April 03, 2014

無数のロボットが空飛ぶ時代

最近、ドローンが話題になることが増えています。


ドローンというのは、無人航空機のことです。UAVとも言います。一番に思い浮かぶのは、アメリカの無人偵察機や無人攻撃機でしょうか。イラク戦争などでクローズアップされました。世界各国で開発が進んでいると言われ、先日は北朝鮮のものと思われる機体が発見されて話題になりました。

Predator, This image is in the public domain.Global Hawk, This image is in the public domain.

軍用機ばかりではありません。飛行機型だけでなく、ヘリコプター型もあって、農薬散布などに使われてきました。ラジコンで操作するだけでなく、最近はGPSを使って、設定されたコースを自動に飛行するものもあります。日本から中国に不正に輸出され問題になったのも記憶に新しいところです。

そのほかにも、人間が入っていくのが困難な場所で高圧電線を張ったり、航空写真の撮影をしたり、災害の調査などにも使われています。橋やトンネルなどのインフラの老朽化が問題になっていますが、その検査に活用することで、大幅なコストダウンをねらう自治体も増えているそうです。

北朝鮮の無人機?

近年は、半導体技術や無線通信技術、モーターや電池などが進歩し、製造コストも大幅に下がりました。個人にも身近なものになり、趣味としてラジコン操縦で飛行する小型のドローンを楽しむ人も増えています。当然ながら、これを新たなビジネスに使おうと考える企業も出てきます。

注目されたのが、アマゾンの「Prime Air 構想」でしょうか。これまでのように宅配便で運ぶのではなく、注文を受けた商品を、ドローンで直接顧客の家まで届けようというものです。これにより、配送時間が大幅に短縮されます。サービス稼働には、まだ数年かかるものの、技術的には可能になっていると言います。



フェイスブックは、上空2万メートルの高高度を飛行するドローンを使い、ネット接続に使う構想を打ち出しています。このドローンは航空機型でソーラーパネルで駆動力を確保し、数ヶ月間でも飛び続けることが出来るものです。そのための企業を買収するなど、着々と計画を進めています。

新しい分野なので問題もあります。当然ながら安全上の懸念やプライバシーなども問題になるでしょう。現在のところ、アメリカでも商用利用は法律で規制されていますが、一大産業に育つとの期待も高く、全米各州で規制緩和への議論が始まっているようです。

商用以外では、警察などが犯人の捜索や監視などに活用し始めていると言います。国境警備やゴミの不法投棄の監視などにも使われ始めています。マスコミが取材に使ったり、例えば緊急通報を受けてAEDを届けたり、薬を届けるのに使うような構想もあります。

Cyclodrone, www.frogdesign.com

雪山で遭難などが発生した場合、救助に向かうにも、深い雪の中で移動するには時間がかかります。ドローンなら、人の足やスノーモービルで入っていけないような場所へも移動可能です。不明者を捜索したり、救急キットを届けたり、雪崩の危険を未然に発見するなど、多目的に使うことも考えられます。

Cyclodrone, www.frogdesign.com

火災が起きたとき、消防隊の到着までの間に、ドローンが建物の中の逃げ遅れた人を探すことも考えられます。ドローンなら、有毒ガスの中でも移動できます。カメラで撮影した内部の様子を消防隊に伝送したり、逃げ遅れた人を適切な経路で誘導し、避難させるような機能も期待されます。

Cyclodrone, www.frogdesign.com

地形が平坦でなく、農業用車輌が入って行きにくい農地で肥料を散布したり、生育状況を調べたり、収穫するような農業用ドローンなども考えられます。林業なども含め、人間には危険だったり、時間がかかったり、苛酷な労働をドローンが補助、代替してくれる可能性があります。

'B' the flying car'B' the flying car

無人飛行するだけでなく、走行も可能なドローンを開発している人もいます。ハブレスのタイヤ部分にプロペラもついていて、クッションにもなっています。もし未来において、空飛ぶ自転車が実現するとしたら、こんなフォルムになるのではないかと思わないでもありません。



空が飛べる自転車の実現は、そう簡単ではないと思いますが、ドローンは自転車用品として活用される可能性があります。frog design社が開発を進める、“ Cyclodrone ”です。これを使うと、小型のドローンがサイクリストの前後を自動的に飛行することになります。

Cyclodrone, www.frogdesign.com

手持ちのスマホに連動し、設定したルートの道案内をしてくれます。言ってみれば、空飛ぶナビということになります。手元のスマホの画面を注視するのは危険ですが、前方を飛ぶドローンを追いかけるのであれば問題ありません。もちろん、速度にあわせ、適切な車間距離を保ってくれます。

前方を飛ぶ“Cyclodrone”は、露払いの役割も果たします。交差点などで先行し、ビーコンの点滅によって、このあと自転車が続いて来ることを周囲の人やクルマに伝えます。後方から追随してくるもう一台のドローンは、見通しの悪いカーブなどで、後続車に、この先自転車が走行していることを知らせ、事故を防ぎます。

例えて言うなら、大統領専用車の前後を固める白バイに似た感じでしょうか(笑)。また、カメラも搭載しているので、イザというときは、ドライブレコーダーとしても機能します。サイクリストとは別に飛行していますので、客観視点からの画像が撮れ、事故の衝撃で一緒に破損することもありません。

もちろん、ツーリングの記録映像として残すことも出来ます。ハンドルバーやヘルメットに取り付けたカメラと違って、自分撮りしたような映像が撮影可能になるわけです。車載カメラのように、路面の凹凸を拾ってブレた映像になることもありません。

マルチコプターPhantom 1

自転車用品のフロントやリアのライト、ナビ、ドライブレコーダーなども、当然進化していくだろうとは思っていましたが、まさか空を飛ぶようになろうとは考えませんでした。多くの人が、夢にも思わなかったような未来の形なのではないでしょうか。

ドローンの航続距離の問題などもあって、すぐに実用化できるわけではありません。しかし、ドローンが身近に、当たり前のように私たちの生活の中に入ってくる可能性があります。クルマが最初に登場した時も、人々はそれが一般的なものになるとは思えなかったと言います。その意識が変わるのに数十年はかかりました。

ラジコンのハイテク玩具としてならともかく、ドローンが至るところを飛び回る未来なんて、まだ実感がわかない人が多いに違いありません。しかし、今ではクルマで移動するのが当たり前になったように、ドローンが一般的なものになる可能性は十分にあると言えるでしょう。

AR.Drone 2.0AR.Drone 2.0

今後、どんなドローンが出てきて、どのような使われ方をするのかはわかりません。ただ、ライト兄弟の昔ならいざ知らず、今は物体が空を飛ぶのは不思議でもなんでもありません。数万円も出せばラジコンで操縦できる高性能なドローンが簡単に手に入ります。案外、近い将来、ドローンが飛回る時代が来るかも知れません。

軍事の世界では、無人機による戦争の懸念が現実となりつつあります。これには生物・化学兵器などのように、国際的な歯止めの必要が叫ばれています。ドローンの平和的な活用にしても、空間利用の秩序や安全性、プライバシーの確保などのルールが必要になります。

おそらく、そうした環境は早晩整備されることになっていくのでしょう。人類が航空機などによって空に進出して久しいわけですが、人が直接飛ぶのではない、また新たな空の活用が進みそうです。ドローンによって、私たちの生活の常識が大きく変わる時代が近づいているのかも知れません。





ビル解体現場の足場が倒れた事故、もしかして、建設関係の深刻な人手不足とかが影響しているのでしょうか。

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