September 28, 2015

実用性にデザインを足す戦略

自転車は身近な乗り物です。


毎日使う人も多いはずです。そんな自転車を購入する際、どのような基準で選ぶかは、人によって大きく違ってくるのだろうと思います。もちろん、スポーツバイクに乗るような人は、性能やスペック、それにブランドなどで選ぶ人が多いでしょう。

ただ、日本ではママチャリ、海外でも、ごく実用的な自転車に乗っている人の場合、必ずしも性能や仕様では選ばないでしょう。そして、全体としてみれば、そのような人が多いのも確かです。主に価格、予算やお買い得かどうかで選ぶ人も多いに違いありません。

折りたたみとか、電動アシストとか、種類で選ぶのを別とすれば、店頭で見て、実用的であることや耐久性やコストパフォーマンスなどを基準に選ぶのかも知れません。近年はホームセンターや量販店などで買う人も多く、その場合、選択肢が非常に限られていることも多いと思います。

自転車なんて、どれも同じだと思っている人も多いでしょう。一部を除けば、知名度の低いメーカーのものも多いでしょうし、さすがに、あまり粗悪に見えるものは避けるとしても、あとは売り場の係員のお薦めとか、一番の売れ筋などを聞いて決めるのかも知れません。

#UnchainMe

ところで、アメリカ・ロサンゼルスのサンタモニカと、メルローズアベニューにある、“Ron Robinson”と言えば、セレブも訪れるようなセレクトショップで、西海岸のファッショントレンドの発信基地として有名です。世界中から観光客が訪れる、人気のスポットでもあります。

その“Ron Robinson”のショーウィンドーに、目を惹く自転車が飾られました。“#UnchainMe”と題されたこの展示、アートと乗り物の交差をテーマにしています。実際に市販されている自転車に、有名なアーティストがデザインを施したものです。

#UnchainMe

自転車を提供した、Martone Cycling 社と、“Ron Robinson”がチームを組み、普通の自転車を、言ってみれば意表をつくカンバスとして使ってもらうという趣向です。そのカンバスに、それぞれのアーティストの感性をインストレーションしてもらう試みです。

それぞれの作品については、好みもあるでしょうし、評価は分かれると思います。でも、こんなオシャレな自転車があったら、ぜひ欲しいと思う人もいるに違いありません。著名なアーティストの作品であることや、有名なショップに飾られているということに価値を見出す人もあるでしょう。

#UnchainMe

これらの自転車、作品として展示されていますが、実際に購入することが出来ます。ただし、決して購入しやすい値段ではないようです。具体的な価格はわかりませんが、ベースとなった自転車の値段からは、かけ離れた値段がつけられているようです。作者や場所が場所だけに、当然なのかも知れません。

考えてみれば、自転車の設計に携わる工業デザイナーなどではなく、ファッションなどのアーティストがデザインした自転車というのは、あまり聞いたことがありません。でも、自転車の本質に関わる部分ではありませんが、外観をオシャレにデザインした自転車だって、あってもいいでしょう。

#UnchainMe

自転車を購入する際、モデルによっては、多少の色違いが選べるかも知れませんが、ほとんど表面的なデザインに変わりはありません。日本も含め、シルバーとか、何の変哲もない一色しか選べないことも多いはずです。結果として、駐輪場には似たような色、形の自転車ばかりが並ぶことになります。

中には、ポップな色使いの商品を展示しているようなショップもあります。フレームとそれ以外で違う色を選んで独自にコーディネートできるようにしている店なども一部にはあります。ただ、せいぜい色が選べるくらいで、例えば有名なファッションデザイナーがデザインした自転車というのとは違います。

#UnchainMe

比較対象として適切かどうかは別として、例えば傘だって、有名デザイナーがデザインした、こだわりの傘を使っている人がいます。靴であれば、それこそ好みに応じて、いろいろな靴を選ぶでしょう。服装に合わせてコーディネートしたり、好きなデザインの靴を選んだりします。

自転車の場合、オシャレな服装、流行のファッションを身にまとう人であっても、乗っているのは、何の変哲もないシルバーのママチャリだったりします。その日の服装に合わせるまでは無理としても、もう少しオシャレなデザインがあってもいいような気がします。

#UnchainMe

靴とか傘と違って、自転車をファッションアイテムとして捉える人は少ないでしょう。靴や傘のように、何台も揃えるわけにもいきません。しかし、老若男女、オシャレな人であろうと、なんであろうと、量販店のママチャリというのも、味気ない気がしてきます。

ベースとなる自転車は普通の市販車でも、表面的な部分を、著名なデザイナーなどにデザインしてもらったものが、もっと市販されていてもいいのではないでしょうか。どれくらいニーズがあるかわかりませんが、もう少しオシャレな自転車があったら買いたいと思う人もいるはずです。

#UnchainMe

今は、年代や男女に関わらず、みな同じようなママチャリに乗っていますが、デザインを変えたモデルが売られるようになったら、案外売れるかも知れません。好きなデザイナーだったら買いたい人もいるでしょうし、自分の好みや普段のファッションに合わせた一台が欲しい人も出てきそうです。

いわゆる大阪のオバチャンだったら、豹柄の自転車が定番になるかも知れませんし(笑)、スーツを着て乗ってキマるデザインがあったら、お父さんに買ってあげたくなるかも知れません。個性あふれるデザインで、多様になれば、駐輪場で自分の自転車を探すのもラクになりそうです。

#UnchainMe

当然ながら、デザイナーの知名度やセンス、人気度などによって、同じ自転車がベースでも、値段が違ってくることになるでしょう。しかし、それが付加価値であり、他の商品にも、あるケースは多いと思います。安い汎用品を選ぶのも自由ですが、こだわって自分の好きなデザインのものを使うのもアリでしょう。

自転車の場合、一部のスポーツバイクやオーダーの世界は別として、デザイン面の選択肢に乏しいのが現状です。そのようなトレンドが広がってくれば、街の自転車屋さんがどんどん消え、買えるのは量販店だけで、選択肢が限られるという状況も変わってくる可能性があります。

#UnchainMe

自分で気に入った一台だったら、愛着も出てくるでしょうし、そうするとメンテナンスにも手をかけたくなるはずです。パンクも減り、ブレーキの効き、ライトなどにも注意するようになって、安全性も高まります。施錠もきちんとするようになって、自転車盗も減ることが期待できます。

販売業者は、ブランドイメージを気にするようになり、ベースとなる自転車も、あまりチープなものは使えなくなるでしょう。格安で粗悪なママチャリが日本の自転車市場を席巻している、今の状況が改善され、格安ママチャリを使い捨てのように使うことにによる、放置自転車問題も一部改善する可能性があります。

#UnchainMe

実用的であることにプラスして、オシャレであってもいいでしょう。製品の付加価値が増えることは、産業面でも悪い話ではないはずです。自転車にファッション的なデザインの要素を加えることで、何か化学反応が起きたり、新しいトレンドが生まれたりする可能性もあるのではないでしょうか。




サーフィンを五輪種目にするのはいいですが、競技になるような波が起きなかったらどうするのでしょうかね。

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