
だんだんと気温が下がり、寒い日も多くなってきました。
太平洋側では、風が弱く穏やかな日もありますが、日本海側や北日本では荒れた天気も多くなっているようです。そんな中でも元気に自転車に乗っている人も多いと思いますが、今回は例によって、最近報じられた自転車に関係するニュースの中からピックアップしてみたいと思います。
放置自転車修理し路上に…「わな」仕掛けた警官
放置自転車を持ち去り、修理した上で路上に置き直して自転車盗摘発の“わな”にしていたとして、警視庁は22日、田園調布署大岡山駅前交番の巡査部長(51)を停職1か月の懲戒処分とし、部下の巡査長や巡査4人を所属長訓戒処分とした。同日付で依願退職した巡査部長を含む4人を占有離脱物横領容疑で東京地検に書類送検した。
発表によると、巡査部長は4〜5月、東京都大田区北千束の路上や駐輪場に放置されていた自転車3台を部下に指示して交番に勝手に持ち帰るなどした。パンクを修理したり、鍵を外したりした上、7回にわたって繁華街や住宅街に置き、持ち去る者がいないか見張っていた。
部下の1人が同僚に不正を打ち明けたことから発覚。実際に摘発された人はいなかったが、1台は警察官らが目を離したすきに何者かに持ち去られたという。調べに対し、巡査部長は「他の署員と比べ、職務質問による犯罪の摘発件数が低調だったので、自転車を使って何とか犯人を捕まえたかった」と供述。部下4人は「やってはいけないと分かっていたが、上司の指示なので断れなかった」と釈明している。(2013年11月23日 読売新聞)
判例により、日本でのおとり捜査は事実上、薬物犯罪や銃刀法違反などに限られています。通常、おとり捜査でなくても犯罪が摘発できる場合には認められませんし、特定の犯人の捜査でなく、犯意のない人に機会を設けて罠にはめるような、犯意誘発型のおとり捜査は違法です。自転車盗の誘発が認められるはずがありません。
しかも放置自転車を勝手に持ち帰って捜査と称して使っているわけで、言語道断の行為と言えるでしょう。放置自転車に持ち主がいれば窃盗罪、投棄されたものであっても占有離脱物横領罪で犯罪です。摘発件数を上げるためという動機も含め、二重三重に論外であることは間違いありません。

こんな理由で、こんな捜査を安易に行う警察官の意識の低さ、レベルの低さに呆れます。少し前に、アメリカで似た事件が起こってニュースになっていたのを取り上げましたが、日本でも起こるとは思いませんでした。市民をから、もっと怒りの声があがってもいいくらいでしょう。
自転車盗が犯罪であることは言うまでもありません。しかし本来なら、そこでは起こりえなかった犯罪を誘発して、犯意を誘発されてしまった市民を犯罪者に仕立て、自分の手柄にしようというのですから悪質です。市民からの警察への信頼を失墜させる行為であり、懲戒や訓戒では処分が軽すぎるくらいではないでしょうか。
このようなケース、今回たまたまなのでしょうか。これまでに自転車盗として摘発された事例の中に、おとり捜査は無かったのでしょうか。放置自転車であろうと、勝手に乗って行ってはいけないのは当然ですが、警察官の成績のために犯罪が仕立てられていたケースが隠れているのなら問題です。
大阪府警黒山署、自転車盗件数過少申告の疑い
大阪府警黒山署が昨年に被害届を受理した自転車盗の認知件数を実際より過少報告していた疑いのあることが18日、府警関係者への取材で分かった。府警は今年6月に公表した堺署の犯罪統計の過少申告問題を受け、黒山署を含む計7署を調査していたが、見逃していた。府警は昨年分だけでなく、過去にさかのぼって黒山署の報告内容の調査を始めた。
同署の自転車盗の認知件数は今年1〜2月は月15件前後。3月以降、月30〜70件前後で推移した。今年10月末までに計487件と前年同期の3.4倍という。府警は今年6月、堺署で統計事務を担当していた男性巡査長が全国的に高水準の府警の街頭犯罪件数を少なくみせかけるため、2008〜12年の5年間で窃盗や器物損壊など6585件を過少報告していたことを公表している。
この問題は今年初めには府警内部で広く知られており、黒山署の担当者らが問題を申告しないまま適正な処理に切り替えた可能性もある。(日本経済新聞 2013/11/18)
自転車盗、他の署も不自然に増加 大阪府警が調査
大阪府警黒山署で自転車盗難事件の認知件数が過少計上されていたとされる問題で、ほかの複数の署でも昨年に比べ、認知件数が不自然に増加していることが18日、捜査関係者への取材で分かった。府警が経緯を調べている。
今年に入り、堺署の窃盗事件などの過少計上が問題化したことを受け、各署で認知件数を適正に計上するようになったことが原因の可能性もある。自転車盗難の認知件数が全国的に減少傾向なのに、今年1〜9月は昨年同時期に比べ、八尾署が438件増(1・74倍)、高槻署が293件増(1・50倍)などだった。(2013年11月18日 千葉日報)
これは逆のケースです。犯罪者を仕立てあげないにしても、犯罪件数を偽装するのは悪質な行為であることは間違いありません。これまでにも刑法犯を少なく見せかける偽装をしたり、紛失した証拠を捏造したりなど、偽装や隠蔽などの不祥事続きの大阪府警であることから、単なる怠慢ではなく、病根の深さが感じられます。
ブレーキ無し自転車「BMX」を乗り回していた男、警察の出頭要請無視で逮捕
昨年6月、東京都渋谷市内の国道20号でブレーキ装備の無い自転車に乗り、道路交通法違反での摘発を受けていた31歳の男について、警視庁は11日、この男を同容疑で逮捕した。それまでにも違反を繰り返し、警察への出頭要請に応じなかったた、逮捕に踏み切った。
警視庁・交通執行課などによると、道交法違反で逮捕された31歳の男は、2012年6月28日の午後5時ごろ、渋谷区代々木3丁目付近の国道20号で、ブレーキ装備の無い競技用自転車「BMX」に乗った疑いがもたれている。
公道でブレーキ装備の無い自転車に乗ることは禁じられているが、男は日常的にBMXを乗り回し、これ以前にも数回の摘発を受けていた。警察は男に対して出頭要請を何度も行っていたが、これをことごく無視。このため逮捕に踏み切ったという。
聴取に対して男は「ブレーキを装備していなくても、地面に足を付けば止まれると思っていた」、「自転車ぐらいで逮捕されるとは思っていなかった」などと供述しているようだ。(2013年11月16日 レスポンス)
出頭要請を再三無視すれば逮捕されるのも当然でしょう。もちろん、その前に危険です。自転車での逮捕が滅多に無いとしても、警察権力を甘く見るとこうなるという事例でしょう。警察の不祥事の多い中とは言え、道路交通法違反を繰り返したり、出頭要請を無視するのが正当化されるわけではありません。
「寒かった」自転車で連続信号無視、現行犯逮捕
自転車に乗って赤信号を無視したとして、岡山県警倉敷署は19日、倉敷市の無職の男(47)を道交法違反(信号無視)容疑で現行犯逮捕した。男が警察官の停止指示を無視して信号無視を繰り返したため、逮捕に踏み切ったとしている。今年に入り、自転車通行者が道交法違反容疑で逮捕されるのは2件目。
発表によると、男は19日午後2時50分頃、倉敷市二子の市道で自転車に乗り、赤信号を無視した疑い。パトカーでパトロール中だった同署員が、男の信号無視を確認。指導警告のために停止を求めたが、男は従わず、約300メートル先までの間に、さらに二度赤信号の無視を繰り返したという。男はスーパーから自宅に帰る途中。「寒かったので、早く帰りたかった」と話しているという。(2013年11月20日 読売新聞)
警察官に制止されても無視するんですから、いい度胸だと思います。自転車でも道路交通法違反に問われるという認識が無いのでしょうか。素直に止まれば逮捕まではないのが普通なのに、わざわざ制止を無視し、罪を重くして捕まるというのは短慮と言わざるを得ません。
伊勢谷友介、自転車盗難に遭う 捜索協力を呼び掛け
俳優の伊勢谷友介が、自転車の盗難に遭ったことが明らかになった。14日、本人がツイッターとFacebookで明かすとともに、「見つけたら連絡くださいm(_ _)m」と広く呼び掛けている。
伊勢谷は14日未明、ツイッターで「自転車盗まれました(°_°)」と報告。渋谷で盗まれたといい、「見つけた方、教えてください!!!」と呼び掛けると、盗まれた自転車の特徴を公開。フロントフォークやリアに自身が代表を務める「REBIRTH PROJECT」のロゴなどが入っていることを明かした。また、防犯登録もしているという。
「大好きな自転車だっただけに悔しい!!!」「朝になって、尚更腹立たしい(°_°)」と怒りをにじませた伊勢谷。ファンからは「どうか見つかりますように」「これは見たらすぐ分かりそうですね。了解しました!」といったメッセージが寄せられており、伊勢谷も「皆さん、リツィートありがとうm(_ _)m Twitterで見つかったら凄いな!!!」とSNSでの効果に期待を寄せている様子だ。
著名人がツイッターなどのSNSを通じて伊勢谷のように呼び掛けた例は過去にもあり、バイオリニストの高嶋ちさ子はスーツケースを盗まれた際にブログで捜索協力を求めるなどしていた。(2013年11月14日 シネマトゥデイ)
被害者の伊勢谷さんが述べているように、もしツイッター等で盗まれた自転車が発見されれば画期的だと思います。有名人でフォロワーも多いでしょうから、偶然誰かが発見するという可能性はあるでしょう。見つかればいいとは思いますが、常識的に考えると難しいだろうと思わざるを得ません。
これだけ情報の速い時代ですから、犯人も探していることは知るでしょうし、漫然と乗っているとは思えません。有名人のものと知らずに盗んで、リスクが大きいと放棄すれば別だと思いますが、わざわざ人目につくような場所にとめておくとも思えません。特徴的な目印も、そのままにしておかないでしょう。
SNSは、自転車が盗まれた際の発見のための有効な手段のように思えますが、フォロワー全てが協力してくれるわけではありません。ずっと忘れずに意識しておくというのも困難です。気をつけていたとしても、よほど特殊か、相当目立つ自転車でない限り、普通は近くを通っても気づかないに違いありません。
頭の隅にあったとしても、町の駐輪場をくまなく探してくれるわけではありませんし、日本にある自転車の数から言っても、干草の中で針を見つけるようなものでしょう。有名人なら多少は協力してくれる人が多いかも知れませんが、これが一般人だったら、ほとんど期待できないと思います。
高級自転車、盗難ご用心 京都で多発、対策は?
高級自転車を狙った被害が京都市内で多発した。近年の自転車ブームに伴い、リサイクルショップでも売れ筋の品。店側では、持ち込まれる自転車が盗品なのかどうか、見分けは難しいという。自転車を守るための対策は?
■24台を高値で転売
「金がなく、生活に困っていた。高級自転車の方が高値で売れるからやった」高級自転車1台を盗んだ疑いで8月に逮捕された30代の無職の男は、京都府警の調べにそう話した。
5月3日〜6月28日、伏見、南、左京各区の駅や病院の駐輪場などで、販売価格3万〜20万の高級自転車24台(総額約219万円)が盗まれる被害が連続発生した。いずれも施錠された自転車で、鍵のワイヤをペンチで切断したり、ダイヤル式の鍵を解錠したりして持ち去る手口だった。京都地検がうち3件を起訴し、現在公判中だ。
6月ごろ、盗まれた自転車がネット競売にリサイクルショップから出品されているのを被害者が発見し、府警に相談。府警は10月、24台全ての窃盗事件で男の関与を裏付け、捜査を終結したと発表した。
川端署によると、盗まれたのは、イタリアの「ビアンキ」やカナダの「ルイガノ」、米国の「キャノンデール」など。男は全てリサイクルショップで売り、生活費にあてていたという。男は「番号錠なら1、2分で合わせることができ、特技だ」と話し、防犯登録シールを完全にはがして店に持ち込んでいたという。(後略 2013年11月11日 朝日新聞)
ただ、換金しようとしてアシがつく例はあるようです。リサイクルショップを経由してネットオークションに出品されているのを被害者が発見し、持ち込んだ男まで、たどることが出来たようです。全体から見れば、ごく一部だとは思いますが、犯人が検挙される例も無いわけではありません。
自転車ドロ芸人が最終陳述でギャグ披露
他人の高級自転車をネットオークションに出品し、落札後にその自転車を盗んで、転売した事件で窃盗罪に問われた元お笑い芸人の兼島ダンシングこと兼島信茂被告(39)の公判が6日、東京地裁で行われた。検察は懲役2年6月、別件で懲役6月の計3年の実刑を求刑し、結審した。兼島被告はお寒い法廷ショーをやってのけた。
事件は今年5、6月に兼島被告が都内で高級自転車計5台(約50万円相当)を盗んだというもの。目をつけた高級自転車を事前に撮影だけして、オークションに出品。落札された自転車だけを盗み出し、購入者に引き渡していた。
兼島被告は「値段がつくのが分かるのと(先に盗むと)保管場所に困らなかった」と“予約窃盗”の巧妙手口を淡々と述べた。
兼島被告は今年4月に自転車窃盗で逮捕・起訴されていた。5月の犯行は保釈された1か月後の公判最中に起こし、6月の犯行は執行猶予付きの判決が出て、わずか2週間後だった。裁判長や検察官から“前の公判で反省していると言っていたのはウソだったのか?”と問いただされ「無施錠の自転車が同じ場所に置いてあると犯行したくなった」「(再犯に及んだのは)自分でもよく分からない」と弁明どころか心証を悪くするばかり。検察側からは「被告は反省していない。再犯するのは火を見るより明らか」と断罪された。
シドロモドロな兼島被告だったが、最終の意見陳述では“豹変”した。
「たくさんの方にご迷惑をかけた」と謝罪の弁を述べた後、「自転車を盗むのでなく、芸人なら“芸”を盗んでおけば良かった。それならば自分の肥やしになっていた。被害者も出ることはなかった。もう犯罪はしたくないです」とよもやのギャグで締めたのだ。この“最後っ屁”に裁判長をはじめ、法廷内はあっけに取られるばかり。
「(最終弁論では)自分の思いを話してくださいと伝え、事前に何を話すかは聞いていなかった。(ギャグを)先に聞いていれば言わせなかった」(弁護人)。判決は今月26日に言い渡される。(2013年11月10日 東スポ)
この事件は、発生時にも取り上げました。先に写真を撮ってネットオークションに出品し、落札したら盗むという新手の手口でした。犯人が捕まり、それがお笑い芸人だったとは聞いていましたが、どうやら犯行を認め、裁判が行われていたようです。

懲りずに何度も窃盗を繰り返していたとは知りませんでした。この記事はスポーツ紙のものですが、他紙を見ても、ふざけたギャグを言ったことは間違いないようです。本人は気の利いた台詞を言ったつもりだったのでしょうが、法廷で言う言葉でないことは明らかです。
ふざけて茶化している、窃盗という事犯の重大さがわかっていない、反省しているとは思えないと見られても仕方がありません。たかが自転車盗とでも思っているのでしょうか。何度も再犯していることも含め、浅はかとしか言いようがありません。
自転車事故で甲府市賠償
甲府市美咲の市道で2010年8月、同市内の女性(54)が自転車に乗っていた時に土手に転落する事故があり、市が「道路の安全対策が十分でなかった」として、女性に対し損害賠償517万円を支払うことで和解したことがわかった。市が21日、12月定例市議会の議案を説明する記者会見で明らかにした。和解の内容は宮島雅展市長が専決処分しており、市は12月議会で承認を求める。
市によると、女性は8月4日午後11時半頃、左カーブを誤って直進し、その先の行き止まりで約2メートル下の土手に自転車と一緒に転落。女性は手を骨折し、手の可動域が狭くなる後遺症を負ったという。市は、行き止まりに進入を避ける障害物を設置しておらず、カーブに外側線も引いていなかった。事故後、障害物と外側線を設置した。
今月8日、事故の過失を市が5割、女性が5割とし、通院や後遺症の慰謝料などを市が支払うことで女性と和解したという。長田孝文建設部長は21日、取材に対し、「安全対策をとるべきだった。危険箇所を点検し直し、同様の事故が起きないようにしたい」と話した。(2013年11月22日 読売新聞)
現場を見たわけではないので、どんな場所だったのかわかりませんが、当然、道が続いていると思ったら行き止まりだったということなのでしょう。知らない道の場合、誰でも十分起こりうる事故だとするならば、怖い話です。こういうこともあるという教訓にして、見通しの悪い場所は注意して通行するようにしたいものです。
サイクリングコースで自転車から投げ出され男性死亡 神奈川
神奈川・開成町のサイクリングコースで、自転車が路面のでこぼこに引っかかり、乗っていた男性が投げ出されて死亡した。23日、開成町のサイクリングコースで、走行中の自転車が路面のでこぼこに引っかかり、乗っていた会社員(51)が数メートル投げ出された。搬送先の病院で、24日朝に死亡した。当時、自転車はかなりのスピードが出ていたという。(11/25 FNN)
こちらも、どの程度の路面の凸凹だったのかはわかりませんが、道路に穴が開いていたり、舗装が部分的に剥がれていたりすることは、よくあります。その穴が見えにくい場合も十分考えられます。路面の状態やスピードにも十分注意したいものです。
◇ ◇ ◇
何らかの形で警察が絡むような事件や事故の話題ばかりになってしまいましたが、どれも自転車絡みなので、知っておいても損はないでしょう。犯罪に手を染めるのは論外としても、何かのはずみで自転車盗の犯人に仕立てられないようにしなければなりません。たかが自転車の違反と、甘く見ていたら逮捕されます。
警察の出頭要請や制止には従うべきです。BMXであろうとピストであろうと、ブレーキ無しは危険です。地面に足を付けてなんて止まれるものではありません。ちよっと勾配のある坂なら、競輪選手でも固定ギヤのペダルだけで止まるのは困難だと言います。当然、平坦でも止まれずに事故になるリスクは、いくらでもあります。
愛車を盗まれてから取り返すのは困難です。盗難対策を再確認しておいたほうがいいかも知れません。また、路上には、事故に至るケースがいろいろあることを、改めて肝に銘じておくべきでしょう。災難は忘れた頃にやってきます。一つひとつを他山の石、あるいは教訓として生かしたいものです。
訪日外人客に銭湯が人気だそうです。なるほど日本文化ですか。銭湯の減少に歯止めがかかるといいですね。