日本では、すでに原付バイクの台数を超えるほどに普及しています。初期の頃とは違って、アシスト力がアップし、航続距離も伸びて、使い勝手が向上しています。普通のママチャリと比べると高価格ですが、それでも以前と比べれば価格が下がって買いやすくなってきています。
その背景として、身の回りの家電や電子機器などに充電式が増えたことも関係していそうです。コードレス電話やノートパソコンだけでなく、最近は掃除機やキッチン家電までコードレスのものが増えてきました。もちろん携帯電話やスマホ、音楽プレーヤー、デジカメやビデオカメラ、コードレス・ヘッドフォンなどもそうです。
リチウムイオン電池などの小型化、高容量、高性能化が進み、最近はハイブリッドカーやEVなどのクルマの分野でも使われるようになってきました。いろいろな用途に使われ、大量に生産されることで、電池の価格が下がり、その恩恵が電動アシストの低価格化にも及んでいるのでしょう。
いろいろなタイプの電動アシスト自転車が開発されていますが、自転車そのものではなく、後付けの電動アシスト装置を開発するところも増えてきました。これまでにも、いくつか取り上げてきましたが、もはやアイディア商品ではなく、海外では、その種類も増えつつあります。
“
go-e ONwheel”は、普通の自転車を、わずか数分で電動アシスト自転車に変えるという製品です。自転車のフレームのBBシェルの下側にキットを取り付け、ダウンチューブにバッテリーを装着するマウントを取り付けるだけです。一般的な自転車なら、ほとんど取り付けられると言います。
こちらは昨年の10月にクラウドファンディングサイトで製品化資金の調達に成功し、発売が決定しました。現在は実際に購入することが出来ます。価格は599ユーロです。すでに普通の自転車に乗っているけれど、必要に応じて電動アシストとして乗りたいという人には、手軽な製品と言えるでしょう。
最近は、さらに簡単に電動アシストになるという製品も登場しています。それがこちら、“
GeoOrbital Wheel”です。こちらはホイール型となっており、前輪をそっくり交換するだけで電動アシスト車になります。クイックリリースの自転車であれば、1分もかからないでしょう。
電池までホイールと一体になっており、バッテリーをフレームに取り付けるタイプと違って、ドリンクホルダーなどを取り付けるスペースを奪わないのも利点です。最大時速20マイル(時速約32キロ)、航続距離は30マイル、およそ48キロを実現しています。
このホイールの内側にあるモーターやバッテリー部分は回転しません。リング状のタイヤのリム部分に押し付けられたローラーがタイヤを回す仕組みになっています。これまでにも、ホイールごと交換するタイプの電動アシスト機構はありましたが、ハブレスなのがユニークなところでしょう。
タイヤはチューブを使わないタイプで、パンクしません。バッテリー部分は取り外して充電するようになっていますが、このバッテリーにはUSBポートがついており、イザという時にライトや手持ちの電子機器などを、そこから充電することも可能になっています。
こちらも、クラウドファンディングサイトで製品化資金の調達に成功しています。現在プレオーダーが可能で、価格は699ドルです。どちらのタイプも希望額を大幅に上回る資金の調達に成功しています。後付けタイプの電動アシスト機構には一定のニーズがあるのは間違いないようです。
ただ、どちらも、結構いい値段です。日本までの送料などを考えると、日本で市販されている電動アシスト自転車が1台買えてしまうくらいの価格になりそうです。もちろん、もう一台買うより、今乗っている自転車が活かせるというメリットはありますが、価格的に躊躇する人も多いはずです。
後付けの電動アシスト装置については、過去にもいくつか取り上げてきました。“go-e ONwheel”のようなタイプもありましたし、“GeoOrbital Wheel”のようなホイール交換型もありました。ただ、どれも価格的には似たり寄ったりです。
パーツとしてのバッテリーの値段は下がっているのでしょうが、まだこの手の製品は量産されているわけではなく、ある程度の価格になるのは仕方がないのでしょう。しかし、最近安くなってきた日本の電動アシスト車が、安いもので6万円台くらいから売られていることを考えると、どうしても割高感があるのは否めません。
さて、そんな中、スウェーデンの、“
Semcon”という会社が、なんと100ドル程度で製品化できる後付けタイプの電動アシストモーターを開発したと発表しています。まだ製品化が決定したわけではなく、今後の検討によるようですが、この価格で売り出されたら、かなりインパクトがあるのではないでしょうか。
出力や航続距離などが違いますから、比較の仕方、購入者の考え方にもよると思いますが、6分の1、7分の1という価格は、かなりの商品力を持つはずです。100ドル程度で手に入るなら、ぜひ欲しいという人もいるに違いありません。これは注目される動きです。
もちろん、クラウドファンディングで資金調達して、オーダーに応じて製造して送るようなベンチャーとは違って、従業員が何千人もいるような会社です。ある程度量産しなければ、この価格も実現しないでしょうし、需要があって、採算が見込める事業と判断しなければ、事業化されない可能性もあります。
そのあたりは予断を許しませんが、もしこのような価格で製品化されれば、買ってもいいと思う人も多いのではないでしょうか。ヨーロッパでは、環境面や健康面からも、自転車に乗る人が増えています。でも、出来ればラクをしたいという人だって少なくないに違いありません。
普通の自転車と比べた電動アシストの価格がネックになって購入しない人も多いはずです。素人考えですが、意外にニーズがあるような気がします。もし低価格で売り出されれば、後付けの電動アシストモーターも、身近な家電のようになっていくかも知れません。
普通の自転車と電動アシスト自転車との価格差が、今のようにあっても、これだけ利用が広がりつつあります。後付けのモーターに限らず、この価格差が小さくなったら、電動アシストを選ぶ人は増えていくに違いありません。少なくともシティサイクル等に関しては、電動アシストが当たり前になっていく可能性がありそうです。
アメリカの警官による黒人射殺事件は酷いですね。罪のない市民が警官に射殺されるなんて常軌を逸してます。
Posted by cycleroad at 23:30│
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