日本人はママチャリしか乗ったことのない人が多く、あまり自転車の用途を意識していない人も多いと思います。でも、自転車は、ロードバイクにマウンテンバイク、シティサイクルに電動アシスト自転車、クロスバイクや折りたたみ自転車、BMXやシクロクロス、その他、たくさんの種類があります。
家の近所や最寄り駅までしか使わない人にはママチャリ、もしくはシティサイクルがあれば十分かも知れません。しかし、自転車で走れる場所は意外とあります。必ずしも舗装道路ばかりとは限りません。例えばマウンテンバイクは、その名の通り、山道やオフロードを走行するのに向いています。
実際にやってみれば実感しますが、舗装されていない山道などを、ロードバイクなどで走るのは困難です。なるほどマウンテンバイクが適していることがわかります。自転車という意味で基本的な構造は共通しますが、タイヤの種類や太さ、フレームの形状、サスペンションなど、さまざまな違いがあります。
砂浜を走るならビーチクルーザーが向いていますし、雪道を走りたいならファットバイクでないと困難です。たくさんの荷物を運ぶならカーゴバイクが有利ですし、二人で乗るならタンデム自転車が必要です。たくさんの種類に分かれているのは、それなりの理由があるわけです。
自転車を趣味にしている人の中には、いろいろな場所を走りたい人もいます。そうなると必然的に、複数の種類の自転車が必要になってきます。また、週末にはロードバイクに乗るけど、通勤用にはクロスバイクを使っているなど、シーンによって、複数の自転車を使い分けている人もあるでしょう。
そうなってくると、どうしても複数のタイプの自転車を所有することになります。中には、単一の種類ばかりで何台も所有しているような人もいますが、必要に応じて、違う種類の自転車を何台か所有しているという人も、少なくないのではないでしょうか。
問題となるのは、収納スペースかも知れません。必要に応じて、複数の種類を揃えるといっても、自転車の場合は場所をとります。スポーツバイクの場合、室内に保管している人も多いでしょうから、なおさら頭を悩ますことになるのではないでしょうか。
いきおい、種類別に自転車を何台も所有するより、なんとか一台で兼用出来ないかと考えるのは、自然な成り行きと言えるでしょう。構造的に、あまりに違う自転車だと難しいですが、それほど大きな違いでない場合、もし一台で兼用出来たら便利というケースもあるはずです。
舗装路も走るし、本格的なオフロードやダウンヒルも、砂浜もあれば雪道も...となると、一台で兼用するのは困難です。無理やり兼用しようとすると、それぞれの用途に対する性能が不足することとなり、不満が大きくなるのは必至です。中途半端になってしまいます。
しかし、基本的に舗装路だけど、時と場合によって、多少のバリエーションがあるというような場合、構造的に近いわけですから、うまく兼用できる可能性がありそうです。そんな考えから生まれたのが、
8bar社の“
MITTE”と名付けられた自転車です。
ロード系の全ての自転車に切り替えられる、初めての自転車という位置づけです。必要に応じて、パーツを交換したり、フレームとの接続を変えるなどして、違うタイプの自転車に切り替えられる、いわばコンバーチブルなロードバイクというコンセプトです。
普通に舗装路を走行する時は、“Road”の仕様で走ります。場所によって、多少の悪路、非舗装路があって、クロスバイクやシクロクロスが欲しいような時には、“Cross“の仕様に変更します。そして、長距離の旅行など、ランドナーやツアラーといった車種が欲しい時は、“Adventure”です。
長距離のツーリングで、何日間も旅行するような場合は、荷物が多くなります。それを積むためには、キャリアなどが必要で、普通のロードバイクでは無理です。重さに対応してタイヤも太くなります。日本では、ランドナーやスポルティーフなどと呼ばれたりもしますが、いわゆる旅行車の仕様が“Adventure”です。
一台で、「兼用」しようと思うと、どうしても中途半端になったりして、不満が出てきます。これは、兼用と言うより、一台を必要に応じて、「切り替え」て使おうという発想です。そのため、フレームは一つですが、仕様ごとに必要なパーツが用意されています。
シーンに応じて、タイヤやフォーク、キャリアなどを組み換えて使います。フレームにも工夫があり、それぞれのタイプに応じてセッティングが調整できるようになっています。これ一台で、オンロード系の用途を広くカバーできるよう考えられています。
呼び方はいろいろあり、日本独特のネーミングもありますが、ロードバイク、もしくはロードレーサー、クロスバイク、シクロクロス、ランドナー、スポルティーフ、ツーリング、ツアラー、トレッキングバイク、あたりを網羅している感じでしょうか。
フレームは一つですし、切り替えるためのパーツはそれほど多くないので場所はとりません。それでも必要なパーツは用意されており、パーツを兼用したり、中途半端なのとは違います。たしかに汎用性の高い、コンバーチブルなロードバイクとして使えそうです。
また一つ、コンバーチブルロードバイクという種類を増やしたと見ることも出来ますが、一台を切り替えることで、用途を広げるというのは一つの考え方でしょう。一般的に、自転車の種類は細分化していく一方ですが、いくつかの種類をまとめるという方向性も、案外面白いかも知れません。
ここのところ、寒暖の差が大きくなっています。春が近いということなのでしょうか。寒さの辛抱も、もう少しですね。
Posted by cycleroad at 13:00│
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