自転車の走行環境は、どうしたら良くなるのでしょうか。
地元の警察署や自治体の担当部署に陳情する、署名を集める、意見広告やそれを表明するイベントを開くなど、いろいろなやり方、活動があると思います。でも、直接具体的な政策に結びつくことが期待できるのは、選挙の際に、自転車政策を変えてくれる首長に一票を投じることでしょう。
事実、自転車政策を重視したロンドンのボリス・ジョンソン市長や、ニューヨークのマイケル・ブルームバーグ市長が当選したことで、両市の自転車環境は劇的に改善しました。このことは、このブログでも過去に再三取り上げたとおりです。
たかが自転車環境の整備と思う人もあるでしょう。でも、これによって渋滞の軽減や、交通事故の減少、大気汚染や騒音の低減などによる居住環境の向上、市民の運動不足解消による医療費の減少など、各方面に波及して成果をあげ、ロンドンでは五輪の成功にも貢献しました。
その意味では、今度の東京都知事選も、東京の自転車環境整備を推進する機会です。オリンピックも控えています。しかし、残念ながら日本では、自転車環境の整備の効果や重要性、世界の都市で近年注目される大きなトレンドであることが理解されておらず、市民にも、有効な政策と見られていない現状があります。
全国各地の自治体の選挙でも、自転車政策が公約として掲げられることは、あまりないと思われます。放置自転車が問題になっているとか、事故が深刻になっているなど、よほどタイムリーなことがない限り、自転車レーンや駐輪場の整備が選挙の争点にはならないでしょう。
市町村レベルの選挙だと、取り上げられても多くは予算規模が小さく、道路の整備の権限が限られます。より上位の自治体でないと現実的でない場合もあります。一方、国政も含め、都道府県レベルでは、なかなか道路行政の個々の問題が争点になりにくいのが実態ではないでしょうか。
自転車政策を変えてくれる首長に一票を投じると言っても、それが主要な政策として公約に掲げられない限り、自転車政策に対する民意の投票による実現は難しいのが現実です。ロンドンやニューヨークのようなケースは、そうそう期待出来ません。
来る都知事選でも、東京五輪の成功や、都市インフラの耐震化や防災、待機児童の問題、社会保障の充実など、さまざまな争点があります。さらに、細川元首相の出馬表明で、小泉元首相と連携した「脱原発」が争点として注目されつつあります。自転車政策が争点の一つになるのは見込み薄です。
自転車政策を掲げる候補を待っていても、出てくる可能性は低いでしょう。そこで、市民のほうから候補者に対し、自転車環境の整備を公約にするよう求めていこうと考えた人たちがいます。NPOの、自転車活用推進研究会です。「
新都知事とつくろう、TOKYO自転車シティ」というサイトを立ち上げています。
告示後、一定の署名数が集まった段階で、署名状況のレポートと要望書を各候補者に渡します。公約に受け入れるか否か、本キャンペーンの趣旨に賛同か否か、について期限を設けて回答を求めるわけです。得られた回答はサイト上に公開されることになっています。
実は、この手法、ロンドンのサイクリスト団体である、“
LCC”が、2012年の市長選で4万人もの署名を集め、候補者7名中、トップ得票者2名を含む5名が自転車政策の公約を受け入れた、という事例にヒントを得て、それにならったものだそうです。
今のところ、自転車環境の整備の必要性について、都政の公約にしようと考えている候補はいないと思われます。一般に日本では、あまり認知されていないのが背景ですが、その持つ意味や効果、そして世界の事例を見てもらえれば、きっと候補者たちにも理解してもらえるはずです。
予算の問題などはありますが、自転車環境の整備の必要性を理解してもらえれば、オリンピックもあることですし、反対する理由は少ない気がします。自転車政策は進めるに越したことがないとなれば、どの候補者も公約に入れてくれる可能性があります。
自転車政策など些末な問題と思われてしまうと、相手にしてもらえない可能性もありますが、自転車政策は、オリンピックへの取り組みをアピールする上でも格好の公約になるのではないでしょうか。主要候補が取り入れてくれれば、私たちの民意として、自転車政策が選挙で反映する可能性が出てきます。
少しでも票が欲しい選挙前ならば、公約への採用も十分可能性があるでしょう。上手くいけば、ロンドンの事例のように、誰が都知事になっても自転車環境の改善が期待できるという状況になるかも知れません。成功するかどうかはともかく、なかなかいいアイディアだと思います。
ちなみに、個人的には脱原発に賛成です。推進派は、燃料輸入で貿易赤字が膨らみ、電気代が高騰して日本経済がダメになると言います。かつてオイルショックで、安価で絶対安全なエネルギーと信じ込まされた時と同じです。おかげで福島の事故を招いたのに、喉元過ぎたら、また同じ過ちを犯させようとしています。
廃炉費用や最終処分費用などを考えたら、目先、安く見えるだけです。そのような近視眼的な見方で、再びこのような災害が起きたら、日本は再起不能になるかも知れません。専門家は、今回まだ幸運だったと指摘しています。建屋だけでなく原子炉が破断して放射性物質が飛び散るなど、もっと深刻、悲惨なケースもありえました。
水素爆発がおき、自衛隊のヘリの散水も命中せず、どうなるかわからなかった、あの恐怖を忘れるべきではないでしょう。放射性物質の拡散による農畜産業や漁業への被害は深刻で、いまだに回復していません。除染した放射性廃棄物の処分施設もまだです。後始末は40年もかかると言います。
百歩譲って再稼動を考えても、安全対策が十分ではありません。事故の検証もまだですし、津波ではなく地震による損傷が疑われるとする調査に対し、悪質な隠蔽も行われています。震度6の揺れで配管やバルブが破損したため、原子炉が停止してもベントが出来なくなった可能性が指摘されています。活断層の問題もあります。
電源車でお茶を濁していますが、本格的な非常用発電装置を設置するとか、地震の揺れで原子炉の圧力が下げられなくなる損傷が起きないような抜本的な対策、本来必要な構造的な安全対策が出来ていません。フィルターベントや免震重要棟のような設備がない原発まであります。
災害が起きたときの避難計画とか、ヨウ素剤の配布なども必要でしょう。いざ地震で原発が破損し、避難が必要になったら大渋滞は必至です。事実上、避難は不可能になる可能性があります。その対策すら全く考慮されていない状態で、再稼動するほうが無責任ではないでしょうか。
小泉元首相が言うように、廃棄物の最終処分の当てもありません。電事連などの、いわゆる原子力村と呼ばれる共同体はいまだに健在です。政治家やマスコミに対して工作する資金は、相変わらず我々の電気料金から出ています。こうした構造を残したままでは、本当に必要な安全対策が出来るわけありません。
私は、この原子力村の論理に再び騙されてはいけないと思います。そうそう大津波は起きないと考え、自らの利権を守ろうとしているのでしょうが、それを許せば日本を滅ぼすことになりかねません。もちろん、賛否両論いろいろあると思いますが、よく考えるべき問題だと思います。
脱原発より、高効率の石炭火力とか、バイオマス、地熱、風力、太陽光や太陽熱など、新しいエネルギー産業を興し、クリーンエネルギーで世界をリードしていくべきではないでしょうか。東海・東南海・南海3連動地震も危惧される中、拙速、なし崩し的に再稼動すべきではないと思います。
エネルギー政策が、都知事選の争点になるのはどうかという意見もあります。しかし、東京都は東京電力の大株主として影響力を行使できますし、大消費地として意思を示すべき問題でもあります。当分、国政選挙がない中で、政府に国民世論を示す上でも重要です。何より、再びの惨事を防ぐへきではないでしょうか。
ちょっと話が脱線しましたが、自転車環境の改善を新都知事に求めるというアイディアに賛同する方は、是非サイトを訪れてみてほしいと思います。そして、これは東京だけの問題にとどまりません。東京が変われば、それが全国に波及していく可能性は十分あります。
1月16日の夕方にサイトが開設され、開始から48時間で1千8百人が署名するなど、良い出だしとなっているようです。このサイトに書かれている内容、趣旨は、私がこれまで10年近くにわたり、このブログで主張してきたことと、ほぼ一致しています。私も全面的に賛同します。
署名自体は、簡単に出来ます。もちろん私も署名しました。東京都民でない人でも署名できます。もし首尾よくいけば、日本の自転車走行環境の将来を変えていく可能性を秘めていると思います。興味のある方は、ぜひ
サイトを訪れてみてほしいと思います。
サイトのことは、このキャンペーンの責任者、小林さんにメールで教えていただきました。ありがとうございます。興味のある方、ぜひ拡散をお願いします。
次期都知事には、「資本(が主人公の)主義から人間(が主人公の)主義に」、「クルマ(が主人公の)社会から人間(歩行者)(が主人公の)社会へ」をスローガンに掲げるヒトを選びたいね。
参考、
細川護熙氏が出馬会見 ://blogos.com/article/78520/?axis=g:0
「世界が生き延びていくためには、豊かな国が多消費型から共存型へかえていくしかないと思っています。成長がすべて解決するという、傲慢な資本主義からは幸せは生まれないと思っています。 」