猛暑や大雨など、異常ともいえるような気候になっているのは日本だけではありません。世界各地でも高温や大雨、逆に低温や旱魃になっている地域もあります。そんな中ですが、今回は世界各地の自転車関連のニュースを取り上げて見たいと思います。


ロンドンでは、市内の主要な通りをクルマ通行止め、自転車専用にして、大掛かりな自転車イベントが行われました。数万人規模のサイクリストがパレードに繰り出すなど、大盛況だったようです。ロンドンの名物市長、ボリス・ジョンソン氏もレースに参加するなど、イベントを盛り上げています。
ロンドンを自転車都市にすべくリードしてきた市長ですが、広く市民にも受け入れられたようです。オリンピックの渋滞対策という側面もありましたが、五輪終了後もインフラ整備などに力が入れられ、自転車を活用する市民も増加、自転車シェアリングも含めて世界に名だたる自転車都市の一つになったと言えるでしょう。
「自転車便」の世界王者決定、スイス女子が3冠
自転車で書類や荷物を配達するメッセンジャー(自転車便配達人)の世界大会「サイクルメッセンジャー・ワールドチャンピオンシップ(Cycle Messenger World Championships)」が4日、スイスのローザンヌ(Lausanne)で開かれた。
女子の部では地元スイスのジョゼフィーヌ・ライツェル(Josephine Reitzel)さんが、70件分の配達を3時間2分で終え、2年連続・3回目となる優勝を果たした。男子の部では米ニューヨーク(New York)出身のオースティン・ホース(Austin Horse)さんが77件分を2時間52分で配達し、初優勝した。
普段から起伏の多いローザンヌの石畳の通りをメッセンジャーの仕事で駆け抜けているライツェルさんは、2010年のグアテマラ大会、2012年の米シカゴ(Chicago)大会でも優勝している。


サイクルメッセンジャー・ワールドチャンピオンシップは、メッセンジャーの自転車の腕前や配達技術、独特の文化やファッション、言葉遣いなどをたたえ、20年前に始まった。レースはメッセンジャーたちの日常業務を反映した内容となっており、参加者はコース内の決められたチェックポイントを通過して集荷から配達までの速さを競う。また、所定の時間内に届けるための最短ルートを判断する計画能力も問われる。
6日間にわたって行われた今年のレースには、40か国から550人のメッセンジャーが参加。このうち100人が4日の決勝に進んだ。2014年の大会は、メキシコの首都メキシコ市(Mexico City)で開催される。(8月5日 AFP)
スイスのローザンヌでは、メッセンジャーの世界大会が行われたようです。自転車の腕前だけでなく、配達技術や地図や交通状況を見ながらルートを選択する能力なども試されます。男女に分かれ6日間にわたって行われるもので、世界40か国から550人のメッセンジャーが参加するという本格的なものです。
アメリカなどでメッセンジャーの大会があるのは知っていましたが、世界大会があるのは知りませんでした。開催される街によって、起伏が多かったり、石畳だったりと、ふだんと違う環境で競う参加者も多いに違いありません。なかなか挑戦しがいのある大会のようです。
NYの「自転車シェア」、ITフル活用 観光客もOK
米ニューヨーク市で市民が自転車を共有する「バイクシェア」の取り組みが始まって約2カ月。ブルームバーグ市長が「地下鉄、バスに次ぐ新たな交通手段」と期待を寄せる大規模な取り組みはどのように機能しているのか。IT(情報技術)をフル活用した仕組みはどんなものか。記者自らが体験してみた。
■マンハッタンなどで6000台を貸し出し
5月27日に始まった同市のバイクシェアは、米大手銀行のシティバンクがスポンサーとなっている。このため、地元では「シティバイク」と呼ばれている。同行が拠出した4100万ドル(約40億円)が主な運営資金。ニューヨーク市は運営に協力しているが、資金を出していない。マンハッタン地区とブルックリン地区に設置した330カ所のステーション(駐輪場)で、約6000台の自転車を貸し出している。(中略)
NYCバイクシェアは、公共向けの自転車シェア運営を専門とする米アルタ・バイシクル・シェアと、共有自転車向けの機材やソフトウエア作りを専門とする加パブリック・バイク・システム・カンパニー(PBSC)が共同で運営している。アルタとパブリック・バイクは、ニューヨークに先立ち、米国内で首都ワシントン、海外では英ロンドン市や加モントリオール市などの自転車シェアの仕組みを手掛けた実績がある。


■ネットで自転車、駐輪場、走行履歴を検索
自転車の取り出し、返却では少し不満が残ったが、NYCシステムの仕組みで驚かされたのは、返却したらその情報が瞬時に自分の利用履歴に反映されたことだ。
年間会員はシティバイクのサイトに登録することを求められるが、そのサイトを通じてどこの駐輪場で借りて、どこの駐輪場で返したのかを把握することができる。走行時間も正確に表示される。記者は年会費95ドル(税込みで約103ドル)を払った年間会員になり、1日の利用は無制限だが、1回の走行時間は45分に制限されている。制限時間を30分超過ぎると2.50ドル、1時間超過で9ドルの追加料金がかかる。時間の管理は重要だ。
駐輪場の空き状況や利用可能な自転車の台数も同社のサイトやアプリで公開されている。家を出る前に、最寄りの駐輪場に利用可能な自転車があるかどうかを確認したり、返却したい駐輪場のドックが全部埋まっていた場合には近隣の駐輪場を検索したりすることが簡単にできる。
ちなみに年間利用者でない人でも自転車のレンタルは可能で、24時間プランは9.95ドル、7日間プランは25ドルだ。こうした短期利用者はカギを持たないため、駐輪場にある券売機で料金を払い、暗証番号を受け取る。番号をドックに入力すると、自転車を引き出せるようになる。利用回数は無制限だが、1回の走行時間は30分。30分を超えると4ドルの追加料金がかかる。駐輪場は街の至る所にあるので、少し面倒だが30分を経過したところでいったん返却し、別の自転車に乗り換えれば追加料金なしで長距離を走れる。観光客にもお勧めだ。
ただ、自動車の運転マナーの悪いニューヨークでは自転車の運転には十分な注意が必要だ。市当局は、自転車専用レーンの設置を急ピッチで進めているが、十分に整備されているとは言い難い。昼間は荷物を配達するトラックなどが、堂々と自転車専用レーンに駐車していることも多い。結局、自転車は車道を走るはめになる。混雑した歩道を避けて自転車専用レーンを歩く人もいて、自転車が快適に走れる交通マナーが定着するまでには、まだしばらく時間がかかりそうだ。


■年間会員は6万人を突破
問題もまだまだ多い自転車シェアだが、ニューヨーカーの反応は上々だ。「シティバイクを使うようになって、地下鉄やタクシーを使う回数が減った」と、ジョーナ・チェーシンさんはいう。ニューヨークの地下鉄が1カ月乗り放題券で112ドルなのに対して、シティバイクが年間95ドルというお手ごろ価格である点も気に入っている。
ダン・コップスさんは、自分で自転車を所有しているが、シティバイクも愛用している。自分の自転車は3000ドルという高級自転車で、盗難が心配で気軽に駐輪しておけなかったからだ。今では「自分の自転車はレジャー用。買い物などの雑用にはシティバイク」と使い分けている。
開始から2カ月がたち、自転車の取り出し、返却のトラブルは減っているように感じられる。だが、最近は「人気がありすぎて、使いたい時に最寄りの駐輪場に自転車がない」という声が増えている。
年間会員は6万人を突破。駐輪場、自転車ともに数を増やしているが、人気のある駐輪場と人気のない駐輪場のバランスを取るのが難しいようだ。現在は人気のない駐輪場からカラになった駐輪場にバンで自転車を積んで運んでいるが、利用者が集中する通勤時には「焼け石に水」のようにもみえる。今後は、より戦略的な駐輪場の配置などが求められそうだ。(2013/8/4 日本経済新聞)
ニューヨークの自転車シェアリングがスタートして2カ月になりますが、そのレポートが日経新聞に載っていました。問題点もありますが、市民の反応は上々だと言います。むしろ人気がありすぎて、自転車が足りない場所が増えているようで、拡充が間に合わないほどの盛況のようです。
米国で人気高まるカーゴ自転車
ニューヨークのファンドマネジャー、ブランダン・ジョーンズさん(44)は最近のある日曜日、マンハッタン南部トライベッカの自宅から、妻と2人の子供とともに、友人と昼食をともにするためにブルックリンのウィリアムズバーグに向かった。目指すはおしゃれなワイスホテルにある人気レストラン、レイナードだ。
しかし、ジョーンズさんは車を運転したわけでもなく、地下鉄も使わなかった。その代わり、「ロングテール」カーゴ自転車と呼ばれる「Yuba Mundo」の荷台に2人の子供を乗せて行った(妻は自分の自転車を使用した)。マウンテンバイクだが、一段と頑丈なフレームと小さめの車輪が付いた、長く引き伸ばされた、後部の低い自転車を想像してみて欲しい。ジョーンズさんは「トライベッカに車を運転して戻った友人よりも実際、早く家に着いた」と話した。ジョーンズさんはBMWのスポーツ多目的車(SUV)「X5」を所有しているが、近場で乗ることはまれだ。むしろ、トライベッカから子供たちの通うグリニッジビレッジまで1.5マイル(約2.4キロ)といった距離の日々の移動には、他の種類のSUV、つまり、実際に若干スポーツ的な要素を含む自転車に乗る。
カーゴ自転車は、米国でますます人気を得ている。Yuba Mundoの米国最大の販売業者はオレゴン州ポートランドのジョー・バイクだ。この店は「高性能の都会的で実用性に富むツーリング自転車」を専門に扱っている。オーナーのジョー・ドーベルさんは、5年前にカーゴ自転車(機能的な運搬を目的に製造された、自転車の様々なスタイルを指す包括的な用語)を扱い始めた時、こうした自転車は単に積み荷運搬向けになると考えていたと話した。
ドーベルさんは、カーゴ自転車に対する関心は、ポートランドの「ミニ・ベビーブーム」や、若い家族の多くが郊外に引っ越すのではなくポートランドのような都市部にとどまる選択をしているという事実のためだと考えている。ガソリン価格の上昇も大きな要因だ。
米国では自転車人気が拡大しており、サイクリストの団体によると、大半の都市で2005年から11年にかけて、サイクリストの増加率が2桁から3桁に及んだ。ニューヨークとシカゴでは新たな自転車共有プログラムが始まっている。インディアナポリスやアトランタには意欲的な歩行・自転車ネットワークが存在する。前者は8マイルの「Cultural Trail」、後者は33マイルの「BeltLine」だ。コロラド州ボールダーに本拠を置く全米規模の支持団体ピープル・フォー・バイクスによると、同団体のGreen Laneプロジェクトを通して全米で設置される自転車専用道路の数は今年、2倍に増加し、200を超える見通しだ。(2013年 7月 09日 The Wall Street Journal)
ニューヨークに限らず、全米で自転車人気が高まっていると、あのウォールストリートジャーナルも伝えています。荷物をたくさん運べるタイプの自転車の人気が上昇しているそうです。都市にもよるでしょうが、アメリカもクルマ大国というばかりではなくなってきているのも確かでしょう。
モスクワ市警が自転車に乗り換え
モスクワ市政府が積極的に推進している街の”自転車化”が今夏、市の警察にも及んだ。モスクワ市南西部では6月に入ってから、特別な自転車部隊が活動を始めている。ただ自転車の使用は今のところ、ビッツァ森林公園内のパトロールに限られており、近い将来、市内の他の公園や、自動車の進入が禁止されている場所にも活動範囲が広げられていく。
モスクワでは6月1日から、市政府とモスクワ銀行の共同プロジェクト「ヴェロバイク」も始まり、市内各所に設置された駐輪場で自転車をレンタルできるようになった。ただ、2週間ですでに自転車8台が盗まれ、20台が壊れ、さらに利用者はレンタル料の支払いの複雑さ(特別なウェブサイトでクレジット・カー ドの登録をしなければならない)に不満を訴えているが・・・。このような街の”自転車化”に、警察も参加しているわけだ。
かつては徒歩巡視の隙をつき連続殺人も
内務省ビッツァ森林公園巡視警察部社会秩序維持警察課のドミトリー・ラゾレンコ課長はこう話す。「自転車に乗った警察は動きやすくなるし、現場にかけつ ける時間も大幅に短縮される。そうなると潜在的な違反者は、簡単に犯罪行為をしないようになるから、公園内で休んでいる人たちは、よりリラックスできるようになるだろう。警察官にとっても良いことだ。常に体が鍛えられる」。
自転車警官の装備は、拳銃、懐中電灯、無線、手錠など、特に他と変わらない。かつて長期に渡ってビッツァ森林公園で48人を殺害したアレクサンドル・ピチュシキンという連続殺人犯がいたが(2007年に最高刑である無期懲役刑が下された)、これは警察が公園内で徒歩巡視しか行っていなかったことをうまく利用した犯行だった。ビッツァ森林公園は、モスクワ南西部を流れるビッツァ川周辺の森林公園で、同市で2番めの大きさだ。
自転車とバイクの使い分け
内務局南西行政管区部には今のところ、自転車8台が装備されているのみだ。同管区部の広報責任者であるユーリア・アノソワ氏はこう話す。「自転車は近々、 警察の他の巡視部門にも供給する。自動車の乗り入れが禁止されているような他の公園区域、小公園、施設付属の庭園などでも、自転車パトロールが行われるよ うになる」。警官が自転車に乗るのは市の南西部に限られないという。「内務省モスクワ市総局はすでに、モスクワ市全域についても話をしている」。
モスクワ市総局はこう説明する。「ツァリツィノ公園では警官がオートバイで巡視するようになったが、ビッツァ森林公園では自転車の方が仕事しやすい」。(2013年6月19日 ロシアNOW)
自転車とは縁遠い都市で、ほとんど自転車の話題が聞こえてこなかったモスクワが、最近変わりつつあるようです。先日、自転車シェアリングの導入を取り上げましたが、今度はモスクワ市警の話題です。モスクワ市政府が街の「自転車化」を推進するという積極姿勢に驚きます。
「世界初」のソーラー軌道自転車を公開、ドイツ


ドイツ西部ワルトミヒェルバハ(Wald-Michelbach)で24日、太陽光で動く軌道電動自転車が報道陣に向けて公開された。運行会社によれば、太陽光発電を取り入れた軌道自転車は世界初。ワルトミヒェルバハとメルレンバハ(Morlenbach)をつなぐ、廃線となった線路を利用して運行するという。(2013年07月27日 AFP)


ドイツでは、軌道自転車が話題になっています。自転車と言うよりケーブルカーか何かのように見えますが、確かにペダルがついています。ソーラーの力を利用して、ペダルで進む乗り物ということのようです。廃線利用だそうですが、これは日本でも参考になる可能性があるでしょう。
日本でも、過疎化による利用客の減少などで廃線となる路線は少なくありません。赤字のまま経営を続けるのは自治体にも負担が重く、困難だと思いますが、このスタイルならばランニングコストも僅かです。観光客の誘致にも貢献しそうですし、場所によっては検討の余地があるかも知れません。

中国では、自転車でクルマを運ぶ人が目撃され、話題になっているようです。事故で壊れたクルマをペダルの力だけで運んでいるようです。ボディの外装部分だけを自転車で運ぶ解体屋さんは以前取り上げました。それでも驚きますが、写真のような普通の完成車だっら1.5トン以上はあります。
自転車の車体が重量に耐えられるのであれば、運べそうな気もしますが、果たして本当に運べるものなのでしょうか。信じられないようなものを自転車で運ぶ光景は、中国お得意と言っていいほどで、時々見かけます。ただ、クルマそのものを運ぶと言うのは、なかなかチャレンジングです。
◇ ◇ ◇
世界各国から届く、自転車関連のニュースが増えています。内容はバラバラですが、それぞれに各国の特徴が出ている気がします。国によって自転車環境もさまざまですが、どの国でも、自転車が見直される方向にあると言えそうです。これからも世界の自転車ニュースに注目していきたいと思います。
68年ですか。あれば、いつか必ず使われると言われますから、何とかその前に廃絶をと思いますね。
Posted by cycleroad at 23:30│
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