
自転車で出かけるのにも、いい陽気になってきました。
ついこの間まで、暑い暑いと言っていた気がしますが、気がつけば朝晩はめっきり涼しくなってきました。週末は自転車での外出を楽しんでいる人も多いと思います。今回は、例によって最近の自転車関連のニュースから、いくつかピックアップしてみたいと思います。
さいたま市 自転車快適に 専用通行帯など200キロ整備へ
さいたま市は来年度から約10年間で、市内で総延長約200キロにわたる自転車通行帯などを整備することを決めた。自転車利用者の安全を確保し、通勤や買い物の足として環境に優しい自転車利用を促すのが狙い。鉄道駅周辺を中心に整備する予定で、市の担当者は「快適に市内を移動するネットワークを形成したい」としている。
市などによると、都道府県別の1人当たりの自転車保有台数は埼玉県がトップ。平たんな道が多いさいたま市では自転車利用が盛んで、鉄道利用者の15%が駅と自宅の往復に自転車を利用するなど、市民の重要な交通手段となっている。
一方で、走行環境が整っている道路はごく一部だ。幅1メートル以上の「専用通行帯」が同市岩槻区東町にあるほか、幅の規定がない「通行帯」がJR北浦和駅近くに、段差や植樹などで車道との境を明確に分離する「自転車道」がJR大宮駅西口に設けられているが、総延長は約1.7キロにとどまる。
市は昨年9月、自転車通行帯などの計画的整備に向け、県警や国土交通省大宮国道事務所と検討会を発足した。本年度中に整備場所を選んで実行計画をまとめ、来年度から10年間をめどに工事を完了させる方針だ。
市が整備するのは「専用通行帯」「通行帯」「自転車道」など。道路幅が狭くて自転車の走行場所を線引きできない場合は、自転車のマークや矢印を道路左側に表示する。
自転車通行帯などのネットワークは、幹線道路など長い距離を移動する「広域ルート」と、広域ルートから鉄道駅や学校、商業施設といった主要施設へつなぐ「アクセスルート」を組み合わせるなどして構築する。
JRさいたま新都心駅周辺では来月26日、自転車競技大会「さいたまクリテリウムbyツールドフランス」が開催される。市はこの大会が自転車利用の拡大につながるとみており、放置自転車対策や交通ルールの啓発活動にも力を入れる。(2013年9月24日 東京新聞)
先日は千葉県の千葉市も似た計画を発表していましたが、東京近郊の都市では、自転車レーンの設置を目指す動きが出てきています。どのようなものになるか、今の段階ではわかりませんが、単に自転車レーンというだけでなく、「ネットワークの形成」という考え方に言及しているのは評価できるでしょう。
国際興業、女性限定のサイクリングバスツアー実施…トランクに自転車収納
国際興業グループは、女性サイクリスト限定の「サイクリングバスツアー(富士四湖女子会コース)」を11月9日に実施する。
サイクリングバスツアーは、参加者の自転車を観光バスのトランクに収納し、景色のよい目的地まで移動してサイクリングを楽しむもの。積載には独自に開発した専用積載キットを使用し、自転車を安心して運搬できる工夫をしているという。ツアーは2012年4月より発売し、これまで40回以上開催している。
今回は女性限定とし、ゲストライダーに元全日本チャンピオンの西加南子さんを招いて女性ならではのサイクリングアドバイスを予定。美容専門家も同行し、サイクリング後のケアマッサージなど美容アドバイスを行う。添乗員やサイクルサポーターなどスタッフは全員女性で、初心者が気兼ねなく安心して参加できるとしている。
コースは富士山も望める山梨県の富士四湖を設定。河口湖畔の「富士ビューホテル」をスタート後、河口湖と西湖、精進湖、本栖湖を回り、山梨県鳴沢村の温泉施設「富士眺望の湯ゆらり」までの平坦な45.8kmを走行する。旅行代金は昼食・温泉入浴付で1万800円。(2013年9月25日 レスポンス)
近年、ツアー会社などもサイクリング人気に注目するようになっています。女性向けのツアーも出てきています。いつも家の近所では飽きてしまうでしょうし、こうしたツアーは自転車以外に機動力を持たない人でも、気軽に遠くの観光地でのライドが楽しめます。女性や入門者の拡大にも一役買っているのではないでしょうか。
自転車保険の契約 急増 高額賠償判決で関心
自転車で人身や物損の事故を起こしたときに被害者への賠償金を補償する「自転車保険」への関心が高まっている。小学生が起こした人身事故で神戸地裁が七月に九千五百万円の損害賠償を母親に命じるなど高額判決が相次いでいることが背景にあり、自治体も保険加入を促している。
自転車保険を主力商品とする「au損害保険」(東京)は神戸の判決後に一日当たりの契約件数が倍増した。判決を受けて母親は控訴しており、「小さな子どもを持つ母親からの問い合わせが多い」(総合企画部)と説明する。
au損保は保険料が月額百円という手頃さで加入件数を伸ばしてきたが、賠償額は最大一千万円にとどまる。このため賠償額の上限を一億円とする保険をつくり、示談を代行するサービスも付けた。保険料は加入者本人だけが対象の場合には、年額四千五百円に設定した。三井住友海上火災保険はコンビニエンスストア最大手のセブン−イレブンで自転車保険を販売しており、神戸の判決が出た直後は一日当たりの契約件数が通常の三倍以上になった。判決の影響に加えて、保険の認知度が上がったことも大きいという。
自転車産業振興協会は二〇一三年の国内の自転車保有台数を約七千百五十万台と推計している。三井住友海上は自転車保険の潜在的な需要は大きいとみて今後も販売に力を入れる方針だ。
東京都は、都内だけで自転車事故が年間数万件に達していることから、七月一日に自転車の安全利用に関する条例を制定し、利用者の保険加入を努力義務とした。都の黒川浩一交通安全課長は「いざという時に泣かないため、最低でも他人の損害を賠償する保険には入ってほしい」と呼び掛けている。(2013年9月8日 東京新聞)
自転車事故への備え 加害者側には賠償責任も
自転車で加害者に 子どもに自覚必要
何度か取り上げていますが、自転車保険の契約数が急増しているようです。子供の起こした自転車事故の高額賠償判決がきっかけですが、保険加入は万一の時に、加害者・被害者双方のためになるわけですから、自転車保険への関心や契約が増えることは歓迎される傾向だと思います。
釧路の長期滞在者や観光客が重宝 レンタル自転車人気、市街地巡りや買い物
釧路市内で観光客や市民を対象にしたレンタル自転車の人気が高まっている。釧路市民活動センター「わっと」(釧路市末広町3)や「釧路まちなかコンシェルジュ くるる」(北大通9)は、避暑などで釧路を訪れる長期滞在者らへの貸し出しが好調だ。今季参入した自転車販売店は湿原観光を含む長距離走行を想定し、定期航空便でつながる台湾の自転車ブームをにらむ。 (後略 09/21 北海道新聞)
国内各地の観光地では、海外、とくにアジアからの観光客の誘致に力を入れるところが増えています。距離的に近い九州などだけでなく、広い地域に広がっています。ビザの緩和や円安などの追い風もあって、海外からの観光客が各地で増えていることが背景にあるようです。
その中で、日本でのサイクリングを楽しむ外国人も意識して、サイクリングコースの整備やレンタサイクルなどの充実に力を入れる動きが、ここのところ各地で報じられています。ママチャリではなく、スポーツバイクを用意するところも増えており、好ましい傾向と言えるでしょう。
貸自転車でGPS実験 美濃市など観光客の動向把握へ
美濃市などは、自転車を中心としたまちづくり「サイクルシティ構想」の一環で、市内のレンタサイクルの動きを調査する社会実験を始めた。利用者に衛星利用測位システム(GPS)を使って位置情報が記録できる小型装置を渡し、動向を把握して観光政策に役立てる計画だ。
市と大垣市の情報科学芸術大学院大学(IAMAS)、本巣市の岐阜高専のほか、地元企業などが連携した産官学プロジェクト。GPS装置では走行ルートや速度、滞在した時間などの情報が得られ、年代ごとの人気スポットや観光にかける時間などが把握できる。
実験は市観光協会と長良川鉄道美濃市駅で貸し出すレンタサイクルが対象で、情報提供に同意した観光客に調査を依頼する。利用者の多い同市曽代の道の駅「美濃にわか茶屋」にも対象を広げる予定。協力者には市観光協会で使える二百円分の商品券を配布する。
市などでは収集データを基に、新たな観光コースを提案するほか、観光案内の強化や新たな名所の開拓を目指す。あまり知られていない場所に多くの人が集まれば新名所となり、道を引き返す人が多ければ案内看板を設置するなどの活用が見込まれるという。
早ければ来年度から本格運用を始め、装置を使ったイベントなども企画する。IAMAS産業文化研究センター准教授の小林茂さん(43)は「美濃には魅力的な観光資源がたくさんあるが、それぞれが孤立しがち。点と点をつなぎ、線や面にした観光の提案ができれば」と話していた。(2013年9月22日 中日新聞)
単に自転車ブームに乗ろうと、急ごしらえでレンタサイクルを用意したり、サイクリング客への宣伝を強化するだけでは、観光客の心はつかめません。自転車利用者の利便性や快適性、安全性を向上させるために、GPSロガーでデータをとって活かそうというのは、一歩踏み込んだ取り組みと言えるでしょう。
自転車用ヘルメット 高校生らデザイン 所沢で披露
自転車用のヘルメットをおしゃれに、かわいくかぶってもらおうと、高校生らがデザインした創作ヘルメットのコンクールが二十一日、所沢市並木一の所沢航空記念公園で開かれた。
所沢市の県立芸術総合高校美術部の生徒と教諭が児童用九点を、地元老人クラブの高齢者が大人用十四点を出品。児童用は夜空と星を頭上に描いたり、イチゴのへたや種を再現したりと独創性あふれる作品が中心。大人用は、不用になった服の布で帽子に見えるようにするなど実用的な作品がそろった。
県警によると、自転車乗車中の事故で死亡した人のうち約七割は頭部を損傷している。作品を出品した県立芸術総合高一年の並木美奈さん(16)は「ヘルメットは命を守る大切な道具。かわいく工夫するなどして、必ずかぶってほしい」と訴えた。 (2013年9月22日 東京新聞)
地味なニュースですが、中高生にヘルメットを強制するだけでは反発され、かえって嫌われて、その定着は期待できません。ヘルメットに自ら関心を持ったり、愛着を感じるならば、ヘルメットへの反発も減るでしょう。自発的に装着し、習慣となれば、将来的に愛用する確率も高まるかも知れません。
兵庫県西宮警察署とタイアップ、「自転車マナー向上ラッピングバス」運行
阪神バスは21日から、兵庫県西宮警察署が進めている「自転車マナーアップ」運動のシンボルマークをデザインしたラッピングバス「めざせ! 自転車マナーアップ号」を、西宮市内で運行開始する。
西宮警察署では、自転車が関係する事故が人身事故の約3割を占めていることなどを受け、歩行者と自転車が思いやりを持って行き交う場面を描いたシンボルマークを制作。交通ルールの遵守と歩行者への思いやりを持った行動を自転車利用者に呼びかけるため、このシンボルマークを活用している。
ラッピングバスの運行は、阪神バスと兵庫県西宮警察署とのタイアップにより実現。自転車のマナー向上を広く地域に呼びかけ、自転車の交通事故の防止を図る目的で、秋の全国交通安全運動の開始に合わせて運行を開始する。実際にラッピングが施される車両は、西宮浜営業所の路線バス1両。当分の間、西宮市内の一般路線(西宮山手線、鷲林寺線、西宮浜線、西宮浜手線、西宮団地線、西宮神戸線)で運行されるとのこと。(2013/09/20 マイナビニュース)
自転車のマナー向上は必要だと思いますし、ラッピングバスを使うのもいい方法だとは思います。しかし、せっかくのラッピングなのに、ほぼ文字だけで、全く目立ちません。目の前を通っても目に入らないでしょう。あまりのセンスの無さに目眩がするのは私だけでしょうか。
路側帯 自転車は左側通行/改正道交法、年内施行
自転車が双方向に通行できた道路の路側帯が、法改正により車と同じ左側通行に限定される。右側通行を禁止し、車やバイクと同じ「車両」という扱いを明確にした。規制は6月に成立した改正道交法に盛り込まれ、年内に施行される見通し。制度変更による混乱や事故を避けるため、香川県警などは周知に努めている。
路側帯は、道路両側に実線が1〜2本、または実線と点線が入った区分のこと。実線1本の路側帯や、実線と点線の「駐停車禁止路側帯」は自転車の通行が可能だが、実線2本は「歩行者用路側帯」のため、自転車の通行はできない。
県警や県によると、県内の道路総延長約1万キロのうち、歩道のない道路は約9千キロ。路側帯は、人の通行量が多い一方、歩道が確保できない狭い道路に設置されるなど市中心部や学校周辺に多い。駐停車禁止路側帯は県内に約50キロあり、大半が高松市内に設けられている。
左側通行限定のメリットとして、県警は、歩行者保護や自転車の対面通行による衝突回避などを指摘。「車やバイクにとっては進行方向が同じとなり、自転車の動きに気付きやすくなる」とする。
昨年の県内の自転車事故1724件のうち、最も多かったのが交差点の出合い頭で796件。左側通行が徹底されれば、車と自転車が出合い頭に衝突する危険性は右側通行時よりも減ると指摘される。
ただ、歩道上は法施行後もこれまで通り右側通行が可能なため、混乱も生じかねない。県警は「改正法施行を機に、どの道路でも自転車は左側を通行するという意識を持ってほしい」と呼び掛ける。
路側帯が左側通行になれば、自転車の追い抜きや並走などの増加も予想されるため、県警は既に法改正を知らせるチラシを作製し、周知を開始した。自転車の通行量が多い時間帯に合わせ、交差点や道路で指導・警告や悪質な場合は取り締まりを行う考えだ。(2013/09/22 四国新聞)
6月に法改正された時も、あまり注目度は高くありませんでした。今まで、路側帯のある道路では、右側走行が合法だったのを正した、重要な改正です。本来は当たり前であり、改正は遅きに失したとは言え、これが改正されたことで、一部で逆走が取り締まれない状態が解消したわけです。
ただ、一般の認知度は低く、そもそも改正前のルールも知らない人がほとんどでしょう。今後、各都道府県警は、自転車の左側通行の指導徹底が求められるわけですが、この認知度の低さ、人々の中にある、自転車で逆走することの危険に対する無頓着さが問題となりそうです。
バンコクで「カーフリーデー」 自転車2万台走行


22日、マイカーの利用を控える「カーフリーデー」のイベントがバンコクで行われ、約2万台の自転車が王宮前広場からショッピングセンターのセントラルワールド前まで走行した。
イベントを主催したバンコク都庁のスクムパン都知事もぎこちない様子で自転車にまたがり、自転車や公共交通機関の利用促進をアピールした。(2013年9月23日 ニュースクリップ・タイランド)
中国で市民の環境保護意識が高まる、「自転車愛好家」がじわじわと増加―華字メディア
中国で自転車が再びブームを迎えつつある。大気汚染問題に関心を寄せる大都市の高学歴層を中心に「自転車愛好家」がじわじわと広がっているようだ。19日付で日本新華僑報網が伝えた。
改革開放から35年。国内総生産(GDP)は飛躍的に伸び、ものすごいスピードで経済成長を遂げた中国だが、これと同時に環境汚染問題に悩まされるようになった。豊かになった人々がこぞってマイカーを持つようになり、都市の大気汚染は深刻な状態となっている。
中国の大都市に在住する音楽プロデューサーの王さんは、ここ数年で自転車を5台も新調した。通勤用、短距離用、長距離用などと用途が分かれている。最近の中国では王さんのようにマイカーを手放し、自転車に切り替える“単車貴族”が増えている。そのほとんどが「三高」(高学歴、高収入、高役職)と言われる人たちだ。
現在、中国の一部の都市では自転車専用道路が設けられている。市が運営するレンタル自転車を1〜2時間無料で借りられるところもある。自転車は経済的であるだけでなく、二酸化炭素の排出を減らし、渋滞にも巻き込まれない。中国の市民の意識はどんどん変わりつつあるようだ。(新華経済 2013年09月20日)
新興国でも自転車の活用が注目されつつあるようです。これから、さらにクルマが増加していくと目されている国ですが、その中でも、あえて自転車を活用しようとする人が増えています。もちろんその背景には、渋滞や大気汚染への危機感があるのでしょう。
ランダムに取り上げましたが、各地で自転車に対する関心の高まりや、自転車環境の改善に向けた動きが、少しずつですが増えていると思います。もちろん、まだまだ問題も多いですし、事故などにも気をつけなければなりませんが、自転車に乗るには絶好の季節、ぞんぶんに楽しみたいものです。
直接関係ないですが、今年はスズメバチが多いらしいですね。黒いもの、動くものは狙われるそうです。
Posted by cycleroad at 23:30│
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