自転車のフレームに使われる材料は、昔からあるスチール、ハイテン鋼、クロモリ(ニッケルクロムモリブデン鋼)、アルミ(アルミ合金)などが一般的です。加えて近年は、カーボン、チタン、マグネシウムなどの新しい素材も使われるようになってきました。
それぞれの素材には長所と短所があり、好みも分かれるわけですが、どれも金属、もしくは工業材料です。しかし、フレームの素材はこれらだけではありません。近年、一部に限られますが、注目されている素材があります。それは、木材や竹などの自然素材です。
特に竹は、最初から円筒形で中が空洞で軽く、強度も十分で加工しやすいなど、フレームの素材として適しています。このブログでも、過去に何度か取り上げましたが、一部に根強いマニアがいます。意外にも思えますが、注目度が高まっている素材なのです。
竹ぼうきの柄とか、竹垣、すだれなど、身近にある竹を考えると、それほど強い素材のように思えないかも知れません。しかし、種類や太さ、そして樹脂で固めるなど適切な処理をすれば、フレームとして十分以上の強度や耐久性を発揮すると言います。それでいて、中空なので軽いのが特徴です。
しなりがあってフレームとして硬すぎず、適度な衝撃吸収性もあり、乗り心地が良い、疲れにくいなど、自転車のフレームとして非常に優れています。世界各地に自生しており、金属のように精錬・鋳造する必要もなく、素材としては安価です。自然素材ですから、環境への負荷が小さいのも長所でしょう。
竹が手に入る地域であれば、金属の材料と比べて安く製造できるため、途上国でも注目されています。貧困に苦しむ途上国の人々にとって自転車は、先進国とは、その意味や重要度が違います。自転車という移動手段を得れば、水汲み、農産物の出荷、通勤通学などあらゆる方面で、貧困からの脱却の大きな助けとなるからです。
金属と違って加工も容易なので、動力や電力が使えないような場所でも生産が可能です。現地に雇用をもたらすという点でも、貢献する可能性があるわけです。そのような社会的な面も含め、最近徐々に竹フレームへの関心は高まっているようです。
竹フレームの自転車は、一部で実際に販売されています。一般的にカーボンや金属の新素材は高価ですが、竹の場合は、比較的安く手に入ります。それでいて、カーボンと遜色のない乗り心地となれば、試してみたくなる人も少なくないのではないでしょうか。
いくつかのメーカーが竹製フレームを提供していますが、自分でフレームを組み立てることが出来る、キットとして提供されているものがあります。“
Bamboobee Bamboo Bike Frame Kit ”です。以前取り上げましたが、このキットは自分にあったサイズの竹製フレームを自作できるキットでした。
自作すると言っても、竹を切り出すところから自分でやるのは大変です。しかし、このキットなら、あらかじめ竹製のフレームパーツがキットになっているので、誰でも手軽にフレーム自作を楽しめます。自作だけでなく、よくある市販品とは違う、竹の自転車に乗れるのも魅力と言えるでしょう。
そのキットを提供する、
Bamboobee 社 から、新しく“
BIY 2 Bike Kit ”が登場しました。今度のキットは、従来のものと比べて、フレームの接合方法が工夫され、竹製フレームが5時間で組み立てられる製品になっています。それだけではありません。今度のキットは、従来のようなロード用のフレームにとどまらないのです。
マウンテンバイク、カーゴバイク、20インチの小径車、女性用フレーム、キッズ用、クラシックな業務用など、いろいろな自転車のフレームが作れるというのです。従来はサイズしか選べませんでしたが、今度のものは、さまざまな種類のフレームを自作することが出来ます。
これは、なかなか面白いキットと言えるでしょう。自分でフレームを製作してみたい人、竹製のフレームに乗ってみたい人に加えて、今手持ちの自転車のパーツを使って、違う種類の自転車に組み直して乗ることも出来るわけです。竹製ですから、値段もリーズナブルです。
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現在、クラウドファンディングサイトで資金調達を目指しています。前のキットも資金調達に成功して、販売にこぎつけていますが、今度のキットも目標に近づいており、おそらく販売されることになるでしょう。自作趣味という限られた中ですが、確実にニーズはありそうです。
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今乗っている自転車のフレームが破損したり、サイズが合わなくなったり、使うシーンや用途が変わることで、役に立たなくなることもあると思います。そのような場合に、自分で、違う自転車に組み替えることが可能になるという点でも、このようなキットは面白いと思います。
竹製というと、一般的には代替材料と見られたり、安っぽく見られたり、実用性が疑われたりしがちです。しかし、そんなことはありません。まだ一部に限られますが、竹製フレームへの理解が、徐々に広がりつつあります。今後、メジャーな素材として広がる可能性もあるでしょう。
竹で加工しやすい点が、自転車のフレームを自作する人を増やすかも知れません。さらに、違う種類の自転車への組み換えというニーズを掘り起こす可能性も考えられます。竹製のフレームは、いろいろな面でポテンシャルを秘めていると言えそうです。
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Posted by cycleroad at 23:30│
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