これからの季節は日中の暑さを避けるため、暗くなってからの活動も増えたりします。帰りが遅くなって、自転車での帰宅が暗い中になることもあるでしょう。そうなると気をつけたいのが、夜間の視認性です。ふだん、あまり意識する人は少なく、どうしても見逃しがちですが、その重要性は強調しても、し過ぎることはありません。
夜間の視認性の重要さは論を待ちませんが、厄介なのは、その効果や必要性がわかりにくく、恩恵を感じにくいことでしょう。ライトやリフレクターなどを装着し、視認性に気を配っても、それが果たして効果をあげているのか、具体的には知るすべがなく、実感しにくいところが問題です。
例えば保険も、ふだん、そのありがたみは実感しにくいですが、事故になればわかります。しかし、夜間の視認性については、事故になったとしても、その遠因になったかどうかすら判然としない場合が多いでしょう。発見が遅れたのが事故の背景にあったとしても、他の要因もあり、視認性との関係が明白になるとは限りません。
早朝、道路に人が倒れているのが発見され、そばに壊れた自転車が倒れていたことから、轢き逃げと見て警察が捜査を始めた、などというニュースをよく見聞きします。しかし、夜間に起こったであろう、その事故について、暗くて発見が遅れたとか、もっと目立っていれば、などと原因が報道されるのは、あまり聞きません。
逆にクルマを運転していて、暗闇を走行する自転車に気づかず、あわやのところで事故を免れた、といったような経験でもなければ、視認性の重要性について、なかなか実感として理解するのは難しいのかも知れません。ただ、事故が起こってからでは遅いのも確かです。
これまでにも、夜間の視認性を向上させるようなアイテムは、多数取り上げてきました。たくさんの工夫やアイディアがありました。これだけ多くの試みがあるということは、供給する側に、夜間の視認性の重要性を理解し、その必要性を痛感している人が多いということなのでしょう。
しかし、利用者側は、頭では理解していても、面倒などの理由で、実際には視認性を向上させるアイテム等を使っていない人が多いのではないでしょうか。郊外の暗い道なら、その必要性を多少は感じるかも知れませんが、街灯があるような都市部だと、省略してしまう人が多いだろうことは、実際に街で観察しても明らかです。
でも実際には、都市部にも暗がりは多いですし、周囲が明るいぶん、逆光になってしまったり、光が紛れてしまって目立たないということは少なくありません。距離があればクルマのヘッドライトに入るものの、近いと、かえってその範囲から外れ、目立たないということも起こります。
LEDなどを使ったライト類やリフレクターなどは、個人や小規模の会社でも扱いやすく、商品化しやすいという面もあると思いますが、新たな視認性アイテムを開発しようという試みは絶えません。クラウドファンディングサイトでも、多数のアイディアが提案されています。
さて、今回取り上げるアイテムは、面倒くさがりの人でも、このライトを使うだけで視認性がアップするという点が優れています。ライト、前照灯は、法律でも義務付けられており、何らかの製品を使うと思います。そのライトに、これを選ぶだけで視認性のアップにもつながります。
このライト、“
DING Bike Lights ”は、前方だけでなく、下方も照らすのです。このことにより、側方や後方からの視認性もアップします。側方へもライトの光を発する手はありますが、下方を照らすことで、広い面積を光らせられます。光を直接向けるより、明るい面積が広くなって、視認性のアップに効果的というわけです。
実は、このような考え方、珍しいものではありません。テールライトにしても、後方に光を出すタイプは、自転車の場合、どうしても光源が小さくならざるを得ないという弱点があります。そこで、乗り手の背中を照らせば、広い面積を明るくすることが出来て、視認性的に効果的と考える製品などもありました。
同じような考え方から、自転車の下方を照らす製品も、これまでにありました。しかし、これならば一台でライトと視認性のアップを同時に実現出来ることになります。側方からの視認性に同時に配慮できる点も、優れていると言えるでしょう。
前と後ろにライトをつけていても、側方に関してはスポークに取り付けられたリフレクターだけという人は多いはずです。しかし、側方から出て来たクルマと衝突するような事故も当然あります。下方を照らすだけで、前後方向だけでなく、左右方向の視認性も向上させることが出来るわけです。
実は、似たような考え方のテールライトもあります。“
INOX mini-R ”は、後方への赤色灯としてだけでなく、やはり下方を照らすことによって、光る面積を大きくし、後方から発見されやすくしようという考え方です。これは、すでに商品となっており、販売されています。
“DING Bike Lights”が、いつ製品化され、日本でも買えるようになるかはわかりませんが、“INOX mini-R”は日本でも来月発売されるようです。こうした製品を使えば、いずれにせよ必要なライトや、あったほうがベターなテールライトを取り付けるだけで、視認性も、より大きく向上するわけです。
ところで、ここで強調する視認性の重要性について、なるほどその通りだと納得する人は多いでしょう。しかし、何か実行に移す人がどれだけいるでしょうか。このように製品を紹介しても、わざわざ探したり取り寄せたりする人は、わずかな割合に違いありません。製品を手に入れるのも面倒です。
そこで、すぐ出来る方法を提案しておきたいと思います。おそらく初心者以外は、家に自転車用のライトの1つや2つ、転がっているのではないでしょうか。ライトとして買ったけれど、あまり明るくないので使わなくなって置いてあるようなライトはないでしょうか。
そのようなライトを、ハンドルやダウンチューブなどに、下向きに取り付けてはいかがでしょう。もちろん、前方を照らすライトとは別にです。2個取り付ける必要があるので、そのぶん面倒ではありますが、手持ちのアイテムの有効利用にもなります。
もちろん、器用な人なら、ライトを改造したり、2つ合体させるなどして、下方を同時に照らすようにすることも可能でしょう。“DING”や“INOX mini-R”が発売されるまで待っていたら、忘れてしまう可能性が否定できない人も、とりあえず応急措置としてライトの2つ使いを考えてもいいのではないでしょうか。
もし、手元に使えるライトがなくても、普通のライトなら、どこでも手に入ります。前を照らすのではなく、下方を照らすだけならば、量販店やディスカウントショップなどのものでも使えるでしょう。何か他のLEDライトの流用なども可能かもしれません。
視認性アップに僅かな投資と少しの手間をかけただけで、もしかしたら将来、起こり得た事故を回避することになったかも知れません。しかし、それは証明できず、実感も出来ません。夜間の視認性についてどう考えるか、実行するかしないかは、あなた次第です。
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なぜわざわざ新幹線の中だったのでしょうか。箱根も小噴火しましたし、九州の大雨も気になるところです。