近所へのポタリングに使う人、峠を攻める人もあれば、シングルトラックを走る人、輪行したり旅行に使う人、トライアルやフラットランドなどのワザを磨いている人もあるでしょう。たくさんの乗り方、楽しみ方がありますが、また違った側面として、自転車の自作を趣味にしている人もいます。
日本では比較的少ないようですが、海外のサイトなどを見ると、オリジナリティあふれるアイディアから新しい自転車を作ったり、身近な材料から面白自転車を作ってみたりと、いろいろな人がいます。元々、欧米の国では日曜大工が盛んで、DIYに抵抗がないという背景があるからかも知れません。
巨大なホームセンターで、材料から工具まで何でも揃いますし、家具や自宅周りのものから、自作の電気製品、中には家そのものを自分で建ててしまおうという人までいます。そんなDIYが定着している国では、自転車を自作することくらい、特に珍しいことではないのかも知れません。
竹を使って自転車を製作するキットなども売られていますし、以前、自転車のプラモデルとでも言うべきキットも取り上げました。板材を使って作る自転車とか、素人でも扱いやすい素材を使った自作キットなども売られています。それなりのニーズがあるのでしょう。
そういう文脈から考えると、オリジナルの自転車の自作キットを開発して販売しようという人が、クラウドファンディングサイト、“Indiegogo”で資金調達しようとするのも、自然な流れと言えるのかも知れません。“
JIGLESS KIT”は、自転車のフレーム製作の再発明という触れ込みです。
最近、その存在が大きくクローズアップされている3Dプリンターを使ってパーツが作られている、世界で初めてのホームメードの自転車フレームセットだとアピールしています。これを使えば、扱いやすい木や竹でなく、アルミのパイプを使った本格的な自転車が手作りできます。
ある程度、手先が器用で、ものづくりの好きな人が対象となるのでしょうが、何でも手作りするのが趣味の人に限らず、自分で自分の自転車が作れるという点に魅力を感じる人はあると思います。自分で作った作品への愛着や、完成した時の達成感もたまらない魅力なのは間違いありません。
自分で自転車を作ろうなんて思いもよらない身としては、強度は大丈夫なのだろうかとか、余計なことが気になってしまいますが、そもそも自転車を手作りしようという人なら、問題ないのでしょう。当然、ホイールの振れ取りとか、ディレイラーやブレーキの調整なども、問題にならないはずです。
一方、こちら、同じクラウドファンディングサイトでも、“ Kickstarter”で資金調達しようとしているのは、“
REFRAMED Bicycle”です。自作というより、自分で簡単に組み立てることが出来る自転車です。部材一式が送られてくるので、説明書を見ながら、誰でも簡単に組み立てられるというものです。
こちらは自作の楽しみというより、コストを削減して安く提供するのが目的です。フレームの、通常は溶接される部分もボルトで止めます。塗装も省かれており、さらに組み立てをお客が自分でやることから、大幅なコスト削減になり、安く買うことが出来るというわけです。
各部材の色などは好みのものを選べます。必要に応じてオプションのパーツを注文することで、ある程度のカスタマイズも可能です。組み立て家具を買って、自分で組み立てることが苦にならない人なら、問題なく組み立てられると言います。
ピストバイクと同じで固定ギアなので、ブレーキやディレイラーはありません。そのことも組み立てを簡単にしています。長く使わない場合や、遠くへ送る場合など、分解してコンパクトに収納できるのも、メリットと言えばメリットと言えるでしょう。
ただし、結果は、どちらも資金調達に失敗しています。“JIGLESS KIT”は、自転車を自作しようという人にとっては、中途半端だったのかも知れません。“REFRAMED Bicycle”も、それなりに出資しようという人がいたものの、コスト削減という目的が、それほど評価されなかったのかも知れません。
ヨーロッパでは、日本と違って、中国から輸入されるような格安で粗悪な自転車に対しては、高率の税金がかけられており、低価格の自転車に対するニーズは、それなりにあると思われます。ただ、普通の人が利用するには、自分で組み立てることへの不安や、機能や性能面も評価されなかったのかも知れません。
自転車は一般的に、完成品を買うスタイルがほとんどです。もちろんオーダーメードも出来ますが、価格は高くなります。DIYが趣味という人でなくても、低価格で気軽にカスタマイズ出来たり、自分でオリジナルな自転車を作るというニーズは、一定程度ありそうな気がします。
昨今は、素材や加工などの技術も上がっていますし、やりようによっては、素人でも組める自転車も、あるいは可能かも知れません。自転車の製造や流通はこういうもの、という固定観念を破り、新しい分野を開拓しようというスピリットは評価できますが、まだまだ常識を覆すようなレベルには達しなかったようです。
箱根だけではなく、浅間山や西之島もですか。各地で火山活動が活発化しているのは不気味な感じですね。
Posted by cycleroad at 23:30│
Comments(0)│
TrackBack(0)