October 23, 2013

移動しながら別の事をしない

いわゆる、ながら歩きが問題となっています。


ケータイやスマホなどを見ながら、あるいは操作しながら歩く人が増え、駅などの混雑する場所での周囲の迷惑となっています。ぶつかってトラブルになったり、線路への転落なども起きています。先日は、死亡事故が起きてしまいました。あまり危機感のないまま、ながら歩きをしてしまったのでしょう。痛ましい事故です。


携帯に気を取られ?男性死亡 「ながら」歩き 相次ぐ事故

東京都板橋区で十六日夜、携帯電話を操作しながら歩いていた男性が踏切に進入し、電車にはねられ死亡する事故があった。スマートフォンや携帯電話の画面に気を取られ、駅のホームから落ちたり、人と接触したりする事故が相次いでおり、警察や鉄道会社は注意を呼びかけている。 

「ながら」歩き 相次ぐ事故板橋署によると、死亡したのは区内の無職男性(47)。現場は東武東上線大山駅に隣接する踏切で、事故当時、左右両側から遮断機が下り、警報機も鳴っていた。男性は携帯電話を操作しながら、中央部分に数センチ開いた遮断機の隙間を通り抜けて電車と衝突し、死亡したとみられる。

署が男性の家族に事情を聴いたところ、「自殺する原因は思い当たらない」と話したといい、「携帯電話の画面に気を取られ、誤って進入した可能性がある」と署幹部。近くにある飲食店の男性店員(38)は「同僚が事故を目撃した。警笛が鳴り、男性は踏切の中で驚いた顔をしていたそうだ」と話した。

今年五月には、新宿区のJR中央線四ツ谷駅のホームで、携帯電話を見ながら歩いていた小学五年の男児がホームに転落する事故が発生。その際、電車が進入したが、男児はホームと電車の隙間にいたため、あごをけがしただけで済んだ。

携帯電話をめぐる事故を受け、鉄道各社は車内放送やポスターなどで注意を促すキャンペーンを始めている。東武鉄道(東京都墨田区)も先月三十日以降、駅構内や電車内に「スマートフォンや携帯電話の『ながら歩き』は危険」という内容のポスターを掲示していた。広報担当者は「今回の事故は遮断機が下り、警報機も正常に作動していたので、電車の接近は気づくはず」と戸惑いがちに話した。(2013年10月17日 東京新聞)


歩きスマホ自転車スマホ事故のもと最近、よくマスコミなどでも、その危険性がクローズアップされるようになってきましたが、ながら歩きは既に常態化しています。ながら歩きの危険性、リスクについては多くの人が理解していると思いますが、果たして自制する人を増やし、事故を減らしていけるのでしょうか。

「ながら走行」も問題です。ケータイやスマホを見ながら、または操作しながら自転車で走行する人も、もはや当たり前のように見かけます。自転車を歩行の延長のように思っている人は多いですから、ながら歩きが増えれば、ながら走行する人が増えるのも、当然のことなのでしょう。

自転車の場合は、徒歩より速度が速いぶん、より危険は高まります。周囲にはクルマや他の自転車、歩行者などが混在しており、動きも複雑です。そうでなくても、出会い頭の事故が起きています。あまり大きく扱われませんが、事故も起きています。「ながら走行」が原因で高額の賠償が命じられた判例もあります。


携帯見ながら自転車走行、正面衝突で重傷負わす

大阪市北区の天神橋筋商店街で起きた自転車同士の衝突事故で、重過失傷害容疑で現行犯逮捕後、釈放された男性会社員(32)について、大阪区検は22日、過失傷害罪で略式起訴したと発表した。

9日付。大阪簡裁は同日付で罰金20万円の略式命令を出した。起訴状では、男性は4月10日夜、自転車で走行中に携帯電話の操作に気をとられて安全確認を怠り、対向の自転車と正面衝突。運転していた50歳代の男性を転倒させ、約5か月の重傷を負わせた、とされる。(2013年10月23日11時44分 読売新聞)


ケータイやスマホを使いながらの走行は既に禁止されています。道交法違反として送検されれば罰金です。「ながら走行」に肝を冷やす人も多いと思いますが、取り締まりの手が追いつかず、事実上、野放しのような状態になっています。取り締まられても注意で済むとタカをくくっている人も多く、実効性がありません。

Google Glass, www.google.com/glassこれだけ普及し、便利で生活の中で無くてはならないものになっている以上、移動しながら使いたくなる人は出てくるでしょう。自主的に立ち止まって、あるいは自転車を止めて使うようになっていけばいいですが、今のところ期待薄です。法律や取り締まりが抑止になっていない状況では、先行きが心配されます。

問題の拡大が憂慮されますが、技術的な解決を期待する声もあります。今のようなモバイルコンピューティングから、ウェラブルコンピュータへの移行です。具体的には、例えばグーグルグラスが挙げられます。メガネのような端末になり、視界の中に画面が投影されるような形になると言われています。

見ている景色とディスプレーが一体になり、半透明で景色を完全に遮らずに表示されるようになるようです。すでに、開発者などに先行して販売されており、どのような使い方が出来るかの研究や、アプリの開発などが進んでいます。近く発売が開始される見通しと言います。



スマホの代わり、あるいはそのインターフェイスとして使うことになるでしょうから、当然ですが、歩きながら、自転車で走行しながらの利用が想定されます。操作は音声で行ったり、メガネのフレームに触ったりすることになりそうです。アプリによって、いろいろな利用方法が考えられるでしょう。

例えば、写真や動画をとるとか、メールの送受信をする、ビデオチャットをする、検索して調べる、といった使い方は、最初からか、少なくとも早晩盛り込まれるはずです。GPSによる場所情報や、カメラによって景色を認識するなどして、ナビケーション機能も実現されるのは間違いないでしょう。

Google Glass, www.google.com/glass
メール送信

常時ネットに接続して使うようになることが予想されます。そうなれば、道案内だけでなく、今いる場所や見えている建物の情報とか、街の歴史などの知識、観光情報などが表示されたりすることでしょう。お薦めの飲食店の情報だとか、宣伝広告なども、いずれ表示されるようになりそうです。

外国で使えば、見えている文字を自動的に翻訳して表示したりも出来るようになる見込みです。顔などから人物を認識する技術も向上していますから、向こうから歩いてくる人物が誰で、どういう人なのか、表示されるようになるかも知れません。すべて視界の中に表示されます。

Google Glass, www.google.com/glass
ビデオチャット

いろいろな面で、今より便利になるのは間違いないでしょう。夢のような未来が実現していく予感にワクワクする人も多いと思います。しかし、一方で問題点も指摘されています。ウィンク一つで写真や動画か撮影できれば、当然ながら、プライバシーの問題なども起きてくるはずです。

最近問題になっているような、不謹慎な動画の投稿が予期せず拡大したり、リアルタイムに展開するかも知れません。顔認識によって、個人の居場所をリアルタイムに特定出来るようになる可能性もあります。視線の動きを捕捉して、何に興味があるか、などの個人情報が取得されるようになるのも時間の問題でしょう。

Google Glass, www.google.com/glass
ナビゲーション

便利になる一方で、「ながら歩き」、「ながら走行」の問題が解決するとは限りません。むしろ悪化する可能性があります。背景が見えているのだから大丈夫のような気がしますが、そうとは限らないのです。すでに、アメリカでは懸念する声が出ています。


波紋を呼ぶ「Google Glass」、使用を禁止する動きが米国で相次ぐ

米Googleが消費者向け製品を開発しているめがね型端末「Google Glass」について、装着を禁止する動きが相次くなど、波紋を呼んでいると複数の海外メディアが報じている。

米New York TImesは現地時間2013年5月6日付の記事で、Google Glassによる映像の撮影が顧客のプライバシー侵害につながるとして店内での使用を禁止すると表明した米シアトルの飲食店や、自動車運転中のGoogle Glassの装着を禁止する米ウェストバージニア州の法案などを紹介した。

Google Glass, Photo by Antonio Zugaldia,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.また米ラスベガスのカジノでもGoogle Glassを装着してギャンブルをしたり、ショーに参加したりすることを禁止している。カジノではコンピュータや録音機器の使用を禁止しており、Google Glassはこの規則に違反するという。

一方で、米Wall Street Journalは、Google Glassを使用するにあたってのマナーについて伝えている。同紙は、利用者は顔にカメラを装着していることを念頭に置き、更衣室や公衆トイレ、ビジネス会議、映画館といったカメラの持ち込みが禁止されている場所ではGoogle Glassを外すべきだとしている。

このほか米InformationWeekはテレビ番組やWebサイトなどさまざまな方面でGoogle Glassは批判や嘲笑の的になっているなどと伝えている。

Googleは、商品化前に開発者などにテストしてもらうことを目的として、Google Glassの早期バージョン「Explorer Edition」を販売するプログラムを実施しており、すでに同プログラムに参加した一部の人にはExplorer Editionが届けられた。

New York TImesによるとExplorer Editionを手にした開発者の数はすでに2000人。まもなく残りの8000人の手元にも届くという。同紙は「(Google Glassの使用を禁止する動きが各所で起きているが)これはまだ始まりにすぎない。Google Glassは今後多くの騒動を引き起こすだろう」とするプライバシー問題の専門家の見解も伝えている。 (ITpro 2013/05/08)



運転中の「Google Glass」装着を禁止に、ウェストバージニア州で法改正案

米ウェストバージニア州では、自動車やバイクを運転中にヘッドマウント型ディスプレイ付きウエアラブルコンピュータを装着することを禁じる法案が、現地時間2013年3月22日に提出された。可決されれば、米Googleが開発を進めている拡張現実(AR)機能を組み込んだめがね型端末「Google Glass」を使用しながらの運転は認められないことになる。

Google Glass, www.google.com/glass現在の同州の法律では、公道を走行しながらテキスト入力したり、ハンズフリー機能の無い携帯電話を操作したりすることが禁じられている。今回、同州議員11人が申請した法案は、これにヘッドマウント型ディスプレイ付きウエアラブルコンピュータを禁止対象として加えている。

ここで言うヘッドマウント型ディスプレイ付きウエアラブルコンピュータは、利用者の視界内に視覚的情報を投射するウエアラブル機器を意味している。同法案は、これを装着しての運転を違法と見なし、初犯で100ドル、2回目で200ドル、3回目で300ドルと、罰金を科すことを提案している。

米メディアの報道(TechCrunch)によると、禁止の理由は、運転者の目の前に情報が映し出されるため、テキスト入力するのと同様に注意力が削がれるおそれがあるとの考えからだという。

Google Glassを巡っては、米シアトルの飲食店がプライバシー侵害につながるとして、店内での使用を禁じるというメッセージを「Facebook」に投稿して話題になった。 (ITpro 2013/03/25)



「Google Glass」はプライバシー侵害? 米シアトルの飲食店が店内での使用を禁止

米Googleがまもなく発売する予定の拡張現実(AR)機能を組み込んだめがね型端末「Google Glass」について、米シアトルの飲食店がプライバシー侵害につながるとして、店内での使用を禁じるというメッセージをFacebookに投稿したことが話題になっている。

投稿はThe 5 Pointというバーの店主が行ったもの。「当店は、シアトルでGoogle Glassを禁じる最初の店になる。違反者は店を追い出されることになる」と記している。

Google Glass, www.google.com/glass米MyNorthwest.comがこの店主に取材したところ、店主が問題視しているのはGoogle Glassによる映像の撮影。店は人に知られたくないと思う客が多く来るプライベートな空間。だが、米Amazon.comの本社が近くにありテクノロジー好きの人が多く、店主は近い将来のことを危惧しているという。「Facebookへの投稿は半分ジョークだが、半分大まじめ。Google Glassによる店内の撮影は店の客にとって迷惑な行為になる」と述べている。

Forbesは、これについて、スマートフォンでも撮影は可能だがGoogle Glassは人に気づかれず撮影できるところが決定的に違うと報じている。Google Glassのこうしたプライバシー侵害への懸念は今後さらに物議を醸すことになり、Googleは問題が大きくなる前に対処する必要があるとしている。

一方Ars Technicahaは、Google Glassは撮影時に赤いライトが点灯し、一目で撮影中であることが分かるという点がこの議論で触れられていないと伝えている。むしろ議論の中心は密かに撮影されてしまうことでなく、撮影されたことに気づいた人がどう反応するかということ。将来多くの人がGoogle Glassをかけて外に出歩くようになれば、あちらこちらでいさかいが起こるかもしれないと伝えている。(ITpro 2013/03/11)


グーグルグラスのようなウェアラブルコンピュータによって、ハンズフリーになることから、自転車に乗っての利用は、一見安全になるような気がします。確かに、スマホと違って周囲の景色が見えているわけですから、危険を回避できることもあるでしょう。

Google Glass, www.google.com/glass
検索・情報表示

しかし、人間の対応力は限られており、ヘッドマウント型ディスプレイに表示された情報に注意をとられてしまうと、見えているのに、周囲の景色への注意がそがれてしまうことがあります。目ではなく、耳から入ってくる情報、例えば電話の内容に気を取られるだけでも、見えているはずなのに目に入っていなかったりします。

これは研究や実験で明らかになっており、日本の現在の道路交通法でケータイで会話しながらのクルマの運転が禁止されているのも、このためです。動画などを見る限り、大丈夫そうにも見えますが、視線がズレますし、耳より大きい目からの情報に気を取られれば、事故やトラブルになる可能性があるのは明らかです。

Google Glass, www.google.com/glass
翻訳・表示

冒頭の事故でも、踏切の警報音が聞こえ、遮断機や線路などを視線の端には捉えていたかも知れません。それでもケータイに気を取られた結果、事故に遭ってしまいました。メガネ型で見えていれば大丈夫なのではなく、「ながら」で、脳内の処理を同時にすることが危険を伴うのです。

ふだんは平気だと思って、ながら移動をしている人でも、緊急のメールなどに、思わず気を取られてしまい、周囲の状況が眼に入らなくなった経験はないでしょうか。もしかしたら、その次の瞬間、電車が目の前に迫っていることがないとは限らないと考えるとゾッとしないでしょうか。



せっかくの未来の技術にケチをつけたいわけではありません。新しい時代のスタイルを拒否したり、古い価値観にしがみつくつもりもありません。しかし、ケータイやスマホにウェアラブルコンピュータと、技術は進歩するのに、人間の能力や、社会のルール、人々のモラルなど追いつかない部分があるのも事実です。

特に日本では自転車の歩道走行もあり、自転車に乗りながら脳の処理する情報量が増えれば、高い確率で事故やトラブルになる可能性があります。ウェアラブルコンピュータが実現し、ハンズフリーになると共に、情報端末は高性能、高機能になり、多くの情報を扱うようになっていきます。

Google Glass, www.google.com/glass

技術の進歩が、かえって事故のリスクを増やす可能性は否定できません。法律で禁止しても、抑止されていないのでは、不幸な事故は防げません。新しい技術の実現は楽しみな反面、ながら移動の危険に対する実効的な対策については、喫緊の課題として考えていく必要があるのではないでしょうか。





阪急阪神ホテルズの偽装に、苦情や返金要求が殺到、そりゃそうでしょう。謝罪会見でなお、知識不足とか騙す意図はないなど言い訳に終始するようでは、利用者が怒るのも当然、企業の体質が疑われますね。

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