January 29, 2017

防犯面も安全面も教訓にする

バラバラ事件が起きています。


と言っても、殺人事件ではありません。ロードバイクが盗まれ、しかもその盗まれたロードバイクのフレームがバラバラに切り刻まれ、その写真がネットに投稿されるという盗難事件が起きており、ネット上で話題になっています。ITメディアの記事から一部を引用します。


騒然 「ロードバイク バラバラ事件」の対策

最近、ネット上でローディー(ロードバイク乗り)の間で話題になっている事件がある。通称「ロードバイク盗難バラバラ事件」という千葉県・幕張エリアを中心に起きている盗難事件だ。数台のロードバイクが同一エリアで盗まれ、さらに犯人が盗んだロードバイクをバラバラに切断して撮影し、その画像をネット上にアップして被害者を挑発している。

バラバラ事件近年のスポーツサイクルブームで、日本は世界でもトップクラスの自転車大国になっている。自転車産業振興協会の調査(2013年)によると、自転車の保有台数は約7200万台、そのうち最も多い車種はシティ車(軽快車)が63.2%となっているが、ロードバイクなどのスポーツ車も11.0%と多くの愛好家に所有されている。

シマノセールスによると、スポーツ車の年間販売台数は2014年の55万台から2015年には60万台を超えているという。各国の自転車台数を見てみると、トップはオランダ、次にドイツ、デンマークと続き、日本は6位。

日本は「自転車大国」と言えるわけだが、盗難事件も大国並になっているようだ。2013年の警察庁統計によると、自転車の盗難は年間30万件発生している。特にスポーツ車は高額なので、狙われる傾向が高いようだ。そのような背景で起こったのが、今回の事件である。

今回の事件……犯人は盗んだロードバイクのフレーム(車体)をバラバラに切断して「自転車盗難情報サイト」に画像をアップした(現在、画像送付の書き込みは観覧できない)。通常、被害者が情報の呼びかけをするはずのサイトで、犯人は被害者に向けて挑発行為をしたのである。「盗んだ自転車をバラバラにすると転売できないのでは?」と思われたかもしれないが、バラバラにした理由はいくつか考えられる。

バラバラ事件理由の1つ、フレームには「フレームナンバー」「所有者の付けた傷」などから足がつきやすく、ホイールなど装備品だけを転売したのではないか。

多くのロードバイクは高額な共通部品の組み合わせで成り立っているので、部品だけの転売でも犯人は多額を手にすることが可能だ。実際、チェーンなどでロックされた自転車からホイールだけ、サドルやハンドルだけといった盗難もある。

もう1つは、そもそも転売目的ではなく、バラバラにすることで「ローディーに対する怨恨」の可能性だ。どちらにしろこれまでにはなかった猟奇的な犯行で、被害者からは「間違いなく自分の自転車だ」「もう自分の元に帰ってくる可能性はなくなった」という落胆の声が漏れている。また、ネット上のローディーからは「絶対に許せない」「警察は早く動いてくれないのか」という怒りの声も上がっている。(以下略 2017年01月26日 ITメディア)


ロードバイクを盗んだ上に、そのフレームを切り刻んだ写真を投稿する。しかも、その投稿先が、自転車盗難情報サイトというのですから言語道断、異例の事件と言えるでしょう。さらに被害は一台だけではないようです。被害者を挑発し、その落胆と怒りを逆なでするような行為であり、まことに許しがたい犯行です。

切り刻んでいるのがフレームだけなので、おそらくパーツは売りさばくのでしょう。最近はネットオークションなどで換金は簡単ですが、フレームは製造番号や傷などの特徴から発見されやすく、検挙されるリスクは高くなります。狡猾な犯人ならば、フレームは廃棄し、パーツだけ売りさばくことを考えるでしょう。

実際に、フレームの特徴から被害者がオークションサイトで発見し、結果として検挙された事例もあります。犯人にとっては、フレームや完成車そのままの状態で出品するより、パーツだけにしておくほうが賢明でしょう。犯罪者を褒めるわけではありませんが、合理的な考え方と言えます。

フレームを廃棄するにもかさばるので、切り刻んだのかも知れません。しかし、だからと言って、ネットに投稿するのは、検挙される可能性を高める行為であり、およそ理性的な行動とは言えません。しかも自転車盗難情報サイトと言うのですから、被害者を挑発し、感情を逆なでする意図があるのは間違いないでしょう。

おそらく換金目的の犯行であると同時に、言ってみれば愉快犯でもあるものと思われます。狡猾な犯人ですから、対策してるのだろうと思いますが、写真を投稿するのに利用した端末のIPアドレスなどから犯人が特定される可能性もゼロではないと思います。捜査当局には、ぜひ検挙に努めてほしいものです。

悲報悲報

サイクリストにとっては許しがたい犯行であり、被害者の方には、お気の毒としか言いようがありません。事件の解決を願うしか出来ませんが、この、ある種異様な事件とその後の経過から、教訓とすべき事柄が、いくつか浮かんでくると思います。

まず、記事でも指摘されていますが、「こんなに高価なロードバイクが街にあふれているのは日本だけ」という事実があります。高価な自転車は狙われています。犯行の動機が単純な物欲か、換金目的かはともかく、日本でも盗難に遭うリスクが高くなっていることは、十分に認識しておく必要があります。

他の窃盗などと違って、住宅や事務所、店舗などに侵入する必要はありません。それだけ捕まる危険が低く、身近に機会があふれているという点で、自転車盗は、犯行が簡単で敷居の低い犯罪と言えます。ホームセンターで売っているような工具があれば、誰でも出来ると言っても過言ではありません。

特にロードバイクに頑丈なチェーンやU字錠は、重くなるので敬遠する人も多いと思います。細いワイヤー錠なら、犯行に時間もかからず、そのまま乗って逃げればいいだけです。盗難の被害があることは知っていても、いざ自分の身に起きるまでは、さほど危機感を感じておらず、防犯意識が低い人も少なくありません。

バラバラ事件悲報

ヨーロッパの自転車王国と言われるような国、都市へ行くと、駅前などに駐輪されているのは、意外なほど古くて汚い自転車が多いのに驚きます。趣味のサイクリストは、週末用のロードバイクと、日常で使うシティサイクルと使い分けているのです。ですから、高価なロードバイクは駐輪されていないのです。

高価なロードバイクを、通勤通学や、日常のアシとして使わないというのは、とても賢明で現実的な防犯対策と言えるでしょう。特に乗り始めたばかりの人は、どんな時でも高価なロードバイクに乗って出かけたくなってしまいがちです。しかし、それは考え直したほうがいいかも知れません。

もちろん、駐輪の際に厳重に施錠する、頑丈なロックを使うというのも、ある程度意味はあります。しかし、手慣れた犯人なら、プロが使うような工具を用意していて、頑丈なロックやチェーンでも破壊、切断してしまうと言います。実際にそのような犯行が多発しています。

そう考えれば、高価なロードバイクに乗って出かける時は、駐輪しない、しても目を離さないということが一番の防犯対策です。どこか目的地で駐輪して、その場を離れざるを得ないような場合には、シティサイクルなど、盗まれても被害の少ない自転車にする、使い分けるのが賢明でしょう。



自転車盗の犯人が悪いことは論を待ちませんが、換金性の高い財物を、公共の場所に放置するわけで、警戒心が足りないと言われても仕方がない面があります。諸外国から見たら、信じられないような泥棒天国でもあるわけで、自転車泥棒たちに盗む機会を与えないようにしなければなりません。

少なくとも自転車盗に関しては、これまでのように、日本は治安がいいと安心出来ない状況になってきています。欧米では、高価な自転車を駐輪しておいたら、あっという間に持って行かれると言います。日本もそうなってきているわけで、従来通り、平気で街中に駐輪するのは無防備すぎると考えたほうがよさそうです。

この事件、ネット上で話題になっており、その愉快犯的な行動に対する、非難や憤り、同情がある一方で、被害者を揶揄したり、「ざまあ見ろ」などと嘲笑する人が少なくない点にも注目すべきだと思います。つまり、世間はロードバイク乗り、ローディーに対して、必ずしも好意的でないという面が見えます。

もちろん、交通法規を遵守して走っているロードバイク乗りも多いわけですが、なかには傍若無人に信号無視をしたり、車線を無視したり、クルマのドライバーや歩行者などからすると、危険で迷惑で、腹立たしい人がいるのも確かです。それで、バイクを盗まれ、煽られているのを見ると痛快に感じる人が少なくないのでしょう。

悲報悲報

ルールやマナーを守って走行しているサイクリストにとっては、まことに迷惑ですが、腹立たしく思っている人からすれば、サイクリストはみな一緒に見えるでしょう。サイクリストとしては、そのように見られているということも自覚しておかなければなりません。

クルマのドライバーから、言われのない嫌がらせを受けたり、危険な目に遭ったりした人は多いと思います。彼らからは、自転車乗りは皆同じに見えること、危険で迷惑で腹立たしい傍若無人な自転車乗りと一緒にされていることによるリスクがあることを認識しておくべきでしょう。

危険な自転車乗りがいるのは確かですが、危険なドライバーも多いですし、腹が立つのはお互い様という面もあると思います。日本では歴史的な経緯もあって、そもそも自転車の走行空間が乏しく、自転車は歩道を走るべきだというような、言われなき誤解や批難もあると感じています。

しかし、実際問題として、自転車乗りが必ずしも良く思われていない、腹立たしく思われているという事実があることを改めて認識させられる事件でもあります。この犯人の目的が怨恨なのか、挑発する理由が何なのかはともかく、防犯にしても、安全に関しても、教訓として生かすのが賢明なのではないでしょうか。




報道官が、壁の建設費の捻出には、メキシコからの輸入品に関税をかければいいと言っています。しかし関税を払うのは輸入する米国企業であり、価格転嫁される米国国民です。この政権、果たして大丈夫なのでしょうか。

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この記事へのコメント
という事は逆に、歩行者・自転車・オートーバイ・耕運機側から見ると自動車もまたボウジャクムジンに見えてるという事ですね。気を付けます。
Posted by トルーパー at January 30, 2017 12:51
トルーパーさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
交通法規で停止が義務付けられているにもかかわらず、横断歩道に歩行者が立っていても停止するドライバーは、ごくわずかです。
住宅街の細い道を渋滞回避の抜け道に使って、スピードを出して通り抜けるクルマもあります。
交通弱者優先の原則どころか、無意識に道路ではクルマ優先のように考えてしまっている人が多いのは確かでしょうね。
Posted by cycleroad at January 30, 2017 22:53
 
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