ママチャリからスポーツバイクに乗り換える人が増えています。
スポーツバイクに乗って、その速さや乗車姿勢、サドルの硬さなどに驚いた人もあるでしょう。スタンドがついていなかったり、泥除け、チェーンカバー、馬蹄錠が無いなどの違いもあります。そのあたりは慣れとしても、前カゴが無いことが大きな違いと感じたかも知れません。
ママチャリのほとんどに前カゴが取り付けられています。これまで当たり前のように使ってきたため、突然その前カゴがなくなることで、不便に感じる人も多いのではないでしょうか。買い物に使わなかったとしても、ちょっとカバンを載せたりするのに前カゴは便利です。
仕方がないので、コンビニやスーパーの袋をハンドルから下げて帰る人もあるでしょうが、バランスが悪く、走行の邪魔になり危険です。リュックやメッセンジャーバッグを使うという手もありますが、肩掛けでない手提げカバンやハンドバッグなどを持っていきたいこともあります。
何も荷物がない時には、前カゴは邪魔です。風の抵抗も気になりますし、不恰好に感じる人も多いでしょう。しかし、普段の生活でも自転車に乗る人の場合、カバンや、ちょっとした荷物を運んだりするのに、前カゴの便利さが捨てがたい人もあるに違いありません。
ならばと、前カゴを後付けしようと考える人もいます。さすがにロードバイクでは見たことがありませんが、クロスバイクなどであれば、前カゴを取り付けている人を見ることもあります。見た目は犠牲にしても、実用性を重視するという人もあるでしょう。
前カゴは取り付けたくなくて、ママチャリと使い分ける人もあると思います。しかし、保管場所等の関係から2台使いというわけにはいかない場合もあります。実際、パーツとして前カゴが売られているので、後から前カゴを取り付けたいというニーズは少なくないのでしょう。
これがオランダあたりだと、別の選択肢があります。その名も“
MyBasket”です。店に持って入って買い物カゴのように使える一方、簡単に着脱が出来るので、自転車の前カゴにもなります。取り外しが出来る前カゴと言うわけです。買い物に行かない時、家に置いておけば、前カゴのない自転車に乗れます。
日本でも、ビニールの袋をもらわないために、マイバッグを持っていく人がありますが、それと同じ使い方が出来ます。店では、買ったものを、そのままバスケットに入れられて便利ですし、ハンドルバーにセットすれば、そのまま持って帰れます。
持ち手の部分に工夫があり、バスケットにも切れ込みがあって、ハンドルに固定できるようになっています。これならば、必要な時だけ前カゴが使えます。言われてみれば簡単なアイディアですが、日本では見たことがありません。これは日本でも使いたい人があるのではないでしょうか。
オランダでは、ほとんどの自転車に取り付けが可能だと言います。これがあれば、買い物でもクルマを使わずに自転車で行けます。ビニールの袋などをもらう必要もありません。このあたり、環境に優しいという点からも支持を集めているようです。
ところで、前カゴや“MyBasket”では運びにくいものもあります。例えばビールなどの飲料をケースごと買う場合です。かさばりますし、重いので、後ろの荷台に固定して運ぶことになるでしょう。でも重いので、荷台にしっかりと固定しなければならないのが面倒です。
そんな時に便利なのが、“
Kratvast”です。動画を見てもらえれば一目瞭然ですが、ビールケースを簡単に荷台に固定できる道具です。紐などを使って固定する手間がなく、ワンタッチで運べます。しかも、かなり安定した形で固定できるようです。
これは、なかなかのアイディアと言えるでしょう。これがあれば、ビールをケースで買うのも、ためらわずにすみます。まとめ買いで安く買えて得をするかも知れません。自転車だからと諦めていた人でも、ビールなどの飲料を買って帰れます。販促のために、店側で貸し出してもいいくらいです。
なかなか画期的ですが、日本でそのまま使えるとは限りません。日本の両手で持つ一般的なビールケースとは規格が違います。日本では、中央に持ち手がある、やや小ぶりなビールケースは、あまり見ない気がします。似たケースでも微妙に違って、オランダやEU規格向けのものにしか使えない可能性もあります。
そもそも日本の場合、今どき瓶ビールを買って帰る人は少ないのではないでしょうか。配達ならともかく、瓶は重いので、ほとんどが缶ビールでしょう。ビール以外の飲料でも、ペットボトルなどが多く、ダンボールの箱に入れて売られているのが一般的だと思います。その意味でもニーズは少なそうです。
おそらくオランダでは、まだまだ飲料が瓶入りで流通しているのでしょう。アイディアとしては優れていますが、地域によっては、あまり意味がなく、ローカルな商品と言わざるを得ません。ただ、自転車で飲料を運びたいという需要は日本でもあるはずです。
ビール以外にも、水やお茶などのペットボトル、缶入り飲料、酒類などが、スーパーで箱入りで売られていることがあります。クルマなら、まとめ買いも出来ますが、自転車だからと諦めている人も多いに違いありません。この“Kratvast”のよう発想で、飲料のダンボールを荷台に固定できるグッズは出来ないものでしょうか。
飲料のダンボールの規格は、容量や種類によっていくつかあるようですが、ある程度統一されていると思います。代表的な規格のダンボールを荷台に簡単に固定できる道具が出来れば、ニーズはありそうです。そうした道具があれば、今まで買えなかった人も箱買いする可能性があります。
売り上げが伸びる可能性がありますから、業界をあげて開発に取り組んでもいいくらいでしょう。震災で道路が分断されてクルマが走行できない時、自転車は物流にも活躍しました。そんな場面でも、重量のあるダンボールの箱が安定して運べれば、役に立ちそうです。
日本での自転車は、ママチャリが圧倒的な割合を占めています。日本人のニーズに応えて進化し、淘汰されて今の形になったのだと思いますが、前カゴや荷台は画一化しています。よく言えば汎用性が高いわけですが、実際に何かを運ぶ場面で、不便なことも多いのではないでしょうか。
格安の輸入品が市場を席巻し、ママチャリが低価格化してしまったために、メーカーには新しい工夫を施すインセンティブが働かなくなっているのかも知れません。しかし、格安品と差別化する意味でも、自転車で何かを運ぶという機能について、もっと考えてみてもいいような気がします。
この暑さ、甲子園球児も大変ですね。せめて試合を朝と夕方、ナイターにすれば、電力ピークも外せて一石二鳥な気がしますが..。