私たちの身の回りでも、進歩のスピードの速い分野、ITや通信などの分野では、今年も新しいものが次々と登場してくることが予想されます。スマホなどのモバイル端末の進化や普及はめざましいものがありますし、身に着けて使うウェアラブル端末も続々開発されています。
SNSやコミュニケーションインフラも進化を続けるはずです。スマホなどを使った決済が普及し、マーケティングや取引の形態にも、ネットによる変化が広がっていくのは必至です。通信速度も速くなっていきますし、大量のデータのやり取りが行なわれるようになっていくのも間違いないでしょう。
人間だけでなく、機械や装置、クルマなど、あらゆるものがインターネットに接続される、モノのインターネット、“IoT”も進んでいくに違いありません。そこから得られる膨大な情報、いわゆるビッグデータは、これまでの常識を打ち破り、私たちの生活そのものを変えていく可能性があります。
プロジェクションマッピングのようなコンピュータグラフィック技術とか、バーチャルリアリティなどの技術により、これまでには考えられなかったような製品やサービスも登場してくることでしょう。ロボット技術も進歩し、私たちの生活がさらに便利になる予兆を感じられるかもしれません。
電力をスマートグリッドによって管理し、たくさんのセンサーやクラウド技術などと併せて街全体を一元管理するようなスマートシティも実証段階に入っています。農業生産の分野にもITが導入され、クルマは、より自動運転に近づき、社会のインフラそのものが進化してく速度は加速していきそうです。
教育の現場も変化を免れませんし、3Dプリンターなどが普及すれば、流通などの分野でも革新がおきるかも知れません。ドローンを使った配送なども、技術は確立され、あとは法律面などの整備を待つだけと言います。あらゆるものが変わっていく可能性があります。
もちろん、めざましい変化をとげていくものばかりではありません。自転車なんかも、そうそう変わらないものの一つでしょう。ただ、ITや通信、コミュニケーション技術が急速に進歩していく中で、その影響を受けないわけではありません。自転車関連の製品やサービスが進化していく可能性は十分にあります。
オランダでは“
intelligent bicycle”「かしこい自転車」というコンセプトの研究が進められています。クルマの世界では、障害物を検出するセンサーやカメラなどは、もはや珍しくありませんが、簡単に言ってしまうと、その自転車版を開発しようというものです。
レーダーやカメラによって、自転車の前後のクルマや障害物などを検知し、必要に応じて危険を運転者に知らせます。サドルやハンドルなどに内蔵されたバイブレーション機能によって通知したり、タブレットなどを使って表示したり、信号を処理して運転者に音声で伝えることも想定しています。
写真でもわかるように、開発はまだ初期の段階で、荷台に設置された装置の重さは、約25キロにもなります。実用化し、多くの人に使ってもらうためには、大幅な軽量化やコンパクト化、そして値段を安くすることが必要になるでしょう。
もちろん、いくら自転車先進国オランダで開発されているからと言って、全ての自転車に、このような機能が標準搭載されたり、一般的な装置として普及するとは限りません。25キロが2.5キロになっても重いと感じる人は多いでしょうし、かえって邪魔だと感じる人もあるに違いありません。
この種の装置の一番のターゲットとして考えられるのは高齢者です。高齢になって相対的に危険を察知する能力の衰えた人でも、より安全に走行することができれば、高齢者の事故が減る可能性があります。こうした機能を自転車に搭載することで事故が防げるのであれば、開発する意義は小さくありません。
機械に頼りすぎると、かえって人間の能力が衰えて危険だとか、むしろ道路上のインフラの整備を進めることで安全を確保すべきだとか、機能を拡大させて肥大化させるのは疑問など、いろいろ意見は分かれるかも知れません。ただ、高齢化の進む先進国では、考えられうる方向性と言えるでしょう。
どうしても耳が遠くなったり、注意力・集中力が低下したり、危機を察知する能力が落ちたりします。そうした部分を技術で補うことが出来るのであれば、少なくとも一部の人には福音をもたらします。実際に広く普及するかどうかはわかりませんが、ニーズが埋もれている可能性はあります。
自転車に限らず、一般的に言って新しい技術は、生活を便利にするなどのメリットをもたらします。ただ、同時にデメリットもあります。誰が見てもメリットのほうが大きく、議論の余地のないような革新については、黙っていても爆発的に普及しますが、そうはならないものも出てきます。
一見、便利そうに見えたものが、使ってみると面倒だったり、すぐに飽きられたりすることもあります。新しいツールとして普及したけれども、そのことによって、また新たな弊害が現れたり、社会問題となったりする例も実際に出てきています。
ITや半導体技術などの進歩によって、今後、自転車向けの新しい製品やサービスも続々と登場してくることでしょう。短い期間にガラリと変わることはないでしょうし、結局は普及せず消えていくものも多いと思いますが、自転車生活を安全、便利、そして豊かにするようなものが出てくることを期待したいところです。
9連休という方もあったと思いますが、早いものです。そろそろお正月モードから切り替えなければなりませんね。
Posted by cycleroad at 23:30│
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