どこも投票率が大きく低下しており、住民の地方自治への関心が薄れているとの指摘があります。地方自治においても自転車関連の政策が争点になることは、まずありませんが、地域によって力の入れ具合には差があります。各地の自治体の自転車関係の最近のニュースをピックアップしてみました。
割安なレンタル自転車、拠点増加で乗り捨て可能に
自転車を会社通いや仕事の移動手段として使いたいという人が増えている。こうしたニーズを受けて各地で割安な自転車レンタル・サービスが相次ぎ登場している。自治体が参加し、広範囲に拠点を設ける地域も増えており、借りたのとは違う場所に「乗り捨て」が可能なケースも多い。自転車レンタル・サービスの最新事情を紹介しよう。
「自転車を使えば駅から遠い訪問先を回るのに便利」。東京都内で不動産コンサルタントとして働く男性Aさん(41)は最近、千代田区が推進する「コミュニティサイクル」という自転車レンタル事業があるのを知り興味を持った。特に気に入ったのが、区内に約35ある拠点の中から好きなところで自転車を借りられ、しかも、好きな場所に返却できるという点だ。
この自転車レンタルは千代田区が、サービス運営のNTTドコモとともに2014年10月から始めた。貸し出す自転車は電動アシスト付きだ。拠点は区役所や公園、オフィスビル、ホテルなどに広がる。Aさんのように会社員なら、例えば勤務地に近い場所で自転車を借り、用が済んだら、帰宅に便利なJRや地下鉄の駅付近で返却するといった使い方をすれば効率的だ。
港区や江東区、横浜市、仙台市、広島市もそれぞれNTTドコモとともに、同様の仕組みの自転車レンタルを展開しており、今年3月には神戸市でも始まった。拠点が複数あり、自転車を借りたのとは別の拠点に返すことも可能だ。電車の駅に近い拠点も多く、「最寄り駅から離れた会社や学校に通う人にも利便性がある」(仙台市)。

各自治体は環境問題への配慮から排ガスを出さない交通手段として自転車に着目する。駐輪場所として公共スペースを活用しようという試みだ。「住民からの要望もあり、環境対策の一環として取り組んでいる」(千代田区)という。(以下略)(2015/4/9 日本経済新聞)
自転車シェアリング:72自治体導入も…利用広がらず
自転車をカーシェアリングのように共同利用する「自転車シェアリング」を本格導入している自治体の9割で、1台当たりの利用が1日1回に満たないことが、国土交通省の調査で分かった。1台の平均利用回数は1日0.4回で、1台の自転車が2日に1回も使われていないことになる。導入が進んでいる欧州の都市に比べ、本格的なシェア(共有)が実現していない現状が浮き彫りになった。
自転車シェアリングは、自転車を置く拠点(ポート)を各地に作り、貸し出しや返却ができる仕組み。公共交通機関の補完や温室効果ガス削減などを目的に欧米で先行導入されている。
国交省によると、国内では2010年ごろから「コミュニティサイクル」「シェアサイクル」などの名で各地に広がり始めた。13年には超党派の国会議員連盟が普及策を提言。東京都も20年の五輪に向けて推進している。14年11月現在、全国72市区町村が自治体直営や民間委託の方式で本格的に実施し、ほかに51都市が導入を検討しているという。
しかし、国交省が72市区町村の利用状況を調査した結果、回答した64都市のうち、1台当たりの利用が1日1回を超えていたのは札幌、金沢、川越など8市だけだった。最高は岡山市の3・3回だが、パリ(6回)やニューヨーク(8回)などを大きく下回った。
採算については35自治体が回答したが、14年4?9月の平均利用料金収入は支出の46.5%にとどまり、自治体の予算で赤字補填(ほてん)をしているケースが多いという。
国交省はポートの場所が駅やバス停から遠く、使い勝手が悪いことなどが背景にあると指摘。担当者は「行政が赤字補填してでも導入すべきかは今後の検討課題。利用度を高めるため、現状を詳しく分析したい」としている。
◇自転車シェアリングをしている自治体(昨年11月現在、国土交通省調べ)
<北海道>札幌市、江別市<青森県>青森市、弘前市、十和田市、八戸市<秋田県>能代市<山形県>山形市、酒田市<新潟県>新潟市、見附市<宮城県>仙台市、白石市<福島県>檜枝岐村<群馬県>高崎市、桐生市、板倉町<栃木県>宇都宮市<茨城県>水戸市、笠間市、東海村<埼玉県>さいたま市、川越市、伊奈町<千葉県>銚子市、佐倉市、鴨川市<東京都>江戸川区、世田谷区、小金井市<神奈川県>横浜市<長野県>軽井沢町<山梨県>山梨市<富山県>富山市、射水市、氷見市、砺波市<石川県>金沢市<福井県>坂井市、鯖江市<静岡県>三島市、伊豆の国市<滋賀県>彦根市、米原市、長浜市<愛知県>田原市、安城市<岐阜県>岐阜市<三重県>熊野市<奈良県>奈良市、明日香村<京都府>京都市、南丹市、八幡市、与謝野町<兵庫県>篠山市<大阪府>堺市<和歌山県>和歌山市、紀の川市、串本町<岡山県>岡山市<広島県>尾道市<香川県>高松市、観音寺市<高知県>四万十市<愛媛県>今治市<福岡県>北九州市、福津市<大分県>宇佐市、玖珠町<熊本県>水俣市<宮崎県>宮崎市(毎日新聞 2015年04月02日)
2つの記事を通してわかることは、「コミュニティサイクル」なのか「シェアサイクル」なのか、自転車レンタルなのか曖昧で、推進している自治体自身がよく理解していないこと、結局、各地で導入されている自転車シェアリングは上手くいっていないということが挙げられるのではないでしょうか。

このことについては、これまでに何度も書いています。手軽にお試しで始める自治体が多いこと、予算の関係なのか非常に小さな規模が多いこと、行政区ごとの縦割りだったり、拠点数や台数が少なく使い勝手が悪いことなど、利用が進まないのも無理はありません。自治体は、そのことに思いが至らないのでしょうか。
当然ながら、需要の差から拠点ごとに過不足が出ますが、そのへんの運営のノウハウもありません。メンテナンスも不十分ですし、およそユーザーの立場になんて立ったこともなければ、考えたこともない、サービスに関しては民間と比べるべくもない日本の「お役人さん」が出来る事業ではないことは明らかです。
パリやニューヨークという立派なお手本があるわけで、少し調べれば何が違うか、その決定的な違いを無視して上手くいくはずがないことは、素人にもわかることです。それを調べもせず、表面だけを見て、あるいは流行というだけで、これだけ多くの自治体が安易に導入しています。無責任な状況と言わざるを得ません。
これまでにも多くの同種の事業が、人知れず廃止になっています。これからも多くの地域で、ひっそりとアナウンスも無く廃止されるか、放置され、やがて消えていくに違いありません。そして多くの税金が無駄になるはずです。他の自治体の無数の失敗例を参考にせず、同じことを繰り返す無能さも救いようがありません。
単に定着しないというだけではありません。これだけの数の失敗例を積み上げれば、日本で自転車シェアリングは機能しない、意味がないという間違った考え方が醸成される可能性が高くなります。市民の間にも、自転車シェアリングはこんなものという間違った認識が定着してしまいます。
世界では、多くの都市で自転車シェアリングが広がっています。そして、新しい都市交通の手段として評価され、利用する人が増えています。それなのに日本では、このような間違った事例が積み重ねられた結果、本来のシェアリングの導入・定着が阻害されかねない事態が憂慮されます。
自転車用ヘルメット着用率、啓発で5倍に――愛媛県庁
条例で自転車用ヘルメット着用の励行を定める愛媛県では、県庁が率先して着用率向上のための啓発を進めている。先月19日、「県職員の自転車乗用ヘルメット着用宣言」を発表。10日には県庁前で啓発活動を行い、未着用の県職員に「イエローカード」を手渡した。
■県職員が県民に模範示す
2013年7月に施行された県の自転車安全利用条例では、ヘルメット着用励行のほか、毎月10日を「自転車安全利用の日」に制定。県庁前での啓発活動も「安全利用の日」の一環だ。当日は担当職員が「ヘルメット着用を」などと書かれたイエローカードを、未着用の県職員に配布した。
「着用宣言」は、県職員が県民に模範を示すねらいがある。自転車乗車中の事故での死亡者のうち、主な損傷部位として最も多いのは頭部だ。交通事故総合分析センターのまとめでは、09〜11年に発生した死亡事故で、頭部損傷が占める割合は64%にも上る。
着用宣言前の調査では、県職員のヘルメット着用率は11.5%にとどまった。ところが10日の啓発活動とあわせて再度調査したところ、着用率は59.3%となり、5倍に改善した。
「ヘルメット着用励行を条例で定めているのは本県のみ。着用率向上の取り組みは、自転車の安全利用に向けた活動の効果が目に見えて表れる」。啓発活動を担当する県消防防災安全課は、着用率向上に力を入れる理由をこのように話す。
県内には「サイクリストの聖地」と称される「しまなみ海道」が通る。また、県では「愛媛マルゴト自転車道」の整備や自転車イベントの開催などを通じて、国内外のサイクリストの誘致に積極的だ。そうした背景の下、自転車の安全利用の促進は県にとって不可欠の取り組みといえる。
同課ではヘルメット着用率の向上を「将来的には、自転車の車道左側通行の周知徹底にもつなげたい」とも説明。毎月10日の啓発活動は、警察などとも連携しながら今後も継続するという。(2015年3月19日 オルタナ)
ヘルメット着用率が5倍に上がるとは驚きの結果だと読んでみれば、なんのことはない、県職員だけの話です。愛媛県庁の職員が率先垂範することで、ヘルメット着用を地道に広げていこうという作戦のようです。ただ、県庁職員が見本を示したからと言って、それが県民にまで広がっていくかどうかは疑問です。
県職員の装着率が5倍になったと言っても、県民全体からみれば、ごくわずかな数に過ぎません。条例でヘルメット着用励行を定めているとは言っても、単なる励行では実効性は期待できません。県職員が着用しているからと言って、ヘルメットをかぶる気になる人がどれだけいるかについては首を傾げざるを得ません。
もちろん、県職員が率先するのは悪いことではありません。県の姿勢を表わすためにも必要なことでしょう。ただ、これは啓蒙活動をする人たちが未着用では示しがつかないというレベルの話であって、判断されるべきは県民の装着率でしょう。実際に県民のヘルメット着用率を上げる、具体的な啓発の手段が求められます。
ヘルメット義務化 県立校生、賛否を議論
2015年度から愛媛県内の全ての県立学校で自転車通学のヘルメット着用が義務化されるのを前に24日、松山市で着用推進会議があった。県立高校や中等教育学校48校の生徒96人が着用への賛否などについて話し合った。
自転車での高校生の死亡事故が相次いだのを受け、県高校長協会などが義務化を決定。着用の意義を高校生に考えてもらおうと、県教育委員会が全ての高校と中等教育学校を対象に16、24両日、会議を開いた。
四国中央・新居浜地区の会議には8校16人が出席。生徒らは「周りは誰も自分からかぶる意識を持っていない」「中学生まで。抵抗がある」など、過半数が義務化に反対。ただ実際にヘルメットを手にすると「軽い」と表情が一変し、楽しそうに試着して通気性やデザインを確かめていた。 (2015年03月25日 愛媛新聞)
高校生の多くが、自転車のヘルメットに抵抗感を感じるのは理解できます。特に、一般的に小中学生がかぶせられている、工事用のようなヘルメットを連想するとしたら、なおさらでしょう。記事によれば、自転車用のヘルメットに対する印象は、それほど悪くないようにも読めますが、やはり反発はありそうです。
高校生に自分たちで考えさせ、その意志でヘルメットの着用を決めさせるなら意味があると思います。自主性を尊重することになります。でも、義務化は決めておいて話し合わせても、果たして意味があるのか、何か効果があるのだろうかと思わざるを得ません。
学生の場合、交通事情や教育的見地など、それぞれの自治体の方針で、ヘルメットの着用が義務付けられるのは仕方がないでしょう。しかし、大人が義務付けられていないのに、押し付けられていると感じる状況では、反発する気持ちがわくのも自然だと思います。
そもそも日本では、道交法でもヘルメットの着用は義務付けられていません。個人の自由を過度に制限するのは好ましくないとする考え方からでしょう。逆に、無理に着用を義務付けると、自転車の利用そのものが減るという海外の研究もあります。
ヘルメット着用励行を条例で定め、自転車県としてアピールしていこうという県の姿勢は理解できます。しかし、小中学校でヘルメットを義務づける県ほど、高校以上でヘルメットに反発が強いという話も聞きます。高校生に押し付けると、かえって高校卒業後に、ヘルメットを嫌うようになる可能性も否定できません。
ヘルメットを無理やりかぶせようとするのではなく、周りがみんなヘルメットをかぶっていて、自分だけかぶらないのは、むしろカッコ悪いと感じるようになるならば、黙っていても着用するようになるでしょう。自分からかぶろうと思うならば、より強い動機となり、卒業後も持続もすると思います。
一方、強制されてかぶるのでは、反発も感じるでしょうし、ストレスにもなります。安全のためとわかってはいても、義務感を感じるならば、楽しくありません。出来れば、自発的にかぶらせるような動機をつくるのが理想でしょう。言ってみれば、イソップ童話の北風と太陽の寓話と同じなのではないでしょうか。
小学生の事故 4割が自転車 5〜7月に相次ぎ発生
兵庫県内の小学生の人身事故を分析したところ、約4割が自転車を利用中にけがを負い、うち約6割が午後3〜5時台の発生だったことが11日、県警への取材で分かった。月別では5〜7月に事故が相次いでおり、県警は「新たな学年に慣れ、行動範囲が広がるため危険が増す」と分析。下校後に自転車で外出する際などは注意するよう呼び掛けている。
県警交通企画課が2012〜14の3年間に死傷した小学生3864人の事故を調べた。このうち1691人が自転車を利用中の事故で、死者はいなかった。
自転車事故を時間帯別にみると、午後4時台が最多の25%となり、同5時台(24%)、同3時台(13%)と続いた。負傷した児童の8割に当たる1353人の行動目的が「友人宅などへの訪問や買い物」だった。下校後に自転車で外出中に事故に遭ったとみられる。
月別でみると、6月が最多の190人(11%)で、5、7、10月が183〜172人(いずれも10%)だった。県警は「新学年に慣れ始めて注意が散漫になる上、梅雨時で運転の危険が増すためではないか」と分析している。
一方、交通事故で死傷した中高生は過去3年間で6197人となり、67%に当たる4130人が自転車を利用中だった。通学に自転車を使う生徒も多く、行動目的別では「登下校」が2265人(55%)で半数を超え、「友人宅などへの訪問や買い物」が1584人(38%)だった。
県内の自転車事故をめぐっては14年に6821件となり、10年前より25%減少。一方で、自転車と歩行者の事故は179件とほぼ倍増。小学生の自転車が歩行者と衝突し、高額の損害賠償を命じられるケースも相次いでいる。
県は今月、自転車保険の加入を義務付ける全国初の条例を施行。学校や企業による安全教育の充実なども求めている。
【兵庫県の自転車安全条例】 自転車と歩行者による事故が増え、多額の賠償請求が相次いだことなどを受け、今月1日に施行。全国で初めて利用者に対し保険加入や夜間のライト点灯、反射材の装着などを義務付けた(保険義務は10月1日から)。条例に違反しても罰則はない。条例化に合わせ、新たな保険制度が設けられたほか、小野市が加入に対する公的支援を導入している。(2015/4/12 神戸新聞)
自転車の安全意識向上へ 児童生徒向けに免許証
自転車による事故の増加や危険運転が社会問題化し、啓発や法整備が加速している。兵庫県美方郡内でも児童生徒向けに「免許証」を交付する講習を実施。自転車利用者に保険加入を義務づける県条例も全国で初めて施行され、安全意識向上につながるか注目されている。
県によると、2013年に県内で発生した自転車対歩行者の事故は175件。10年前の約2倍で、自転車側が加害者となる例が大半を占める。08年に起きた自転車の小学生と女性の衝突事故で、神戸地裁は保護者に約9500万円の損害賠償を命じた。
しかし利用者の危機管理意識は依然低い。県が交通安全イベント会場などで行ったアンケートでは、自転車保険加入率は4分の1程度にとどまっている。
こうした状況を受け今月1日に施行された県条例では、10月から保険加入を義務づけている。県交通安全協会が推奨する「けんみん自転車保険」は年千円の掛け金で、賠償事故の際に最大5千万円の保険金が受け取れるプランなどがある。
しかし加入状況の監視は現実的には難しく、罰則規定は設けていない。新温泉町内のある自転車店では条例案可決後、問い合わせに訪れる住民もいた。しかし保険加入には至らず、店主は「意識が高まるきっかけにはなると思うが、加入件数が伸びるかは分からない」と首をかしげる。
一方、教育現場では自転車運転免許制度の導入が進む。12年度から美方署などと連携し、独自の免許制度を設けている香美町の県立香住高は「音楽を聞きながらの運転や並走が減った」と実感する。
本年度は香美、新温泉、多可の3町が、県交通安全対策委員会の「自転車運転免許証等制度推進市町」に指定された。自転車に乗る機会の多い子どもや高齢者に重点を置き、啓発に取り組む。
9日には新温泉町立夢が丘中の1年生44人が自転車教室を受講した。道路の通行を想定してグラウンドで行った実技講習で、生徒は県交通安全室の職員と同署員の指導を受けながら自転車を操り、自らの運転を省みた。約10分かけて自転車で通学する重本良樹君は「普段ちゃんと安全確認できていないと分かった」と話していた。
免許証の裏面には運転時の注意点を記載している。同町は本年度中に全小中学校で講習を実施する考え。高齢者向けには来年度の実施を検討している。(2015年4月10日 日本海新聞)
全国で初めての自転車保険加入を義務づける県条例で注目される兵庫県ですが、交通安全教育にも力を入れているようです。独自に免許を交付する試みも、児童生徒、特に低学年の場合には、その関心や意欲を保つのに一定の効果が見込めるかも知れません。

交通ルールの知識不足ということもさることながら、例えば逆走や並走などの行為が、具体的にどのような危険を招くのか、安全確認を怠ることが、いかに深刻な事故になりかねないかなど、児童生徒に具体的な認識が不足しているのは間違いないでしょう。
それは先生やお巡りさんに怒られるという問題ではなく、自分や他人の生命にかかわることであり、他人を死傷させたら、どのようなことになるのか、実感を持って理解させることが必要だと思います。近年、学校での交通安全教育が、疎かになっている面はないでしょうか。
子供の頃に、安全に対する基本的な理解と実感としての認識を得ておくことは、その後の人生において自発的に安全を意識した走行をすることにつながります。交通事故を減らす上での基本であり、結果に直結する重要な方策であるのは間違いないでしょう。
自転車でめぐる越谷観光マップ 6000部無料配布
越谷市観光協会(越谷市レイクタウン)は、市内を自転車で回遊するためのサイクリングマップを作成した。観光協会や市地区センターなどで無料配布している。
平地が多くサイクリングに適しているとされる越谷で、自転車を活用した観光事業の一環として六千部作られた。マップでは「食」「歴史と建造物」「名産品」をそれぞれテーマにした三コースを紹介。走る距離は約十七〜二十一キロ、走行時間は約六十〜九十分となっている。
「食」コースでは、越谷名物「鴨(かも)ネギ鍋」を提供している五飲食店を含む計十店舗を巡るルートを設定。「名産品」コースには、越谷市認定「こしがやブランド」を販売している菓子店やイチゴ観光農園などが配置されている。
市観光協会の担当者は「越谷の隠れた名所も楽しめます。マップを活用し、ゆっくり、のんびりサイクリングを楽しんでください」と呼び掛けている。(2015年4月6日 東京新聞)
走る・自転車のコースマップ 運動不足解消に
運動不足を解消して「短命県」を返上しようと、県中南地域県民局(弘前市)とNPO法人「スポネット弘前」は、初心者が気軽にランニングやサイクリングを始められるよう、ビューポイントやトイレの場所、おいしい飲食店などを網羅したコースマップ(A3判)を作製した。ランニング(初級、中級)とサイクリング(初級、上級)の4種類。
ランニングの「初級」は、弘前公園内(2キロ)や弘前駅前〜土手町商店街(3キロ)など4コース、「中級」は、アップルマラソン(10キロ)、桜温泉〜弘前市役所往復(10キロ)など3コース、サイクリングの「初級」は、西目屋往復(32キロ)、岩木山神社往復(23キロ)など4コース、「上級」は、唐竹〜軍馬平〜大鰐(56キロ)、青森ロイヤルホテル往復(41キロ)の2コースを掲載した。
地図のほか、シューズやウェア、自転車の選び方、グルメ・温泉情報なども紹介している。同県民局は「地域外からの人には観光マップとして活用してもらいたい」としている。
各5000部作製。管内市町村や観光協会、弘前市のホテル、自転車店などで手に入れることができるほか、スポネット弘前のホームページ(http://sponet-h.com/)からもダウンロードできる。(2015年04月10日 読売新聞)
地域の自転車コースを紹介する地図を作成する自治体が増えています。こうしたマップが、どれだけ観光振興の効果を増すのかは定かではありません。地味な事業ですが、このようなことは採算を抜きにした自治体でなければ出来ない事業でもあります。
なかなか効果が判定しにくい面もありますが、観光だけでなく、もしこれが市民の運動を促すことになれば、その健康増進効果によって、実際に医療や介護関連の予算の増加に歯止めがかかる例もあります。作ってみて損はないというところでしょうか。
バス専用帯やめ整備 自転車レーン 延伸加速
自転車の事故をなくそうと、道路に「自転車専用レーン」を設ける動きが加速している。東京都台東区を通る都道464号では、警視庁が都内で初めて、長さ一・六キロのバス専用通行帯をなくし、幅一・五メートルの自転車専用レーンを整備中。ただ、通行規制が変わるため、一朝一夕の延伸は難しいうえ、道路を使う人には慣れるまで注意が必要だ。
自転車専用レーンが導入されるのは、言問橋西交差点から泪(なみだ)橋交差点の間。バス専用通行帯(午前七時半〜午前九時)の両端を青色に塗り、終日自転車専用とする。三月中に言問橋西交差点−浅草七丁目の三百メートルが整備され、運用が始まった。二〇一七年度までに残りの一・三キロを完成させる予定で、都内で二番目の長さの自転車専用レーンとなる。
都道464号は、片側二車線と道幅が広い割には通行量が少なく、バス専用通行帯がなくても支障はないと判断した。自転車専用レーンは駐停車禁止だが、バスは乗客の乗降時に限り、レーンに乗り入れて停車できる。バス停付近には、バスの停車位置が記されており、自転車とバスの双方が注意する必要がある。
自転車と歩行者の衝突事故は、通行量が多い都内で突出して多い。警視庁によると昨年、全国で二千五百五十一件あったうち、31%の七百九十四件が都内で発生した。このため警視庁は自転車専用レーンの整備を進めており、一月末現在、都内に三十七区間、約二十一キロがある。
464号の自転車専用レーンは、もともと一般車両が一時的に止められる「停車帯」だった。沿道で金物店を営む男性(61)は「車で工具を買いに来るお客さんが多い。店の前は避けて別の所に止めてもらわないといけないので、お客さんには面倒だと思う」と話す。
警視庁幹部は「商店をはじめ道路周辺の方の理解を得て、こつこつと延ばしていきたい」と話している。(2015年4月2日 東京新聞)
見出しには「延伸加速」と書いてあります。加速とは相対的に速度が上がっているということで、いつと比べてなのかにもよりますし、どれくらいの加速度をもって加速と表現するのか、主観的な要素もあるでしょう。しかし、少なくとも私には、延伸加速という印象はありません。

そのあたりの具体的な記述があるわけでもないですし、単に言問橋付近の都道の整備に関してだけの記事であり、延伸加速の根拠がありません。むしろ記事中には、「一朝一夕の延伸は難しい」「こつこつと延ばしていきたい」などの記述があり、遅々として整備が進まないという印象を受けます。
自転車専用レーンの整備が進められているのは確かとしても、まだわずか21キロというレベルです。全体から見たら、微々たるものに過ぎません。これをもって延伸加速との表現は適切とは言えないでしょう。書いた記者も悪気はないのかも知れませんが、もう少し考えて書いてもらいたいものです。
道路の隅を青く塗るだけの自転車レーンなら、すぐにでも出来ます。費用面でも、仮に500キロ整備しても、工事費は数十億円程度であり、東京都の年間予算の0.1%程度に過ぎません。予算がないとは言えません。私には延伸加速どころか、むしろ東京都には、自転車レーンを本気で整備する気がないように見えます。
◇ ◇ ◇
インフラの整備もヘルメットの着用も安全教育も、結局は交通安全のためです。もちろん、地域の事情にもよりますし、自治体によってやり方も違うでしょう。でも、市民の交通安全に熱心で、積極的に取り組むところと、そうは見えないところが分かれるのは明らかなようです。
当然ながら、交通安全政策だけで首長や議員を選ぶわけにも行きません。公約にさえ入っていないことも多いでしょう。なかなか個々の政策に対して民意を示し、政策に反映させるのは難しいものがあります。しかし、自分の住む自治体の行政が、どのようなことをやっているのかは、普段から気をつけておきたいものです。
2016年のアメリカ大統領選にヒラリー氏が出馬表明ですか。やはりクリントン対ブッシュになるのでしょうか。