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自転車事故、重い賠償責任…一億円に「まさか」
自転車が加害側となる交通事故が相次ぐ中、被害者側への損害賠償などに備えて保険に入る人が増えている。
約9520万円という高額の賠償を命じた4日の神戸地裁判決を受け、損害保険会社には「どんな商品があるのか」との問い合わせが急増しており、この傾向は加速しそうだ。一方で運転マナーの悪化も指摘され、識者らは「まずは事故防止のため、安全意識を高めることが急務だ」と警鐘を鳴らしている。
◆自動車と同じ
「まさか、1億円近くの賠償なんて。手軽な乗り物が、場合によってはとんでもない凶器になると改めて感じさせられた」と、神戸市内で自転車販売店を営む男性店主(44)は言う。
約20年間営業している別の店主(41)も「被害者だけでなく加害者にとっても、事故は大きな不幸なのだと思い知った」と話す。
道交法では、自転車は自動車と同じ「車両」で、刑事罰の対象にもなる。交通事故訴訟に詳しい加茂隆康弁護士(第一東京弁護士会)は「車も自転車も、加害者になれば立場は同じ。自転車で事故を起こしても大したことはない、という考えは危険だ」と指摘する。
警察庁によると、健康志向の高まりや、東日本大震災で浮上した帰宅困難問題を受けて自転車の利用が増え、全交通事故に占める事故の割合も上昇。2012年の自転車が関係した約13万2000件のうち、自転車と歩行者の事故は2625件で、02年(1966件)の1・3倍になった。
◆問い合わせ急増
自転車には自賠責保険のような強制保険はなく、任意加入の〈1〉損保会社の個人賠償責任保険〈2〉公益財団法人・日本交通管理技術協会の「TSマーク付帯保険」――などがあり、保険加入の動きが広がっている。
個人賠償責任保険の契約数は公表されていないが、チューリッヒ保険会社の保険(限度額5000万円)は加入者が震災前より7割近く増加。三井住友海上火災保険も11年以降、年4760円で申し込める保険(同1億円)をコンビニで販売し、好評という。
自動車保険などに特約として付ければ、家族も対象となるケースが一般的で、神戸地裁判決後、東京海上日動火災保険や日本興亜損害保険などの大手には問い合わせが急増。担当者は「これまでにない関心の高まりを感じる」と話す。
自転車の点検整備(1000〜2000円程度)を受ければ1年間有効となるTSマーク付帯保険(限度額2000万円)でも、マークの交付数は05年度頃から伸び、11年度は前年度比約50万件増の約197万件、昨年度は約209万件になった。運営法人の宇留野うるの典雄・業務課参事は「自転車は交通弱者、という意識が変わりつつある」と話す。
NPO法人自転車活用推進研究会の小林成基理事長は「保険加入が増えるのは望ましい。ただ、事故に備える最終手段であり、運転ルールを認識・実践して事故を減らすことが最重要だ」と話している。(2013年7月14日16時56分 読売新聞)
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「サイクル・ポリス」出動 埼玉県警本格導入「クロスバイク」でマナー訴え
自転車保有率で都道府県トップの埼玉県で、警察官のパトロール用にスポーツタイプの自転車を県警が導入し、十二日から浦和署と川越署で試験運用を始めた。自転車は最高速度約四十キロのスピードと小回りの利く安定性が特徴の「クロスバイク」。欧米の警察などで広く導入されているが、国内での本格的な利用は初めて。
両署は「ハイパー・サイクル・ポリス」の新名称で、体力のある若手警察官を選抜し計十台を導入。JR浦和駅前や川越市の観光地で通常のパトロール業務にバイクを使う。
街頭で注目が集まりやすいことを生かし、自転車の運転マナーの向上に一役買ってもらう。効果を見極め、来年度は規模を約百台に拡大させたいという。この日、浦和駅前で出発式があり、流線形のヘルメットをかぶった警察官六人がパトロールに繰り出した。
社団法人「自転車協会」によると、埼玉県民の自転車保有率は一・三人に一台(二〇〇八年の推計)で、都道府県別でトップ。一方、県内では十一日までに二十一人が自転車事故で死亡している。最近は一般のクロスバイク利用者も急増しているという。(2013年7月13日 東京新聞)
豊橋で自転車安全安心サミット
高校生ら意見交換ー事故根絶へ各校取り組み紹介
高校生による自転車事故を減らそうと、豊橋市内の高校生が集って意見を交わす「豊橋市自転車安全安心・高校生サミット」が19日、豊橋市役所で開かれ、各校の生徒が交通安全に対する取り組みを発表した。豊橋市内高等学校交通安全委員会主催。
同市内11校から計21人の生徒が参加。同委員会顧問で、豊橋西高校の小久保和之校長は「市内では自転車事故が多く、事故を減らすように考え、学校に持ち帰ってほしい」とあいさつ。豊橋署交通課の小田聡課長は「被害に遭う事故だけでなく、加害者になる危険性も注意してほしい」と呼びかけた。
意見発表では各校生徒が、校内で自転車へのルールを定める取り組みや、危険な通学路を全生徒が把握するよう「ヒヤリマップ」を作製する対策などを紹介。防犯対策として、ツーロックの徹底や住所氏名を記入する必要性も上げられた。
昨年県内では、事故により自転車に乗った高校生1794人が死傷。その中で約1割の165人が同市内で負傷し、県内ワーストを記録した。今年は、6月末時点で計100人の高校生が負傷しており、前年同時期と比べ34人の増加となっている。
「商店街では押し歩き」 深刻化する自転車事故
自転車の事故が各地で深刻化している。自転車は暮らしに身近なアイテムだが、一歩間違えば重大な事故を引き起こしかねない。こうした中、事故を未然に防ごうと府内の商店街では自転車の「押し歩き」の買い物客に、100円の商品券を配る取り組みをスタートさせた。日本一長い商店街とされる天神橋筋商店街では、自転車による重傷事故の発生を受け、自転車の通行規制を地元の警察に陳情する動きも見られる。
京阪「寝屋川市」駅西側すぐの大利商店街(ベル大利商店街)。6月28日に同商店街振興組合や寝屋川署などが開いた「自転車押し歩きモデル商店街」キャンペーン。「自転車は降りてください」という寝屋川署員の呼び掛けとともに、商店街のスタッフらが、自転車の押し歩きの買い物客の自転車に「街の安全に協力していただき ありがとう」などと書かれたステッカーを貼付。商店街で利用できる100円の商品券を配った。
東西200メートル、南北100メートルのT字型に延びる商店街には、約80の店舗が軒を連ねる。午前8時〜午後8時までは歩行者専用道路になっているものの、歩行者の間を縫うようにひっきりなしに自転車が行き交う。
今年5月には商店街で小学1年の女子児童(6)が、自転車に乗った若い男にひかれ頭部を強打。救急車で運ばれるという事故も発生している。
商店街のある寝屋川市は今年4月、「自転車安全利用条例」を施行。「商店街の区域内等人通りが多い場所を通行しようとするときは、必要に応じて自転車を押して歩くこと」と明記されている。
そこで市と寝屋川署はこのほど、同商店街を「自転車押し歩きモデル商店街」とした。ステッカーと商品券を使った今回の取り組みは、自転車を押し歩いてくれた自転車利用者のマナーを「ほめる」ことで、より自転車利用への安全の自覚を高めてもらう狙いがある。
商店街を自転車でよく利用するという女性(71)は「人通りの少ない時間だとつい自転車に乗ってしまう」と話しながらも、「もし自分が加害者になったらと思うと…」と、自転車にステッカーを貼り付けてもらっていた。
商品券を受け取った同市内の生田しのさん(36)は、「買い物で商店街に来るが、自転車でいつも怖い思いをしている。商品券はうれしい。商店街での購買意欲も高まるのでは」と歓迎の様子。
同組合では今後、奇数月の第3金曜日にキャンペーンを継続していくことにしている。清水茂實理事長は「これまで自転車の対策はいろいろやってきたが、特効薬はなかった。今回の取り組みで意識を高めてもらい、口コミで広がっていけば」と期待を寄せる。
一方、大阪市北区の天神橋筋商店街では今年4月、全長約2・6キロの商店街のうち、同区天神橋2丁目で、自転車同士が衝突する重傷事故が発生した。
天神橋筋商店連合会はこれを受け6月に入り、同商店街のうち自転車の通行が規制されていない1〜3丁目の商店街で、自転車の通行規制を求める要望書を地元の天満署に提出した。
同連合会の土居年樹理事長は、「お客さんの安全・安心のため。商店街には海外からの観光客も訪れており、自転車のトラブルはイメージダウンにつながる」と話す。
府警によると昨年、府内で自転車の関連する事故は1万5702件で、交通事故全体の約3割を占めている。自転車と歩行者の事故は271件で、2003年(136件)に比べほぼ倍増している。(2013年7月15日 大阪日日新聞)
東京駅も自転車放置禁止 丸の内側、本年度から
急増するJR東京駅(東京都千代田区)周辺の放置自転車を減らすため、本年度から二〇一八年度にかけ、丸の内側一帯が「放置禁止区域」に指定されることになった。禁止区域の指定は東京駅周辺では初めて。周辺に千八百五十台分の駐輪場増設のめどが立ったためで、都は「首都の表玄関から放置自転車をなくす」と話している。
放置禁止区域は、都や地元自治体などでつくる「東京駅周辺放置自転車対策会議」が十七日に対策をまとめたのを受け、千代田区が指定する。範囲は東京駅の西側五百メートル、南北一・八キロにわたる。本年度中に大手町地区を指定し、有楽町、丸の内地区に拡大する。
放置自転車に警告札を張り、一〜二時間後から撤去を始める方針。八重洲側についても、中央区が放置禁止区域指定を検討する。駐輪場は両区が区道の空きスペースや民間ビルの再開発を活用し、整備する。
昨年十月の都の調査によると、東京駅の一日の放置自転車は七百七十五台で、赤羽駅(北区)に次いでワースト二位。近隣の湾岸地区でマンション開発が相次いだり、震災後に自転車を使う住民が増えたためで、景観悪化や歩行者への危険を懸念する声が出ていた。(2013年7月18日 東京新聞)