ロードバイク、マウンテンバイク、クロスバイク、ミニベロ、シティサイクル、フォールディング、電動アシスト自転車、BMX、ビーチクルーザー、ファットバイク、カーゴバイクなど、形状や用途もいろいろです。ただ、これら多様な自転車も、基本的に乗車姿勢はサドルにまたがるという点で共通しています。
通常の乗車姿勢以外で乗る自転車に、リカンベントがあります。リカンベントは、仰向けのようなスタイルで乗車する自転車です。乗っている人はごく少数なので、知らない人も多いと思いますが、ふんぞり返ったような独特のスタイルで乗る、車高の低い自転車を見たことがあるかも知れません。
知らない人は、なんで寝そべったような姿勢で乗るのかと思うかもしれませんが、もちろん理由があります。実はリカンベントのほうが、ペダルに力が入れやすいのでペダリングの効率が良く、そのぶん普通のロードバイクよりもスピードが出るのです。空気抵抗が少ないのもメリットです。

ところで、仰向けの自転車があるなら、うつ伏せの自転車があってもいいのではと思った方もあるかも知れません。実はあります。リカンベントより、さらに珍しいのですが、プローンバイクと言います。文字通り、うつ伏せのような姿勢で乗ります。乗車スタイルで大きく分けると、この3種類ということになるでしょう。
こちらは、かなり特殊なので、私も実際に走っているのは見たことがありません。ただ、以前テレビで見たことがあるので、日本でも乗っている人はいるようです。ただ、相当少ないのは間違いないでしょう。おそらく数えるほどなのではないでしょうか。
テレビで見たのは、ご自分で自作したものでした。海外でも、ほとんど自作か特注のようです。プローンも、その姿勢から言って、風の抵抗が少なくスピードが出ますが、フェアリングがついたベロモービルタイプで、最高速を狙う特殊なものなど、ごく限られた人しか乗っていないと思います。


ところが、このプローンバイクを、一般向けの自転車として市販しようとするメーカーが現れました。アメリカ・カリフォルニア州、カールスバッドに本拠を置く、BIRD OF PREY BICYCLE 社です。プローンバイクの商品名も、“
BIRD OF PREY BICYCLE”です。
サイトには、スーパーマンのような姿勢で乗ると書いてあります。確かに空を飛ぶ姿勢のイメージかも知れません。同社は、この自転車をセミプローンバイクと位置づけています。多少、上体を起こした姿勢で乗るからです。ちなみに、“BIRD OF PREY”は、ワシやタカなどの猛禽類のことです。

腰の部分は皮製の柔らかい、野球のキャッチャーミットのようなパッドで支えることになります。トライアスロンやタイムトライアル用のバイクと同じようなエアロバーが取り付けられており、上体はヒジで支えるスタイルです。手で握るハンドル部分でブレーキやディレイラーの操作が出来ます。
特徴としては、なんと言っても、空気抵抗が少ないため、ラクにスピードが出せるということです。サイクリストにとって、空気抵抗は最大の敵です。普通の自転車のような姿勢と比べて、寝そべった形になることで、空気力学的には理想的なポジションとなるわけです。

足を自然に伸ばす形で力が入るため、ペダリング効率がいいのも長所です。姿勢が低いので、自転車とライダー一体として考えると、重心が低いというのも特徴でしょう。そのため、ブレーキの効きも良く、パニックブレーキをかけても、前転してしまうようなことがないと言います。
うつ伏せに寝そべったようなスタイルは、姿勢として快適なのもメリットだとしています。当然ながら、サドルでお尻が痛くなることも無いですし、普通のロードバイクに乗って起こりうるような背中や腰のトラブルも起きにくいことになります。腰痛などを抱える人にとって福音となるかも知れません。

普通のロードバイクと同じように、流れるような美しいフォルムのフレームであることも特徴だとしています。そして、パーツやアクセサリーなども、ほとんど通常のロードバイクと共通なため、余計な出費がかからないのも利点です。本体の値段は8千5百ドルとなっています。
確かに走行中に受ける風のことを考えれば、空気抵抗を少なくする姿勢はリーズナブルです。これはこれで疲れたり、筋肉痛が出たりしそうな気がしないでもないですが、なるほどラクな姿勢かも知れません。どれほどの需要があるかは別として、一度乗ってみたい、面白いバイクと言えるでしょう。

スピードだけを追求するプローンの場合、ほとんど床に伏して、頭から突っ込んでいくようなスタイルのものもあります。しかし、このバイクはセミプローンで、言ってみればエジプトのスフィンクスのように上体を起こして乗るので、そのぶん周囲も見やすく、実用的と言えるでしょう。
いずれにせよ、特殊な自転車なので、どれほど売れるのかは未知数です。いくらラクだとは言っても、普通の乗車姿勢の自転車が圧倒的に多数を占める、今の状況は変わらないでしょう。今後もプローンバイクは、非常にマイナーなままだとは思いますが、こんな自転車もあることは知っておいてもいいかも知れません。
ラグビー日本代表、3勝しての敗退は残念でしたが、この大健闘は2019年に向けた大きな財産になりましたね。
Posted by cycleroad at 23:30│
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