October 09, 2014

自転車乗り同士で教えあえる

アメリカ合衆国は連邦制をとっています。


50ある州には、それぞれに憲法や法律があり、主権を持っています。州議会はもちろん、州政府に、州ごとの最高裁があり、州兵がいます。独立宣言当時の13州は、それぞれ対外的な主権を持っていました。独立の11年後、連邦制に移行して州が連邦政府を置き、対外的に一体となりましたが、国が州を置いたのではありません。

その後、併合されるなどして50州になりましたが、成り立ちからして、国の連合体なのです。現在は、一つの国家としてのアメリカ合衆国の連邦法が、各州法に優先し、州は合衆国から離脱する権利はないとされています。イギリスからの独立の是非を問う投票が注目されたスコットランドのようなことにはならないわけです。

日本人の感覚からすると、州が都道府県のように感じますが、そうではありません。州の下に郡がありますが、こちらが日本の都道府県と近い役割と言えるでしょう。ただし、その郡もゼロの州から300以上ある州までいろいろです。日本人から見れば、どの州もアメリカですが、実は各州には、かなりの違いがあります。

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よく知られるように、マリファナやギャンブルが合法な州もあれば、違法な州もあります。銃の規制も違いますし、同性婚が認められる州と認められない州があります。死刑のある州とない州がありますし、アルコールの規制なども違います。消費税や所得税など税制も違えば、道路交通法まで違うのです。

スピード規制も違いますし、例えば、クルマがいつでも右折可(日本で言えば左折可)な州とダメな州などバラバラです。逆にアメリカには共通の道路交通法がないのです。もちろん、右側通行が左側通行になるような大きな違いはありませんが、州境を越えると法律が変わるという日本では考えられない環境です。

日本でも、都道府県ごとに気候や地形、風土や方言の違いなどはありますが、どこへ行っても法律などは共通です。初めての場所へ旅行しても、あまり戸惑うようなことはないでしょう。地域ならではの伝統や、独特の風習、しきたりなどがあったりしますが、それほど困るようなことはないと思います。

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アメリカの場合は、この州の違いに加えて、住む人々の人種や宗教、言語なども違うわけですから、初めての場所へ旅行するような時は、戸惑うこともあるのではないかと思います。日本のように、どこへ行っても日本の法律と日本人と日本語で、知らなくても察しがつくのとは事情が違います。

前置きが長くなってしまいましたが、アメリカ人が初めての街へ旅行する場合、なかなか勝手のわからない部分を、あらかじめ調べておこうと思うのは自然なことでしょう。日本とは、そのニーズも違うと思います。ただ、普通の観光案内やガイドブックでは、なかなか載っていない情報、調べにくい情報もあります。

自転車で旅行する場合、もしくは旅先で自転車で回りたい場合の情報もその一つでしょう。自分の街でなら自転車に乗る人は多いですが、自転車で旅行したり、旅先でもずっと自転車で回ろうとする人は多くないと思います。かなりニッチなニーズなので、情報が少ないのも仕方のないところです。

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もちろん、ちょっと自転車を借りて乗るくらい、レンタサイクルやサイクリングロードといった、ありふれた情報なら簡単に手に入ります。でも、いわば自転車目線での情報、自転車で旅行する人に、本当に役立つ情報というのは、なかなか手に入りにくい面があります。

そこで、Megan Ramey さんという人が立ち上げたのが、自転車旅行者のためのサイト“Bikabout”です。自転車に乗って街を見よう、その街を感じよう、街を走り回りたいという人のためのサイトです。自転車乗りならではの目線で、必要な情報を無料で提供しています。

まず基本的な情報があります。前述のように州による違いが大きいので、自転車での安全度や自転車にフレンドリーな街かどうかといった情報から始まって、地図やルートガイド、文化や見所などの紹介、自転車盗の発生状況、各方面のリンクなどもあります。

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使いたい種類の自転車が調達できる店、あるいは個人の自転車を貸し借りするサイト“Spinlister”の情報、自転車にフレンドリーな宿泊施設の情報、もしくは、個人宅などの空き部屋を有料で貸し借りできるウェブサービス“Airbnb”の情報なども載せています。

自転車をローカルの列車やバスなどの交通手段で輸送する方法や、ローカルの航空会社の自転車の輸送規定や料金、地元のガイドによるツアーや、地元のサイクリスト団体の連絡先といった情報もあります。こうした情報が一覧できるだけでも、旅行者には助かります。

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まだ都市の数は10と限られており、内容も充実していない部分があります。でも今後、それぞれの都市の地元のサイクリストに参加してもらい、本当に自転車旅行者のためになる情報を載せようとしています。その都市の魅力を知り、ディープに楽しんでもらうための情報です。

自分の住んでいる街について、サイクリストだからこそ知っているような情報もあるはずです。どこの道が走りやすいとか、どう回ると効率的に街の見所を回れるとか、ここの店は自転車をとめやすい、この店はサイクリストが集まる店とか、ランチがおすすめ、といったような情報もあるに違いありません。

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地図を見ただけではわからない、快適で爽快に走れるルートとか、知らないと通れない自転車向きの道があるかも知れません。トラブルの時は、この店が頼りになるとか、この道は事故になりやすい危険なスポットがある、ここからの景色が最高、好きな人は、この坂にチャレンジしてみて、なんて情報があるかも知れません。

そんな地元のサイクリストならではの知識は、自転車旅行者にとってとても有用なものとなるはずです。単にランチを食べるだけでも、地元の自転車乗りの推薦があれば、選ぶ際の参考になるでしょう。こんなサイトが充実していけば、自転車旅行者にとって便利になるに違いありません。

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自転車での旅は、クルマやバスで移動するのとは違います。自転車で行けば、街の人たちの会話が耳に入ってきたり、名物料理の匂いが漂ってきたりします。街に吹く風を直に感じ、気の向くままに路地に入ったり、店に立ち寄ったり、人々と交流したり出来ます。

その良さを知る人ならわかると思いますが、街を見る、単に移動するというだけでなく、街を感じたり、味わったり、体験することが出来る交通手段と言えるでしょう。自転車だからこそ見える風景、とれるコミュニケーションがあります。もちろん歩くのもいいですが、自転車なら徒歩より効率よくまわれる利点もあります。

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まだまだ自転車で旅をする人は少ないですが、自転車を使って旅先の街を楽しむことを提案し、それをサポートするサイトなのです。州による違いの大きいアメリカならではのサイトと言えるかも知れません。もちろんアメリカ人だけでなく、日本人が北米の都市に行って自転車に乗るときにも、大いに参考になります。

これは日本にもあっていいのではないかと思います。アメリカと違って、道交法も一緒ですし、街の景色も似ているところは多いですが、やはり、その地元の自転車乗りしか知らない情報があるはずです。自転車乗り同士で、もっと情報を共有することを考えてみてもいいのかも知れません。





日本の3氏にノーベル物理学賞、今度は普通の人にもわかりやすい青色LED、文字通り明るいニュースですね。

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