各紙が報道していますが、記録の意味も兼ねて、いくつか引用しておきたいと思います。
東京都、東京オリンピックに向け7エリアの自転車推奨ルートの整備を発表
東京都は4月17日、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた「自転車推奨ルート」の整備に取り組みを発表した。
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会会場や主要な観光地の周辺において、自転車がより安全に回遊できるよう、国道、都道、区市道等の自転車が走行しやすい空間を連続させ、ネットワーク化を図る自転車推奨ルートを設定する。この取り組みは、国や区市等とともに整備をすすめるという。
これまで東京都は、都道や臨港道路における自転車走行空間の整備を進めてきたが、この取り組みに加えて2020年大会開催までに自転車推奨ルートを整備することにより、自転車が走行しやすい空間を約400km確保し、歩行者、自転車、自動車がともに安全で安心して通行できる道路空間を創出していくという。
対象エリアは競技会場や主要な観光地の周辺7地区(皇居周辺地区、新国立競技場周辺地区、臨海部周辺地区、葛西臨海公園周辺地区、浅草・東京スカイツリー周辺地区、大井ふ頭中央海浜公園周辺地区、武蔵野の森周辺地区)で、対象道路は国道、都道、臨港道路、区市道。今回の事業規模は約200kmにあたり、平成27年度〜平成31年度に実施する予定となっている。
取り組みの主なポイントを4つ定めており、まず、国道・都道・区市道等の区別なく、自転車が走行しやすい空間を連続させ、より安全に回遊することのできる自転車推奨ルートを設定していく。また、外国からの来訪者も含め、誰もが大会の雰囲気や観光地のにぎわいを自転車で楽しめるよう、車道の活用を基本に東京の道路事情や交通事情に応じて普通自転車専用通行帯(自転車レーン)や、自転車ナビマーク・ナビラインによる走行位置の明示などを実施する。
そのほか、各区市の自転車ネットワーク計画等の対象路線、自転車シェアリングのステーション位置なども考慮しルートを選定するととこに、東京都が4月に創設した補助制度等により、技術面に加えて財政面を含めた支援を強化し、区市道における整備を促進していくという。そのほか詳細はホームページを参照。(2015/04/22 マイナビニュース)
都内7エリア、総延長約200km
五輪会場や観光地…専用レーンなどです〜いすい 東京都が「自転車推奨ルート」発表
2020年東京五輪・パラリンピックに向け、環境に優しい自転車での観光が安全にできるようにするため、東京都は4月17日、皇居や新国立競技場周辺など7エリアに整備する「自転車推奨ルート」を発表した。総延長約200kmで、五輪までに車道沿いに専用レーンなどを整備する。
都はこれまでも、幹線道路を中心に、歩道上や車道脇に専用レーンの設置を進めてきたが、ルートが途中で分断されるなど細切れになっていた。推奨ルートはこれらがつながるように整備し、外国人も含め、五輪施設や観光地を円滑に移動できるようにする。
整備エリアは、五輪施設の集まる新国立競技場▽臨海部▽葛西臨海公園▽大井埠頭(ふとう)▽武蔵野の森周辺―のほか、観光客の多い皇居周辺と浅草・東京スカイツリー周辺の7つに設定。専用レーンや、自転車が頻繁に走る「自転車ナビライン」などを整備して、観光地などを結ぶ。
推奨ルートのうち、約50kmはすでに整備されている部分を活用。残る150km分を、区市向けに補助金を出すなどして、平成27〜31年度に整備する。
コースの設定にあたっては、千代田区などが取り組むレンタル自転車の貸し出し拠点なども考慮。遠方から来た人も、気軽に自転車に乗れるようにして、環境への負荷を減らす。(産経ニュースより)
「前進…でも中途半端」 自転車活用推進研究会・小林理事長が指摘.
東京都内の自転車通行ネットワーク整備を提唱してきたNPO法人自転車活用推進研究会の小林成基理事長はCyclistの取材に対し、都が発表した自転車推奨ルートについて「前進だ」と歓迎しつつ、「自転車にとって“世界一の都市”を目指すには、まだ中途半端」と指摘。推奨ルートの一部で自転車の歩道通行を認めている点に苦言を呈し、自転車専用レーンか車道を走るよう社会全体で移行していく必要性を訴えた。
小林理事長は東京の交通環境について「多様な移動手段があり、環状鉄道や地下鉄の便利さは世界の大都市の中でも群を抜いている」と賞賛する一方、自転車の利用環境については「整備が始まったばかり。自転車らしい速度で、ある程度長い距離を移動できる車道上の走行空間計画は、いまのところ細切れ状態だ」と分析する。今回の自転車推奨ルートについては「五輪・パラリンピックの関連施設がある区域だけでも自転車レーンをネットワーク的に整備しようという取り組みだ」と限定的に評価している。
自転車の歩道通行については、「都内には視覚障がいを持つ人が3万7000人いるといわれているが、歩道上で白杖を自転車に折られる事故が絶えない」「子どもを乗せたママチャリは歩道のほうが安全と言う人がいるが、よちよち歩きの子どもの手を引いたお母さんのことを忘れている」と例を挙げて危険性を指摘する。
その上で小林理事長は、東京で自転車も歩行者も安全に暮らすことができ、外国人の訪問客も自転車で快適に走れる街になるために、今回の推奨ルートが「大きな一歩になることを祈りたい」と語った。(2015/04/21 サンスポニュース)
これまでと比べて、自転車インフラの充実へ向け、一歩前進と言うことは出来ると思います。しかし、不満な点もあります。一歩ではあるものの、計画全体でも、たったの200キロに過ぎず、しかもそのうち50キロは既存部分です。歩道走行部分まであると言います。
これは東京オリンピックを念頭においた一部の地区限定の整備に過ぎません。自転車の車道走行を基本とした都市の全体的なインフラの整備とは位置づけられておらず、極端に言えば、最初の一歩かと思っていたら、これが全部だったとならないとも限りません。
私は東京都の姿勢について、ブログ上だけでも10年以上注視してきましたが、東京都は、これまで一貫して自転車を歩道走行させることにこだわってきました。国、すなわち国交省や警察庁が車道走行の原則に180度転換した後も、公然と反旗を翻す発言をしてきたのは過去にも取り上げています。
役人というのは、いわゆる行政の無謬性にこだわり、それまでの政策を否定するような立場をとれないという事実があります。頭の中がクルマ優先一辺倒で、自転車は歩道だという固定観念が抜けないこともありますが、そもそも行政というのは、東京都に限らず、そういう傾向があります。
それを打破するのは政治の指導力ということになりますが、その舛添都知事の発言も、これまで揺れ動いてきました。自転車の活用という方針は掲げたものの、自転車の車道走行は一部マニアだけのものだ、ママチャリのお母さんは安全な歩道走行だといった、そもそも自転車政策を理解していないような発言も多々ありました。
その舛添知事の発言の移り変わりからすると、今回の政策が東京都の役人の進言によるものであることは容易に想像がつきます。そしてこの計画が出てきた背景には、東京都の役人の意図があるように見えてなりません。うがった見方かも知れませんが、これまでの強硬な姿勢を思えば、そう思わざるを得ません。
つまり、都内の基本的な自転車の走行部分は歩道だが、最近の風潮もあって、都への批判が強まりかねない。そこで、そのガス抜きも含めて五輪に向けて限定の地区だけ、車道の自転車レーン整備をしておこう、という目論みです。外国人の利用も配慮して、五輪に向けた地域限定の整備ならば、これまでの整備と矛盾しません。
もちろん、そんな意図は隠されています。しかし、それが図らずも表れてしまっているのが、「自転車推奨ルート」というネーミングではないでしょうか。この地区のこの道路は、特別に自転車レーンを整備しますから、そこを通ることを推奨しますよ、というスタンスです。
本当に自転車を活用しようというならば、車道走行でなければなりません。歩道を通る場合は、歩行者優先で徐行です。その速度は時速6〜8キロ程度とされており、歩く速度と同じか、少し速いくらいの速度です。これでは時間がかかりすぎて、交通手段としての機能が大きく損なわれることになります。
もっと速く走ろうと思えば、歩行者を縫うように走らざるを得ず、歩行者に大きな危険が及びます。現在でも歩行者との事故が多発しています。本来、自転車は車輌であり、車道を走行するものです。これは世界共通の『当たり前』であり、日本だけが異常な状態なのを自覚しなければなりません。
しかし、40年以上にわたって歩道走行できてしまったため、ドライバーも多くが勘違いしていますし、車道走行に危険があります。そこで車道に自転車レーンを整備し、安全に車道走行できるようにしようという話です。そうでなければ、自転車が都市交通の手段とはならず、十分に活用できないのです。
その考え方からすれば、国交省や警察庁が打ち出したように、原則車道走行を打ち出し、それに沿って全域に自転車レーンを整備していくことが必要になります。限られた部分だけの推奨ルートで、その沿道にしか行けないのでは自転車の活用とは言えず、自転車の特性を活かしていることにもなりません。
ロンドンでもニューヨークでも、全域において自転車レーンのネットワークを整備したわけで、その意味からすれば当然の話です。限られた地区だけの整備では、本当の意味での自転車の活用とは言えないわけです。世界で進められている自転車の活用に向けた整備とは似て非なるものということになります。
つまり、「自転車推奨ルート」ではなく、車道の自転車レーン整備を全般的に進め、あくまでその自転車インフラ整備の第1期計画ということにならなければならないはずです。そのような考え方に立っていないのがバレており、そのあたりに都の役人の本音が見え隠れしているように見えるのは私だけでしょうか。
五輪で訪日客も増えることだし、この地区だけ、この推奨ルートだけを走っとけというスタンス、少なくともそういう意図が見えてしまっているネーミングだと思うのです。推奨ではなく、本来はそれを当たり前にしなければ、自転車の活用にならないはずです。
舛添都知事の手記が「現代ビジネス」というサイトに掲載されています。
【舛添都知事日記】東京を「交通」でも世界一に---「自転車推奨ルート」と、舟運の活性化について
ヨーロッパの大都市に大きく遅れる「自転車の活用」
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前にして、今、東京の交通体系を総合的観点で見直し、交通という視点からも東京を世界一の都市にしたいと思っている。たとえば、三環状高速道路の整備などにより、渋滞のない大都市を目指すという大きな目標を掲げた。高速道路と並んで、鉄道網の整備も大きな課題であるが、この分野では、東京は世界でもトップクラスである。
しかし、自転車の活用という点では、ヨーロッパの大都市に大きく遅れている。私の公約は、この状況を改善することであり、都内にある各種の自転車レーンを視察し、また海外出張の際には訪問した都市の自転車政策について研究した。そして、この度、「自転車推奨ルート」を設定し、整備することを決めた。これまでも、都道については整備を進めてきたが、今回は、これに加えて、国道・都道・区市道等の区別なく、自転車が走行しやすい空間を連続させ、より安全に回遊できるよう、ネットワーク化した「自転車推奨ルート」を設定した。これは、わが国初の取り組みである。
2020年東京大会の競技会場や主要観光地周辺にある(1)皇居周辺、(2)浅草・東京スカイツリー周辺、(3)新国立競技場周辺、(4)葛西臨海公園周辺、(5)臨海部周辺、(6)大井埠頭中央海浜公園周辺、(7)武蔵野の森周辺の7地区において、約200km規模の整備を進める。すでに決まっている都道や臨港道路の264kmの整備と合わせると、約400kmにわたり、自転車が走行しやすい空間を確保することになる。その結果、都民も外国からの来訪者も、自転車で東京の魅力を満喫できるようになる。
整備に当たっては、車道の活用を基本にして、その地区の道路・交通事情を勘案しながら、自転車レーンや自転車ナビマークによって、自転車走行位置を明示する。区市道については、都が財政面や技術面で区市を支援していく。自転車シェアリングも当然のことながら、ルート選定の重要な要素である。
今後は、このネットワークを都内全域に拡大したいと思っている。(後略)(2015年04月21日 現代ビジネス)
これまで、自転車に対する根本的な理解に欠けた発言があったこと、一連の自転車政策に対する妄言の経緯を考えれば、一見まともなことが書かれています。ただ、この内容も、今回東京都が打ち出した「自転車推奨ルート」という役人の進言がベースにあるのは容易に想像できます。
自転車の活用がヨーロッパの大都市に大きく遅れているという認識があり、また海外出張の際には訪問した都市の自転車政策について研究したとあります。それならば、全面的に自転車インフラが欠けていることを自覚し、全般的に自転車走行空間を整備し、自転車を都市交通として活用することを当然ながら打ち出すべきです。
政治家としては、そういうビジョンを示す必要があります。少なくともボリスジョンソン氏やマイケルブルームバーグ氏は、そうしています。そうでなければ、ヨーロッパの大都市に大きく遅れているという認識や、訪問した都市の自転車政策について研究した、その本質を理解したとは言えないでしょう。
「自転車推奨ルート」を設置し、『今後は、このネットワークを都内全域に拡大したいと思っている。』と語っていますが、これは都の役人の進言に従っているだけに見えます。本気で自転車を活用する気なら、他の都市のように、まず全体のビジョンを示して、その第一弾とするのが当たり前です。
両者は同じに見えますが、大きな違いがあると思います。都知事本人の理解、考え方、覚悟という点もそうですし、都政の道筋をつける意味でも、そうでなければなりません。そうなってこそ、ごく一部の地域にとどまらず、今後、全体的に整備が進むことも期待できるでしょう。
これらが私のうがった見方であり、今後都内全域に広がっていくならば文句はありません。ただ、これまでの役人の姿勢を見る限り、現時点で全面的に方針転換したようには見えません。最初に書いたように、これをガス抜きとして、お茶を濁し、相変わらず全体では歩道走行の規定事実化を狙っているような気がします。
これが私の杞憂かどうかは、いずれ明らかになるでしょう。願わくば、役人の意図に反し、この推奨ルートが好評となり、多くの人に自転車の車道走行という本来の姿を知るきっかけになってほしいと思います。そして、限られた地区だけでなく、全体に広げていくべきという世論が醸成されることを期待したいと思います。
もちろん、無いよりマシです。今までが大きな欠陥だったわけで、一歩前進はその通りでしょう。ただ、手放しで喜べないというところでしょうか。リニア新幹線に例えるなら、まだ実験線の計画の発表段階です。全線開通しなければ意味がないことを忘れてはなりません。ぬか喜びに終わらないことを願うばかりです。
ドローンがいつ落ちてくるかわからないのでは困りますが、過剰な規制も革新を妨げます。難しい部分がありそうですね。
いろいろ聞くところによると、駐車違反は、こまめに通報するのがよいようですね。商店街のある喫茶店、店の前の駐車はすぐに通報するのだが、通常、目こぼしするような地域でも、通報されれば仕方ないと取り締まるという話をいくつか聞いたことがあります。
その時は相手にされなくても、積み重なれば無視できなくなるようです。運転者の身勝手で、他人を危険に陥れているわけですから、えんりょはいりません。携帯電話の普及でどこからでも通報できるわけで、これを利用しない手はありません。