すでに、私たちの生活に欠かせないインフラとなっているインターネットですが、新しいサービスや仕組みが次々と誕生し、進化を続けています。最近は、モノのインターネット(Internet of Things)、IoTというキーワードが話題になります。
従来のように、コンピュータやサーバー、モバイル機器などにとどまらず、あらゆるモノがインターネットに接続されていくと言います。端末を通して人間がアクセスするたげではなく、「モノ」がインターネットにつながり、つながるものは飛躍的に増えていくと言われています。
すでに、実現している例もあります。例えば日本の建機メーカーは、世界中の顧客の元で動作している鉱山用の機械とか大型の運搬車などの稼動データを、インターネット経由でリアルタイムに把握しているという話です。全自動で無人制御出来るだけでなく、車輌の状態やメンテナンスの情報なども全て把握できるそうです。
アメリカの航空機エンジンメーカーは、顧客であるエアラインの旅客機のエンジンにセンサーを取り付け、インターネット経由でリアルタイムにモニタリングする技術を導入しています。これによってエンジンの状態を把握し、未然のトラブル防止やメンテナンスに役立て、安全性や効率を向上させることができるのです
身近な例で言えば、街角の自動販売機もネットでつながりつつあります。定期的に飲料などを補充していても、天候や周辺の交通量の変化などで、売上げが変わり、売り切れが出てしまいます。ネット経由で在庫が確認できれば、機動的に補充することが出来て販売機会を逃しません。
最近耳にするインダストリー4.0や、インダストリアル・インターネットも、IoTです。工場の機械が全てインターネットに接続され、販売データなどに連動して、リアルタイムに生産が最適化されると言います。これによって、効率的な生産が可能になり、生産性が向上するわけです。
在庫が減らせたり、物流も効率化できて、企業の収益性も向上することになると思われます。ビッグデータに基づいて、インターネットにつながった機器が連動して生産、流通、販売を最適化するため、店頭での売り切れや欠品といった事態は減り、売れ筋が機動的に並ぶことになるのでしょう。
文字通り、あらゆるモノがインターネットにつながっていくことになります。家の中でも、当然家電は外出先から制御できるようになるでしょうし、戸締りだって遠隔地から確認できます。観葉植物の水やりのタイミングも、熱帯魚の水槽の水質管理も、全てインターネット経由で操作できるようになるはずです。
クルマに乗って移動しながらインターネットにアクセスできるだけではなく、クルマそのものがインターネットにつながり、状態がリアルタイムにモニターされていくことになるでしょう。当然ながら、自転車にもその波は押し寄せてくるはずです。自転車そのものがインターネットに接続される世界です。
その流れで言えば、これなどは、その予兆と言えるのかも知れません。“
TrackerPad”です。硬貨ほどの大きさの本体に、プリペイドのSIMが組み込まれており、これ単体でインターネットに接続できます。GPSによる位置情報をインターネット経由で送信することが出来ます。
これを自転車に貼り付けておけば、今どこにあるか調べることが出来るわけです。つまり、盗まれた自転車の発見に役立てることが可能になります。これまでにも同じコンセプトのものはありましたが、この小ささ、手軽な価格は大きなアドバンテージとなりそうです。
ワイヤレスで充電でき、最大連続7日間動作します。指定する範囲から動かされたら通報させるような使い方も可能です。通報を手元のスマホで受信すれば、盗難防止アラームとしても使えるわけです。現在、クラウドファンディングサイト、“Kickstarter”で資金調達中です。
もちろん自転車以外にも使えます。自転車専用というわけではないので、サイフとかカギなどに貼ることも想定されています。しかし、例えばサイフに貼っておいても、盗まれたら中身を抜き取られてサイフしか発見できないことも多いと考えられます。
その意味で、どうしても公共の場に駐輪せざるを得ず、ずっと見張っているわけにもいかない自転車の盗難に備えるために絶好のアイテムと言えるでしょう。これだけ小さいので、目立たない場所に貼っておけば、剥がされるのも回避できそうです。
日本では、ママチャリをとめても施錠もしない人が相当の割合でいると言われていますので、あまり意味がないですが、価格の高いスポーツバイクに乗る人には福音となるでしょう。こうしたアイテムが普及していけば、いつでもネットとGPSで追跡出来るようになり、自転車盗は割に合わない犯罪になるかも知れません。
これは単なる盗難に備えるアイテムでしかありませんが、自転車そのものがIoTでネットにつながる時代になれば、盗難防止だけでなく、もっといろいろなことが実現することになるでしょう。例えば、より安全性が高まるような機能も開発されるに違いありません。
インターネットにあらゆるものがつながる時代、例えば前方の曲がり角にクルマが接近していて、出会い頭に衝突の危険がある場合、未然に警告を発するようなことも考えられます。すでに、クルマメーカーなどが、そのような研究を進めています。
自転車の通行データや位置情報をビッグデータとして解析し、インフラ整備などに生かすことも考えられるでしょう。交通事故の起きやすい場所やその原因を調べ、抜本的な改善につながるようになるかも知れません。自転車の通行データを街づくりや販売促進に生かすようなことも考えられます。
全てのモノにIDや、IPアドレスが与えられるようになれば、ID同士の接触、衝突なども検知できるようになるでしょう。すなわち、自転車とクルマが事故になった時、目撃者がいなくても、事故の場所や当事者が把握できます。ひき逃げ犯は確実に捕まることになっても不思議ではありません。
フェイスブックなどのSNSと連動し、近くを走っている友人が把握できるようになったりするでしょう。思わぬところで友人の接近の通知を受け、この友人とは久しく会ってないから追いつこうとか、向こうから近づいてくるぞ、なんてことが普通に起きるようになるかも知れません。
自転車に内蔵された各種センサーと連動して、健康機能を持つようになってもおかしくありません。心拍数などの身体のデータとギアやケイデンスなどの自転車のデータが統合的に管理され、例えば、最近体重が増えているからと、少し運動負荷の高いコースを選択してナビで案内するようになったりするかも知れません。
タイヤの空気圧が監視されて、不足すると通知が来たり、突然のアクシデントでパンクをした場合、あらかじめ契約しておいたロードサービスが駆けつけるといったことも実現可能になるでしょう。もちろん、事故が発生したら、意識がなくても自動で救急に通報してくれるはずです。
いろいろ可能性は広がります。便利な機能がある一方、余計なお世話と感じる機能も出てきそうです。すべてが管理されるようで、好き嫌いもあるでしょうが、世の中のあらゆるモノがつながる、IoTの方向へ進むのは間違いなさそうです。そして、その流れに自転車だけ無縁というのも考えにくいでしょう。
これまでのインターネットの普及や進化の勢いを考えると、モノのインターネット、IoTも急速に普及する可能性があります。今は考えつかないようなことが数年先に実現していてもおかしくありません。そう遠くない将来、私たちは、『インターネット端末』に乗るようになるのかも知れません。
白紙撤回、何よりです。屋根をつけると芝の育成が問題で、イベントで使える日数は僅かだそうです。欲張らずに屋根は観客席だけ、競技オンリー、シンプルにしてサブグランドつきで500億くらいで作るべきだと思いますね。
この記事を拝読して思い出したのですが、数年前に「ユビキタス」という言葉がよく使われました。微少なICタグをありとあらゆる商品にくっつけて、何がどこにあるのか普遍的に把握しようという考え方だった気がします(お詳しい方がいらっしゃったらもっときちんとした説明をお願いいたします)。
あの技術があれば、今回の商品は実現化に全く問題がなさそうですね。