使う上で、どこかに駐輪するのは避けられません。ただ、盗難防止に努めるのは自転車を使う人の責務だと思います。日本では無施錠の人が多いことが報告されていますが、それは自転車盗を誘発します。小さな犯罪が増えると、やがて街の治安の悪化につながるのも事実です。
学生増、バイク禁止…同志社大で自転車盗難が急増
同志社大今出川キャンパス(上京区)で自転車の盗難被害が多発している。昨春、京田辺キャンパス(京田辺市)の学生約7000人が移り、今春からはバイク通学も禁止され、自転車利用者が増えたことが一因のようだ。4〜7月の被害申告はすでに昨年度1年分を上回る。府警は防犯カメラの設置などを要望するが、大学は慎重で、学生らには盗難補償が人気だ。
同大によると、2012年度13件、昨年度20件だった構内での被害の申告件数は、今年度、7月までに26件と急増している。府警の統計でもそれは見て取れる。上京署が1〜7月に把握した大学生の被害件数は前年同期比63件増の182件に達している。
同大では昨年4月、法、文など4学部が京田辺から移転したことに伴い、今出川キャンパスの学生が増加。さらに今春からは事故防止のためバイク通学が禁止となった。同署は5月、同大に構内や大学周辺の防犯カメラ設置や警備強化を要望。大学側は鍵を複数付けることを促す看板を構内6か所に立てた。また、昨年度よりも約2000枚多い約1万枚の啓発チラシを学生に配っている。
一方で、学生らのプライバシーを侵害する恐れがあるなどとして、防犯カメラの設置や警備員の増強には慎重だ。担当者は「施錠が最も効果的なので、今後も啓発に力を入れたい。それでも被害が増えるなら検討することになる」と話す。自転車通学する経済学部1年の男子学生(18)は「すべての学生が看板を見て施錠しようと思うわけではない。構内での被害は大学にも責任があり、もっと防犯対策に力を入れてもいいのでは」と指摘する。
一方、京都市内で14店舗を展開する自転車販売会社「エイリン」は4月、盗難の補償サービスを始めた。購入費の1割を出せば、盗難時に店が費用の半額を負担する仕組みという。客の約80%が同大学生という同志社前店の大西俊店長(33)は「購入者の約3割が加入しており好評。被害がないのが一番ですが」と話している。(2014年08月24日 読売新聞)
いくら価格が安いものだったとしても、自転車泥棒は窃盗です。おそらく学内の盗難の何割かは学生が犯人と推測されますが、検挙されて有罪になれば、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。執行猶予になっても前科がつくわけで、こんなことで将来に禍根を残すのは愚の骨頂です。
盗むのは言語道断ですが、この1年生の言う、『すべての学生が看板を見て施錠しようと思うわけではない。構内での被害は大学にも責任があり、もっと防犯対策に力を入れてもいいのでは』という認識も間違っていないでしょうか。まず自分の所有物なのですから、盗まれて困るなら施錠するのは当たり前でしょう。
施錠はしないけど、盗まれないよう大学が責任を果たせなんて、甘ったれもいいところですが、日本では格安ママチャリが市場を席巻していることもあり、一般にも施錠しない人は少なくないようです。盗まれたり、撤去移送されたら、また買いなおすという使い捨てのように使っている人もいます。
もともと格安で、手入れもせずに雨ざらしでは、すぐに痛んで盗まれても惜しくなくなるということもあるのでしょう。確かに、ママチャリを修理したり、タイヤを交換したりすると、かなりの金額をとられます。修理より、新しいものを買ったほうが安かったりするのは、ママチャリに限らず、家電などでもある話ですが..。
もちろん、だからと言って施錠もしないのは、窃盗を誘発する行為になりかねません。悪いのは窃盗犯ですが、同じ大学の仲間を犯罪者にしかねません。大学が防犯カメラ設置に慎重なのは、なるべくなら学生を犯罪者にしたくないという気持ちもあるのではないでしょうか。
日本では施錠意識が低いですが、海外の場合は違います。頑丈な施錠をするのが当然です。盗難が多いので、わざと通勤通学には古くて壊れそうな自転車にするなど、使い分ける人もいます。例えばアムステルダムの駅周辺には、驚くほど古くて汚い自転車が駐輪してあったりしますが、それでも厳重に施錠されています。
小さなカギや細いチェーンロックでは、すぐに壊されたり切断されてしまうので、太い鎖や大きなU字錠を使うのも普通です。一方、それを携行しなければならないわけで、重くてかさばることが、自転車利用者の負担になっているのも確かです。
それを解決しようと、盗まれない自転車を開発したと主張する学生たちがいます。こちら、“
Yerka Project”は、ダウンチューブが途中から分割できるようになっており、フレームとシートポストを使って施錠するというアイディアです。自転車のフレーム自体をロックにしてしまおうというわけです。
盗むために、パイプをどこかで切断すると、自転車として走行出来なくなり、盗んでも仕方がなくなるので、絶対盗まれないということのようです。しかし、このアイディア、とくに目新しいものではありません。このブログで過去に取り上げただけでも、似たような発想は、いくつもありました。
開発者は、いずれも画期的と思うようです。しかし、少し調べればわかりますが、似たような自転車は再三構想されており、その多くはすぐに消えて無くなりました。一部製品化されたものもありますが、ごく限られたモデルにとどまり、広く普及したと言えるものはありません。
開発したチリの学生は自信を持っているようですが、過去のものと比べて、特に優れたアイディアではありません。フレームの一部がスライドして分割できるものもありましたし、シートポストを使って施錠するものもありました。思いつきだけで、過去の事例を調べたりは、していないのでしょう。
フレームを分割するというアイディアは、強度や耐久性に不安が残ります。今どきの加工技術ならば無理ではないとしても、実際問題として、使っているうちにガタついたり、異音や振動が起きたりなど不具合になりかねません。チープなフォールディングにありがちな弱点で、敬遠するサイクリストも多いでしょう。
確かに切断したら盗む意味がなくなりそうですが、シートポストの下部なら影響はないように見えます。動画で見る限り、鍵の部分をピッキングされれば、そのまま組み立て乗って逃げるのに、さして問題もなさそうです。絶対盗まれないということはないでしょう。
もちろん、細いワイヤー錠などと比べればハードルが高くなります。U字錠などを持ち歩かなくてすむのは便利です。カギの部分のピッキングしやすさにもよりますが、盗みにくくなるのは確かでしょう。学生の工夫としては評価しますが、盗まれない自転車とまでは言えません。
むしろ盗まれないとしたら、こちらの自転車ではないでしょうか(笑)。北欧はノルウェーのアーティストである、
Markus Moestue さんは、自転車で恐竜をつくってしまいました。遠くから見ると、恐竜に乗っているように見える3輪の自転車です。
これは行く先々で目を引くでしょう。万一盗まれたとしても、これに乗って逃走するのでは、あまりに目立ちすぎて、すぐに見つかってしまいます。恐竜の胴体を支えるために、ベースの自転車自体、相当改造されていますし、これを盗むような酔狂な人はいないと思われます。
Markus Moestue さん、この恐竜に乗って、ノルウェー国内を旅したようです。行く先々で注目を浴び、子供は大喜びだったに違いありません。坂は押していますが、発泡スチロール製で、見た目ほどは重くないようなので、むしろフレームを詰めて丈を上げた自転車の改造の問題と思われます。
一人乗りの軽車両としては多少大きめですが、昔は馬に乗っていたことを思えば、それほど邪魔とも言えないでしょう(笑)。さすがに、これで通学しろとは言いませんが、自転車を盗まれにくくするための方法のヒントにはなります。工夫はいろいろ考えられそうです。
同志社大学の学生も、学内での被害を大学の責任にするのではなく、自ら盗まれないようにすべきです。施錠は当然ですが、盗難保険をかけたから盗まれてもいい、というのではなく、盗まれないようにする方法、あるいは、盗もうと思わせない方法を考えるべきではないでしょうか。
話題になっているアイスバケツ・チャレンジ、先月からと言いますが、3人ずつ指名していくと、単純計算では、21日後には100億人を突破してしまうはずなんですが..。