October 21, 2014

自分撮り棒が手から離れる時

世界では最近、自分撮りがブームなのだそうです。


This image is in the public domain.オックスフォード大学は、昨年一番注目された単語が“selfie”(セルフィー)だったと発表しました。日本語だと「自撮り」などと呼ばれています。要するに自分で自分を撮影すること、またはその画像や動画のことです。SNSなどで広がりました。

ケータイやスマホのカメラの性能が向上し、アームの先に取り付けても簡単に撮影できるくらい軽くてコンパクトなことも背景にあるのでしょう。例えばテレビのバラエティ番組などでも、カメラをヘルメットやアームの先に取り付け、タレントの表情を撮るようなカットを見ることが増えたと思います。

最近は個人でも、自分を撮影するため、自撮り棒とかセルフィースティックなどと呼ばれるアーム、あるいは一脚にカメラを取り付け、少し離れた位置から撮る人が増えているようです。腕の長さだけだと近すぎて、周囲の風景などがあまり映らず、面白い絵にならないということなのでしょう。

Go Proviewing

自転車にカメラを取り付け、走りながら自分や同行者、周りの風景などを動画で撮影して楽しむ人も増えています。アクシデントに備え、自転車版のドライブレコーダーとして使う人もある一方で、自転車で「自撮り」して楽しむ人も増えているようです。

自転車にカメラを取り付けるにも、ハンドルでは近すぎ、当たり前すぎな映像になってしまいます。長さのあるアームを使うと少し離れた位置や、違う角度から撮れます。自分も含めた風景とか、地面に近い視点など、いろいろ工夫することで、迫力のある映像が撮れるわけです。



さらに工夫して面白い走行動画を撮る人もいます。ドイツの写真家、Jonas Ginter さんは、アームの先に、6台のカメラを上・下、左・右、前・後に取り付けて撮影し、それをつないで動画にしています。360度の方向が映りこんで、アニメなどで地球を小さくデフォルメしたような、ユニークな画像になっています。



(右下のコントロールをクリックして選ぶと画像のスタイルが変化します。)

どこからもアームが伸びていないように見えますが、注意深く見ると、道路に影が出来ています。その影にはアームが映っているので、自転車に取り付けたアームで撮影しているのは間違いないようです。編集の過程で消えてしまっているのでしょう。

360 Grad Video

半導体技術の進歩でカメラが小型・軽量化、低価格化し、バッテリーも小型で長持ちするようになったおかげで、個人でもいろいろな動画が楽しめるようになってきました。同時にネットの進化で、投稿サイトやSNSなどを通して、世界中の人と動画を共有できるになったのも大きな変化でしょう。

つい十数年前まで、いわゆる銀塩写真を撮って、いちいち現像してプリントにし、アルバムに貼って友達に見せていたのとは隔世の感があります。ビデオカメラにしても、大きくてテープに撮る昔のタイプでは、動きながらの撮影はたいへんで、今のように気軽には撮れませんでした。

そう考えると、近年のデジカメ、ビデオカメラの進歩は急で、目覚しいものがあるわけですが、さらに先のビデオカメラの使い方を構想している人たちがいます。これも最近急速に進化しつつあるドローンと組み合わせて、空中から撮影をしようというものです。



単なる空撮なら今でもありますが、これは個人でタブレットを操作して、無人で自動飛行するドローンを呼び寄せ撮影させるというものです。いわばオンデマンドで空撮が可能になるサービスです。次世代の「自撮り」と言っていいかも知れません。

ドローン自体を所有する必要はありません。好きな時、好きな場所へ、スマホやタブレットから通信してドローンを呼び寄せます。そして好きにコントロールして、自分を撮影させることが出来るわけです。アームでは絶対に無理な、高い上空からの撮影も可能になります。

今はまだ構想段階ですが、アメリカではアマゾンがドローンを使って、商品を無人で配達するサービスを計画しています。早ければ2015年の開始を見込んでおり、もはやドローンの商用利用開始は、実現段階に入りつつあるわけです。このドローンによる撮影サービスも決して空想上の話ではありません。



すでに災害現場などでも、ドローンによる空撮は使われています。今年起きた広島の土砂災害や御嶽山の噴火の上空からの映像の一部はドローンによるものだと言います。小型無人飛行機の性能向上や低価格化で、個人でもドローンを撮影に使えるようになるのは、もはや時間の問題かもしれません。

これを使えば、ツール・ド・フランスの中継映像ばりの上空からの撮影が、個人の動画で可能になるわけです。しかもドローンを所有しなくても、いつでもオンデマンドで最寄の基地から呼び寄せることが出来るとなれば、かなり身近なものになるかも知れません。

当然ながら、日本ではまだ上空の交通ルールなどが整備されていませんので、そのあたりはネックになると思いますが、ドローンが安くなれば、個人で飛ばして撮影するようなことも視野に入ってくるでしょう。そんな未来が急速に現実になってくる可能性があります。

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もしこのドローンによる、オンデマンド空撮サービスが実現したら、単なるスポーツシーンの「自撮り」にとどまりません。いろいろな利用方法が考えられます。例えば、ツーリングに出かける前に、ドローンを飛ばして沿道の路面状況などを確かめたりも出来ます。

コースを調べるだけならグーグルマップのストリートビューなどの方法もありますが、これならば、ウェットで泥ハネしそうとか、路面が凍結している、事故で通行止めといったリアルタイムの情報が得られます。これから最寄の海岸へ海水浴に行こうという時に、ビーチがすいているか上空からの確認も可能です。

ネット上で観光地のライブ映像を流しているところもありますが、定点カメラで、なかなか必要な情報がわかりにくい場合も多いと思います。ドローンなら、必要な場所へ、必要な距離まで接近して撮影できます。取得できる情報も飛躍的に増えることになるでしょう。

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子供の塾が終わる頃、ドローンを飛ばして職場から見守ることも出来るはずです。田舎にいる親や祖父母の家へドローンを飛ばし、窓から中の様子を伺って、元気で問題ないか確認することも考えられます。出かけると混雑しているから、上空から花火大会を楽しむなんて使い方も出来るかも知れません。

離れた場所に駐輪している時、防犯のためドローンを飛ばすことも考えられます。もし盗まれそうになったら、犯人の映像を撮影したり、撮影していることを気づかせ、盗むのを断念させることが出来るかも知れません。ドローンを盗難防止に使うようなことも考えられそうです。

今でも、カメラの普及とネットのおかげで、世界中の様子を動画で見ることが出来ます。近い将来は、アップされた動画ではなく、世界中、好きな場所のリアルタイム映像が見られるようになるかも知れません。いつでもドローンを飛ばして撮影できるとなれば、ほかにも無数の利用方法が考えられるでしょう。



いつでも、どこにいても、好きな場所を「見る」ことの出来る環境、ドラえもんの世界のようですが、そんな未来が近づいています。近年の機器の進歩の速さを考えると、いながらにして世界のリアルタイムの状況がわかる、早晩そんな環境になってもおかしくありません。

ただ、問題もありそうです。もしかしたら、夫が本当に出張しているかアリバイ調べとか、浮気の現場を撮影するためドローンで尾行するといった用途に使う人が出てくるかも知れません(笑)。スクープ映像を撮るため、空飛ぶパパラッチも出現しそうです。

個人でも、他人のプライバシーをのぞくようなことが簡単に出来てしまうとなれば、悪用する人が増えることは十分考えられます。実現すれば、今よりさらに進んだ動画環境が出現し、いろいろと便利になる一方で、ますますプライバシーが問題になりそうです。

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カメラの高性能化、低価格化によって、街の監視カメラも飛躍的に増えました。近年は、実際に犯罪捜査の点で大きく貢献しており、もはや防犯カメラなしに犯罪捜査は考えられないでしょう。ドローン撮影の技術は既に確立していることを思えば、監視カメラが飛回る世の中にならないとも限りません。

ドローンを使って自分を撮っているぶんにはいいですが、それだけには留まりそうにありません。ストーカー行為に使われたり、盗撮も出来てしまうなど、犯罪を助長する両刃の剣にもなりかねないでしょう。そう思うとドローンが飛回る時代、ちょっと複雑な気がしないでもありません。




日本の薬がエボラに効く可能性とか、臨床試験開始などと報じられています。今回収束しても、いずれまた流行するでしょうから、早く治療薬が出来るといいんですが..。

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