March 02, 2016

定番に不足している点は何か

自転車にはオーソドックスな形があります。


誕生して以来、試行錯誤や変遷を重ねてきましたが、成熟するに従い、だんだん収束して今のような形になりました。車種による多少の違いはありますし、中には独特な形のものもありますが、市販される自転車には、オーソドックスな形というのがあります。

ロードバイクつまり、各社の各モデルごとのデザインや細かい差異は別として、オーソドックスな自転車は、いわゆるダイヤモンドフレームになっています。ママチャリなど、またぎやすいように、トップチューブのないものもありますが、それもダイヤモンドフレームの派生系と見ることができるでしょう。

このフレームが一般的なのは、国際自転車競技連合(UCI)の規則で、レースに使用できるのはダイヤモンドフレームのみと決まっていることも影響していると思います。ただ、構造的に自転車のリーズナブルな形として、ダイヤモンドフレームに収斂してきた背景があって、規定になっているのも確かだと思います。

乗る人の身長、体格によって、股下の長さが変わってきますから、サドルは、シートポストの部分で高さを調整出来るようになっています。もちろん特殊なデザインのものもありますが、シートの高さを調整出来るのがリーズナブルであり、そのためにこのような形になっていると言えるでしょう。

さて、こちらの自転車、“Hickman Bikes”には、その通常のダイヤモンドフレームにあるようなシートポストがありません。見た目にもユニークなフレームになっています。この自転車、Mike Hickman さんというフレームビルダーが、ハンドメイドで作り上げた作品です。

Hickman BikesHickman Bikes

イギリス最大のハンドメイドバイクのショー、“Bespoked Bristol”で発表されたものですが、そのユニークな形は、他のハンドメイドバイクの中でも際立っています。しかし、だからと言って、奇をてらったわけではなく、この形になっているのには理由があります。

それは、サドルの位置を上下方向だけでなく、前後方向にも移動させることを可能にするためです。赤色のフレームに対して、銀色の部分で調整出来ます。トップチューブとヘッドチューブは固定されておらず、角度が変わります。これによって上下方向の調節も可能となっています。

通常のフレームだと、上下方向、しかもシートポストの傾きに沿った方向にしか調節できません。高さはシートポストで調整し、前後方向はフレームのサイズや、ステムなどのパーツによって調節するのが普通でしょう。でも、それだと前後方向は、細かい調節が出来ません。

Hickman BikesHickman Bikes

しかし、この“Hickman Bikes”なら、前後方向にも自在に調節できるわけです。フレームのサイズは、普通それほど細かい刻みで用意されていませんし、一度購入してしまえば固定されてしまいます。しかし、この方式ならば、購入後であっても、必要に応じていつでも調整可能となるわけです。

あまり詳しくない方は、そんな細かいことと考えるかも知れませんが、スポーツバイクの場合、サイズは非常に重要です。乗る人の身体にフィットしていなければ、パワーを十分に伝えることが出来ません。身体の故障の原因になったりすることもあります。市販のモデルで、いくつもサイズが提供されているのはそのためです。

多少合っていなくても乗れてしまいますが、後々影響が出てくる可能性があります。きちんとサイズの合った自転車に乗っていても、例えばサドルの位置がわずかに低くなっているのに気づかずに乗っているだけで、ヒザなとに痛みが出たりすることもあります。サイズが身体に合っていることはとても重要です。

Hickman BikesHickman Bikes

そう考えると、サドルの高さだけでなく、前後にも調整出来るのはリーズナブルです。普通の自転車でも、パーツや取り付け位置などで多少の調節は出来ますが、シートポストの高さを変えるように、いつでも簡単に、前後にも無段階に細かく調整出来るのは、なかなか便利と言えるでしょう。

購入した後でも、ライディングポジションがしっくり来ないこともあるでしょうし、その時々で姿勢を変えたいこともあるでしょう。上達したり、慣れるに従って、ポジションを変えたくなるようなこともあるかも知れません。そんな時には便利ですし、その点でリーズナブルです。

もちろん、必要としない人も多いと思います。誰もが必要な機能かと言えば、そうとは言いきれません。ただ、従来のシートポストが当たり前と思い込んでいたのは、ある意味、固定観念であり、必ずしもそうとは限らないというのは盲点で、意外に感じる人も多いのではないでしょうか。

Hickman BikesHickman Bikes

もちろん、他にもいろいろな要素がありますから、この形が新しい定番、オーソドックスになっていくとは言いません。しかし、サドルとそれを支えるシートポストというスタイルを疑うというような発想は、なかなか出来ないことだと思います。前後に調節できたら、とも、なかなか考えないでしょう。

自転車に限ったことではありませんが、オーソドックスなものというのは、それなりの変遷を経て、リーズナブルな形に落ち着いた経緯があると思います。そして、いったん誰もがオーソドックスと考えるものが出来上がると、固定観念となって、それをあまり疑わなくなるでしょう。

枝葉の部分に目が行ってしまって、誰もが当然で当たり前、常識と思っているような部分には、なかなか疑問の目が向きません。もちろん、常識を覆すのは簡単ではありませんし、結局は変わらないかも知れません。しかし、定番を疑い、常識にとらわれない柔軟な発想こそが、イノベーションを生むのだろうと思います。




福士選手は賢明な判断をした気がしますが、男子も含め選考基準やタイムの設定に問題がある気がしますね。

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