June 15, 2016

デジタルパーツの共通の土台

自転車はさまざまなパーツから出来ています。


もちろん、工業製品ですから、部品が組み合わさって出来ているのが当たり前です。例えばテレビを分解してみれば、たくさんの部品から出来ており、いろいろな部品メーカーのパーツが使われていることがわかるでしょう。ただ、テレビの場合は、テレビメーカーの製品として完成品を買って来るだけです。

自転車は、有名ブランドの自転車であっても、そのメーカー製となっているのは、ほとんどフレームだけです。それすら委託生産の場合もありますが、そのフレームに、コンポはコンポのメーカー、タイヤはタイヤメーカー、ホイールはまた別のメーカーと、たくさんのメーカーのパーツを組み上げる形で出来ています。

スポーツバイクの場合は、フレーム単体で販売されていることも多く、それに自分で選んだメーカーのパーツを組むことが出来ます。完成品で売られている場合でも、自由に好きなパーツと交換が可能です。テレビでも無理をすれば出来ないことはないでしょうが、やらないでしょう。

ですから、フレームにこそ、メーカーの名前やロゴが入っていますが、他のパーツは全然バラバラのメーカーのネームが入っており、知らない人から見ると、全く統一感のないものとなっています。自転車は、これが普通であり、多かれ少なかれ、自分でパーツを組み合わせます。

OpenBike

パーツに国際的な規格があるから可能になるわけで、組み合わせるのに何の問題もありません。ただ、最近は、多少事情が変わりつつあります。後付けの電気的な部品が増えてきているのです。もちろん、電気的な部品であっても自転車用に出来ていれば、取り付けるのに問題はありません。

例えば、ライトやサイクルコンピュータなど、どこのメーカーのものであっても、自転車用であれば何の問題もなく使えます。ただ、現状では、それぞれが自転車への装着を想定しているものの、個々の電気的な部品同士が連携するようには出来ていません。

最近は、デジタルなパーツも増えています。サイコンだけでなく、ナビとか、GPSロガー、動画カメラなどを装着する人もいます。各種センサーなどを取り付けて、手元のスマホのアプリでデータを集め、いろいろな用途に使うようなスタイルも増えてきました。

OpenBikeOpenBike

近年のLEDや充電池の小型軽量化などもあって、ウィンカーとか、視認性を向上させるイルミネーションなどの提案も出てきました。後付けの電動アシスト装置とか、スマホなどのバッテリーチャージャー、各種の盗難防止装置、ドライブレコーダーなども自転車用として開発されています。

こうした状態になってくると、電子部品、あるいはデジタルパーツも、それぞれ相互に連携できたほうが便利ということもあるに違いありません。そこで、何らかの規格を決めれば、自転車用の電子部品を、より使いやすく出来るのではないかと考えた人たちがいます。

Kyle Manna さんと、Randall R. Jacobs さんの2人が創始した、“OpenBike”です。自転車用の各種システムの相互接続を可能にするプラットフォームをつくろうというものです。その名が示唆するように、これは、オープンソース・ソフトウェアを意識しています。

OpenBikeOpenBike

つまり、このプラットフォームの規格を広く公開し、誰でも使えるようにしようというわけです。どこかのメーカーによる規格ではなく、オープンな規格にすることで、多くの部品メーカーの採用を働きかけ、結果として標準のプラットフォームとして機能させようという考え方です。

では、規格が統一されると、どんなメリットがあるのでしょうか。まず考えられるのが、バッテリーの共有です。バッテリーを使うパーツが増えているものの、現状では、それぞれが個別にバッテリーを搭載しています。これを、全てのパーツが共有するように出来ます。

個々のパーツはバッテリーを搭載しないので、小型軽量化できます。別々に充電したり、管理する手間も省けます。どれかのバッテリーは余っているのに、どれかはバッテリー切れということもなくなります。重複することによる、余計に多くのバッテリーを積む形がなくなり、無駄がなくなります。

OpenBike

バッテリーを共有することで使い勝手が向上し、全体としての重量や体積も減らせるでしょう。これは、自転車にとって、大きなメリットとなります。共有のバッテリーさえチェックしていれば、突然の電池切れで困ることも防げますし、走行中に充電するようなシステムの恩恵も広がります。

デバイスやデータを共有することも出来ます。たとえば、スピードとか、ケイデンス、GPS位置情報といった情報を、機器間で共有することが可能になります。データをやり取りすることも出来て、新しい機能が実現するかも知れません。センサーなどの重複を防ぎ、場合によっては配線が減り、スッキリするでしょう。

今後は、IoTで、さまざまな機器がインターネットに接続するようになるでしょう。ネット接続も共有することが可能になります。これがなければ、アプリごとにスマホを一台ずつ搭載するようなものです。重複を防ぐことで、機器の価格や接続コストも安くなるでしょうし、機器の重量も体積も減らせて合理的です。



もちろん、コネクターなどの規格が統一され、おなじパーツならば、他社製と交換しても、いちいち配線や接続をし直さなくて済みます。好みでチョイスしたり、気軽に取り替えることも簡単になるでしょう。本来あるべき姿が、今までは実現していなかったわけです。

電子パーツ、デジタルパーツが気軽に導入できるようになって、ニーズが増えることも考えられます。メーカーとしても、規格に準拠するメリットが得られます。単独では導入が面倒だったパーツも簡単に取り付けられるようになって、例えば視認性の向上などを通して、安全性向上に貢献するかも知れません。

もちろん、こうした電気的なパーツはライト以外、一切使わないという人もあるでしょう。不要と考える人もあるはずです。ただ、使う使わないに関わらず、共通のプラットフォームがあって悪いことはありません。今後、ネット接続が広がり、便利で使いたくなる機器が出て来ないとも限りません。

OpenBikeOpenBike

好むと好まざるとに関わらず、今後はIoTが自転車の世界にも広がっていくのは間違いないでしょう。それなら、便利で簡単、手間が省けて小型・軽量なほうがいいに決まっています。確かに、これは必要なプラットフォームと言えるのではないでしょうか。すでに来年、MARIN BIKES社から搭載車の登場が決まっています。

自転車本体を形成するパーツは、規格が定められており互換性もあります。しかし、今後さらに増えてくるであろう多種多様なデジタル・アイテムは、連動させて使えるようにはなっおらず、デファクトスタンダード、事実上の標準規格の形成も、少なくともすぐには期待できません。

その意味でも、このようなプラットフォームの提案は、サイクリストの利益にも資すると思います。規格の形成によって、新たな製品や革新的なサービスが生まれる可能性もあります。今後、この“OpenBike”がどうなっていくかはわかりませんが、自転車向けのデジタルパーツの今後に一石を投じるものと言えそうです。




今年は各地でクマの被害が相次いでいます。甲州街道とか、市街地の近くにも出ており、注意が必要ですね。

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