その中心に据えているのが「女性の活躍」です。昨日開かれた「国際女性ビジネス会議」で講演した安倍首相は、「日本が発信源となり、女性が輝く地球を実現していきたい。日本が世界の女性の元気をリードしたい」と、日本が女性の社会進出を主導する決意を表明しています。
欧米諸国に比べて、女性の社会進出が大きく遅れている日本がリードするとは大きく出た感じがしないでもありませんが、女性の活躍支援は、これから労働人口の減っていく日本には不可欠の要素です。経済成長にも大きく影響するのは、そのとおりでしょう。
政府は、社会の指導的地位に占める女性の割合を2020年までに3割以上とする目標を設定しています。ほかにも待機児童の解消、育児休業期間の延長、職場復帰の支援、男性の育児休暇取得率の向上など、さまざまな政策目標が掲げられており、女性の採用に積極的な企業に対する税制上の優遇措置なども検討されています。
制度や待遇の上で男性と同等にするのは当然としても、それだけでは十分とは言えません。考え方や慣習などの男性が気づかないところにも、見えない壁や差別が存在しているのは、よく指摘されるところです。出産するのは女性だけですし、身体的にも、そのままでは男女平等にならない部分は少なくありません。

具体例は、女性ならば、おそらくたくさん挙げられるだろうと思います。私は推測で書くしかないわけですが、例えば職場での服装などもそうかもしれません。男性は好きなスーツでいいのに、女性だけ制服が決まっているのが不満な人もあるでしょう。
私服が認められていても、暗黙裡にドレスコードのようなものがあって、スカートでないとダメとか、白いブラウス着用とか、女性というだけで制約が多いということもあるのではないかと思います。女性の化粧はマナーのように思われているのも、差別と言えば差別かも知れません。
女性の中には、化粧をしたくないのに強いられていると感じている人もあるはずです。男性は化粧をしなくても咎められないのに、女性は化粧をするのが当たり前という暗黙の了解があり、無言の圧力を感じたりするかも知れません。女性だけメイクする時間が余計に必要ですし、そのための費用や道具を持ち運ぶ手間もかかります。
化粧は女性の特権と、プラスにとらえている人には問題ないでしょうが、女性というだけで当然のように思われていることには不満を感じる人もあるでしょう。他にも、女性だからというだけで気を使わなければならなかったり、暗黙のうちに求められてしまっているようなことは少なくないのではないでしょうか。
女性の意識の問題で、化粧をしたい、スカートをはきたいということもあるでしょうから、必ずしも差別とは言いません。ただ、それが制約か自分のこだわりかは別として、女性の場合には男性と違って、余計に気を使う、手間がかかる、制約がある部分は少なくなさそうです。

ところで、こうした制約は、女性の自転車通勤の妨げにもなります。スカートで自転車に乗るというのは、物理的にもペダルをこぎにくい部分があるでしょうし、スカートの中が見えてしまうようでも困ります。女性の自転車通勤の服装は、なかなか難しい部分があるのではないかと思います。
実際に、職場まで自転車通勤している女性が、男性より大幅に少ないのは確かです。もともと、ふだんから自転車に乗る人が男性と比べて少ないこともあるでしょうが、女性の場合、男性と比べて自転車通勤のハードルが高いことも影響しているものと思われます。

男性には、最近自転車通勤用のスーツなども売り出されていますが、女性用の自転車通勤用の服というのは、あまり聞きません。女性の場合はスーツ以外の選択肢も多いとか、流行のデザインの問題などもあるでしょうが、自転車通勤する女性が少ないのが大きな理由と思われます。

スカートでなくパンツスタイルであっても、最近のデザインは股上が短く、自転車にまたがると後ろから下着が見えてしまうのが悩みという話も聞きます。もちろん、汚れることもあるでしょうし、そのまま仕事をするのが憚られるなど、通勤の時の服装に悩む人は多いに違いありません。

海外では、少しずつ女性の自転車通勤用の服が出てきているようです。タイトスカートだと、裏地にもよりますが、ペダルをこいでいるうちに、スカートがずり上がってしまうのが難点と言います。でも、こちらは、形はタイトスカートでも、素材が伸び縮みするため、裾がずり上がりません。


タイトなスカートですが、自転車に乗るときには裾を短く出来るスカートもあります。これによって、ペダルをこぐのがラクになります。そのまま短い丈だと、オフィスではばかられる場合には、丈を戻せます。女性がどう捉えるのかわかりませんが、なかなか機能的なスカートだと思います。

こちらは、スカートの下に自転車用のショーツをはき、必要な時に裾をまくって乗るという新しい提案です。知らない人が見たら、スカートのスリットから下着が見えていると勘違いしそうですが、見慣れれば問題ないでしょうし、なかなかリーズナブルなスタイルです。
先日取り上げた、自転車のライフハックを持ち寄るイベント、“
Cyclehack”では、1ペニー硬貨と輪ゴムを使った、女性向けの、
ちょっとした工夫が発表されています。自転車に乗る際、この二つを使ってスカートをキュロットスカートのような形状にするわけです。
これならば、自転車に乗ってもスカートの中が見えてしまわないというアイディアです。似たようなことを、既にクリップなどを使って実践している人もあるかも知れません。スカートのタイプにもよるでしょうが、自転車に乗るための工夫は、いろいろ考えられそうです。

ただ、服装の問題がクリアできたとしても、女性が気になる自転車通勤の難点は、他にもあります。化粧が崩れる、汗をかくので、その匂いや汗ジミが気になる、紫外線対策の問題、髪型が崩れるなど、いろいろと気になるところがあるに違いありません。
ヘルメットをかぶらないとしたら、髪型は問題にならないだろうと男性は考えがちですが、そうではありません。あるアンケートでは、女性が感じる自転車の難点の1位に髪型の崩れがあがっているのを見たことがあります。サンプル数が少なかったので、確度は不明ですが、多くの人が懸念するようです。

自転車で走行すると、風を受け、せっかくセットした前髪が崩れてしまうというのです。女性の髪形において、前髪は重要なポイントであり、風を受け続けることでセットが崩れ、元に戻らないのが困るという説明でした。頷く女性は多いかも知れません。
女性にとっても自転車通勤は大きなメリットがあります。運動不足解消になりますし、ダイエットに効果的です。通勤時間を使ってダイエットが出来る上、ストレス解消にも効果大です。満員電車で痴漢行為に遭うこともありません。朝から頭がスッキリします。生産性が上がり、企業にもメリットがあるという調査もあります。

通勤路に暗い夜道がある場合、徒歩よりも危険が少ないということもあるかも知れません。いろいろハードルがあっても、自転車通勤をすると、その楽しさにハマる女性もいます。少しずつですが、女性で自転車通勤を始める人、始めたいと考える人も増えつつあるようです。
服装や化粧崩れ、汗などの問題を考えると、勤務先でシャワーを浴び、着替えられるのが一番だろうと思われます。最近は、都市部でシャワーやロッカーが使えて自転車を預かるサービスを提供するところが出てきていますが、まだまだ少ないのが現実です。

女性の自転車通勤のハードルを理解し、そのための施設を設置したり、利用を支援するような企業が出てくれば、もっと女性の自転車通勤も増えるでしょう。女性どころか、男性の自転車通勤にも寛容な企業は、まだまだ少ないようですが、制度を充実させる企業も出てきています。
女性の社会進出と自転車通勤、直接関係あると言うつもりはありません。ただ、女性ならではの自転車通勤における制約を理解する企業が増えることを期待したいところです。当然ながら、自転車通勤も男性だけのものではありません。この面においても、女性の割合が3割くらいになってもいいような気がします。
日本の次期代表監督が取りざたされていますが、ザックがダメなら次、とサッサと決めていいのでしょうか。日本に何が足りなかったのか、よく検証するべきであり、著名監督を次々取り替えるだけでは同じことの繰り返しのように思います。長期戦略を立ててかからないと、もう一段上に行くのは難しいのではないでしょうか。ちなみに、MVPはノイアーでもよかった気がします。