May 06, 2014

人にニーズを気づかせる製品

人々の価値観は多様化しています。


日本でも、高度経済成長の時代には大量生産された工業製品が売れました。量産効果で安くなって、さらに普及する循環でした。しかし、近年は人々の好みや価値観は多様化し、工業製品も画一的なものではなく、多品種少量生産された、個性的で多様なニーズを満たすものが求められるようになっています。

前回は、自転車やその関連商品について、少しでも他の製品との差別化を図るべく、今までの常識を打ち破ろうとする新しい発想、アイディアを取り上げました。なるほど自分の中に、ある種の固定観念があったことに気づかされるものもありました。

自転車やその関連商品に新しい価値をもたらすと言っても、人々のニーズは多様です。誰かが「これは便利だ。」と絶賛しても、別の人は「全く欲しいとは思わない、必要としない。」かも知れません。さらにニッチなニーズを満たす必要が出てきている面もありそうです。

ニーズや機能以外にも、デザインやスタイルの違いが売れ行きを分けることになります。もちろん、広く大ヒットする可能性がないとは言いませんが、何をクールと思うかも多様化しており、万人受けでなく、より尖った、個性の強い製品でないと埋没してしまい、認知すらされないこともあります。

SPEED UP BAGSPEED UP BAG

SPEED UP BAGSPEED UP BAG

例えば、この“SPEED UP BAG”です。ハンドルバーに取り付ける、いわゆるフロントバッグですが、その名の通り、スピードをアップさせます。形がカウリングとか、フェアリングと呼ばれる風防のような形をしています。この形によって空気抵抗を減らそうというアイディアです。

SPEED UP BAGSPEED UP BAG

オートバイについているカウルにも似ています。乗り手全体の風防になる大きさではありませんが、これによって、よくある直方体のバッグより2.5倍ほど空力に優れ、乗り手を含め15%ほど空気抵抗を減らし、6%程度のスピードアップが見込めると言います。バッグの容量は4リットルあり、もちろん防水仕様です。



ツーリングなどに出かける際、なるべく減らしたとしても、どうしても必要な身の回りの品があります。どうせ収納するなら、空気抵抗を減らすカウリングにしてしまおうというアイディアです。これを便利で画期的、カッコいいと思うか、到底使えないと思うかは人それぞれでしょう。



こちらの動画、ただ見ただけでは、何が違うのかわからないのではないでしょうか。実はペダルを逆回転させて坂を上っています。スピードを出して惰性で上っているのではありません。そう言われてから見直すと、確かにペダルを逆回転させていることがわかると思います。

Pedals Backwards and Forwards

Pedals Backwards and Forwards

スプロケットに通常回転と逆回転用の2種類のホイールがついています。普通に前進するギヤはペダルを逆回転させる時にはフリーホイール機構で空回りし、逆回転ギヤが前方向への推進力を生みます。順回転させている時には逆回転ギヤはフリーホイールで空回りするということのようです。

Pedals Backwards and ForwardsPedals Backwards and Forwards

ペダルを逆回しさせても空走しないというのは独特の感覚なのではないかと思います。ただ、シングルギヤ、シングルスピードの自転車、いわゆるフィクシーもありますし、コースターブレーキのようにペダルを逆回転させるとブレーキがかかる自転車もあります。

この方が売ろうと思っているかどうかは別として、ユニークな発想なのは間違いないでしょう。乗ってみたわけではないのでわかりませんが、素早くギヤを切り替えられるわけで、案外便利なのかもしれません。ただ、欲しいかどうかと言われれば、人によるでしょう。

Ass SaverAss Saver

Ass SaverAss Saver

泥除けも、人によって使う使わないが分かれるパーツだと思います。ただ急に雨になった時や、雨上がりで水たまりがある時など、フェンダー、マッドガードがあれば、泥はねを軽減出来るのは確かです。ウェアの背中に跳ね上がった泥汚れは、洗濯しても落ちにくいというのもあります。

Ass SaverAss Saver

これまでにも、空気で伸び縮みする泥除けなど、いろいろなアイディアがありました。これは、簡単に取り付けられ、サドルの下に簡単にたたんでおくことも出来ます。たためば隠れてしまうので、見た目も問題ないでしょう。重量も僅かなので、急な雨に備えておくのに向いています。



フェンダーは、もっとタイヤの近く、あるいはシートポストに取り付けるのが常識的なスタイルだと思います。それをサドルに取り付けてしまうと、泥除け効果がどのくらいあるかという問題が出てくる気もしますが、シンプルな方法ではあります。フェンダーはカッコ悪いと敬遠する人にも選択肢になるかも知れません。

Urbanized Cycling ShoeUrbanized Cycling Shoe

こちらは、ビンディングシューズです。通勤などで自転車に乗っていれば、雨に降られることもあります。レインウェアを着て、靴にカバーをかけたりする人もあるでしょう。それでも、雨が染みてビンディングシューズの中まで濡れることもあり、不快なものがあります。

Urbanized Cycling ShoeUrbanized Cycling Shoe

このビンディングシューズは、通勤などにも使えるようシンプルなデザインで、このまま街を歩いていても違和感がありません。それだけでなく、雨が降っても靴の中に水が入らないような構造になっています。もちろん素材は防水、撥水仕様です。

Urbanized Cycling ShoeUrbanized Cycling Shoe

ユニークなのは、安全を考え、靴のかかとの部分にLEDがついていることです。反射材が取り付けられ、ライトが当たると光るシューズはあっても、LED内臓のビンディングシューズというのは聞いたことがありません。テールライトとして機能し、上下に動くことで、より視認性が高まるものと思われます。

Bike Washing MachineBike Washing Machine

こちらは自転車ではありませんが、室内で自転車をこぐトレーニングマシン、エアロバイクに洗濯機を融合させた、その名も“Bike Washing Machine”です。ペダルをこいで洗濯をしようというアイディアは、これまでにもありましたが、これはなかなかスタイリッシュです。

ペダルを使った人力洗濯機というより、エアロバイクに洗濯機能を取り付け、どうせ運動するならば、そのエネルギーを使って洗濯してしまおうというコンセプトです。家庭でも、ダイエット目的などでエアロバイクを使う人がいますが、エアロバイクと洗濯機を合わせれば、スペースも省ける可能性があります。

Bike Washing Machine

自転車好きには、よく聞くアイディアですが、世間一般の目には、エアロバイク式の洗濯機というのは新しい機器と映るのではないでしょうか。電気代がかからずエコですし、エアロバイクで運動するエネルギーも無駄になりません。エアロバイクをこがないと洗濯物がたまっていくというのも、いいモチベーションになります。

もちろん、これをどう評価するかは、人それぞれです。でも、洗濯機は電化製品という常識を捨て、家電メーカーが製造しても面白いのではないでしょうか。洗濯機メーカーも製品の機能やデザインを競っていますが、その中の一つにダイエット機能つき、節電どころか電力不要という機種があったら斬新かも知れません。

◇ ◇ ◇

人々の価値観は多様化し、そのニーズはいろいろです。でも、まだ満たされていないニーズもあるに違いありません。ニッチに見えても、意外にニーズが大きかったり、誰もがその価値に気づけば広く認めるようなニーズもあるでしょう。人々が自分でも意識していなかったニーズもあるはずです。

かのスティーブ・ジョブズは、『多くの場合、人は形にして見せてもらうまで、自分が何を欲しいのかわからないものだ。』という言葉を残しています。製品になってみれば、確かに便利だ、面白い、欲しいというものもあるはずです。多様化しているのは確かとしても、まだまだ埋もれたニーズを探る余地はありそうです。





船に限らずトラックでも過積載は死亡事故を起こしかねません。取り締りを強化して教訓を生かすべきでは..。

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