August 18, 2013

伸縮式や簡易型という発想も

日本では、自転車用のヘルメットを使わない人が大多数です。


オートバイのように法律で着用が義務付けられていませんし、そもそもママチャリで歩道を走行する人が大半ですから、必要ないと考えている人がほとんどでしょう。スポーツバイクに乗っている一部の人をのぞけば、ヘルメットをかぶっている人は見ません。

ヘルメットをかぶろう、などと言うつもりはありません。頭部の保護の重要性については誰もが理解していることですし、自己責任です。必要を感じた人が、かぶればいい話でしょう。結局のところ、かぶる必要性を感じていない人が多いということだと思います。

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かぶったほうがいいのはわかっていても、ヘルメットを着用したくない理由としては、髪型がくずれる、似合わない、降りた後に持ち運ぶのが面倒、暑くて鬱陶しいといったところでしょうか。自転車用のヘルメットは軽く、通気性も考えられていると思いますが、かぶりたくないと感じる理由もわかります。

そんな、ヘルメットが敬遠される理由を改善しようと考える人は少なくありません。3年ほど前、このブログでも取り上げたヘルメットが、このほど日本で発売されることになったようです。衝撃を感じた時、エアバッグのように瞬間的に広がって頭部を保護するという、スウェーデン発の新発想ヘルメットでした。

Hövding





これならば髪型がくずれる心配はありません。ヘルメットにエアバッグのシステムを持ち込むという斬新なアイディアを思いついたのは、スウェーデンの女子大生だと言います。価格は6万円以上するので、売れるかどうかはわかりませんが、これはヘルメットの概念を大きく変える製品と言えるでしょう。

自転車用のヘルメットというと、誰もが思い浮かべる形があります。デザイン的な違いが少なく選択肢が乏しい、無骨な感じで服と合わないといった不満を持つ方も多いに違いありません。このエアバッグ式は特別としても、もっといろいろなタイプのものがあれば、と感じる人もあるのではないでしょうか。

かさばって持ち運ぶのに不便なので、折りたたみたいと考えるのは、むしろ自然かも知れません。折りたたむ形や素材などを考慮すれば、強度的にも問題のないヘルメットが出来そうです。コンパクトになるヘルメットがあれば、持ち運びが不便という不満は軽減されるでしょう。

Collapsible Helmet, by Michael RoseCollapsible Helmet, by Michael Rose

Collapsible Helmet, by Michael RoseCollapsible Helmet, by Michael Rose

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メーカーも、折りたためるヘルメットを開発しています。こちらは横方向に幅が3分の1になります。なるほど通気孔の形状を変えれば、必要に応じてサイズを小さくすることも可能になりそうです。たたんだヘルメットをとめるベルトは、ヘルメット使用時に裾バンドとして使えるというのも一工夫です。



CarreraCarrera

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こちらは、上下方向に潰れるような形でサイズがコンパクトになります。さらに、ヘルメットにカバーが取り付けられるようになっています。このカバーを替えれば大幅にイメージが変わるので、ファッションに応じて違和感の少ないヘルメットになります。



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近年、パリやロンドン、ニューヨークをはじめ、世界各地の都市で自転車シェアリングが導入されています。必要な時だけ自転車が使えて便利ですが、乗る時に備えてヘルメットは持ち歩かなければなりません。持ち歩きやすいようにたたんで小さくなるという機能は、その重要性を増すことになりそうです。

自転車と共にヘルメットを貸し出すサービスを展開するところもあります。人件費をかけずに、貸し出し拠点に設けられたロッカーから取り出せるようになっていたりします。しかし、汗など衛生面の問題があります。身体に密着するものだけに、臭いなどが気になったり、管理が難しい部分もあるでしょう。

The Paper pulp moulded helmetThe Paper pulp moulded helmet

そこで、簡易型のヘルメットを使い捨てのように使うことを考えた人もいます。再生紙で出来ており、非常に低価格で製造出来ます。簡単な構造ですが十分な強度を持っており、ヘルメットとしての性能に問題はありません。共有自転車を使いたい時にヘルメットを持っていなくても、これがあれば助かります。



The Paper pulp moulded helmetThe Paper pulp moulded helmet

デザイン的には決して良いとは言えませんが、臨時に使うと割り切れば、見た目的には我慢できるレベルでしょう。再生紙を使うという点でエコですし、なんといっても安いのがメリットです。使いまわさなくても済むので、自転車シェアリング用に使う場合、衛生面や管理面で優れています。

The Paper pulp moulded helmetThe Paper pulp moulded helmet

自転車用のヘルメットにも、いろいろアイディアがあるものです。日本では需要が少ないこともあるのでしょうが、ヘルメットといっても画一的で、持ち運び性やデザインなどに不満を持つ人は多いと思います。そのあたりの不満や選択肢が少なさが、ヘルメットを使わない要因となっている面も否定できません。

もっといろいろな発想のヘルメットが出てくれば、不便や不満も軽減されるはずです。デザイン的にも、従来のイメージにとらわれない自由なヘルメットが出てくれば、ファッション性も増し、ヘルメットをかぶろうと考える人が増えてくる可能性があります。

少しずつ自転車の車道走行の必要性が理解され、警察や行政も、車道走行の徹底へと向かい始めています。それにつれ、ヘルメットの必要性を感じる人が増えてくる可能性があると思います。日本でも、もう少しヘルメットのバラエティが増えてきてもいいような気がします。





暑いのもうんざりですが、豪雨も大変ですね。今年は台風も多いらしいですし、穏やかな秋は期待薄でしょうか。

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この記事へのコメント
今あるものに対する不満、それが新しい物へのイマジネーションに繋がる良い事例ですね。

嫌だから被らない、ではなくて、被る必要性は分かっている、でも様々な理由で被りたくない、じゃあその理由を別の物に置き換えて…とても素晴らしいですね!!
Posted by maechan at August 19, 2013 17:09
cycleroadさん こんばんは。
賛否両論尽きることは無いようです。

自転車用のヘルメット!?
「被ったら絶対死なないの?」−> 死ぬことはあります。
「スポーツで乗る人の物でしょ?」−> 自転車に乗る全ての方の為のものです。
「自転車を降りると邪魔だよね」−> 命を守ってくれる(事がある)ものが邪魔ですか?
...

ママチャリに子供を一人か二人載せて、下り坂の歩道を
激走してくるお母さんがいます。
自身も、子供さん達もノーヘルです。
歩行者は勿論、ノーヘルです。

子供さん達も、歩行者にも大迷惑ですが、
お母さんにはそれより優先する何かが有るようです。
私にはまったく理解できません!!


少し話はそれますが...
新聞等でも自転車の事故による賠償問題が取り上げられています。
「自分が加害者になる」
「自分が被害者になる」=「自分が犠牲者になる」

”自転車に乗る人のモラル”を刷新するためには、何が必要なのでしょう。
すいません、今回のcycleroadさんのブログを読んで、
余計なことまで考えてしまいました。
Posted by Fischer at August 19, 2013 20:33
maechanさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ヘルメットには、まだまだ不満が多いのでしょうね。ただ、日本では不満があってかぶりたくないと言うより、あまり必要性を感じていないという人のほうが多い気がします。
新しい発想のヘルメットが需要喚起につながるのかは、微妙かもしれません。
Posted by cycleroad at August 20, 2013 23:24
Fischerさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
日本ではヘルメット自体にあまり関心がない人も多いと思います。必要性を感じていないのも事実でしょう。
行政が歩道走行で来てしまった結果、ということも大きいと思います。
小さな子供への着用の努力義務はありますが、強制されていない以上、それぞれの考え方によるのは仕方がないことだと思います。
ただ、おっしゃるようにモラルを向上させる必要はあるでしょうね。
Posted by cycleroad at August 20, 2013 23:33
ヘルメットに関しては子供への着用努力義務の域を出ていませんが、
最近では子供が交通事故の加害者になった損害賠償の裁判で、
ヘルメット未装着は親の監督責任(交通指導)を果たしていないという地裁判決がありました。
事故原因とは別に、ヘルメットの有無を判断材料とした踏み込んだ判決が増える流れになれば、
副作用としてヘルメット着用が普及するかもしれません。
Posted by Bosswo at August 22, 2013 11:55
Bosswoさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
たしかに子供が加害者になった事故で高額の損害賠償が出た判決は話題になりましたね。
ヘルメットの未装着が親の監督責任の判断材料になっていたことに注目した人も少なくなかったと思います。
これがきっかけとなって、自転車保険に加入する人が増えたとの報道も目にしましたし、おっしゃるように、特に子供を中心に、ヘルメット着用への動きにつながるかも知れませんね。
Posted by cycleroad at August 23, 2013 23:24
 今年の五月、ロードレーサーで普通国道を時速30kmほどで走っていて、工事跡の縦溝にタイヤをとられ酷い落車をしました。その時の様子ですが、空中で半回転して左腰から地面に叩きつけられ、更に半回転して右側頭部を路面に激しくぶつけました。頭がアスファルトにぶつかった瞬間をよく憶えていますが、激しい事故の最中にあって、全ての衝撃をヘルメットが受け止めてくれて、頭部だけは、感覚としてはむしろふんわりと地面にぶつかった感じがしました。
 オートバイ時代から三十数年ヘルメットを被っていますが、実際に何かに激突したのは初めてでした。
この事故では左肋骨を骨折し、左腰部に激しい打撲痕が残りました。骨折は二ヶ月ほどで直りましたが、打撲跡はいまだに腫れと痺れが残っています。
 で、それほどの激しさで頭部を路面に叩きつけたにも関わらず、頭は布団にぶつけたほどの衝撃しか感じなかったのです。ロードバイク用のヘルメットはもの凄く華奢で、本番の時は大丈夫だろうかという不安が正直ありましたが、実は素晴らしいポテンシャルを持っていることを身を以て実感しました。長年ヘルメットをかぶり続けていたことが報われました。これからもヘルメットは絶対被り続けようと思います。
Posted by 河村浩一 at September 04, 2013 15:35
河村浩一さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
それは大変な事故でした。なるほど、ヘルメットのありがたみ、重要性を実感できたわけですね。
おっしゃるようにヘルメットが華奢で、どれだけ役に立つのだろうかと感じてる人は多いと思いますが、こういう話を聞けば、見直す部分もあるのではないでしょうか。
ヘルメットの効果はもちろんですが、打ち所の問題もあるでしょうから、激しい落車にもかかわらず、頭部へ致命的な衝撃が加わらずに幸いでしたね。
貴重な体験談をありがとうございます。


Posted by cycleroad at September 05, 2013 23:51
 
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