フォールディングバイクと呼ばれる自転車の中にも、いろいろな大きさ・形状のものがあって、折りたたみ方法もさまざまです。誰もが思い浮かべる有名ブランドの定番のモデルもいくつかあり、根強いファンがいる一方で、それ以外にも数多くのスタイルのものが発売され、流通しています。
他のカテゴリーと比べて、それだけ事実上の標準となるようなスタイルが確立していないということなのでしょう。その背景には、フォールディング、折りたたみ自転車に特有の事情、つまり長所や欠点が絡み合っているからだろうと思います。
構造的に、折りたたむ部分がどうしても弱くなり、壊れやすくなるとか、フレームの剛性が不足するとか、折りたたむのに手間がかかるということもあるでしょう。タイヤが小さいものが多いので、どうしても速度が出ない、乗り心地が良くないといった弱点もあります。
折りたたみ自転車は、小さくたたんで持ち運びやすいのが最大の特徴です。室内に保管するような場合でも、場所をとらずに収納しやすいというメリットもあります。ただ一方で、折りたたむのが意外に面倒で、結局、折りたたんで使っていないという人も多いのではないでしょうか。
あちらを立てれば、こちらが立たずというような、背反する要素も多いので、なかなか一つのスタイルに収束しにくいということもあるのでしょう。そのためにいろいろなスタイルが開発され、流通することになります。いまだに多くの新しいモデルが提案されています。最近見かけたものをいくつか取り上げてみたいと思います。
こちらは、“
FUBifixie”、ロードバイクなどと同じ700Cのサイズのタイヤのフォールディングバイクです。さらに、簡単に素早く折りたためるのがウリです。フレームのパイプとパイプの接合部分が溶接される代わりに可動するようになっています。
クルマのトランクに入るくらいのコンパクトさになるので、運搬や保管にも場所をとりません。実際に乗ってみないと何とも言えませんが、走行性能も通常のフレームの自転車に遜色がないとアピールしています。可動部があるぶん、フレームの剛性が気になりますが、その点に問題なければ、便利に使えそうです。
欧米の都市では自転車盗が多く、不用意に路上に駐輪していると、あっという間に盗まれてしまうため、厳重に施錠しているのをよく見ます。スポーツバイクなら、簡単に外せるため、タイヤだけを盗まれることも多いのでしょう。わざわざタイヤを外して、両輪とフレームを一つにして施錠している人も、よく見かけます。
この“FUBifixie”の場合、折りたたむと両輪とフレームが重なるので、U字錠などで施錠しやすいというのもメリットとなるでしょう。細かい部分ですが、使う場所によっては重要なポイントになるはずです。盗難防止の観点からも評価する人があるはずです。
もちろん、折りたためばコンパクトになりますので、エレベーターにも載せやすくなります。そのぶん、路上駐輪せず、室内保管しやすくなるわけです。集合住宅に住む人や、自転車通勤でビル内のオフィスの中まで持ち込みたい人は、選択する理由になるかも知れません。
こちらもタイヤはフルサイズですが、折りたたむのではなく、フレームを分割して、分離できる自転車です。分割する部分の構造や強度などにもよりますが、折り曲げたり可動する部分が少ないぶん、フレームの剛性や壊れやすさの点では有利なのかも知れません。
クルマメーカーの
フォードが発表したもので、クルマのトランクに積んで出かけることを想定しています。通勤などで、途中で駐車して自転車に乗り換えることが出来るわけです。これによって渋滞する都市部に進入しなくて済むメリットを強調しています。
電動アシストなので、坂があっても問題ないですし、スマートフォンと連動して、さまざまな情報を取得したり、健康増進に役立てることも可能です。通勤の渋滞回避に加えて、運動不足を解消して健康の増進と一石二鳥の効果を狙える点をアピールしているわけです。
こちらも電動アシストですが、
折りたたみがワンタッチという点が最大の特徴です。一秒もかからない手軽さです。バッテリーはフレームの中に隠れているので、見た目にもスマートです。ベルトドライブを採用し、メンテナンスも容易だとしています。
最近の例に漏れず、スマホと連動して、5メートル離れると自動でロックがかかったり、スマホを充電できたり、いろいろな情報を取得したり、コースを友人とシェアしたりなど、豊富な機能が盛り込まれています。走行性能などはわかりませんが、都市型のフォールディングバイクと言えるでしょう。
こちらも折りたたみがワンタッチですが、それ以上に特徴的なのは、フレームが低く、キックスケーターのようにも乗れるフォールディングという点です。
スカートでも乗りやすいというのは、メンテナンスフリーということとあわせて、女性に大きくアピールします。
折りたたんだ時に、前後輪が並行になるので、押して運べるというのも大きなアドバンテージでしょう。都市部で、特に女性が乗りやすい、使いやすいという点を重視して開発された折りたたみ自転車です。サドルやグリップ、サドルバッグやチェーンカバーにレザーを使って、オシャレな感じも演出しています。
こちらは、なるべくタイヤを小径にして、電車などへの持ち込み易さを重視した折りたたみ自転車です。ご他聞にもれず、電動アシストになっており、
スマホと連動させて使うことで、さまざまな機能が盛り込まれ、都市部での電車と組み合わせての移動に便利なフォールディングにしています。
こちらは、個性的な
U字型のフレームが目をひきます。このU字型の部分は折りたたまず、そこと接続している部分をスライドさせることで形を変えます。メインのフレームが折れたりしない分、剛性は保たれます。スライドさせれば、押して歩くこも出来る、ちょっとオシャレな小径フォールディングです。
こちらは、一応ペダルはありますが、チェーンやギヤはなく、ほとんど
フル電動のフォールディングです。都市部での移動を目的に、ある意味割り切ってしまえば、チェーンなどの駆動系をシンプルにすることが出来、折りたたんでコンパクトにする点では有利になるという考え方なのでしょう。
ここに挙げただけでも、さまざまなタイプの折りたたみ自転車があります。こうして見てくると、何を優先するかで、形状も折りたたみ方も変わってくることがわかります。単に折りたたみ自転車と言っても、そのコンセプトはいろいろです。
これまでそうだったように、今後も、たくさんのタイプのフォールディングが登場してくるに違いありません。折りたたみ自転車は、どれか一つのスタイルに収束するどころか、人々の多様なニーズに応えるべく、さらに種類を増やしていくのかも知れません。
クリントン氏3勝目ですか。今回は両党とも意外な展開ですが、日本にも大きな影響が及ぶだけに気になります。