August 15, 2013

自転車の荷台を有意義に使う

自分の自転車には荷台がついているという人も多いと思います。


スポーツバイクには付いていない場合が多いですが、ママチャリをはじめシティサイクルや実用車などには、最初から荷台が取り付けられています。荷台の代わりにカゴやチャイルドシートを取り付けている人もあるでしょう。前カゴと並んで、荷物を運ぶための貴重なスペースです。

郵便屋さんの自転車でも、カゴを取り付けて買い物などに使っている人は別として、荷台のある自転車に乗っていても、あまり荷台にモノを載せたりしない、使わないという人も多いのではないでしょうか。荷物を載せる場合には、ゴムひもなどで固定しなければならないのが面倒だったりします。

ゴム製のネットなどを携行しておけば便利ですが、あまり大きなものは固定しにくいですし、重いものは安定せず、ふらついて危険です。いわゆる実用車のような大きな荷台でないことが多く、あまり使い勝手がいいとは言えないのも確かでしょう。

最近はあまり見かけませんが、郵便屋さんとか、豆腐屋さん、クリーニング屋さんの自転車には、あらかじめ荷台に大きなケースが取り付けられていました。あのくらい大きな箱が取り付けられていれば、いろいろ荷物も入るでしょうが、個人の自転車に、常に箱を取り付けておくのも邪魔です。

ところで以前、オランダで最近注目されているリペアカフェというスポットを取り上げました。家具でも家電でも、日用品でも趣味のものでも、まだ使えるものを捨てるのはもったいない、修理しながら長く使おうと考える人たちが集まるカフェです。(詳しくは、こちらの記事を。)

そのリペアカフェに出かける時、電気製品などを修理するための工具や部材などの荷物を運ぶのに困っていた人がいました。Berto Aussems さんという人です。でも、彼はリペアカフェに出かけるくらいですから、手先が器用で、ちょっとした工作はお手のものです。

all in one workbench, worktable and toolbox

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そこで、自分専用のツールボックスを製作することにしました。必要な工具や部材などを収納でき、同時に作業台としても使えるという優れものです。リペアカフェは屋外で開催されることもあるので、作業台にもなれば、一石二鳥であり、とても便利です。

さらに、自転車に積みやすいように工夫しました。荷台部分に、かぶせる形で載せられるようになっており、重心が低くなるので、安定します。自転車で旅行する人などが使うサイドバッグ、リヤバッグなどと呼ばれる自転車用のバッグがありますが、ちょうどそれと似たリーズナブルな形です。



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これなら荷台に取り付けた箱に入れるのと違って、いちいち積み替えをする必要がありません。工具や部材などをまとめて収納しておけるので、行くたびに揃える必要もありません。簡単に積み下ろしが出来るので、必要な時だけ積んで出かけられます。現地に着けば、作業台に早代わりし、椅子まで収納しておけます。

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なかなか上手いアイディアと言えるでしょう。ツールボックス、工具箱をそのまま持っていけたらと考える人はあるかも知れませんが、それを手作りで実現してしまえる人は、そう多くはないに違いありません。器用に工作が出来てしまう人がうらやましいところです。

Bike - portable shopping cart

さらに、この Berto Aussems さん、同じ仕組みを使って、ショッピングカートを作ってしまいました。こちらは、店でショッピングカートとして使って荷物を積み、そのまま自転車の荷台にセットして持ち帰ることが出来るという優れものです。



Bike - portable shopping cartBike - portable shopping cart

これはユニークなアイディアです。買い物した商品を荷台のカゴに入れるより重心が低いぶん安定するでしょうし、いちいち積み替える必要のないところが便利です。荷台にカゴなどを取り付けておくのと違い、買い物に行かないときは、カートを載せる必要はありません。

先ほどのツールボックスと、このショッピングカート、一台の自転車で、両方を載せ替えて使うことが出来ます。自転車に工具箱や買い物カゴを取り付けてしまうのと比べ、何も載せない場合も含め、行く先に応じてフレキシブルに自転車が使える点で優れています。

Bike - portable shopping cartBike - portable shopping cart

Berto Aussems さん、「オープンソース」の考え方にならい、このアイディアや仕様を「パブリックドメイン」として公開しています。腕に覚えがある人なら、誰でもこの作業台兼ツールボックスや、自転車に載せられるショッピングカートを製作することが出来るわけです。

Bike - portable shopping cartBike - portable shopping cart

これは、ほかのものにも応用出来るはずです。自転車で運びたいものを荷台にセット出来るよう、似たような形に設計すればいいわけです。釣った魚とか冷たい飲み物を運ぶクーラーボックスでもいいでしょうし、ピクニック用の折りたたみテーブルやベンチでもいいでしょう。

イーゼルとカンバスと椅子を収納できる絵の具箱でもいいでしょうし、カメラと三脚と脚立のセットでもいいでしょう。楽器と譜面台と椅子をセットして街頭での演奏に行く人もあるかも知れません。子供を乗せることもあるでしょうし、何かを運ぶ以外の用途も考えられるかもしれません。

自転車の荷台に直接積むのではなく、荷台をアタッチメントのベースのように使うという発想です。必要に応じてアタッチメントの種類を増やしていくことも出来ます。自転車の荷台をシステマティックに使うことを考えてみるのも面白いのではないでしょうか。





今年もこの日がやってきました。最近は懸念も指摘されますが、平和であることに感謝したいと思います。

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この記事へのコメント
さすがは自転車大国、オランダですね!

一昔前は、こういう一工夫というと日本の専売品だったようなイメージがありますが、最近は外国から伝わってくるもののほうが多くなって来ましたね。

Posted by 携帯修理 at August 16, 2013 13:19
携帯修理さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
自転車だけではないので、この人が器用ということなのでしょう。また、オランダ人がみな、こうした工夫をしているわけではなく、この人だけですが、オランダだからという背景はあるかも知れませんね。
日本も豊かになって、モノがあふれていて、自分で手作りするような人は減ったということなのでしょう。
Posted by cycleroad at August 17, 2013 23:03
私の周りを走っているシティサイクルの人々を見ても、せっかくリアキャリアがあるのに利用されていない場合が多く、本当にもったいないと思うところです。
私は随分昔、シティサイクルしか知らない時代、前カゴにカバンや荷物を入れて走っていました。
そして今は、クロスバイクにリアキャリアをつけ、そこにパニアバッグを括りつけて荷物を入れている。
これは好みかもしれませんが、荷物は後ろに任せたほうが、ハンドル操作が軽くて疲れにくい感は大きく、私は好きです。荷物は後ろ側に任せる派です。

ただ、最近はリアキャリアにスーパーでもらうビニール袋を括りつけて横にぶらさげ、買い物の荷物もそこに入れている人はチラホラ見かけるようになりました。
片側サイドバックのビニール袋版といったところでしょうか。
Posted by 佐藤 at August 26, 2013 18:25
思えば、シティサイクルを買った時も、クロスバイクを買った時も、リアキャリアの便利な使い方というものは教わらなかったものです。
そして、サイクルロード氏のサイトで自転車の楽しさ、社会的な素晴らしさ、便利をより高めるノウハウを身につけさせていただいたものです。
自転車販売店は、リアキャリアのポテンシャルの高さを、もっと力強く宣伝してよいとおもいます。自転車店を見ると、頑丈そうなリアキャリアをつけた自転車をよく見かけますし、それを活用しない手はないのですから。
活用しなければ単なる重りですが、活用すれば立派なツールです。

人々が自転車先進国の自転車を見て新鮮さを感じるもののひとつに、リアキャリアの上手な使い方にあるとおもいます。パニアバッグなど、日本の殆どの人は知らぬものでしょうから。
サイクルトレーラー、カーゴバイク、これらにも自転車の可能性を大いに感じるものです。チャイルドトレーラー、キッズトレーラー・・・より安全で実用的な子供乗せ自転車のヒントがぎっしり詰まっています。地域に優しく人々が健康になる自転車、もっともっと積極的に活用されて然るべき乗り物だと思います。
前でも後ろでも、キャリアが付いているなら、せっかくだからとことん活用していきたいものですね。
Posted by 佐藤 at August 26, 2013 18:27
佐藤さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
たしかに前カゴだけに荷物を満載して、フラフラ走行している人なんかも見ますね。おっしゃるようにリアキャリアを上手く利用すれば、もっと安定して快適に走行できると思います。
日常的に買い物などで前カゴ満載になっている人は多いはずですから、もっとバランスを考えてもいいでしょう。
海外と比べ、相対的に自転車で荷物を運ぶという意識が少ないのかも知れませんね。カーゴバイクでなくても、やり方によっては意外に多くの荷物を運べるのに、それを知らない人が多いということでしょう。
もっと自転車のポテンシャルへの理解が広がるといいなとは私も思いますね。
Posted by cycleroad at August 27, 2013 23:51
素敵な取り組みですね。
被災者や貧困の人を助ける無償の炊き出しや自転車によるフードドライブやモバイルハウスによる住居支援等に活かしたいですね
Posted by 名無し at July 01, 2016 12:38
名無しさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
いろいろな用途に生かせるでしょうね。それぞれの用途ごとに創意工夫の余地がありそうです。
Posted by cycleroad at July 02, 2016 23:45
 
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