October 10, 2015

自転車の使われ方もいろいろ

秋も本番となってきました。


秋晴れになると、朝晩は気温が低くなってヒンヤリすることもありますが、自転車に乗るには絶好の季節です。前回は、主に自転車行政のニュースばかりになってしまったので、そのほかの自転車関連のニュースについて、ピックアップしておきたいと思います。


開通前の新東名高速道路を走る自転車イベント開催! ママチャリコースも設定

東三河(新城)FUN!FUN!サイクリング実行委員会は12月6日、開通前の新東名高速道路を自転車で走る「東三河(新城)FUN!FUN!サイクリング」を開催する。

同サイクリングでは、NEXCO中日本名古屋支社の豊川工事事務所が管轄する新城IC(愛知県新城市)から臼子トンネル付近の1周約20kmを周回するロードバイクコースと、初心者や親子参加者も気軽にできる1周約12kmを周回するママチャリコースを設定する。

どちらのコースもタイム計測はなく、時間内に何周でも走行できる。また、長篠設楽原パーキングエリアにはおもてなしスペースを設置し、地域の食のほか周辺地域や新規開設となる高速道路をPRする。

自転車イベントママチャリコースでは、クロスバイクやMTB、ミニベロ、電動アシスト付き自転車、ママチャリでの参加を対象としている。なお、工事の状況によっては、走行できる範囲が変わる可能性がある。参加対象はコースを完走できる走力を有する小学4年生以上(小学生は保護者が同伴)で、全員ヘルメットを義務付けている。

ロードバイクコースの参加料は、高校生以上は9,000円(地元枠※: 8,000円)、中学生以下は7,000円(地元枠: 6,000円)、親子2人は1万4,000円(地元枠: 1万2,000円)。ママチャリコースの参加料は、高校生以上は6,000円(地元枠: 5,000円)、中学生以下は4,000円(地元枠: 3,000円)、親子2人は9,000円(地元枠: 7,000円)。

ロードバイクコースは9:00〜13:00、ママチャリコースは13:00〜15:30に実施し、雨天決行となる(荒天は中止)。申し込みは10月6日16:00よりスポーツエントリー「JTBスポーツステーション」で受け付け、定員になり次第、締め切りとなる。(2015/10/06 マイナビニュース)


最近は、この手のイベントもよく聞くようになってきました。それだけ自転車に乗る人が意識されるようになってきたということなのでしょう。通常は無料も多いと思いますので、料金が高い気がしないでもありませんが、基本的に高速道路を走る機会はなかなかないので、こうした傾向は歓迎されます。

開通後に高速道路を通行止めにして、自転車に開放するのは難しいと思いますが、一般の道路なら迂回も出来ますし、場所によっては可能なはずです。特に土日に交通量の少ないような場所であれば、渋滞を招くこともなく、十分に検討の余地があるでしょう。

海外では、自転車版の歩行者天国、“Ciclovia”などと呼ばれるイベントが世界中の都市で広がりつつあります。以前何度か取り上げました。各地の関係者の方には、高速道路の開通前だけではなく、一般道路を定期的に自転車に開放するようなことも考えてほしいと思います。


「不法投棄なんとかしたい」通算1000台の自転車を引き上げた寺の住職

サルベージ......。辞書を開くと「海難救助」「沈没した船を引き上げる作業」とある。埼玉県草加市にあるFSCサルベージ協会は、川に捨てられた自転車を引き上げる活動を行う環境ボランティア団体だ。会長を務めるのは草加市で浄土真宗の寺を営む住職の七里順量さん(52歳)。

不法投棄なんとかしたいなぜ、サルベージという名前にしたのだろう。七里さんは「吊り上げるものは小さくても気持ちは大きく」と命名の由来を教えてくれた。

七里さんは長崎県のお寺の長男として生まれ、家業を継ぐため仏教系の学校に進む。若い頃から独立心、開拓精神にあふれ、一時はブラジルでの開教活動にも興味を持ったほど。実家のお寺は弟さんが後を継ぎ、33歳で上京。人口が増える都市圏にお寺が増えない現状を打開しようと、都市部にお寺を増やす都市開教事業を用いて草加の地に居を構えた。

行政とのタイアップ、地域住民や学生など活動の輪は確実に広がっている

町を歩くと汚れた川が目に付いた。自宅前を流れる伝右川には無数の捨てられた自転車があり「何とかしなくては」。これがサルベージ活動を始めたきっかけだ。当時在籍していた青年会議所の社会開発委員会で川の浄化活動を提案し着手。約1年をかけて市役所との折衝を続け、2001年より市と協働で河川での自転車引き上げサルベージ活動がスタートした。より本格的な活動にしようと、2003年にサルベージ協会を設立した。

作業はロープの先につけた鉄製のフックを自転車に引っかけ人力で引き上げるという、いたってシンプルなものだ。作業をしていると地域住民から声をかけてもらえるなど、関心の広がりを実感しているという。

現在では市内の様々な団体に声をかけ一緒に活動。草加市内にある獨協大学の環境・国際団体Decoも協力団体のひとつ。Decoは1998年に設立された環境問題、国際協力に関する活動に取り組む団体で、今やサルベージ活動になくてはならない団体となっている。学生たちも「川をきれいにできる上に、近隣住民の方からも感謝される、非常にやりがいのあるものです」と話す。

人間が本来持っているはずの「良心」を取り戻したい

七里さんは学生たちの成長が楽しみだと話す。「地元の子はもちろん、そうでない子も一生懸命活動している。そういう姿を見て何も感じないのは人としてどうなのか」と憤りを見せる。

自転車の不法投棄をはじめ、社会での様々な事件などもすべて自己中心的なものの考え方に原因があるとする七里さん。年間6〜8回の活動で昨年は50台以上の自転車やミニバイクを引き上げた。だいぶ前に捨てられ痛みが激しい自転車がある一方、捨てられて間もない自転車も後を絶たないのが現状だ。

不法投棄なんとかしたい「草加、八潮、三郷の3市で合同サルベージ大会をやったことがあってね。たくさん引き上げたのに喜べない。逆に数は少ないけど"やったー、優勝だー"と。あの時は面白かったなあ」と七里さん。間もなく通算引き上げ台数が1000台に達するそうだ。行政や警察、学校、団体、地域住民と確実に活動の輪が広がっている。

しかし、根底にある「自己中心的な考え方」を変えていくのは至難の業だ。それでも活動を続けていくことによって人間の心に訴えかけ続けねばならないと話す。夢は"道頓堀でサルベージ"なのだとか。人間がもつ「良心」に訴えかけていく七里さんの活動は続く。

七里さんや獨協大学の学生らが中心となって行う「AQUA SOCIAL FES!!2015 中川流域クリーンプロジェクトは9月26日(土)に開催します。あなたも自転車サルベージ活動に参加しませんか?詳細は公式サイト(http://aquafes.jp/projects/161/)をご覧ください。(取材・執筆:埼玉新聞社 天野仁裕 2015年09月07日 ハフィントンポスト)


近年、都市部を流れる河川も、以前と比べてきれいになってきていますし、これほど不法に投棄された自転車が沈んでいるものとは知りませんでした。おそらく、街を流れる小さな川や運河のような場所では、まだまだ透明度が低く、不法投棄の温床になっているようなところがあるのは、草加市に限ったことではないのでしょう。

不法投棄された自転車を引き上げるという、このようなボランティア活動には頭が下がりますが、一方で、自転車を不法投棄させないような取り組みも必要なのだろうと思います。このような活動は、どこでも行なわれているわけではないでしょうし、取り組みを広げていくのも簡単ではありません。

引き上げる手間や労力を考えるまでもなく、そもそも不法投棄を未然に防ぐことが重要でしょう。格安なママチャリが市場を席巻していることとも密接に関連すると思いますが、安易に不法投棄させないような枠組みが求められていると思います。

ただ、モラルの向上を期待するだけで防ぐのは、なかなか難しいと思います。そこで、不要になったり、壊れた自転車のリサイクルの仕組みを整備していくべきなのではないでしょうか。例えば、不要な自転車を捨てる場所をつくるというのはどうでしょう。

不法投棄なんとかしたい川沿いなど、自転車が不法投棄されそうな場所、あるいは放置されそうな場所に、不要自転車を自由に置くことが出来る場所を設け、出された自転車は、行政が回収するような仕組みがあってもいいと思います。もちろん市役所などに、そのような場所を設置してもいいでしょう。

状態によってはリユース出来ず、スクラップとして処理するしかないと思われます。場合によってはスクラップとして売っても、その費用が賄えないかも知れません。しかし、それでも川の浚渫や引き上げるよりは安いでしょうし、街をきれいにするのは間違いありません。

場合によっては、放置自転車として一定期間保管する手間が省け、直接処理する分、コストが削減できるかも知れません。このような取り組みが認知されれば、不法投棄する人だって、良心が咎めることのないぶん、回収に協力するようになるのではないでしょうか。

設置場所についても、もともと放置自転車が多い場所で、どちらにせよ放置自転車に占有されるような場所であるならば、自転車の捨て場にしてしまう手もあると思います。空き缶とかペットボトルを無料で回収するのと同じようにすれば、川に捨てられる自転車も減らせるのではないでしょうか。


中国・浙江省 「国慶節の渋滞が嫌!」自転車で14時間かけて帰省した兄弟

国慶節の大型連休、帰宅するのにどの交通機関を選択するか−飛行機、汽車または渋滞の高速道路を自動車で帰る?

自転車で帰省浙江省寧波市の大学生と高校生の2人の兄弟が、ある意味常軌を逸しているとも言える、自転車で12時間かけて実家に帰るという計画をやる気満々で立てた。

寧波市から臨海市までの距離は150kmあり、彼らは最終的に14時間以上をかけて無事に到着したという。兄の趙愛迪くんは膝あたりに筋肉痛が残っていたが、今回の特別な帰省ルートを通って家に帰った体験はとても刺激的で、またチャレンジしたいと語った。

愛迪くんは、なぜ自転車に乗って帰省したかについて「国慶節の大型連休は人が多く地下鉄も高速鉄道も大混雑するのが嫌なんだ。だから、弟の宇迪と2人で一緒に自転車で帰省しようと計画したんだ」と語る。

愛迪くんは寧波大学科技学院大の3年生で、弟の宇迪くんは寧波鄭州芸術学校の高校2年生だ。2人は普段から、スポーツや何かに挑戦することが好きだという。愛迪くんは今年4月に寧波九龍湖国際マラソンに参加し、クラスメートと一緒に自転車で寧波市から舟山市まで行ったこともあった。

家族に自転車で帰省するという計画を話したところ「一体どうしたの?汽車に乗って帰ってくれば良いのに!お金が足りないなら出すのに」と全く理解を示さなかった。愛迪くんは家族をなんとか説得して、同意を取り付けたという。(2015年10月06日 新華ニュース)


広大な中国大陸を自転車で帰省と聞くと驚きますが、よく考えると距離は150キロですので、驚くほどのことではありません。日本橋から静岡の清水くらいの距離です。150キロくらい、一日で走ってしまうというサイクリストは少なくないでしょう。

中国の帰省渋滞は、日本の比ではないそうですから、自転車で帰りたくなる気持ちは十分理解できます。日本でも、子連れだったり、お土産がたくさんあったりすれば無理ですが、渋滞を避けて自転車で帰省するサイクリストは、話題にならないだけで、案外いるかも知れません。


「徒歩で国境越えるべからず」、シリア難民が自転車でノルウェーへ

欧州へ流入する難民や移民の急増に伴い、バルカン半島からドイツなどへ向かう主要な陸路が封鎖されるなど、新天地を求める人々にとっては安全なルートを見つけることが難しくなっている。

そんな中、シリアからロシアを経由してノルウェーに入国しようとした難民が、ロシアの法律が「徒歩」での国境越えを禁じていることから子供用の自転車に乗ってノルウェー側に渡った。見ていた国境警備隊は笑って黙認したという。

シリアから来たハティブさん(25)は、タクシーで国境に到着。ノルウェー側への100メートルを、リュックサックとギターを背負い、購入した小さな古い自転車をこいで、歩くことなく無事に渡りおおせた。ハティブさんによると、自転車はうまく動かなかった上、大きなスーツケースも引きずっていたため転びそうになりながらの「入国」だったという。

欧州を目指す難民や移民の一部にとって、このルートは地中海を経由するより安全かつ安上がりになっている。ノルウェー警察によると、国境には150台程度の自転車が乗り捨てられているという。[オスロ 25日 ロイター]


国境までタクシーで来たのなら、そのまま後100メートルくらい走ってもらえば良さそうなものですが、そうもいかないのでしょう。徒歩ではダメだけど自転車なら国境を越えてもいいとは、ロシアには、ずいぶん意味のない法律があるものです。


健常者とサイクリング…手動自転車で交流

腕でペダルをこぐ自転車「ハンドバイク」を使い、障害者と健常者が一緒にサイクリングを楽しむイベント「メイク・ザ・ライン イン御所湖」が、盛岡市、雫石町の御所湖畔で行われた。約30人が、秋晴れを映した湖の周囲約15キロを快走した。

主催団体の代表は、盛岡市の会社員本間聖章さん(34)。27歳で急性散在性脳脊髄炎を発症し、車いすで生活している。31歳だった2012年にハンドバイクに出会い、サイクリングを楽しむようになった。オーダーメイドのハンドバイクは平地なら時速15キロほどで走る。久慈市から盛岡市までの約150キロを走破したこともあった。

〈ハンドサイクルの例〉
Photo by cjm6394,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.Photo by Timo2306,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.

健常者と障害者の交流を広げようと始めたイベントは、昨年11月に続き今回で2回目。本間さんは「車いすで外出すると、『どう接したらいいか』と困惑されることがある。健常者と障害者の間には壁がある」と話し、「言葉で説明するより、一緒に走ることで、両者の垣根が薄まっていく」と趣旨を説明する。

本間さんらはハンドバイク、健常者らはスポーツ自転車などで、ゆったりとサイクリングを楽しんだ。参加した盛岡市の小学1年生、瀬川叶磨君(7)は「初めて15キロも走った。ハンドバイクは大変そうに見えたので、後で『大丈夫ですか』と声をかけたい」と話していた。(2015年09月26日 読売新聞)


ハンドバイク、もしくはハンドサイクルと呼ばれる自転車は、あまり知られていない自転車の種類の一つと言えるでしょう。おそらく、車椅子を使っている人でも、ハンドサイクルを知らないという人は多いと思います。障害のある人が日常的に使えるかどうかは別として、もっと注目されてもいい分野でしょう。

私も乗ったことはないので、確かなことは言えませんが、海外の例などを見ると、ハンドサイクルを知って、行動範囲が広がったとか、車椅子とは違う利便性や楽しさを見つけたという人は少なくないようです。少なくとも場合によっては時速15キロ程度で移動できるというのは、くるま椅子にない利点でしょう。

くるま椅子に取り付けてハンドサイクルにするタイプのものもあります。記事にあるような健常者と障害者の間の壁を取り払い、理解を進めるだけでなく、障害者がスポーツに親しむ選択肢としても有効なのではないでしょうか。もっと広く認知が進むといいなと思います。


自転車の高校生3人の近くに落雷 頭痛や手のしびれ

埼玉県富士見市水子で9日午後3時半すぎ、落雷があり、近くを自転車で通行していた県立高校1年の女子生徒3人が頭痛や手のしびれを訴えた。このうち1人が落雷に驚いて転倒し、手足をすりむいた。3人とも病院に運ばれたが、命に別条はないという。

東入間署によると、3人は下校後、部活動のために同県志木市民体育館に自転車で移動中だったという。(2015年9月9日 朝日新聞)


驚いて転倒した生徒は別として、頭痛や手のしびれを訴えた生徒は、避雷した可能性がありそうです。最近はゲリラ雷雨とか、竜巻や突風など局地的な激しい気象現象が増えています。自転車に乗っていて、例え近くに、より高い木や電柱などがあったとしても、落雷の危険性があることは頭に入れておくべきかも知れません。

◇ ◇ ◇

前回取り上げた、自転車行政に関するニュース以外ということで、雑多な感じになってしまいましたが、いろいろと気づかせてくれるもの、考えさせられるニュースがありました。ちょうど連休でもあり、自転車で爽快に走れる季節ですが、安全には十分注意したいものです。




しかし、「1億総活躍」って何なのでしょう。こういう曖昧な理念のようなものを掲げるのが好きな人なんでしょうね。

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この記事へのコメント
cycleroad さん こんばんは。

一時期、河川に不法投棄されている自転車やソフトバイクが話題になることが有りましたが、
最近はあまり聞かなくなったような気がしました。
でも現状として、無くなった訳では無いでしょうね。
不必要になったから、或いは盗品の処分で...川に限らず、不法投棄は許すことができませんね。

...

スポーツの秋ですが、電動アシストバイクや、そのアタッチメントが発表されています。
 YAMAHA YPJ-R http://www.yamaha-motor.co.jp/pas/ypj/
 電動アシスト http://tabi-labo.com/134924/add-e/
ご存知の方も多いでしょう。
個人的にいえば、ロードバイクに電動アシスト?となってしまいますが、
人それぞれ目的が違うこともあるでしょうから、需要が有ることでしょう。
目的はどうであれ、他人に迷惑をかけないで楽しむサイクリングや、
自転車のある生活が広まって欲しいものです。
Posted by Fischer at October 12, 2015 18:38
Fischerさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
私も聞かなくなったのは、無くなったのだろうと思っていました。
自転車に限らず、家電や粗大ゴミを、処分費用を負担した近井というだけの自分勝手な理由で不法投棄する人がいます。
その処理費用は税金で賄わざるを得ないわけですが、不法投棄すれば、するだけ得になってしまう仕組みがある限り、なくならないでしょう。
やはり、不心得者であっても不法投棄する意味の無くなる仕組みを作るしかないのではと思います。
ロードバイクに乗る人など、電動アシストなんて眼中に無い人もいるのは間違いないですが、今後もいろいろなタイプの電動アシストが広がっていきそうですね。
Posted by cycleroad at October 13, 2015 22:54
 
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