August 29, 2015

置き換えた方が便利なことも

前回はサイドカーを取り上げました。


デンマークのサイドカー、“Scandinavian Sidecar”は、手持ちの自転車に取り付けることが可能で、子供を乗せるのに重心が低く安定しており、チャイルドシートで起きるような落下事故の心配もありません。場所を選びますが、安全と安定性を優先するなら、十分に選択肢になりうるのではと書きました。

ところで、サイドカー、側車付き自転車は、子供を乗せる用途に限りません。いろいろな荷物を運ぶシーンでも活躍します。日本でかつて使われていた実用車に取り付けられたサイドカーは、大きな荷台に、さまざまな荷物が載せられ、汎用性の高いものでした。

日本では廃れてしまった側車付き自転車ですが、欧米では国によって、カーゴバイクやトレイラーなどと同じように、サイドカーが使われることがあります。なんと言っても、大きな荷台が最大の利点であり、普通の自転車では運べないような荷物を運べるところが売りです。

Horse Brand Co.Horse Brand Co.

こちら、Horse Brand Co.社のサイドカーは、フレームが一体になっているシンプルなモデルです。オーソドックスなサイドカーと言えるでしょう。フラットな荷台に直接荷物を載せるだけでなく、荷物に合わせたアタッチメントを取り付けることも可能です。

サーフボード運搬用にもなります。サーフボードを普通の自転車で運ぶのは困難ですが、サイドカーなら安定して運ぶことが出来ます。これなら仲間のぶんまで、3台くらいはラクに乗るでしょう。サーファーが波乗りに行く移動手段として重宝しそうです。

Horse Brand Co.Horse Brand Co.

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私は、少ししかやったことがないので、あまり詳しいことはわかりませんが、海岸近くに住む地元のサーファーだと、自転車に専用のラックなどを付けて移動することも少なくないようです。もちろん、場所にもよるわけですが、クルマでの移動が不便な場合もあるからです。

クルマだと、とめておく駐車場が必要になりますが、いいポイントに駐車場があるとは限りません。いろいろな状況によっては、ポイントを変えるために移動することもあります。自転車であれば、海岸線に沿って素早く移動でき、砂浜近くにとめておくことが出来ます。





海岸沿いでの移動には、ビーチクルーザーなどを使うサーファーも多いのかもしれませんが、ボードを脇に抱えて乗るのは、大きさによっては困難です。いろいろな荷物も同時に運べますし、駐車場の心配が必要ない点も含め、サイドカーはサーフィンの移動手段として持ってこいかも知れません。

Horse Brand Co.

Horse Brand Co.

ところで、私の親戚に農家をやっている人がいます。そこのお爺さんは、わずかな距離ですが、毎日畑に行くのに軽トラを使います。近所の寄り合いなどに行くときは自転車も使うのですが、むしろ近い自分の畑へ行くのには、特に収穫するものがない場合でも、必ず軽トラです。

なぜなら、鍬などの、ちょっとした道具が自転車では運べないからです。別に軽トラが悪いと言うつもりはありませんが、あんなに近いのに軽トラで、むしろ遠い場所へ自転車で出かけていくのが笑えます。もし、こんなサイドカーがあったら、普通に農作業へ行くのは、サイドカーにするでしょう。

おそらく、同じような人は多いのではないでしょうか。農家や果樹園、酪農や養鶏などをしている人、あるいは漁村で港まで行く漁師や市場関係者など、自転車で充分な距離なのに、ちょっとした道具や荷物が運べないので軽トラをアシにしている人は、全国にいるような気がします。

もし側車付き自転車が、今も売られていれば、軽トラの代わりに乗る人もいるのではないでしょうか。いつも自宅と作業場などの近い距離を移動するだけであれば、サイドカーでも十分です。小回りがきいて、維持費も違います。もちろん、軽トラと使い分けるようなことも出来るでしょう。

Horse Brand Co.Horse Brand Co.

都市部においても、サイドカーのニーズは隠れているような気がします。例えば、スーパーやホームセンターなどで、いつもとは違う、少し大きなものを買った場合、自転車の荷台には載らないということがあります。そんな時、お店でサイドカー付き自転車を貸してくれたら便利でしょう。

軽トラを貸してくれてもいいのですが、お米やペットボトルの飲料のダンボールなどなら、そこまで必要ありません。サイドカーで十分です。ホームセンターで少し重いものや、かさばるものを買いたいとき、サイドカーの貸し出しがあれば、わざわざクルマで行かなくても済みます。

Horse Brand Co.Horse Brand Co.

以前、ホームセンターから出てきた年配の方が、自転車の前カゴに、熱帯魚を飼うような大きな水槽を載せているのを見たことがあります。当然、前カゴには入らず、上に載せて手で押さえているのです。ほかに方法がなかったのでしょうけど、いつ落すか、いつ割るか、道行くの人の目が釘付けでした(笑)。

少しの距離だから、自転車で運んでしまえということだったのでしょう。水槽は珍しいとしても、お米の袋や飲料のダンボールなどを荷台にくくりつけ、フラフラしている人も見ます。軽くても、トイレットペーパーの18ロールが前カゴに入らず、片手で持って走っている人もいます。

もちろん、大きな荷物が運べるからといって、いつもサイドカー付き自転車を使うのは不便です。滅多に必要ないのに、サイドカーにするのも不経済です。でも、スーパーやホームセンターなどで貸し出すサービスがあったら使いたい人も多いのではないでしょうか。

Photo by Hiroshi Miyazaki,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.頻繁ではありませんが、近くの公民館からお祭りの道具を借りてくるとか、町内会でゴミ拾いをするとか、ちょっとした運搬手段があると便利という場面は、時々あります。軽トラまでは必要ない、むしろ、かえって不便ということもあるはずです。案外、サイドカーのニーズはあるかも知れません。

昔、側車付き自転車が普通に使われていた時代はよく知りませんが、ずっと近年に、一度見たことがあります。秋葉原のお店からダンボールを回収し、たたんで運んでいました。都心だからこそ、リヤカーが便利な場面、さらに、それがサイドカーで、より機動力があれば便利ということもあるはずです。

残念ながら、日本で側車付き自転車を見ることは、ほとんどなくなってしまいました。モータリゼーションの時代に見向きもされなくなり、なくなるのは仕方なかったのだと思います。しかし、今の時代に復活して、売られていたり、貸してくれたりしたら、意外にサイドカーが活躍する場面はあるような気がします。




急に涼しくなって、戻るかと思えばそのまま続いています。猛暑だったのがウソのようです。このまま秋ですかね。

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