敷居の低い犯罪ということもあって、多くの国では、依然として自転車盗の被害が絶えないのが現状です。とくにスポーツバイクの場合は、ネットなど転売する方法が増えていることもあって、換金目的で高級バイクを狙う犯行が増えています。
そこで、なんとか自転車盗を有効に防ぐ手立てがないものかと、盗難防止グッズを研究・開発する人が世界中にいます。イギリス・ロンドン在住の、Yannick Read さんもその一人です。これまでにも、いろいろな自転車関連のアイテムを開発してきましたが、今回提案しているのは、“
BIKE MINE”です。
“BIKE MINE”、つまり自転車地雷です。泥棒が自転車を盗もうとすると、仕掛けてあった「地雷」が爆発することを意味します。これで自転車盗を撃退し、盗難を防ごうというアイディアです。この“BIKE MINE”は世界で一番騒がしい、究極の自転車盗難防止装置だと主張しています。
自転車をロックするわけではなく、トラップ、罠です。自転車を持ち去ろうとすると、マジックテープでとめておいた“BIKE MINE”が起爆するように出来ています。もちろん自転車が爆破されるわけではなく、音で驚かそうという代物ですが、その音は、なんと150デシベルにも達すると言います。
これならば、夜間寝ている間に、密かに自転車を盗もうとする犯行にも気づくことが出来ます。構造は単純ですので、自転車に限らず、オートバイ、ボート、スノーモービル、ジェットスキーなど、屋外に置いておくようなものであれば、何にでも使うことが出来ます。
単純な構造で、チタン製のワイヤーと、スプリング式のトラップ、小さな起爆装置から成ります。目立たないため、よほどのことがない限り気づかれることはないでしょう。地雷とは穏やかではありませんが、大きな音が鳴るだけで、危害は加えません。安全性には配慮されています。
もちろん、合法的で違法なものではありません。バッテリーなどは使わないため、爆発するまでは有効に機能します。自転車を動かさないと起爆しないため、ちょっとした風や振動などで起爆することはありません。悪天候でも作動には問題ありません。
ご多分にもれず、Yannick Read さんもロンドンの自宅から、自転車やオートバイを盗まれたことがあります。夜間寝ている間に盗まれたのだそうです。そこで、寝ていても犯行に気づくとともに、音で驚かせて撃退することを思いつき、この装置を開発することにしたと言います。
何も知らずに盗もうとしたら、150デシベルという大音量で爆発するわけですから、犯人が肝を潰すのは間違いないでしょう。しばらく耳鳴りが続くのは必至です。しかし、犯人を罠にかけようという意図ではなく、あくまで盗難に気づき、犯人が驚いて逃げることを狙っているわけです。
最近は、世界的にテロが警戒されています。そんな中で、街中で爆発音が鳴り響けば、音だけでも大騒ぎになりそうです。その点では物騒で人騒がせな気がしないでもありません。ただ、音が大きいだけで、爆発物が爆発するのとは違うので、例えば自宅での用心に使うならば、とくに問題はないのかも知れません。
現在、クラウドファンディングサイトで資金調達を目指しています。装置一式と、交換用のカートリッジ3個がついて70ドルという値段です。自転車地雷というネーミングを聞くと驚きますが、単なる警報音が鳴るよりも犯人を驚かせるでしょうから、効果は高いのかも知れません。
盗難防止アラームということで言えば、既製品がいろいろ出ています。日本でも、通販などで簡単に手に入れることが出来ます。チェーンロックなどの防犯用品と組み合わせになった製品もあります。大音量のアラームが鳴るのが一般的のようです。
私は使ったことがないので、製品の評価は出来ませんが、チェーンロックだけだと、切断されて終わりです。常習犯であれば、チェーンカッターなどを用意していますし、プロが使うような工具にかかれば、あっという間に切断されてしまうと言います。ほとんど防犯にならないこともあるでしょう。
その点、大音量のアラームが鳴れば、少なくとも犯人はひるむでしょうし、周囲に人がいるような場所なら、犯行を目撃されることを恐れて、盗むのを諦めて逃げるかも知れません。そのような装置を見分けて、鳴らないように解除するような犯人もいるのかも知れませんが、チェーンだけよりは勝るでしょう。
ただ、振動を感知してアラームを鳴らす製品が多く、その場合は誤作動が問題となります。少し強い風が吹けば、相当程度揺れてしまうこともあるでしょうし、ネコが乗ったり、通行人がぶつかるようなこともあるかも知れません。そのたびに誤作動して大音量が響くのであれば、実用的ではないでしょう。
自宅ならば近所迷惑として、かなりヒンシュクを買うに違いありません。実際、自転車用ではないですが、クルマ用の盗難防止アラームが夜中に鳴り響いたりすることは、ままあるようです。簡単に鳴らないようにすると、盗難防止の効果が薄れてしまいますし、感度の調整が難しいということもあるようです。
その点、こちらの“
goLock VENTURE”は、優れているかも知れません。こちらは、ワイヤーでつないでおき、そのワイヤーが切断されたり、装置から抜けたりするとアラームが鳴るようになっています。少し振動したり、動いたくらいでは鳴らず、意図的に持ち去ろうとすると警報音が鳴り響きます。
さらに優れているのは、スマホに通報してくれるところです。これならば、離れていて警報音が聞こえないような場合でも、手元のスマホで気づくことが出来ます。こちらは、現場で鳴り響くアラームの音量は90デシベルです。これでも平気でいられる音量ではないでしょう。
最近は、インターネットオブシングス、IoTがキーワードとして語られます。いろいろな「モノ」がネットにつながっていくと言われています。すでに、各方面で研究開発が進み、IoTがイノベーションを起こし、これまでにないことが実現する時代へとなりつつあります。
自転車盗の防止についても、IoTが活用されるようになっていくのは間違いないでしょう。センサー類やAIと組み合わせ、誤作動もなく、効果的に防犯出来るようになるかも知れません。小型のカメラと組み合わせ、即座に犯人の映像を撮影し、送信するようになっても不思議ではありません。
GPSなどと組み合わせ、追跡して場所を特定し、警察に通報するようになることも考えられます。パーツに分けて換金しようとしても、ICチップなどで自動通報されるようになっても驚きません。半導体やセンサー、通信技術などの進歩で、防犯事情も劇的に変わるに違いありません。
もちろん、インダストリー4.0など、製造業を変えるようなイノベーションに比べれば、自転車の盗難防止などはニッチな分野に過ぎません。世の中を変えるような技術革新とは違います。しかし、自転車盗を防ぎたいと取り組む人たちが世界中にいるのも事実であり、自転車盗防止も必ずや進歩していきそうです。
舛添都知事、あまりにセコくて笑い者、軽蔑されるレベルですが辞任しないのは誇り・プライドもないのでしょうね。