August 13, 2014

もっと特化した自転車が必要

街乗り用の自転車といってもいろいろあります。


一般的にはシティサイクルやクロスバイクといったカテゴリーから選ぶ人が多いと思います。取り回ししやすいミニベロや、保管にも便利なフォールディング、最近モデルが増えている電動アシストを選択する人もあるでしょう。もちろん、日本ではママチャリが圧倒的多数を占めています。

人によって、選ぶ基準はいろいろだと思いますが、街乗り用と言っても幅広い選択肢があります。シティサイクルと呼ばれる自転車だけを考えても、ほかのカテゴリよりバラエティに富んだモデルがあって、性能や使い勝手もチョイスによって大きく違ってきます。

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ただ、いろいろ選択肢があるようでいて、帯に短し、たすきに長しということもあるに違いありません。走行性能を重視すると実用性に乏しくなる、実用性を重視するとデザインが気に入らない、デザインを重視すると使い勝手に不満が残るといった具合です。

最初は気に入って購入しても、乗っているうちに不満が出てくることもあるでしょう。この部分はいいけど、この部分は不便、もう少しこうだったら..など、性能やデザインや使い勝手などに対する不便や不満が募ることも多いのではないでしょうか。

こうした不満を持つ人が少なくないのは、何も日本に限ったことではありません。もっと街乗りに便利な自転車がほしい、都市で使うのに向いたモデルが無い、欲しくなるようなモデルが見当たらないといった不満はアメリカにもあります。特に最近は生活の中で自転車を活用する人が増えており、こうした傾向は強まっています。

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そこで、「究極の街乗り実用自転車」を開発すべく、“The Bike Design Project”が開かれました。コンペ方式で新しい自転車の設計を募ります。その中から一般の人に一番ほしいモデルを選んでもらい、投票によって勝者を決め、それを生産して売り出そうというプロジェクトです。

昨今増えている都市での自転車のユーザーは、より便利で健康的で環境的にも持続可能なスタイルを志向して自転車に乗りますが、必ずしも自分を「サイクリスト」とは思っていません。街での生活の中で乗る自転車を求めており、当然ながらスポーツとして乗る人とは要求も違ってきます。

このコンペは次世代の都市型自転車、実用性や機動性を重視した自転車の開発を目指しています。もちろん実用性一辺倒ではありません。デザイン性も走行性能も疎かにしません。結果として、従来の自転車のカテゴリーを再定義するような可能性もあると考えています。

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このコンペには5つのチームが参加します。自転車ビルダーや職人、ハイレベルなデザイン会社によるチームですが、それぞれ別の都市、全米の5つの自転車文化の中心となる都市から選ばれました。自転車開発の新しい形、製品開発の新しい時代を切り開くものだと主催者は話します。

紙上のデザイン、設計ではなく、完全に機能するプロトタイプが実際に製作されます。どれも完全にロードテストされたものです。コンセプトや設計ではなく、生産を含めた検討を経て、実際に量産可能な現実的なデザイン、機能が提案されることになります。

1番目はシカゴの“BLACKLINE”です。内臓されたLEDライトやウィンカーはスマホと連動し、スマホをタップするだけで明るさまでコントロール出来ます。着脱式の荷台や、ベルトドライブを採用したメンテナンスフリーのドライブトレーンなど実用的な機能が搭載されています。

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2番目はニューヨークの“MERGE”です。こちらもスタイリッシュで特徴的なフレームにライトなどが内蔵されています。荷台は引き出し式で、バンジーコードも格納されており、泥除けなど実用性にも工夫がこらされています。走行性能的にも鈍重なことはありません。

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3番目はオレゴン州ポートランドの“SOLID”です。シンプルで無駄を省いた、3Dプリント開発のチタン製軽量フレームです。やはりライトなどは内臓されており、スマートフォンと連動して情報の取得や操作だけでなく、GPSによる追跡も出来るセキュリティを備えています。今どきITは必須というところでしょう。

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4番目はサンフランシスコの“EVO”です。スタイリッシュで幾何学的なフレームがオリジナリティを主張しています。前カゴや荷台、子供用のシートなどが必要に応じて着脱できるのも親切な設計と言えるでしょう。ベルトドライブを採用し、ライト類やロック用のワイヤーも内蔵しています。

EVOEVO

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5番目はシアトルの“Denny”、ここがウィナーとなりました。これもベルトドライブでライト類も内臓ですが、テールライトだけでなくブレーキをかけると点灯するブレーキランプまで装備しています。ウィンカーも手元で操作できます。ハンドルが特徴的で駐輪時にU字ロックとして使えるようになっています。

DennyDenny

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盗難防止で頑丈に施錠せざるを得ないアメリカの自転車乗りには、U字錠のハンドル兼用は助かります。泥除けも独特で、ブラシによって水分をはじくようになっています。荷台もフラットにしてネットやコードで押さえるスタイルで、電動アシストに電動ディレイラーも採用しています。

細かい機能やコンセプトは、それぞれリンク先のサイトをご覧いただくとして、都市のライダーの要望を取り入れ、いろいろ考えられた設計となっています。どれもスタイリッシュですが機能性、実用性に配慮しており、欲しい装備が用意されています。それでいて走行性能もスポイルされていません。

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勝者のシアトルの“Denny”は、15年にも売り出されることになっています。どれも魅力的ですが、共通点も見られ、次世代の都市型バイクに求められているものをうかがわせます。いずれも都市ライダーが喜びそうな機能やデザインで、なるほど究極の街乗り用の実用的自転車と言えそうです。

実際の走行性能や使い勝手は、乗ってみなければわかりませんが、動画で見る限り魅力的です。どれも洗練されている上に実用的で、アーバンバイクとでも言うべき、新しいカテゴリーになってもおかしくありません。日本でも売り出したら、けっこう売れそうな気がします。

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自転車にはいろいろな種類があり、用途や走行シーンによって、ふさわしいモデルが選べます。しかし、いろいろ選択肢がある一方、どれも物足りない、いま一つということもあります。欲しい機能と性能とデザインが揃わず、満足いかないこともあるでしょう。

新たな都市ライダーが増えているわけですから、新しい自転車が出てきてもいいはずです。シティサイクルなど従来のカテゴリ、これまでのコンセプトにとらわれることなく、もっと具体的に一つのスタイル、例えば都市での生活に特化した自転車が提案されてもいいでしょう。

日本でも、大多数を占めるママチャリやシティサイクルに飽き足らず、性能も実用性もデザインも物足りないと思っている人は少なくないと思います。汎用性も一つの考え方ですが、一方で、自転車のカテゴリをさらに細分化するような、独創的で魅力的な新しい自転車が出てくることを期待したいものです。




米軍がイラクで地上作戦を検討と報じられています。シリアにガザ、ウクライナに今度はリビアまで..。地政学リスク拡大が気になります。

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