看板やポスター、バスの車体広告や電車の中吊り広告など、伝統的なものもある一方、近頃はディスプレーになったものなども見かけます。もちろん、テレビや新聞、雑誌からネットメディア、スマホの画面まで、どこへ目をやっても、広告が飛び込んできます。
ただ、どうでしょう。その中で、自転車の広告を思い出せるでしょうか。日本では、自転車の広告自体、少ないだろうとは思います。でも、これだけ広告にあふれているために、あっても印象に残っておらず、思い当たらないのかも知れません。
日本の広告の場合、似たようなものが多く、せいぜい使われているタレントが違うくらいで、よほど印象に残るCMなどでないと、いちいち印象に残らないというのもありそうです。今回は、海外の自転車に関係する広告をピックアップしてみたいと思います。
オーソドックスなポスター広告ですが、そのシンプルな図柄が特徴的です。こちらは、有名なリオデジャネイロのキリスト像です。コルコバードの丘の頂上に立っている構図は、リオのシンボルとして世界中に知られています。それが、なんと平坦な地平線に位置しています。
実はこれ、電動アシスト自転車の広告です。左下のほうに、電動バイクでリオとコピーが書かれています。このメーカーの電動アシスト自転車があれば、コルコバードの丘を上るのも、平坦な道を行くのと変わらないというわけです。スイスのアルプス編とイタリアのベスビオ火山編もあります。
こちらの広告は、なんと路上に直接描かれています。自転車レーンの路面なので、自転車レーンの印にも見えますが、下にサイトのURLも添えられているので、スウェーデンの、Porteur 社の自転車広告とわかります。ストックホルムの街中に突如出現しました。通るサイクリストは、何かと思ったことでしょう。
絵の左上に−10%とありますが、実は割引セールの広告なのです。水溶性の塗料で描かれており、雨が降って、絵が消えたらセールもおしまいです。おそらく、自転車レーンを通るサイクリスト以外、誰も気にしないと思いますが、ターゲットが絞れて効果的な、新しい広告メディアと言えるかも知れません。
似ていますが、こちらは本物の自転車レーンを表すマークの前方部分に蛍光シールを貼っています。路上に、ゲリラ的に貼られたステッカーです。Move 社のライトのプロモーションですが、夜間の走行時にライトの点灯を呼びかける形にもなっています。
走行しているサイクリストは誰でも気づくでしょうし、もしかしたらライトの点け忘れに気づくかも知れません。宣伝広告ではありますが、安全の為の啓発にもなっています。安価に出来る宣伝ですが、なかなか賢いアイディアかも知れません。
こちらは、昔、世界的にヒットしたゲーム、テトリスを意識した構図になっています。これは、ブラジルで自転車の利用を呼び掛けている団体による啓発広告です。細い縦の棒に自転車の絵が描かれており、他はクルマです。幅をとらない自転車なら、大渋滞の道路でも速く行けることをアピールしています。
同時に、この縦の棒によって、クルマが積み重なったブロックが4列分、消えることを示唆しています。つまり、みんなが自転車を使うようになれば、渋滞が減っていくということも暗示しているわけです。そのために、わざわざテトリスをモチーフとした図柄を使ったのでしょう。
こちらはアルゼンチン・ブエノスアイレス市の啓発広告です。自転車を積極的に使ってもらうことで、市民の健康増進を図るのが目的です。自転車に乗ることが、いかに健康に貢献するか、ひと目でわかるような図柄になっています。自転車は心肺機能、脚力、脳、胃腸の働きを高めることをアピールしているのです。
こちらは、バングラデシュのダッカに現れた、自転車用チェーンロックのメーカーの広告です。動画を再生するとわかりますが、実は正方形のブロックを動かすパズルになっています。このブロックは実際に動かすことが出来るので、これを見たら、ちょっと挑戦してみようかなと思う人は少なくないでしょう。
このパズルは街角の駐輪スタンドの脇に設置されています。ただ、難易度が高いため、容易には解くことは出来ません。自転車用チェーンロックが、簡単には破られないことをアピールしているわけです。駐輪場所に設置することで、盗難防止のための確実な施錠を促す効果が期待できるかも知れません。
こちらは、南米チリでコカ・コーラが展開したキャンペーンです。健康のために、運動を促すキャンペーンです。タクシーに乗り込むと、なんとペダルがついています。誰もが驚きますが、ペダルをこいだ分だけ、運賃が割引されるという仕組みなのです。
もちろん、ベロタクシーではないので、ペダルが動力になっているわけではありませんが、このジョークのような仕組みに、利用客は皆笑ってペダルをこいでいます。まさか、ラクするために乗ったタクシーで運動させられるとは思わなかったでしょう。でも、少しは考え直すきっかけになったかも知れません。
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世界には、いろいろと面白い広告があるものです。日本では、自転車そのものの広告のニーズは少ないかも知れません。でも、最近は健康のために自転車の利用を呼び掛ける自治体もありますし、自転車観光をアピールするために、ポスターなどを製作するところもあります。
ただ、ほとんど印象に残っていない、記憶にないという人は少なくないでしょう。せっかく広告を出すなら、何か工夫をして、人々に効果的に訴えたいところです。同時に、広告は身の回りの、あらゆるところにあふれていますので、出来れば人々を楽しませるものにしてほしいものです。
不正発覚後の再試験でも、また不正をした三菱自動車、全く懲りていません。もはや、消費者の信頼を取り戻す気もないのでしょう。この会社の封筒には、『燃費の差は技術の差』 というキャッチコピーが入っているそうですが、お笑い草です。逆に、技術の低さを自覚してたのかも知れません。こんな会社、人々の安全を預かるクルマのメーカーとして、存続させるべきなのでしょうか。