自転車通勤に使う人もいれば、週末に里山のシングルトラックを走りたい人もいるでしょう。子供の送り迎えが主な用途の人もいれば、輪行して遠くへ走りに行きたい人もいます。BMXのワザを練習する人もあれば、仕事で配達に使っている人もあるでしょう。
それぞれの用途や使い方にあった自転車が開発されており、その種類は細かく分けるとキリがないくらいです。たくさんの種類の自転車が売られていますが、それでも商品としてある程度の汎用性を持たせざるを得ません。そのため、全くのオーダーメイドでもない限り、使っていて不満が出ることもあるでしょう。
例えば、速さや快適性を求める人もいるでしょうし、カバンが運べるなど、実用性を重視する人もいます。同じ自転車通勤に使っている人の中でも、自宅の室内に保管する人もあれば、戸外に雨ざらしという人もあるはずです。極端に言えば、一台一台、ニーズは全て違うと言ってもいいかも知れません。
そこで、既存の自転車に飽き足らず、いろいろな新しい自転車を考案する人がいます。自転車の本質に関わるもの、イノベーションを起こすようなものは大変ですが、自転車のごく一部のパーツの改良なら、ハードルは高くありません。素人でも取り組めますし、いろいろなアイディアが出てくるに違いありません。
こちらは、
サドルの座面をワンタッチで外せるようにしました。必要のない人にとっては、全く意味のわからない改良です。しかし、ある種の不便さや不満を感じている人、そのようなニーズのある人にとっては、これは、なかなか画期的なアイディアということになるでしょう。
自転車を屋根のない場所に駐輪するとき、座面を外して持っていけます。これならば、駐輪している間に、にわか雨が降っても、サドルが濡れたり、サドルの中まで水が染み込む心配はありません。にわか雨がやんで、いざ帰ろうという時に取り付ければ、乾いたサドルで快適に帰れるというわけです。
中には、サドルを盗まれた経験を持つ人もいると思います。しかし、これならば座面がないので、サドルだけ盗んでも使えません。サドルの盗難防止になります。ちょっと拝借して乗り捨てるような自転車盗も、わざわざサドルがないものを選ばないでしょうから、自転車そのものの盗難の抑止にもなるかも知れません。
もともとサドルは工具を使えば簡単に取り外せます。しかし、いちいち外すのは面倒です。シートポストごと外して持っていくのも邪魔です。サドルの座面だけワンタッチで外せるというのがミソです。座面が無ければ、シートポストごと盗む意味がなくなるでしょう。
こちらは、
ペダルの形状を変えることで、スタンドとして使おうというアイディアです。普通、スポーツバイクには、いわゆるスタンドが付いていません。後付けすることは出来ますが、特に自立させて駐輪するような場面が無ければ、スタンドは不要です。つけていない人が多いと思います。
無駄なパーツを取り付けておくのは邪魔ですし、そのぶん重くなります。見た目的にもカッコ悪いと感じる人も多いはずです。ただ、使うシーンは少ないけれど、何かの際、ちょっとスタンドがあれば便利ということもあるでしょう。そんな時にこのペダルが役に立つというわけです。
これならば、わざわざスタンドを取り付けるのとは違い、ふだんはペダルの一部です。邪魔になりませんし、余分に重くなりません。なっても僅かでしょう。なるほど、これはイザという時にあってもいい装備、あったら便利なパーツと言えるかも知れません。
こちらは、
ステムとペダルです。ワンタッチでハンドルの角度を90度変え、ペダルを変形させることで、駐輪時の幅を小さくし、周囲の邪魔にならないようにします。自宅や自転車通勤しているオフィスの室内に自転車を保管している人、廊下や通路に置いている人なら、重宝するかも知れません。
自転車の幅は、ハンドルがなければ、大きく減らせます。駐輪時にフレームと同じ方向に出来るならば、大きく幅が狭まるわけです。ペダルも通る時に引っ掛かったりして、意外と邪魔になることがあります。これも角度を変えられるならば、駐輪時に邪魔にならなくなるというわけです。
こちらは、荷台です。
荷台にクッションがついていて、人を乗せる際のシートとして使えるというものです。シートの中には小物を収納できるようになっています。残念ながら、日本では違反となるので使えませんが、イザという時、人を乗せることがあるという人なら、取り付けておきたい荷台かも知れません。
どれも一部のパーツを改良するアイディアです。一部のパーツを少し変えるだけで、人によっては大いに便利になるでしょう。もちろん万人向けではありませんし、自転車そのものを変えるような改良ではありません。でも、素人のちょっとした思いつきで、使い勝手が大きく改善する可能性があります。
自転車は、完成品として買って来ても、誰でも簡単に交換できる汎用のパーツが組み合わさって出来ています。そのため、ちょっとした改良がしやすく、その改良の敷居が低いのが特徴と言えるでしょう。身近でよく使うものでも、例えばテレビだったら、こうはいきません。
テレビも最近はデジタルになって、パーツを組み立てれば出来てしまうので、参入障壁が下がり、新興国のメーカーが台頭しています。とは言え、素人がパーツを組み替えるのが容易とは言えません。自転車の場合は、工具一本で誰でも交換できるパーツが多く、実際に交換することも多いはずです。
自転車はシンプルなパーツが多いので、自分のアイディアに自信がある人なら、自分で改良・生産して売り出すことも比較的容易です。事実、アイディアをクラウドファンディングサイトで披露し、資金を集め、ビジネスとして、ひと山当ててやろうと狙う人も大勢います。
誰もが共通して便利な、革新的なパーツというのは難しいですが、ある一定の条件で、不便を感じている人がいるパーツというのは存在するでしょう。可能性は無限に眠っているような気もします。自転車自体は、かなり成熟した、工夫され尽した商品なのにもかかわらず、まだまだ工夫次第では改良の余地があります。
独自の工夫を思いついて、クラウドファンディングサイトに上げる人は後を絶ちません。新しいアイディアが後から後から登場してきます。このあたりの自由度の高さ、自分でいじる余地の大きいところ、工夫され尽したように思えるのに、まだまだ夢見る余地があることも、自転車の魅力と言えるのかも知れません。
果たしてイギリスはEUを脱退ということになるのでしょうか。両派伯仲し、見通しは混沌としてきているようです。