
世の中には、いろいろなことを考える人がいるものです。
ネット上で、確実にそう感じさせてくれる場所の一つがクラウドファンディングサイトでしょう。実にさまざまなアイディアが披露されています。普通の人には、とても考えつかないようなものから、その手があったかと、はたとヒザを打つようなものまで、いろいろなアイディア、発想であふれています。
資金力のない個人であっても、サイト上で多くの人が賛同すれば、事業化や実現のための資金が調達できます。これまでならば、おそらく日の目を見ることはなかったであろうアイディアでも、多くの人々の支持や支援によって、世の中に出て来られるようになったわけで、画期的なシステムでもあります。

ただ、アイディアと言っても玉石混交です。誰もが賛同し、応援したくなるようなものから、どうみても独りよがりだったり、メリットや意義の感じられないようなものまで、さまざまなアイディア、発想があります。それが資金調達の達成具合で如実に表れるのが、また面白いところでもあります。
こちらは、4輪の自転車、“
DuoBike”です。これまでにも4輪の自転車はありましたが、2人乗りやそれ以上の人数で乗れるものが多かったと思います。これは一人乗りの4輪の自転車で、車体を傾けて曲がることが出来る点が特徴でしょうか。

2輪や3輪はあっても、4輪の自転車は少ないので、目新しい感じがないことはありません。しかし、一人乗りの4輪に、どのようなメリットがあるのかと考えると、ちょっと首を傾げる部分もあります。多人数で乗れるなら、それはそれで面白いですが、一人乗りなら、普通の2輪でも十分な気がします。
確実に幅が広いので、細い路地を抜けられなかったり、車道の左端をすり抜けられないこともあるでしょう。低速でも安定し、倒れないという長所も考えられますが、それなら3輪でもいいはずです。4輪よりも操作性や小回りがきく点で優れるはずです。
周囲をフレームが囲う形になりますが、乗り手を保護する効果は限られるでしょう。むしろ敏捷性に欠けたり、幅をとって他の交通の追い越しの邪魔になる可能性があるぶん、不利な気もします。ベロモービルと違って、フェアリングではないので、雨を避ける効果もありません。
サドルが中央の低い位置にあって、ペダルが前なので、リカンベントのような効果を狙っているのかも知れません。しかし、そのわりにはハンドルの位置が前のほうにあるので、動画を見ればわかるように、かなり窮屈な姿勢となり、あまり意味がありません。

特許をとった独自技術が使われているようですが、具体的にどのようなメリットがあるのか、今ひとつ、わかりにくい部分があります。技術を駆使して完成度を高めている情熱を認めるのにやぶさかではありませんが、消費者に欲しいと思わせるような、魅力を訴える部分が弱いような気がします。
クラウドファンディングですから、資金調達の状況が気になります。現時点で、まだ期間は1ヶ月ほど残っていますが、17万ドルの目標に対して、現時点で60ドルと1%にも届いていません。この数字が多くの人の正直な感想を表わしていると言えそうです。

資金調達を目指すのは、個人とは限りません。すでに事業を行なっている法人の資金調達の手段の一つとして使われることもあります。資本市場で資金を調達したり、社債や金融機関からの借り入れを行なうより、機動的に資金が集められたり、調達コストなどの面で有利なこともあるでしょう。
話題になれば、口コミなども含めた宣伝効果が見込めますし、ものによっては最初から、販売を目的として掲載される場合もあります。また、どのくらい需要が見込めそうか、消費者の反応がダイレクトにわかって生産計画が立てやすいというメリットもあります。企業にとっても、優れたツールとなるでしょう。
こちらの自転車用のベルもそうです。すでに自転車用品を展開している、Knog 社が提案する新製品です。ベルに、あまりこだわる人は少ないかも知れませんが、法令で装着が義務付けられている保安部品です。言ってみれば、小さな必需品でもあります。
自転車のベルは、いろいろな種類があり、意匠やデザイン、形はさまざまです。しかし、だいたいどれも、お椀型の金属部分があって、それを何らかの方法で鳴らす方式が多いと思います。細かなデザインはともかく、大まかな形としては似てくるものでしょう。その点で、この形状は斬新です。

こちら“
Oi”は、よくある、お椀型の部分がありません。知らずに見たら、これがベルだとは思わない人も多いのではないでしょうか。しかし、考えてみれば、金属部分が必ずしもお椀型である必要はありませんし、今どきのような金属加工技術があれば、いろいろな形に出来るはずです。
ハンドルに取り付けた時も、お椀型の一般的なベルよりスタイリッシュですし、邪魔にもなりません。ハンドル周りがスッキリします。これは欲しいと思う人も多いに違いありません。私が見ている間に、みるみる金額が増え、あっという間に達成してしまいました。

目標額の2万ドルに対し、まだ一ヶ月近くを残す時点で34万2千ドルと、1700パーセント以上です。どちらかと言えば、あまり重視されないパーツであり、こだわる人の少ない部品であることを思えば、すごい人気と言えるでしょう。多くの人が評価したことがわかります。、
ベルを選ぶ時に、どうせなら小さくて邪魔にならないとか、目立たないとか、シンプルなものなど、それぞれの基準で選ぶと思いますが、お椀型なのが当たり前で、こんな形があるなんて思いもよらず、その斬新なデザインに驚いた人が多かったのでしょう。

ちなみに、こちらも資金調達を目指しています。一見、自転車用品のように見えますが、実は机の上に置く、いわゆる電気スタンドです。見たとおり、自転車のハンドルとヘッドライトを模してありますが、自転車用ではなく、家の中で使うインテリア小物です。
面白いのは、ブレーキレバーがスイッチになっているところです。自転車好きの人ならぱ、ハンドルバーなどのパーツが余っていたりするでしょうから、自分で作ってしまうような人もいるでしょう。しかし、わざわざ市販する製品として、果たしてニーズがあるのだろうかと思ってしまいます。

ところが、2万ドルの目標に対し、一ヶ月を残して9千ドル強を集めています。率にして46パーセントです。意外にも、けっこう人気があることがわかります。自転車好きが支持してるのか、それ以外の人でも面白いと思うのかは定かではありませんが、なかなか健闘しています。
何を面白いと思うかは、見る人にもよるでしょうが、意外なものも発見できるのが、クラウドファンディングサイトの面白いところです。実にいろいろなことを考える人がいるものだと、あらためて感心します。これまでにもいろいろ取り上げてきましたが、今後も注目していきたいと思います。
地球の歴史に「千葉時代」が誕生するか注目されています。私も行ったことがありますが、そんな地層だとは..。