まったものではなく、かなり前から毎年この時期に行われています。そして、いまや世界のあちこちの都市に広がっています。

でも、このイベントが日本に上陸したという話は聞きません。温泉や銭湯などの文化・伝統があって、比較的、裸になるのに抵抗の少ない民族かと思えば、そうではないようです。現代の日本では、裸に対する羞恥心は強く、公然わいせつに対して厳しく、あまりおおらかではないということなのかも知れません。


Velo City 2013自転車の魅力をPR、ウィーンでファッションショー

オーストリアの首都ウィーン(Vienna)で11日から14日まで、サイクリングをテーマにした世界最大規模のカンファレンス「Velo City 2013」が開かれている。

都市の移動手段としての自転車やサイクリング文化を促進するイベントの一環として、11日には、自転車に乗ったモデルらによるファッションショーも行なわれた。(6月14日 AFP)


こちらは驚くようなニュースではありませんが、世界では自転車に関する大規模なイベントも増えています。日本の自転車イベントは、比較するとかなり規模が小さく、マイナーです。趣味のサイクリストを除けば、一般的な知名度も高くありません。自転車の位置づけ自体が日本と海外では違ってきています。


Interactive Map: Your Biking Wisdom in 10 Words

Interactive Mapニューヨークタイムズの記事(英文)
(June 7, 2013 The New York Times)


自転車レーンの整備が進み、自転車シェアリングが進むニューヨークでは、あらたな自転車用の地図アプリが登場しています。サイクリスト同士で、道路や特定のポイントについての情報を交換できるようになっています。長年通行しているからこその情報、いわゆる「通」な情報も少なくないと言います。

情報は、任意の地点に単語10個で記入します。こうした地図ですから、簡潔で見やすく情報が表示されないと使いにくくなります。そのあたり、10語に制限するというのは上手いやり方と言えるでしょう。利用者がよく使っているルートを示してくれたりする機能も盛り込まれています。

いわゆる自転車用ナビならば、ほかにもありますが、ニューヨークで自転車に乗る人にとっては、生きた情報が仕入れられる点で注目です。もう一つ驚くのは、このアプリを提供しているのが、なんとニューヨークタイムズだということです。

日本の新聞社が自転車用のナビアプリを開発してリリースするなんて、ちょっと考えられません。おそらく新聞社の人も考えたことがないでしょう。このあたりも日本と海外で、自転車に対する考え方、認識が大きく違うところと言えるかも知れません。

◇ ◇ ◇

どの話題も、日本ではちょっと考えにくいものばかりです。しかし、海外ではそんなに変わったニュースとは捉えられていません。日本のニュースは、放置自転車に違反の取り締まり、事故や地域おこしといったものが多いですが、そこにギャップを感じざるを得ません。

世界から見ると、日本は自転車の歩道走行という特殊な環境であり、ママチャリが大多数を占める独特の市場であり、自転車を積極活用しようという世界のトレンドとは考え方からして乖離しています。日本は、ますます世界の自転車の常識から取り残されていくような気がします。





空梅雨傾向が一転して、これから雨が強くなる地域が多いようです。なかなか適度にとはいきませんね。

このエントリーをはてなブックマークに追加

 デル株式会社


Amazonの自転車関連グッズ
Amazonで自転車関連のグッズを見たり注文することが出来ます。



 楽天トラベル






この記事へのトラックバックURL

この記事へのコメント
地図のアプリいいですね…欲しいです。


Posted by タニグチ at June 20, 2013 05:15
「亀岡事故 車の速度抑える実験」が始まったので現場をさっそく歩いてみました。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130617/k10015352951000.html 停車してたクルマの脇を通過するときは減速してたけど、歩行者である僕にはスピードをゆるめることなくハンドルさばきで巧みに避けて走行するドライバーがいた。(憎ったらしい顔、歩行者はクルマ以下の存在なのか)
(注文1)速度調査個所に偏りがあると思う。設置した施設付近だけでなく中間地点で歩行者とクルマが対面した時の速度も合わせて調査願いたい
アンケート調査票についてhttp://www.city.kameoka.kyoto.jp/ansin/anzentaisakusyakaijikken.html 
(注文2)アンケートは主人公である「子供」抜きでは意味がないと思う。子供向けのアンケート調査票はあるの?「歩いてみてどうだった?安心して歩けたかい?」
(注文3)さらにQ4−5だ。 Q4−2でお答えいただいた実験中の走行速度を、仮に 10km/h 上げた場合、安全性は変化すると思われますか?この質問は分かりにくい。「歩行者の安全性は変化すると思われますか?」とすべきだ。
 今回の実験で交通量が減ったなら「普段この区間(2キロ)を抜け道として利用している人」の割合が減ったと考えられる。下記のアンケートでは41%(*)。普段この区間を時速40〜60キロで2〜3分で通過してたドライバーにとっては時速30キロだと4分、時速20キロだと6分の道路は受け入れがたいに違いない。
Posted by sharetheroad at June 20, 2013 10:42
続き、
(注文4)交通量が41%も減ったなら昔のように歩かせたい。歩く行事の復活こそが子供たちへのなによりのプレゼントだ。
(*)http://www.npa.go.jp/koutsuu/kisei/houkokusyo.pdf「平成23年3月の生活道路におけるゾーン対策推進調査研究検討委員会の報告書49p〜70P アンケート実施結果」から読み取れる。
>道幅を狭めて速度が落ちても、車が歩行者寄りの場所で一時停止するのでは、かえって危ないと思いました。
(注文5)(速く走れなくなる→迂回交通のメリットが消滅→交通量が減る→安全に歩けるようになる)交通量が減らなければ実験した意味がないと思う。「交通量が減って安心して歩けるようになった」という地区住民の声こそがなによりの感謝の言葉だと思う。
Posted by sharetheroad at June 20, 2013 10:43
タニグチさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
単なるナビではなく、SNS的な要素を加えたことで、結果として有益な情報の把握に役立ちそうです。
評判によっては日本でも開発するところが出て来そうな気がしますね。

Posted by cycleroad at June 20, 2013 23:15
sharetheroadさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
なるほど、亀岡の事故の後、いろいろな取り組みが行われているのですね。
ご指摘のように、いろいろ問題があるのはその通りだと思います。また、この場所だけの問題ではありません。
ドライバーの意識、モラルにも問題はありますし、クルマ優先の思想をまず変えていく必要もあると思いますね。
考えさせられる面も多いです。いろいろと情報を教えていただき、ありがとうございます。

Posted by cycleroad at June 20, 2013 23:21
 
※全角800字を越える場合は2回以上に分けて下さい。(書込ボタンを押す前に念のためコピーを)