一般的なママチャリの盗難は別として、近年はロードバイクなどに乗る人が増えたこともあってか、高価格のスポーツバイクを盗んで、リサイクルショップなどで売りさばいて現金化するような犯行が増えています。ネットオークションなど、現金化の手段が増えたことも背景にあるようです。
前回も取り上げましたが、自転車盗への対策は、なるべく盗難防止効果の高いロック、ワイヤーやチェーン、U字錠などを使うのが第一でしょう。ただ、市販の強力なロックであっても、油圧式のワイヤーカッターなど、プロが使うような工具には無力と言われています。絶対はありません。
もう一つ重要なのは、どこに駐輪するかということです。最近は、自宅の敷地内から盗まれる被害も少なくないようですから、室内保管などが必要かもしれません。通勤に使うなら、職場での保管も考える必要があるでしょう。問題は、それ以外の場所です。
自転車に乗って出かけたら、どうしても、どこかに駐輪するケースが出てきます。短時間の駐輪であればリスクは低いでしょうし、カフェで休憩するくらいなら、窓から見える場所に置くなどの手も考えられます。しかし、駐輪場所から、どうしても離れざるを得ないケースも出てきます。
なるべく、人目につきやすい場所とか、犯人が犯行に及びにくいと思われる場所、人の目のある駐輪場などを選ぶのがいいと言われますが、必ずしも近くに見つかるとは限りません。いつも行く場所ならともかく、勝手の知らない場所だと、自転車盗の被害が頻発しているような場所に駐輪してしまうかも知れません。
飲酒してしまったとか、何らかの事情で、どこかに置いて電車などで帰らなければならないこともあります。一晩、あるいは、それ以上の時間、駐輪したままにする必要に迫られることもあるでしょう。夜間、人目がない時間帯に駐輪するのは、リスクも高くなります。
そんな場合に、何とかならないものかと考えた人がいます。ニューヨーク在住の、Angel Ho さんです。彼女は、ふだん自転車で移動することが多く、仕事などの都合で長時間、駐輪しなければならないこともあります。そんな時でも安全に駐輪できないものかと考え、自ら“
Nookhub”というサービスを立ち上げました。
これは、どこかに駐輪して、目を離さなければならないような必要が生じた時、スマホのアプリで、最寄りの安全性の高い駐輪場所を探すことが出来ます。GPSで、地図上に駐輪の空きのあるスポットが表示されます。アプリから予約して、45分以内に、その場所へ行き、愛車を預けることが出来ます。
その預け場所というのは、街の自転車店です。つまり、この“ Nookhub”のサービスに加入している自転車店をアプリの地図から探すわけです。自転車ショップなら、当然自転車を置いておくスペースもあるでしょうし、自転車の扱い方もわかっています。盗難事情もわかっていますから、安全に預かってくれるはずです。
店舗ならば、売り物の自転車を盗まれないような対策もしているはずです。そもそも自転車ショップから盗もうという犯人は、なかなかいないでしょう。店に押し入って強盗しようという犯人なら、現金とか、もっと金目の物で、持ち運びやすいものを選ぶに違いありません。
24時間預かってもらって、7ドル50セントからと価格もリーズナブルです。よく使うなら、まとめて支払えばさらに安くなります。預け先として安心なだけでなく、ちょっと気になっていたパーツを交換してもらっておくとか、いい機会だから、メンテナンスを頼んでおくといった使い方も出来るでしょう。
こうしたニーズがあるかどうかは、人によっても違うと思いますが、サイクリストにとっては、ありがたいサービスと言えるでしょう。Angel Ho さんは、今後、自転車店だけではなく、スポーツジムなどにも提携先を広げていく予定です。提携先によっては、24時間の受付対応可能な場所も出てくるでしょう。
このサービス、アプリは誰でもダウンロード出来ますが、残念ながら、まだニューヨークの一部の地域に偏っている状態です。もちろん、これから拡大していく予定で、ニューヨーク以外にも、近い将来、サンフランシスコやシカゴにも拡大する計画です。
これは日本にも欲しいサービスです。提携先となる自転車店にとっても、空いているスペースが収益を生みます。相手がサイクリストなわけですから、メンテナンスや消耗品などの購入につながる可能性も小さくないでしょう。店の常連客が増える可能性もあるわけで、加入するメリットは少なくないはずです。
自転車ショップやスポーツジムなどで自転車を預かれる施設以外でも、例えば有人の駐輪場とか、屋根のある駐輪場といった検索も出来れば、さらに便利になるかも知れません。近くに自転車ショップなどがない場所でも、駐輪場が検索出来れば、次善の策にはなります。
雨が降り出しそうなので、屋根ありの場所にとめたいというニーズも考えられます。もちろん、有人の駐輪場であっても自転車が盗まれる事件は起きています。自転車店に預けるのと比べれば、リスクはあります。ただ、その時のニーズに応じて、いろいろなタイプの預け先が選べたら、さらに便利になるでしょう。
近年、日本では街の自転車屋さんが減っています。格安のママチャリが市場を席捲し、量販店で買う人が増えたためです。これは、スポーツバイクを扱わないお店も含め、自転車店の新たな収入源となるかも知れません。日本で、このようなサービスを立ち上けてみようという人や企業の登場が期待されます。
各地で相次ぐ地方議員の政務活動費の不正・辞職、情報公開請求関連の不祥事は氷山の一角なのでしょうね。
Posted by cycleroad at 23:30│
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