August 10, 2014

自転車の用途を提案する部品

自転車には、いろいろなパーツがあります。


パーツが全てセットになった完成車として買う人が多いと思いますが、フレーム単体を買って、それに自分で選んだパーツとあわせて組み上げることも出来ます。完成車であっても、いろいろなメーカーのパーツで出来ており、全てのパーツを自社で製造しているメーカーはありません。

完成車を購入しても、例えば身体に合わないからとクランクやサドルを交換したり、ステムやペダルなどを替えたりしている人も多いと思います。チェーンやスプロケットなどの消耗品も含め、必要に応じてパーツを交換しながら乗るのが普通です。

ただ、パーツを変えたとしても、基本的にはロードバイクはロードバイクとして、シティサイクルはシティサイクルとして乗るのが普通でしょう。マウンテンバイクに舗装路用のタイヤを装着して使うといったケースもありますが、普通はパーツで自転車の種類を変えることはありません。

Brizzly Electric SPORTS TRUCK Brizzly Electric SPORTS TRUCK

ところが、パーツを交換することで自転車をトラックのようにしてしまおうと考えた人がいます。アメリカはカリフォルニア州りリッチモンドに住む、Randell J. Wishart さんです。普通の自転車の後輪を画像のようなパワーユニットにそっくり交換することを考えつきました。

Brizzly Electric SPORTS TRUCK”と名づけられたこのユニット、電池と電動モーターで、普通の自転車を電動3輪自転車に変えます。電動アシストではないので、ペダルをこがなくても進みます。坂を上ったり、クルマを牽引できるほどパワフルです。

もちろん、ペダルをこいで航続距離を伸ばすことも可能です。このユニットの上部が小さな荷台になっており、なるほど、スポーツトラックと呼びたくなるのもわかります。自転車を、かなりの重さのものも運べる、電動小型トラックにするというコンセプトです。

Brizzly Electric SPORTS TRUCK Brizzly Electric SPORTS TRUCK

3輪なので、そのぶん荷台が広く、また安定しています。一方、動画にあるように、意外に機敏な動きも出来ます。雪道などで安定して走行出来るのも利点でしょう。商売している人なら、ちょっとしたデリバリーにも使えるでしょうし、なかなか便利そうです。

人が乗る部分や、ハンドリング部分などは自転車のものを使い、パワーユニットと荷台だけにすることで、乗り物としての開発費や単価が下がるのはリーズナブルです。乗りなれた自分の自転車を使うのでサイズなどの問題もなく、気軽に導入することが出来るのも長所と言えそうです。

日本の今の法律では、おそらく原付バイクの扱いになると思われます。歩道はもちろん、ナンバープレートをとって、ウィンカーやブレーキランプなどの装備をつけない限り車道も走行出来ません。日本の場合、このまますぐ使えるわけではないのが残念なところです。



こちらはパーツ交換ではなく、自転車にプラスするスタイルですが、自転車用トレーラーです。ただのトレーラーではなく、これ自体に電動アシスト機能がついています。ふだんは普通の自転車でも、トレーラーを連結して荷物を運ぶ時だけ電動アシストになるというアイディアです。

こちらは電動ではなく電動アシストですので、ペダルをこぐ必要がありますが、トレーラーを連結して重い荷物を載せての走行時に、アシストがあるのは助かります。そして、当然ながらトレーラーが必要ないときには外して普通の自転車にすることが出来ます。

普通のトレーラーでも、かなりの重さのものが運べます。漕ぎ出しは重くても、走り出してしまえば慣性の法則が働きます。しかし、特に坂道では、電動アシストの有無で大きく違うでしょう。そして普段は、そのぶん重くなるだけの電動アシスト装置は不要とするなら、トレーラーと一緒に外せて便利です。

Urban NomadUrban Nomad

トレーラーを牽引している状態では、車道走行することしか出来ませんが、不要なときに外してしまえば、元通りです。通行が認められている歩道も通行できます。このあたりは歩道の通行に慣れ、なるべくなら車道を走りたくない日本人にとってメリットかも知れません。

こちら、“Urban Nomad”と名づけられた電動アシストトレーラーも、広い意味で自転車のパーツと呼ぶならば、ある意味、自転車の性格を変えるパーツと言えるでしょう。車道が狭いところでは使いにくいこともあるでしょうが、日本でも使うことが出来ます。

この“Brizzly Electric SPORTS TRUCK”も“Urban Nomad”もクラウドファンディングサイトで資金調達中でしたが、前者は失敗、後者も難しい状況です。どちらも面白いアイディアだと思うのですが、すぐに製品化されることは期待できないようです。



普通の人には、それほど便利と思えず、製品としてあまりインパクトがないのかも知れません。しかし、考えようによっては、可能性を秘めているようにも思えます。たしかにスポーツトラックと言っても、単に荷物運搬用に使う電動パワーユニットというだけでは、それほどニーズがあるように思えません。

でも、これを脚力の衰えた高齢者用として使う手はないでしょうか。電動で力を補ってくれますし、3輪なので低速でも安定します。それまで乗っていた普通の自転車に、脚力的に乗るのが難しくなった高齢者のサポート用としての使い道が考えられると思います。

荷台があるので買い物に便利です。荷物もたくさん運べて、クルマの運転をやめた高齢者でも、いわゆる買い物難民にならなくてすみます。慣れた自分の自転車というのも安心感があります。高齢者用の福祉車輌として、一つのスタイル、選択肢として考えられないでしょうか。

Urban NomadUrban Nomad

トレーラーのほうも、電動アシスト付きは高齢者にありがたい部分です。買い物した荷物を、普通の自転車の前後に満載して走行するより、ずっとラクで安定するはずです。そして、いつも牽引するのは邪魔なので、必要な時だけ装着すればいいのも便利です。こちらも高齢者の買い物支援に使えそうです。

交換して同じ用途に使うパーツではなく、自転車に新しい使い方をプラスするパーツというだけで面白いと思います。今のところあまり支持されていないようですが、どちらも、もしかしたら高齢化の進む日本にこそ市場が眠っているかも知れません。もっと踏み込んで、使い方を提案してもいいような気がします。




イラクは空爆だけですむのでしょうか。介入した以上、人道的な危機が迫ったら知らん顔も出来ず、引きずり込まれかねないですね。

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