それは知らず知らず形成されていることもあるでしょう。いろいろな面にあると思いますが、自転車が趣味の人が、知らないうちに、自転車に関しての固定観念が出来ている場合もあるに違いありません。自転車はこういうもの、このほうが有利などという考え方がいつの間にか身についてしまっていることもあるでしょう。
そんな固定観念や思い込みですが、他の人の発想を見て気づくこともあります。世の中、いろいろなことを考える人がいるものですが、その発想はなかった、そんな考え方もあったか、などと感じることがあります。今回は、そんな例を挙げてみたいと思います。
黎明期に、オーディナリー型と呼ばれる前輪だけ極端に大きな自転車がありました。当時はチェーンが無く、駆動輪である前輪に直接ペダルがついていました。今の幼児用3輪車と同じ仕組みです。スピードを上げるためには、前輪のサイズを大きくする必要がありました。
今はチェーンによる後輪駆動が当たり前です。前後で大きさの違うギアを組み合わせることで、自在にスピードを調整することが出来ます。おそらくスピードを出すためだと思うのですが、後輪を大きくするという発想はありませんでした(笑)。ただし、実際にどれだけ速いのかは定かではありません。

幼児用の3輪車と言えば、こちらはソックリですが、幼児用ではありません。それどころか使用年齢は18歳以上に限定されています。大人になって、こんな3輪車に乗ろうとは考えたこともありませんでしたが、これは後輪を横滑りさせて、坂道をドリフト走行で下るレース用の3輪車です。
子供のオモチャを大きくしただけにも見えますが、アメリカでは流行っているようです。足は路面を滑らせてコントロールします。ロードのダウンヒルと言えなくもありませんが、自転車というより、別のスポーツです。地面との距離が近いぶんスピード感があり、コントロールしやすいのでしょう。

車輪に直付けのペダルと言えば、こちらも同じ構造です。そのため前輪が近く、ちょっと前傾姿勢でブレーキをかけたら前転してしまいそうに見えます。ペダルをこいでも、ほとんどスピードは出ません。実は、これ電動自転車です。アシストではなく、ペダルをこぐ必要のない電動自転車です。
そのため、ほとんど直付けペダルの必要はないと思われます。電動以外の時に実用的なスピードを得るためにも、普通にチェーン駆動のペダルでいいような気がしますが、ほとんどスピードが出ない直付けペダルと電動自転車との組み合わせというのがユニークです。

←参考;ペダルカー
子供用の乗り物と言えば、足漕ぎ式でクルマの形をかたどった4輪の乗り物、いわゆるペダルカーがあります。幼児期に「ブーブー」と口で排気音を真似しながら(笑)乗った思い出がある人も多いに違いありません。その当時は、実際にあるクルマに似せた形が気に入っていたのでしょう。
そんな幼児用ペダルカーを連想してしまう、キャデラックのクルマを模した自転車です。ハンドルにシフトレバーもついています。一方でペダルもついています。車体が重そうですが、キャデラック・マニアにはニーズがあるのでしょうか(笑)。大人になって、クルマを模した自転車とは意表を突きます。
キックスクーターで遊ぶ子供もあると思います。こちらは、自転車とキックスクーターを融合させた新しい二輪車、“Pibal”です。これまでにも、キックスケーターに大きな車輪をつけるなどの工夫をした、新しい変り種自転車をつくる人はありました。

こちらは、ほぼ自転車の形ですが、そのフレーム形状を工夫して、キックスケーターのように乗ることも出来るようにしています。押し歩きと普通の走行の中間の乗り方として使うのでしょうか。あまり考えたことがありませんでしたが、たしかに便利な場合もありそうです。

こちらは、竹で編まれたボディを持つリカンベントです。ゆったり乗れそうで、南国のリゾートに似合いそうなデザインです。よく見ると、こちらもペダル直付けで、スピードは出そうにありません。デザインモデルなので、そのへんの実用性は考慮されていないのでしょう。

竹をフレームに使う自転車はありましたが、こんなハンモックか、揺りかごを連想させるようなデザインは、これまで無かったと思います。涼しそうですし、これはペダルをこぐより、道端にとめて、ウトウト居眠りをしたくなりそうな自転車です。

こちらは籐でしょうか。籐製の家具というのは、よくありますが、籐の自転車というのは聞いたことがありません。夏向きで涼しそうではあります。スポーク部分やチェーンホイールまで籐である必要はないと思いますが、見た目には涼しげです。

籐の家具があるくらいですから、実際にサドルやハンドルグリップ、フレームなどを籐のカバーで覆う手はありそうです。夏用の自転車という発想はありませんでしたし、実際聞いたこともありませんが、見た目や肌触り的に涼しげな自転車、ちょっと面白いかも知れません。
もう一つオマケ、自転車本体ではありませんが、暑い時に使う自転車用アクセサリーです。たしかに、ミストは体温を下げ、気化熱によってヒンヤリします。最近は、屋外の施設などにミストシャワーを噴出する装置が設置されているところをよく目にします。

しかし、それを自転車走行中に使うという発想はありませんでした。ボトルの水を頭からかぶったりすることを思えば、なるほど、こういう器具があってもいいでしょう。わざわざハンドルにマウントして、レバーを使って自分で噴霧しながら走行するところがユニークです。
どれも、自転車はこういうものという固定観念があると、なかなか出てこない発想だと思います。それぞれについては、必ずしも欲しいとは限りませんが(笑)、子供のような遊び心や、常識にとらわれない自由な発想、意表を突く面白さがあったりします。
なんでもそうですが、門外漢や素人の発想が斬新ということもあるでしょう。使えるかどうかは別として、イマジネーションが刺激されます。自転車が趣味だったり、自転車に詳しくなればなるほど、ある種の常識のようなものが出来てしまっているということなのかも知れません。
楽天の優勝パレードの費用が足りないって、パレードは球団が市民の応援に感謝するのではなく、市民が球団に感謝するイベントだったんですね。