IT技術だけではありません。それを支える半導体技術の進歩や、充電池、ディバイス、センサー、素材などの進化も急なものがあります。そこからドローン、IoT、自動運転、ロボット、VRやARなど、さまざまな分野へも波及しています。広範な製品やサービス、私たちの生活に影響を与えるものです。
自転車や自転車用品にも、そうした技術の進化が徐々に波及してきています。電動アシスト自転車の性能アップだけではなく、GPSナビ、スマホアプリやSNSと連動させたシステム、防犯や追跡装置、離れた場所から開錠してパーソナルシェアするシステムなど、これまでにない製品もたくさん登場し始めています。
これまでにも、多数取り上げてきましたが、そのような機器、用品は私たちの自転車生活を大きく変えたり、便利にしたり、あたらしい可能性を開きます。しかし、生活の中での自転車の使い勝手や利便性を向上させるのは、必ずしもハイテク技術を使ったアイテムばかりとは限りません。
例えば、こちら“
Bike Saddle Cover Keychain”は、雨に濡れたサドルで服を濡らさずにすむ製品です。その仕組みは簡単です。小さく収納できるサドルカバーを、キーホルダーのようにしただけです。誰にでも思いつきそうな、ちょっとした工夫です。
サドルを雨などで濡らさないため、あるいは濡れたサドルにまたがらなくて済むよう、サドルカバーを使っている人もあると思います。コンビニの袋などを流用している人もあるかも知れません。しかし、使いたい時、欲しい時に限って手元にないということが、往々にしてあります。
イザという時のために持ち歩こうと思っても、なかなか簡単ではありません。カバンの中に入れておいても、ついつい移し替えるのを忘れてりすることも多いでしょう。そこで、キーチェーンにして、自転車のカギに取り付けられるようにしたわけです。
ごく簡単で、ありふれたアイディアです。もう既に売られていても不思議ではありません。オランダ発の、このちょっとしたアイディア、クラウドファンディングサイトで資金調達を図り、目標金額に到達しています。あれば便利と感じた人が少なくなかったのでしょう。
“
VeloView Prism for Bicycle Aerobars”も、ちょっとした不便から生まれました。トライアスロンやタイムトライアルなどの競技用に使われるハンドルバーに、エアロバーと呼ばれるバーがあります。このバーを握って走行していると、目線は下向きになりがちです。
空気抵抗を減らし、前傾姿勢を保ちやすくするためにデザインされているのですから、当たり前と言えば当たり前です。もちろん、この姿勢でも前を見る必要はあります。ただ、前傾姿勢をとりながら、前方を確認するのは、ラクな姿勢とは言えません。目や肩が疲れたりもするでしょう。
レースならともかく、普通の道路でよく前を確認せずに走行していたら危険でもあります。そこで、視線を下に落としている時でも前方を確認できるように考え出されたのが、この“
VeloView Prism”です。ニッチな分野ですが、これもちょっとした不便、不満を解消しようと考え出された用品です。
ただ、誰もが考えるような鏡ではなく、プリズムと鏡を組み合わせたところが工夫です。単に鏡だと、天地が逆転して映ってしまい、前方確認のためには上手くありません。プリズムを組み合わせたことで、前方の景色がそのままの形で映ります。
アイディアとしてはシンプルですが、アメリカの特許も取得しています。今どきなら、カメラとモニターを使った製品が考えられそうですが、これならば電源も必要なく、コンパクトで軽いというのも利点でしょう。エアロバーに、結束バンドを使ってとめるだけというのもシンプルです。
“
Slap Bag”も、身近なニーズから生まれました。ハンドルバーなどに
取り付けておくバッグで、電話や鍵、食べ物など、自転車に乗るときでも持ち運びたい、ちょっとした身の回りのものを入れておくバッグです。ただ、ハンドルバーに取り付けるバッグというだけなら珍しくありません。
このバッグの特徴は、“Slap”、すなわち平手でピシャリと叩くだけで、口を閉じることが出来るのです。開ける時も口についたタブを引っ張るだけです。これなら自転車に乗りながら、片手でも簡単に中身を出し入れすることが可能です。自転車には持ってこいのバッグと言えるでしょう。
走行しながらでも、エナジーバーとかパワーバーと呼ばれるような行動食、スナック類などのフードを取り出し、手軽に栄養補給をすることが出来ます。長距離のツーリングの際のカロリー補給や、朝の通勤時に走りながら朝食を摂るような人にも便利でしょう。
走行中に電話を使うのは危険ですし、日本では禁止されていますが、着信時に相手を確認したりするのにも便利かも知れません。入れておくもの、使い方は、いろいろ考えられそうですが、要するに、そのようなちょっとしたニーズに応えてくれるバッグというわけです。こちらもネットでの資金調達に成功しています。
どれも、ローテクです。厳密に言えば、最近の素材技術、加工技術の進化の恩恵は受けているかも知れませんが、およそハイテクと呼ばれるような部品は使われていません。これらを便利と思うかどうかは、人によって違うでしょうが、身近な、ちょっとした不便や不満を解消するアイディア商品です。
技術革新は、私たちの生活を劇的に便利にしたり、大きく変えたりします。今まで考えられなかったことが実現したりもするでしょう。しかし一方で、ちょっとした思いつきやアイディアが、不便や不満を解消し、低コストで意外に大きな満足をもたらすことがあるのも間違いなさそうです。
大阪の国有地売却問題は補助金不正疑惑など広がってきています。なぜ国会参考人招致を拒むのでしょうか。
Posted by cycleroad at 13:00│
Comments(2)│
TrackBack(0)